「紅はるか」は、なぜ?日本各地で栽培されているのか?紅はるかが日本各地で栽培されている理由とは?紅はるかを選ぶときに注目したい!ポイントとは?

上品な甘さと、なめらかな舌触りが特徴の「紅はるか」は、しっとり・ねっとり系さつまいもの中でも、トップレベルの人気を誇るさつまいもです。最近では、日本全国のスーパーで手に入るようになった「紅はるか」ですが、なぜ日本各地で栽培されているのでしょうか。この記事では、「紅かるか」が日本各地で栽培されるようになった理由について、詳しく解説していきます。

紅はるかが日本各地で栽培されている理由とは?

紅はるかは、今や誰もが知るさつまいもの品種で、しっとり・ねっとり系さつまいも代表と言っても過言ではありません。しっかりした甘みと、芳醇な香りが特徴で、「他のさつまいもよりはるかに美味しい」ことから、「紅はるか」と名付けられたほど。そんな紅はるかが日本各地で栽培されるようになったのには、以下の3つの理由が考えられます。

  1. 九州と関東の両方のルーツを持つ人気の品種だから
  2. 親の特徴を受けて育てやすい品種だから
  3. 安定して収穫できる品種だから

それぞれの理由について、もう少し掘り下げてご説明していきましょう。

九州と関東の両方のルーツを持つ人気の品種だから

「紅はるか」が日本各地で栽培される理由としては、九州のルーツと関東のルーツを掛け合わせてできた品種であることが、ひとつあります。もともとさつまいもの栽培に向いている地域である九州と関東は、あらゆる品種のさつまいもの産地としても有名です。「紅はるか」は、九州産のさつまいもと関東産のさつまいもを親に持つ品種で、両方の地域にルーツを持つことで、九州周辺でも関東周辺でも作られることが多くなりました。また、人気の高まりが「紅はるか」を全国的に広げるきっかけでもありました。

「紅はるか」は比較的新しい品種ですが、味も形も良いことから、安納芋と人気を二分するほどです。人気のさつまいもなので、九州や関東を中心に全国的に栽培する農家も増え、独自のブランド名をもつ地域もあります。大分県では「甘太くん」、宮崎県では「葵はるか」、茨城県では「紅優香」や「紅天使」という具合に、地域によって独自のブランド名で流通しています。

親の特徴を受け継いだ育てやすい品種だから

形や身の発色が良い「九州121号」と、皮の色が良い「春こがね(旧関東108号)」を親にもつ紅はるかは、親の特徴をよく受け継いでいて、育てやすい品種と言えます。

「九州121号」と「春こがね(旧関東108号)」の特徴をご覧ください。

九州121号 春こがね
● 芋の大きさや形が揃いやすい
● 蒸した時の肉色は綺麗な黄色
● 調理後冷めても硬くなりにくい
● ねっとり系食感
● 貯蔵性が高い
● 皮の発色が良い
● 多収
● 病虫害抵抗性が高い
● 甘みが強い
● ほくほく系食感

親の特徴を受け継いだ「紅はるか」は、以下の点で非常に優れています。

● 連作してもネコブセンチュウの被害を受けにくい
● 貯蔵性が高い
● 整った大きさの芋が多く収穫できる

そもそも、さつまいもはやせた土地でも育ちやすい作物で、九州や関東にルーツが多いのは火山性の土地でも作ることができたからです。逆にいえば水分に弱く、日照時間の短い土地には向きませんが、それ以外の土地なら収穫が見込める作物です。それに加えて、病気や害虫被害にも強く、大きな芋が多く収穫できる品種の「紅はるか」は、育てやすい品種であると言えます。

安定して収穫できる品種だから

作物を作るうえで、安定した収穫量は必須です。「紅はるか」は形の整った実がよく採れる多収の品種です。また、貯蔵性の高さも特徴の紅はるかは、収穫後に腐りにくいのも重要なポイント。さつまいもは、収穫後に1か月ほど寝かすことで甘みが増します。貯蔵性の低いさつまいもは、寝かせている間に腐ってしまうこともしばしばあります。その点でも「紅はるか」は、貯蔵して十分に甘さを引き出せることから、甘みのあるさつまいもとしても、全国的に栽培されるほど人気が高まったと言えます。

紅はるかを選ぶときに注目したいポイント

紅はるかの収穫時期は、九州では10月頃からはじまり、本州では11月頃にピークを迎えますが、紅はるかの芋掘りや購入時にはヤラピンに注目してください。芋掘りをしていると、芋の切り口や傷から白い液体が出ていることに気付きます。この液体の正体はヤラピンです。ヤラピンをそのままにしておくと、褐色のねばねばした液体に変化し、黒い汚れのように付着します。特に「紅はるか」はヤラピンの多い品種で、お店に並ぶ紅はるかにも、黒っぽい汚れのようなものが付いているのを見たことがあるかも知れません。蜜と間違いやすいですが、甘みではなく腸に働きかける成分です。ヤラピンは熱に強く、サツマイモを蒸かして食べても減少しにくいので、便秘解消効果が期待できます。便秘が気になる方は、積極的にヤラピンの多い紅はるかを選んでみましょう。

まとめ

「紅はるか」は味も形も良い人気のさつまいもです。全国的に広がったのには、育てやすさと美味しさ、安定した収穫量が関わっていました。各地でブランド名が付くほど愛されている紅はるかの食べ頃は、11月下旬~1月頃です。しっとり系やねっとり系のさつまいもが好きな人は是非「紅はるか」をチェックしてみてくださいね。