さつまいもの新品種や希少品種、加工用品種、紫芋品種までさつまいもの品種の違いを比べてみた

さつまいもって焼き芋や蒸かし芋、そして惣菜やスイーツに使用されることが多く、最近ではさつまいもダイエット、焼き芋ダイエットとして置き換えダイエットで痩せると評判の野菜だったりするわけですが、さつまいもって実は奥が深いということを改めて感じることが出来ました。

私自身、料理が趣味もしくは料理を毎日作るという感じでも無い為、さつまいもに関して、あまり知識を持っていなかったというのは事実でした。色々とさつまいも調べて行くうちに、焼き芋や蒸かし芋という素材をそのまま楽しむような食べ方で1番大切なことがありました。どんなに焼き方や蒸し方、その前の熟成?貯蔵といったことを変えたりしても根っこの部分と言いますか?変えられない部分というのがあります。それがさつまいもの種類、品種ということになります。例えるなら競走馬には血統というものが存在します。お父さんはどの競走馬やお母さんがどの競走馬という感じだけではなく、「短距離に強い」「長距離に強い」という脈々と受け継がれている血統。「短距離に強い競走馬を長距離レースに出走させても(まあ、そういう事はしないと思いますが…)途中で失速したり、思っていた通りのレースにならなかったりします」。これと同じと言っては語弊がありますが、さつまいもの品種に関しては、同じようなことがあります。ねっとりとした食感の品種をほくほく食感に仕上げるのは、かなり難しく…これもそんなことはしないと思いますけど…加工品に向いている品種を生食用(焼き芋や蒸かし芋等)で食べてもあまり美味しく感じられなかったり…。そんなさつまいも品種。今回はさつまいもの有名な品種を中心にさつまいもの種類、品種をまとめてみました。

さつまいもの品種は60種類以上あります

さつまいもの品種を開発する目的とは?

さつまいもの品種は60種類以上と言われていますが、毎年、毎年、新しい品種(新品種)の登録があります。さつまいもの新しい品種を開発する目的は、このようなことが背景にあるようです。

食味や外観、貯蔵性の向上、早期肥大性や収量を増やす、病害虫への抵抗性を高める、などを目的としてさつまいもの育成(品種改良)は行われます。さつまいもの新しい品種を育成するには、交配採種から10年以上を要する息の長い仕事です。

さつまいもの品種で人気、不人気の品種とは?

60種類以上もあるさつまいもの品種でも人気のあるもの、そうでないものもあるようです。どれが人気なのか?逆に不人気なのか?の目安は色々とありますが、分かりやすい例では、さつまいもの作付け面積から見たさつまいもの人気品種はこんな感じになります。さつまいもは、農林水産省の品種登録データベースによると、2023年12月の段階で130品種もあります。

その中でも2019年にはおよそ60種ほどが栽培されているようです。昔は人気があって、多く栽培されていた品種でも、消費者の好みや保存条件、加工条件の変化によって栽培される品種やその量は少しずつ変わっていきます。まずは、作付面積から見た人気品種を紹介します。次に、作付面積が少ない品種について、その理由を見ていきましょう。

作付面積の上位5品種は?

令和3年産のさつまいもの作付けシェアを品種ごとに比較した表です。

順位 品種名 作付けシェア
1位 コガネセンガン 21.3%
2位 紅はるか 21.1%
3位 紅あずま 9.9%
4位 高系14号(なると金時、紅さつまなど) 9.3%
5位 シルクスイート 8.2%

引用:農林水産省 かんしょの品種別、都道府県別作付面積(令和3年産、概算値)より

生食用だけじゃない。加工品向きのさつまいも品種も

さつまいもの品種の中には、焼酎に向いている品種もあります。芋焼酎に使用されているさつまいも品種は40種類もあります。芋焼酎の味を決めると言っても過言ではないのがさつまいもの品種なのです。

芋焼酎の原料となり、その個性を形作るさつまいも。芋焼酎には昔ながらのずっしりとした癖の強いタイプもあれば、華やかでフルーティな香りが楽しめるものもあります。その個性は、麹の種類や使われている酵母、蒸留したときのどの部分を使うかといったことや、熟成するときにどのような容器でどれくらい寝かせているかでも違ってきますが、非常に大きな要素となるのがさつまいもの品種です。芋焼酎の原料となるさつまいもの品種の数は、なんと40種類以上にも及びます。芋焼酎を飲むときに、さつまいもの品種ごとの個性を知っていると、さらに芋焼酎を親しむのが楽しくなります。

芋焼酎専門のさつまいも品種と言うわけでもなく芋焼酎の味を決めるさつまいも。今度は、さつまいもの品種の中で人気の品種を見ていこうと思います。まずは、さつまいも、焼き芋で好きな方も多い「ほくほく系」と言われるさつまいも品種をまとめてみました。

ほくほく系のさつまいも品種

さつまいもらしい甘さとホクホクとした食感が魅力で、さつまいもはホクホク食感じゃないという方も多い人気品種です。焼き芋や蒸かし芋だけではなく、コロッケや炒め物等の惣菜にも向いている品種です。

なると金時

なると金時とは、徳島県の一部地域で栽培されるさつまいもの品種のことです。なると金時は、黄金色の果肉とホクホクとした食感、やさしい甘さが特徴のさつまいも。糖度は13度ほどと比較的あっさりした味で、スイートポテトや大学芋などのお菓子作りから、天ぷらやさつまいもご飯などの料理まで、幅広い調理に使われます。栽培地域は徳島県の鳴門市、徳島市、板野郡の3カ所。この地域のさつまいも畑の土は砂地であるため、ミネラルを豊富に含み、水はけが良いという特徴を持っています。

果肉が黄金色をした芋を「金時芋」と呼んでいたことと、栽培している地域名をあわせて「なると金時」の名前が付けられました。特許庁に登録されている名称は「なると金時」ですが、店頭などでは「鳴門金時」と表示されることもあります。「なると金時」は品種名ですが、各地域ではそれぞれ独自のブランド化がされており、鳴門市里浦町では「里むすめ」、徳島市川内町では「甘姫(あまひめ)」、板野郡松茂町では「松茂美人(まつしげびじん)」の名前でなると金時が生産・販売されています。

高系14号

高系14号は、「ナンシーホール」と「シャム」という品種を掛け合わせて、1945年に生み出された品種です。デビューから80年ほどが経ちますが、今では「東のベニアズマ、西の高系14号」と言われるくらい代表的な品種で、鹿児島県、徳島県、宮崎県などの西日本を中心に広く栽培されています。高系14号という品種自体はあまり耳なじみが無いかもしれませんが、高系14号から派生した品種はとても有名です。例えば「なると金時」や「ベニサツマ」などがあります。こういった呼び名であれば、みなさんも一度は見たり、もしかすると召し上がったりしたことがあるのではないでしょうか。全国で栽培される作付面積を品種別に見ると、高系14号は4位(9.3%、令和3年度概算値)と、非常に人気のある品種です。人気の秘密を調べるために、まずは栽培に関する特徴について見ていきましょう。一般的なさつまいもの栽培期間は約120~140日程度を要しますが、高系14号は肥大が早く、収穫まで100日程度と、栽培期間が短いことが特徴です。

ベニオトメ

ベニオトメは、1990年に「かんしょ農林43号」として登録された品種です。多収性に優れた「九州88号」と、病害虫に耐性の高い「九系7674-2」から生まれました。具体的な特徴に入る前に、まずは出自や栽培方法について見ていきましょう。

ベニオトメは誕生から現在に至るまで、その多くが九州で生産されています。品種登録された年に長崎県・鹿児島県の奨励品種となり、一時期は全国で約200haもの作付け面積がありました。しかし現在、農林水産省が作成したデータ上では長崎県と鹿児島県の2県のみの生産で、作付け面積はそれぞれ19.5haと0.8ha(令和2年現在)。作付けシェア率は0.1%にとどまっています。その他の地域でも作られてはいるものの、流通量が多いとは言えないのが現状です。しかし、近所のスーパーで見つからなくても諦める必要はありません。通信販売を行なっている農家もいらっしゃいますし、また苗を販売しているサイトもあるため、家庭菜園で育てることもできます。気になったかたはぜひチェックしてみてくださいね。

ベニオトメは先述のとおり、ネット通販で苗を購入することができます。また、この品種は比較的家庭菜園にも向いていると言えます。なぜなら両親の特性を受け継ぎ、耐病虫害性と多収性に優れているからです。さつまいもにとって特に有害とされている、サツマイモネコブセンチュウへの抵抗力が高く評価されています。

紅あずま

「紅あずま(ベニアズマ)」は、形や皮の色が優れた青果用の品種「関東85号」と、肉質が良好で肥大しやすい、焼酎の原料として有名な「コガネセンガン」を組み合わせて育成した品種です。皮の色はきれいな濃い赤紫色で、形は長紡錘形をしています。果肉は黄色く粉質で繊維質が少なく、蒸したり焼いたり加熱するとホクホク系の食感になり、しっとりとした甘さがあります。

農林水産省が公表した「令和4年度いも・でんぷんに関する資料」によると、「紅あずま」の作付け面積は全国で3,153.5ヘクタール、作付けシェアは9.9%です。作付け面積が多い都道府県は、1位が茨城県で1,379.4ヘクタール、2位は千葉県で1,160.5ヘクタールです。このように、主に関東で多く栽培されていて、西の「高系14号」に対して東の「紅あずま」と言われています。

「紅あずま」の収穫時期は、9月上旬から11月中旬頃です。苗を植えてから120日ほどで収穫時期を迎えるため、逆算して苗は5~6月に植えるようにしましょう。なお、植えてから150日を超えると大きくなりすぎるので、注意が必要です。大きくなり過ぎたさつまいもは、色や形が悪く、甘みも少なくなり美味しくありません。

ねっとり系のさつまいも品種

現在の焼き芋ブームを牽引していると言われる「ねっとり系」さつまいも。濃厚な甘さが魅力で焼き芋にすると蜜がたっぷりと染みわたります。現在の焼き芋ブームの以前は、「紅あずま」、「高系14号」のような「ほくほく系」の品種が多かったのですが、この「ねっとり系」と言われる「安納芋」や「紅はるか」はスイーツと言えるようなねっとりとした食感と甘さで焼き芋文化を変えたと言われる品種です。

紅はるか

紅はるかは、外観が優れていて多収性の「九州121号」と、皮色や食感が優れ、害虫に強く多収性の品種の「春こがね」を親にもつさつまいもです。2010年に品種登録された、比較的新しい品種のさつまいもですが、その美味しさから、今ではさつまいもの代表的存在と言っても過言ではありません。

紅はるかは、見た目と味に優れた「ほかのさつまいもより”はるかに”美味しい」という意味で名づけられた品種のさつまいもです。きれいな黄色の果肉で、全体的に大きさや形が整っており、やや粉質の果肉は、加熱することでしっとりとした食感に変わり、さらに甘みが増します。

焼き芋にするだけでも、スイーツ並みの食べ応えがあるさつまいもです。紅はるかに含まれる糖質は麦芽糖が多く、甘みのわりにすっきりとした後味が特徴です。紅はるかの収穫時期は、九州地方で10月頃から、本州では11月初旬頃から始まります。収穫後2~3週間貯蔵することで甘みが増すので、出荷は収穫から1か月ほど後になります。お店に並ぶ時期は11月から1月頃になるでしょう。

安納紅

安納紅は「あんのうべに」と読み、産地である種子島の安納地区が名前の由来となっています。安納芋というと、皮が紫色をしている「安納紅」を指す場合が多いですが、ジャガイモのような白っぽい皮を持つ「安納こがね」という芋も、安納芋の一種です。一般的に、さつまいもは細長い形をしたものが多いですが、安納紅は丸みのある形が特徴。また、茎の先端につく葉はアントシアニンを含むため、紫がかった色をしています。

糖度は加熱前でも16度ほどと、フルーツのような甘さを持ち、低温でじっくりと火を通すことで40度近くになることも。果肉の色は、生の状態では淡い黄色で、加熱後には鮮やかなオレンジ色に変化します。加熱後の安納紅は、ほかの品種のさつまいもに比べて果糖やブドウ糖の量が多く、反対にでん粉の量が少ないことから、独特のねっとりとした食感を持ちます。

安納紅は、鹿児島県種子島の安納地区を中心に栽培されています。種子島は日本ではじめてさつまいもの栽培が定着した土地で、その歴史は元禄11年(1698年)までさかのぼります。当時の島主が、琉球(現在の沖縄県)から持ち帰ったさつまいもの栽培をはじめたことから、やがて島中でさつまいもの栽培が行われるようになりました。その後、第二次世界大戦の際に、スマトラ島のセルダンという地域から持ち帰った芋が、安納紅のルーツになっていると言われています。

安納こがね

安納こがねは、「安納紅」の突然変異でできたという経緯を持ち、1998(平成10)年に安納紅とともに登録された品種です。安納紅とは?と思った方もいるかもしれませんが、一般的に「安納芋」と呼ばれているさつまいもは、「安納紅」という品種なんですよ。

農林水産省「かんしょの生産等」によると、安納こがねの生産は令和2年現在、鹿児島県と富山県、令和1年と平成30年は鹿児島県のみ。作付けシェアも少ないことから「幻のさつまいも」と言われることもあるほどです。安納紅との違いについては後述しますが、安納こがねも“ねっとり”とした食感で、強い甘みが特徴。豊富に含まれたカロテンの風味も感じられるかもしれません。スイーツのようなさつまいもが食べたい人におすすめの品種と言えます。

今や全国的に定着した安納紅(一般的に安納芋と呼ばれる品種)ですが、そこから突然変異で生まれた安納こがねとは、どのような違いがあるのでしょうか。安納こがねと安納紅には生産量に大きな違いがあります。農林水産省が発表した令和元年~令和2年のデータを参照すると、作付面積の差はなんと7~9倍以上。シェアも安納こがねは1%にも届いておらず、その希少性が窺えます。

しっとり系のさつまいも品種

水分が多めで「ねっとり系」と「ほくほく系」を合わせたような食感を持つ比較的新しい品種なのが「しっとり系」と言われるさつまいもの品種です。甘さは強めですが、程よくすっきりとしている為、後味が素晴らしいと言われています。そんなしっとり系のさつまいも品種は、焼き芋や蒸かし芋だけではなく、加工品、特にスイーツに使用されることが多いさつまいもです。

シルクスイート

シルクスイートは、ほどよく甘さのある「春こがね」と、しっとりとした食感の「紅まさり」を交配して作られました。通常のさつまいもよりも甘みがありつつ、ほかのさつまいもと比べて大きく違うのが、独特の食感です。名前に「シルク」が使われているとおり、絹のようになめらかな舌ざわりを堪能できます。初めてシルクスイートを食べる人なら、スイーツ風にスプーンで味わってみるのもおすすめ。すっきりとした甘さと、舌ざわりの良さを楽しんでみてくださいね。

地域によっても差がありますが、シルクスイートの収穫時期は8月下旬~10月ごろです。収穫後に貯蔵することで粘質に変化し、甘さが増すため、熟成後の11~2月ごろ市場に出回ります。シルクスイートの大きな特徴がなめらかな食感ですが、収穫してすぐは粉質でホクホクした食感になるのもポイント。

熟成度合いによって食感の違いを楽しめるのも、シルクスイートの醍醐味です。農家によっては、ホクホク食感を味わえる収穫後すぐに販売をスタートする場合もあるので、異なる食感のシルクスイートを食べ比べてみるのも良いでしょう。

クイックスイート

クイックスイートは糖化の温度帯が広い品種です。一般的なさつまいもは、甘みを引き出すためにじっくりと加熱していくことが必要になりますが、クイックスイートならば、スピーディーにねっとり・しっとりとした甘い味わいの焼き芋を味わえます。

クイックスイートは2002年、「ベニアズマ」と「九州30号」という2つの品種のさつまいもを掛け合わせて生み出された品種です。ベニアズマの持つ強い甘み、九州30号の早生で生産性が高いという特性を、クイックスイートは引き継いでいます。

先にも述べたように、クイックスイートの最たる特徴は短時間の加熱で甘みが出る、という点です。短時間の加熱で甘みを出すことが可能なのは、一般的な品種と比べて20℃程度低い温度(50℃)で糊化するでん粉を含んでいるためです。品種改良によって獲得したこの特徴によって、焼き芋や熱を加えるさつまいも料理にクイックスイートを使えば、じっくりと時間をかけなくても美味しく仕上がる、と言うメリットがあります。

注目のさつまいもの希少品種と新品種

近所のスーパーでなかなか見かけることがなく、市場流通ではあまり見かけることが無い珍しい品種もさつまいもでは多くあります。その希少品種と言われるさつまいも品種は、果皮や味も「これ、さつまいも?」と思えるくらい「栗」のような味わいだったり、果皮もジャガイモのような色をしていたりします。さつまいもの新品種と言われる品種も、まだまだ市場流通に乗ることはなく、ほとんど見かけることがありません。これからの品種と言っても良いかもしれません。

しろほろり

白いさつまいもという異名を持つさつまいも。果皮も果肉も白色という珍しい品種で最初、見た時は…「ん?じゃがいも?」と思ってしまうような感じの色です。食べてみると栗のようなホクホクとした食感にじゃがいものホクホクとした食感を足したような「ねっとり」や「しっとり」という食感のさつまいもが好きな方には、ちょっと違うと言われてしまう食感でした。

甘さもほんのりと甘いという感じで、さつまいもが持つどちらかというと強い甘さとは異なり、栗のような甘さに近いかもしれません。こういうのは表現が難しいのですが…べっとりとしない上品な甘さというのが正しいのかもしれません。なんとなくバターが合いそうな感じのするさつまいもかな?と思いました。

すずほっくり

大きさもそれほど大きくなく、見た目もさつまいもらしい感じ。割ってみると黄金色が濃く、なんとなく紅あずまを細くスリムにした感じかもしれません。食感は、「すずほっくり」の名前の通り、ホクホクとした感じでこちらもさつまいもらしい感じ。ホクホク系のさつまいもは、「すずほっくり」に限ったことではありませんが、一緒に飲み物があったほうが良いかもしれません。

そのほうが、この喉に詰まる感じのホクホクとした食感が十分に楽しめます。甘さは、程よい甘さというのが正しいのか?上品な甘さというのが正しいのか?「ねっとり」系にあるような強い甘さはなく、飽きの来ない感じです。残念なのは、まだ、それほど生産している農家さんが少ない事で、市場へ大きく流通するには時間がかかるという点かもしれません。紅あずまや高系が好きな方は間違いなくはまる美味しさです。

さつまいもの新品種「ほしこがね」

クイックスイートを父、関東120号を母として組み合わせて作られたのが「ほしこがね」。果肉は、黄色味のさつまいもらしい色でさつまいも好きにはたまならく美味しそうな色に見える色です。干し芋の別の品種で起きている品質に関する障害「シロタ」がほとんど発生しない品種とのことで、干し芋向きの品種なのかもしれません。

焼き芋にして食べてみましたが、甘さ控えめで飽きの来ない感じで何個でも食べ続けれる感じの味でした。色々と調べてみるとまだまだ新品種ということで「希少価値が高い」等の文言が多く見かけられました。

さつまいもの新品種「あかねみのり」

作系22を父、紅はるかを母として組み合わせたのが「あかねみのり」。画像でもお分かりの通り、果肉はオレンジ色でさつまいもチップスや干し芋用として作られた品種です。見た目は、カロテンを多く含んでいるのでなんとなく人参のようなオレンジ色にも見えます。焼き芋にして味、食感を確認してみましたが、正直…焼き芋にはあまり向かない品種かもしれません。

個体差かもしれませんが、甘さが焼き芋ではあまり引き出せていなく、甘い、ねっとり系の紅はるか、安納芋が主流となっている焼き芋とは異なり、甘さは薄く感じ、ねっとりとはいかないまでもしっとりと水分が多いような感じの焼き芋でした。私の焼き方が悪かったのかもしれませんが、「あかねみのり」の品種特性のように「チップス」や「干し芋」で美味しさを発揮するのかもしれません。

芋焼酎で人気のさつまいもの品種(加工)

加工品に向いているさつまいもの品種も沢山あります。加工することにより甘味が増したり、フルーティーな香りになったりする品種があります。特に芋焼酎で使用されることが多いさつまいもの品種はこんな品種があります。

黄金千貫

さつまいもの外観は、だいたいが赤色や赤紫色をしている、という印象はありませんか。黄金千貫(コガネセンガン)という品種のおいもは、見た目はじゃがいものようにデコボコ、皮も中身も白っぽい黄色をしていますが、れっきとしたさつまいもなのです。

黄金千貫は、赤色や赤紫色の外観をした一般的なさつまいもとは違い、その見た目から外皮が白っぽい黄色で中身は白く、蒸すと栗のような甘い香りが特徴です。また、繊維がきめ細やかなので、食べるとホクホクとした食感も楽しめます。この黄金千貫、今では最も作付け量が多いさつまいもであるのにも関わらず、紅アズマや安納芋などから比べると意外と知名度は低いようです。しかし、黄金千貫は芋焼酎の世界ではかなりの活躍をしているのです。黄金千貫は、九州農業試験場(現在の九州沖縄農業研究センター)にて、日本とアメリカのさつまいもを何年もかけて品種改良した結果、昭和41年(1966年)に品種登録されました。従来の品種から比べると、デンプンの含有量が3~4%、収穫量で30%も高い画期的な品種の誕生に、外皮が黄金色だったことから「黄金色のイモがザクザクとれる」にちなんで黄金千貫と命名されたと言われています。

黄金千貫はデンプンが多かったために、主に芋焼酎の原料に使われている品種ですが、蒸すと甘い香りでありながら甘さ控えめなので、芋の加工食品にも使われるようになりました。そしてこの甘い香りは、フルーティーな味わいの芋焼酎になっているのです。

さつまいもの紫芋の人気品種

さつまいもの品種の中で果肉も紫色の紫芋と呼ばれる品種があります。果肉の色からスイーツを中心に加工品用として使用されることが多い紫芋ですが、紫芋の新品種の中に「ねっとり系」の安納芋の糖度に匹敵する紫芋が登場してきたりと今後も紫芋には目が離せません。

アヤムラサキ

アヤムラサキは、その名の通り紫色の外見です。皮は暗い紫色で、中身は赤に近い鮮やかな紫色をしています。加熱すると色が変化して、より深い紫色となり、その料理やスイーツは食卓をカラフルに彩ります。

アヤムラサキの紫色は、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」によるものです。アントシアニンは、抗酸化物質が豊富であり、目や身体の老化防止に欠かせない栄養素とされています。また、カリウム、カルシウムなどのミネラルやビタミンも豊富で、高い栄養価を持っています。アヤムラサキはさっぱりとした甘みと、ほくほくとした食感が特徴です。一般的なさつま芋に比べて糖質が少なくカロリーも低いので健康的と言えるでしょう。

パープルスイートロード

パープルスイートロードは、2004年に品種登録された紫芋の一種です。皮の色は赤く、果肉は生の状態だと淡い紫色をしており、加熱すると濃い紫になります。農研機構によって品種改良された品種で、外観や味の良さ、病害虫への抵抗性に優れたさつまいもの育成を目的に、アントシアニン色素を含有する「九州119号」をベースに、その他5種類の品種の混合花粉による交配から選抜育成されました。形は円柱状で真ん中が太く、両端は細くなっている「紡錘形」となっています。形状や大きさが揃っており、見栄えが良いものが多いです。形の良さと味の良さから「紫芋の王様 = ロード(Lord)」という意味を込めて、「パープルスイートロード」という名前がつけられました。

紫芋は一般的なさつまいもに比べて甘味が少ない、と言われていますが、パープルスイートロードは紫芋の中でも甘味が強いのが特徴です。パープルスイートロードの糖度は14度ほどと言われ、スーパーなどでよく見かける「紅あずま」と同等の糖度があります。最近流行りのねっとり系のさつまいも「安納芋」や「紅はるか」の糖度は20~40度ほどであるため、濃い甘さを好む方には物足りないかもしれませんが、上品な甘さを求める方にはおすすめの品種と言えるでしょう。パープルスイートロードの肉質はやや粉質で、ホクホクとした食感をしています。また、紫色の果肉には「アントシアニン」が多く含まれています。

種子島紫

「種子島紫」は、その名の通り、種子島で古くから栽培されてきた在来種です。以前は、防疫上の理由により、青果として種子島の外へ持ち出すことができませんでした。しかし、2000年に解禁されたことにより広く注目を集め、種子島以外でも生産されるようになりました。とは言え、なかなかスーパーなどではお目にかかる機会は少ないと思います。種子島紫の選抜育成品種は「種子島ゴールド」として品種登録されており、また、「島むらさき」という商標にて販売されているようです。これらの名前も見逃さないようにしてくださいね。

ずんぐりとした短紡錘形をした種子島紫。皮が白っぽく、一見すると、さつまいもや紫芋とは思えないかもしれませんが、中はきちんと薄紫色をしています。加熱すると、その紫色はより鮮やかになります。この紫色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。

ふくむらさき

2021年に登録された「ふくむらさき」は、紫芋の新しい品種です。高い糖度で人気の「九系255」と、紫芋としてポピュラーな「パープルスイートロード」を交配して作られた紫芋です。ふくむらさきが誕生した背景には、「もっと甘く美味しい紫芋が食べたい」という消費者の需要がありました。そんな期待に応えるかのように、ふくむらさきは、あの「紅はるか」並みの甘さと、肉質はしっとりとした食感を持っています。「そのおいしさで食べた人を幸福な気持ちに」という由来を持つ名前にもうなずけます。

従来からある紫芋の品種・パープルスイートロードよりも、アントシアニンを多く含むのがふくむらさきです。そのため、生の時点でも黒っぽい紫色をしています。焼き芋にしたときに、とても濃く美しい紫色が出るのが特徴です。