
秋の味覚の代表格であるさつまいも。スーパーの売り場には「紅はるか」や「安納芋」など様々な名前が並び、どれを選べば最高の焼き芋が作れるのか、料理に合うのはどれかと迷われた経験はないでしょうか。実はさつまいもは、品種ごとに食感や甘さが驚くほど異なり、一概にどれが一番とは言えないのです。大切なのは、あなたの好みや作りたい料理に合わせて最適な一本を見つけること。この記事では、ねっとり系・ほくほく系といった食感の違いから、天ぷらやお菓子作りといった目的別のおすすめ品種、さらには美味しい個体の見分け方まで、専門家の視点で詳しく解説します。これを読めば、もうさつまいも選びで迷うことはなくなり、自分史上最高の一本に出会えることでしょう。
あなたの好みはどれ?さつまいも食感・甘さチャート
さつまいもと一言でいっても、その種類は実にさまざまです。蜜があふれるほど甘いものから、栗のようにほくほくとした食感のものまで、品種によって個性は大きく異なります。せっかく食べるなら、自分の好みにぴったりのさつまいもを選びたいものですよね。
そこで、数あるさつまいもの中からあなたの理想の一本を見つけるための「食感・甘さチャート」をご用意しました。まずはこのチャートでご自身の好みのタイプを把握し、その後の品種選びの参考にしてみてください。
食感タイプ | 甘さの目安 | 代表的な品種 | こんな方におすすめ |
---|---|---|---|
ねっとり系 | ★★★★★(とても強い) | 紅はるか、安納芋 | スイーツのような濃厚な甘さと、とろける食感を楽しみたい方。 |
しっとり系 | ★★★★☆(強い) | シルクスイート、クイックスイート | なめらかな舌触りと上品な甘さのバランスを求める方。ねっとり系とほくほく系の良いとこ取りが好みの方。 |
ほくほく系 | ★★★☆☆(ほどよい) | 紅あずま、なると金時 | 昔ながらのさつまいもらしい粉質で、素朴な甘さが好きな方。天ぷらなどの料理にも使いたい方。 |
このチャートはあくまで一般的な目安です。さつまいもは収穫後の貯蔵期間や加熱方法によっても甘みや食感が変化する、とても奥が深い野菜なのです。この後の章では、それぞれの品種の詳しい特徴をご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧いただき、お気に入りのさつまいもを見つけてください。
【食べ方別】おすすめのさつまいも品種
さつまいもと一口に言っても、その個性は品種によって驚くほど異なります。私たちが畑で丹精込めて育てた芋たちも、それぞれに得意な舞台があるのです。甘さや食感の違いを活かせば、いつもの料理が格段に美味しくなります。ここでは、あなたが作りたい料理や食べたいスタイルに合わせて、ぴったりのさつまいもを見つけるお手伝いをします。
最高の焼き芋を作りたいとき
さつまいもの魅力を最もシンプルに、そして深く味わえるのが焼き芋ではないでしょうか。オーブンや焚き火でじっくりと火を通すことで、芋本来の甘みが最大限に引き出されます。しかし、目指す焼き芋の食感によって、選ぶべき品種は変わってきます。あなたの好みが「とろける甘さのねっとり系」なのか、それとも「昔ながらのほくほく系」なのかで、最高の相棒は決まります。
とろける甘さの「ねっとり系」が好みなら
まるでスイーツのような、蜜があふれ出す焼き芋がお好きなら「ねっとり系」の品種が最適です。これらの品種は水分量が多く、加熱することでデンプンが糖に変わりやすいため、特有の濃密な甘さとしっとりとした食感が生まれます。スプーンですくって食べられるほどの、なめらかな口溶けは格別です。
代表的な品種 | 特徴 |
---|---|
紅はるか | 強い甘みとしっとり感を両立した、近年の焼き芋ブームの主役。上品な後味が魅力です。 |
安納芋 | 蜜芋の代名詞的存在。水分が多く、焼くとクリームのようにねっとりとろける食感になります。 |
昔ながらの「ほくほく系」が好みなら
栗やかぼちゃを思わせる、粉質でどこか懐かしい味わいの焼き芋を求めるなら「ほくほく系」を選びましょう。水分が少なくデンプン質が多いため、加熱するとほっくりとした食感に仕上がります。割ったときの湯気とともに立ち上る、さつまいも本来の素朴な香りが食欲をそそります。
代表的な品種 | 特徴 |
---|---|
紅あずま | 東日本の代表格。上品な甘さと強いほくほく感で、根強い人気を誇ります。 |
なると金時 | 西日本の代表格。鮮やかな黄金色の果肉と、栗のようなほくほく感が特徴です。 |
天ぷら・大学芋・煮物など料理に使うとき
日々の食卓に登場するさつまいも料理。ここでは、調理中に煮崩れしにくく、料理の味を邪魔しない品種が重宝されます。天ぷらや大学芋、煮物といった加熱調理には、形を保ちやすい「ほくほく系」や「しっとり系」のさつまいもが適しています。
料理 | おすすめの品種 | 理由 |
---|---|---|
天ぷら | 紅あずま、なると金時(高系14号) | 揚げても水分でべちゃっとなりにくく、芋のほっくりした食感が楽しめます。上品な甘さが油と好相性です。 |
大学芋 | 紅あずま、黄金千貫 | 煮崩れしにくいため、蜜を絡める工程で形が崩れません。タレがよく染み込み、美味しく仕上がります。 |
煮物・レモン煮 | 高系14号、紅あずま | 長時間煮込んでも形が崩れにくく、煮汁の味をしっかり含んでくれます。 |
スイートポテトなどお菓子作りに使うとき
さつまいもはお菓子作りの世界でも大活躍します。特にスイートポテトやペースト状にして使うお菓子では、なめらかな舌触りと豊かな甘みが求められます。繊維質が少なく、裏ごししやすい「しっとり系」や「ねっとり系」の品種が、お菓子作りを成功に導く鍵となります。
お菓子 | おすすめの品種 | 理由 |
---|---|---|
スイートポテト | シルクスイート、紅はるか、ふくむらさき | 絹のようになめらかなシルクスイートや、甘みの強い紅はるかはペーストに最適です。紫芋のふくむらさきを使えば、色鮮やかな仕上がりになります。 |
芋ようかん | 紅あずま、なると金時 | 上品な甘さとほくほくした質感が、昔ながらの素朴な芋ようかんにぴったりです。 |
干し芋 | 紅はるか、たまゆたか | もともと甘みが強く、乾燥させることでさらに糖度が凝縮されます。ねっとりとした食感に仕上がります。 |
スーパーでよく見る!さつまいも人気品種図鑑
私たちの食卓やスーパーの店頭を彩るさつまいもたち。近年、その品種は驚くほど多様化し、それぞれに個性豊かな味わいや食感を持っています。ここでは、特に人気の高い代表的な品種を食感のタイプ別に分けて、その魅力に迫ってみましょう。あなたの好みにぴったりのさつまいもが、きっと見つかるはずです。
【ねっとり系】の代表品種
現在の焼き芋ブームを牽引する、蜜のように甘く、とろけるような食感が魅力の「ねっとり系」。まるで天然のスイーツのような濃厚な味わいは、一度食べたら忘れられない美味しさです。
紅はるか
今やねっとり系の代名詞ともいえる存在が「紅はるか」です。その名は、他の品種より「はるか」に優れていることから名付けられました。加熱すると、しっとりとした食感に変わり、非常に強い甘みが口いっぱいに広がります。焼き芋にするだけで、蜜が溢れ出すほどの極上のスイーツに仕上がります。比較的新しい品種ながら、その圧倒的な美味しさで一躍人気品種の仲間入りを果たしました。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | ねっとり・しっとり |
甘さ | 非常に強い |
主な用途 | 焼き芋、干し芋、スイーツ全般 |
紅はるかが日本各地で栽培されている理由とは?紅はるかを選ぶときに注目したい!ポイントとは?
安納芋(安納紅・安納こがね)
ねっとり系人気の火付け役といえば、種子島発祥の「安納芋」を忘れるわけにはいきません。水分が多く粘質性で、焼くとクリームのようにねっとりとした食感と、濃厚な甘さが特徴です。果肉はカロテンを豊富に含み、鮮やかなオレンジ色をしています。皮が赤紫色の「安納紅(あんのうべに)」と、白っぽい皮の「安納こがね」の2種類があり、どちらも甲乙つけがたい美味しさです。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | ねっとり(クリーム状) |
甘さ | 非常に強い |
主な用途 | 焼き芋、スイートポテト |
安納芋が紅はるかよりオススメな点とは?安納芋と紅はるかを外見、色の違い、栄養成分の違い、安納芋の甘さの秘密まで徹底比較します。
【ほくほく系】の代表品種
昔ながらの、どこか懐かしい味わいが魅力の「ほくほく系」。粉質で水分が少なく、加熱すると栗のようにホクホクとした食感になります。さつまいも本来の上品な甘さを楽しみたい方におすすめです。
紅あずま
「東の紅あずま、西の高系14号」と称されるほど、関東地方を中心に絶大な人気を誇る品種です。皮は美しい濃い赤紫色で、果肉は黄色く、加熱すると繊維質が少なく上品な甘さの、ほくほくとした食感になります。焼き芋はもちろん、天ぷらや大学芋など、幅広い料理でその美味しさを発揮する万能選手です。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | ほくほく |
甘さ | やや強い |
主な用途 | 焼き芋、天ぷら、大学芋、煮物 |
なると金時(高系14号)
西日本を代表するブランド芋「なると金時」。その正体は「高系14号」という品種で、徳島県の特定の地域で栽培されたものが「なると金時」として出荷されます。黄金色の果肉と、栗のようなホクホク感、そしてやさしい甘さが多くの人に愛されています。見た目も美しく、料理やお菓子作りにも映える人気のさつまいもです。
項目 | 特徴 |
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食感 | ほくほく |
甘さ | 中程度 |
主な用途 | 焼き芋、天ぷら、スイートポテト、さつまいもご飯 |
紅あずま、高系14号の作付け状況や主な産地、美味しさの違い。なぜ?紅あずま、高系14号は作付け面積が減りつつあるの?解説します!
【しっとり系】の代表品種
「ねっとり」と「ほくほく」の、まさに良いとこ取りをしたのが「しっとり系」です。水分が多く、なめらかな舌触りが特徴。甘さはしっかりと感じられますが、後味はすっきりとしており、上品な味わいを楽しめます。
シルクスイート
シルクスイート。2012年に登場した比較的新しい品種ながら、またたく間に人気が広がりました。その名の通り、絹(シルク)のようになめらかな舌触りと、しっとりとした食感が最大の特徴です。収穫直後はやや粉質ですが、貯蔵することで甘みとしっとり感が増します。その上品な味わいは、まさにスイーツそのものです。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | しっとり・なめらか |
甘さ | 強い |
主な用途 | 焼き芋、スイートポテト、冷やし焼き芋 |
焼き芋ブームを牽引するさつまいもの人気品種の味や特徴、食感の違い、甘さの違い、美味しい時期、気になる価格の違いを調べてみた!
クイックスイート
クイックスイート。その名の通り、短い加熱時間(クイック)でも甘くなる(スイート)という、忙しい現代人にぴったりの品種です。一般的なさつまいもより低い温度ででんぷんが糖に変わるため、電子レンジでの調理でも、しっとりとした食感と十分な甘さを引き出せます。手軽に美味しいさつまいもを楽しみたいときに重宝します。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | しっとり・ねっとり |
甘さ | 強い |
主な用途 | 電子レンジ調理、焼き芋、お菓子作り |
【紫芋】の代表品種
鮮やかな紫色が目を引く「紫芋」。この色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、健康志向の方からも注目されています。かつては甘さが控えめな品種が多かったのですが、近年は食味の良い品種も続々と登場しています。
パープルスイートロード
パープルスイートロードは、従来の紫芋の「甘くない」というイメージを覆した画期的な品種です。紫芋の中では甘みが強く、食感もほくほくとしており、青果用として非常に人気があります。「紫芋の王様(ロード)」という名にふさわしく、見た目の美しさと美味しさを両立させています。お菓子作りに使えば、その鮮やかな紫色が美しいアクセントになります。
項目 | 特徴 |
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食感 | ほくほく |
甘さ | 中程度 |
主な用途 | お菓子作り(モンブランなど)、焼き芋、料理の彩り |
栄養価、食味、甘さ、主な産地等を比較して「パープルスイートロード」と「ふくむらさき」の美味しさの違いまで解説します。
ふくむらさき
ふくむらさきは、2021年に登録されたばかりの新しいスター品種です。なんと、人気品種「紅はるか」に匹敵するほどの強い甘さと、しっとりとした食感を兼ね備えています。アントシアニンの含有量も多く、加熱すると非常に濃く美しい紫色に。その美味しさで食べた人を幸福な気持ちにさせる、まさに次世代の紫芋です。
項目 | 特徴 |
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食感 | しっとり |
甘さ | 非常に強い |
主な用途 | 焼き芋、ペースト、スイーツ全般 |
アグリ・コーポレーションでも有機栽培技術で作り始めたのでラボ長にふくむらさきの特徴、苗、栽培、収穫時期、味、糖度、食べ方、美味しいふくむらさきの見分け方を聞いてみた
一度は食べたい!珍しいさつまいもの種類
スーパーの店頭に並ぶさつまいもは、実は数ある品種のほんの一部にすぎません。世の中には、まだあまり知られていない珍しい品種や、これからの活躍が期待される新品種がたくさん存在します。ここでは、さつまいも好きなら一度は味わってみたい、個性豊かな品種たちをご紹介します。いつものさつまいもとは一味違った、新たな出会いが待っているかもしれません。
希少な白いさつまいも
さつまいもといえば赤紫色の皮を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、まるでじゃがいものような白い見た目の品種も存在します。その珍しさから市場で見かける機会は少ないですが、独特の食感と味わいで根強いファンを持つ、注目のさつまいもです。
しろほろり
その名の通り、果皮も果肉も真っ白なさつまいもが「しろほろり」です。見た目のインパクトだけでなく、その食感と味わいにも大きな特徴があります。加熱すると、栗を思わせるような上品な甘さと、ほろほろと崩れるような繊細な口当たりが楽しめます。ねっとり系の強い甘さとは一線を画す、素材の風味を活かした素朴な美味しさが魅力です。天ぷらやポテトサラダ、お菓子作りなど、幅広い料理でその個性を発揮してくれます。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | ほくほく・ほろほろ |
甘さ | 控えめで上品な甘さ |
見た目 | 果皮・果肉ともに白色 |
おすすめの食べ方 | 天ぷら、煮物、お菓子作り |
注目の新品種
さつまいもの世界は日々進化を続けており、食味や栽培のしやすさを追求した新しい品種が次々と誕生しています。まだ流通量は少ないものの、その美味しさから今後人気が高まること間違いなしの、注目の新品種を見ていきましょう。
すずほっくり
「すずほっくり」は、昔ながらのさつまいもが好きな方にはたまらない、栗のような強いホクホク感が自慢の品種です。加熱すると現れる濃い黄金色の果肉は、見た目にも食欲をそそります。甘さは上品でしつこくなく、後味もすっきりしているため、いくつでも食べられそうな飽きのこない味わいです。焼き芋にすると、その粉質感と優しい甘さを存分に堪能できます。牛乳など飲み物と一緒に楽しむのがおすすめです。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | 強いほくほく感 |
甘さ | 上品な甘さ |
見た目 | 濃い黄金色の果肉 |
おすすめの食べ方 | 焼き芋、ふかし芋 |
ほしこがね
「ほしこがね」は、その名の通り、主に干し芋への加工用として開発された期待の新品種です。干し芋にした際に品質低下の原因となる「シロタ」という現象が起きにくいのが最大の特徴で、美しい黄金色の仕上がりが期待できます。もちろん青果としても美味しく、焼き芋にすると甘さは控えめながら、さつまいも本来の風味をしっかりと感じることができます。しっとりとした食感で、飽きのこない素朴な味わいが魅力です。
項目 | 特徴 |
---|---|
食感 | しっとり |
甘さ | 控えめ |
見た目 | 黄色味の強い果肉 |
おすすめの食べ方 | 干し芋、焼き芋 |
芋焼酎の王様
さつまいもは生食だけでなく、加工品としても私たちの生活に欠かせません。特に、本格芋焼酎の原料としては、特定の品種が絶大な支持を得ています。ここでは、焼酎造りの世界で「王様」と称される品種をご紹介します。
黄金千貫(こがねせんがん)
「黄金千貫」は、皮が白っぽく、ゴツゴツとした見た目はじゃがいもにも似ていますが、れっきとしたさつまいもの一種です。芋焼酎の原料として約8割ものシェアを誇り、まさに「芋焼酎の王様」と呼ぶにふさわしい存在です。デンプン質が非常に豊富で、発酵させるとフルーティーで華やかな香りを生み出すことから、多くの酒造で愛用されています。焼き芋にするとホクホクとした食感と優しい甘さが楽しめますが、その真価はやはり芋焼酎でこそ発揮されると言えるでしょう。
項目 | 特徴 |
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食感 | ほくほく |
甘さ | 控えめ |
見た目 | 白っぽい皮と果肉 |
おすすめの食べ方 | 芋焼酎の原料、加工品、焼き芋 |
蒸留したての最初の部分だけを味わう!「初留」の芋焼酎の個性を味わえます!香り、味、深みと初留でしか味わえない美味しさがあります
さつまいもの種類に関するQ&A
さつまいもを選ぶとき、品種ごとの違いだけでなく、素朴な疑問も湧いてくることでしょう。ここでは、さつまいもの種類にまつわるよくある質問にお答えします。これを読めば、あなたもさつまいも選びの達人になれるはずです。
一番甘い品種はどれ?
さつまいもの甘さは品種だけでなく、貯蔵期間や加熱方法によって大きく変わるため、「この品種が一番甘い」と断言することは難しいのが実情です。しかし、一般的に強い甘みを持つことで知られているのは「ねっとり系」の品種です。
特に「紅はるか」や「安納芋」は、その代表格と言えるでしょう。これらの品種は、じっくりと時間をかけて加熱することで、ショ糖や麦芽糖が生成され、まるでスイーツのような濃厚な甘さを引き出します。焼き芋にした際の糖度は40度を超えることもあり、その甘さは他の品種と比べても際立っています。甘さを最優先するなら、「紅はるか」や「安納芋」といった品種を選び、低温でじっくり火を通すことをお勧めします。
収穫時期と旬でおいしさは変わる?
はい、さつまいものおいしさは収穫時期と旬で大きく変わります。多くの方が「採れたてが新鮮で一番おいしい」と思われがちですが、さつまいもに関しては少し事情が異なります。
さつまいもの主な収穫時期は9月から11月にかけてですが、本当の食べ頃、つまり「旬」は収穫してから少し時間が経った11月から1月頃になります。なぜなら、さつまいもは収穫後に「追熟」という期間を経ることで、主成分であるでんぷんが糖に変わり、甘みとしっとり感が増すからです。収穫したてのさつまいもは水分が多く、甘さも控えめなことが多いのです。この追熟の特性を理解しておくと、より一層おいしいさつまいもを味わうことができます。
品種名 | 主な収穫時期 | 食べ頃の旬(追熟後) |
---|---|---|
紅はるか | 10月~11月 | 11月~1月 |
安納芋 | 10月~11月 | 11月~2月 |
シルクスイート | 9月~10月 | 11月~2月 |
紅あずま | 9月~11月 | 10月~12月 |
さつまいもの品種を覚えると自分好みの美味しいさつまいもを食べられる!品種によって夏が収穫期のさつまいもも!ねっとり系さつまいもの収穫期や旬はいつ?
美味しいさつまいもの見分け方は?
スーパーなどでさつまいもを選ぶ際に、どの個体がおいしいかを見分けるにはいくつかのポイントがあります。品種を問わず使える基本的な見分け方をご紹介しましょう。
- ふっくらと丸みのある形
細長いものよりも、中央部分がふっくらと丸みを帯びているものを選びましょう。全体に均一に火が通りやすく、味も良い傾向にあります。 - 皮の色が均一で鮮やか
品種本来の皮の色がくっきりと出ていて、ツヤがあるものが新鮮です。 - 表面に傷や黒ずみが少ない
傷や斑点が多いものは、そこから傷みやすいので避けたほうが無難です。ただし、皮に黒い蜜のようなものが付着している場合がありますが、これは「ヤラピン」という成分で甘い証拠です。傷みによる黒い斑点とは違うので、見間違えないようにしましょう。 - ひげ根が少ない
ひげ根が多いものは、繊維質で筋っぽい食感の可能性があります。表面がなめらかなものを選びましょう。 - ずっしりとした重み
手に持ったときに、見た目の大きさ以上にずっしりと重みを感じるものは、中身がしっかりと詰まっている証拠です。
これらのポイントを押さえて、あなた好みのおいしいさつまいもを見つけてみてください。
まとめ
スーパーの売り場でずらりと並ぶさつまいもを前に、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも少なくないでしょう。しかし、ねっとり系の「紅はるか」や昔ながらの「紅あずま」など、品種ごとの個性や物語を知ることで、その風景は一変するはずです。とろけるような焼き芋が食べたい日、ほくほくの天ぷらを楽しみたい日。その日の気分や料理に合わせて最適な一本を選ぶことが、美味しさを最大限に引き出す何よりの秘訣なのです。この記事が、あなたの食卓をより豊かにする、最高のさつまいも探しの羅針盤となれば幸いです。