
ここ数年、電気・ガスなどの公共料金をはじめ、あらゆる生活コストが上昇を続けています。中でも野菜は気象条件に左右されやすく、価格変動が大きい品目です。特に2024年は「過去最も暑い夏」とされ、猛暑や長雨が続いたことで、農作物の生育・収穫にも大きな影響があったと考えられます。さつまいもも例外ではなく、地域ごとに品質や収穫量に差が見られました。この記事では、ライフ、いなげや、マルエツプチ、まいばすけっとといった複数のスーパーで販売されているさつまいもの価格を比較し、例年と比べてどのように変動しているのかを詳しく解説します。特に「安く買うためのポイント」も紹介しているので、さつまいもをお得に購入したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
値上げラッシュの日々
ここ数年間、値上げラッシュということで多種多様な商品の値上げや内容量が減ったり(実質値上げ)とお小遣い制の私としては懐が物凄く寒いのは、冬だからという理由では無いような気がします。勿論、自分のお小遣いだけではなく、家庭でも電気料金を見てみると「ん?」どこかで漏電でもしているの?と思うレベルの請求なので請求書を見てしばし茫然とする日々を送っております。そして、何かと話題にもなっている「野菜」の高騰。様々な要因が重なって起こっているようですが、先にも書いた多種多様の商品の値上げとも同じなのですが、物流費・輸送コストの上昇…物流の2024年問題もこの輸送コスト上昇に影響していると思えます。そして、ここ数年の気候変動の影響が大きく、夏の猛暑…いや酷暑、長雨による異常気象等の影響により農作物の栽培時期のズレや収穫量の低下によるものが大きいのではないでしょうか?
このような異常気象は、さつまいもだけでなく他の農産物にも影響を及ぼしています。例えば、チョコレートの原料となるカカオも世界的に不作が続き、「カカオショック」と呼ばれるほどの価格高騰が起こりました。
話を元に戻すと野菜高騰の原因の一つの異常気象ですが、夏と言われる7月と8月の平均気温を見てみると2005年の7月は25.6℃、8月は28.1℃。2024年の7月は28.7℃、8月は29.0℃。数字だけ見ても約20年の間に平均気温が7月は約3℃、8月は約1℃も上がっています。しかも2024年の夏は「過去最も暑い夏」と言われたのは記憶に新しいです。2024年の最高気温で言えば40℃越え(観測した地点)が7月が2回、8月も2回ありました。この気温の影響でイチゴの作付けが大幅に遅れ、クリスマスのイチゴが不足、もしくは驚くくらいの高価になっていました。
ネットニュースやテレビのニュースでも頻繁にキャベツの価格が高騰し、1玉1,000円を超えるような事がニュースで取り上げられていました。2025年もその影響は顕著に受けており、様々な野菜の価格が通常の30%~2倍と言われていますよね。そのような野菜高騰の影響がさつまいもにも影響している?ということで身近なスーパーで販売されている、さつまいもの価格を調べてきました。
さつまいもは値段は高騰している?調べてみた
今、スーパーに並んでいるさつまいもは2024年度に収穫されたものです。今年の収穫量が例年と比べてどのような状況だったのか気になり、調べてみましたが、全国的な詳細データはまだ公表されていませんでした。しかし、地域ごとの状況を見てみると、興味深い変化があったようです。
例えば、北海道では近年、地球温暖化の影響でさつまいもの栽培が広がり、2024年の収穫量は7年前と比べて約200倍に増加したと報じられています。かつて北海道では、気温の低さからさつまいもの栽培が難しいとされていましたが、近年の温暖化によって生育環境が改善され、今では特産品としての地位を確立しつつあるようです。一方、九州地方では、2024年の収穫量は前年並みと予想されているものの、夏の厳しい暑さで葉焼けが発生したり、秋の長雨の影響で10月以降に収穫されたものは小ぶりなサイズが目立ったとのことでした。地域によって収穫量や品質に差が出たのは、気象条件の影響が大きかったのかもしれません。このような背景を踏まえ、実際にスーパーへ足を運んでみました。
ライフのさつまいも価格
関東や近畿地方にスーパーマーケットを展開する「ライフ」。野菜売り場で販売されていたさつまいも品種は「徳島県産 なると金時 1袋498円(537円税込)」と「鹿児島県産 安納芋 1袋498円(537円税込)」、「不ぞろいさつまいも(紅はるか)1袋458円(494円税込)」、「茨城県産 紅優甘(紅はるか) 1袋380円(410円税込)」でした。
他のスーパーと比べるとさつまいも品種数が多く、ねっとり系、ほくほく系、そして不揃いと言ったさつまいもが揃っていました。グラム数までは表示していませんでしたが、量が一番多いのは「不ぞろいさつまいも」>「なると金時」>「紅優甘」>「安納芋」という感じでした。補充の状況により変わると思いますが、「紅優甘」と「安納芋」は残り1袋でした。
いなげやのさつまいも価格
いなげやは関東地方南部(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)を中心に店舗展開をしているスーパーマーケットです。野菜売り場で販売されたいたさつまいも品種は、「茨城県産 紅はるか 1袋359円(387.72円税込)」と「徳島県産 なると金時 1袋499円(538.92円税込)」、「千葉県産 さつまいも(品種名不明) 1本99円(106.92円税込)」でした。
ほくほく系とねっとり系のさつまいも品種があり、中でも「お買い得品」としてあったさつまいも(品種不明)は、切り口から蜜が出ていたりするので紅はるか、もしくはシルクスイートかもしれません。1本99円で大きめサイズもあるので確かにお買い得品かもしれません。
maruetsu petitのさつまいも価格
maruetsu petitは、マルエツが展開する都市型小型スーパーマーケットです。主に東京都心部を中心に24時間営業、もしくは早朝から深夜まで営業するスーパーが多く、都市生活者のニーズやコンビニエンスストアのような利便性があり、オフィスで働く人にも人気があります。また、駅から近い(徒歩1分等)という点も他のスーパーマーケットと違うのかもしれません。
maruetsu petitの野菜売り場で販売されていたさつまいも品種は、「徳島県産 なると金時 1袋358円(386円税込)」と「千葉県産 紅はるか 1袋298円(321円税込」でした。さつまいも品種数は少ないのですが、ねっとり系とほくほく系の代表的な品種が陳列されていました。
まいばすけっとのさつまいも価格
まいばすけっとは、イオングループが首都圏、北海道で展開する都市型小型スーパーマーケットです。都市部の住宅街やオフィス街を中心に展開をしており、生鮮食料品や日用品まで取り揃えて、早朝から深夜まで営業をしています。イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」も取り扱っています。まいばすけっとの野菜売り場で販売されていたさつまいも品種は、「茨城県産 不ぞろいさつまいも(紅はるか) 1袋299円(322.92円税込)」と「茨城県産 さつまいも(品種不明) 1本199円(214.92円税込)」でした。
「茨城県産 不ぞろいさつまいも(紅はるか)」は、どちらかというと小さめサイズで本数が多い感じで「茨城県産 さつまいも(品種不明)」は、1本がかなり大きめサイズと買う人の好みに合わせて大きさを選べるという点が他のスーパーマーケットとは異なるかもしれません。
さつまいもの価格は?いつも通り?高騰している?
さつまいもの価格は、出始めの価格(店頭に並び出す時期)と安定する晩秋から冬にかけての価格と春から夏にかけての価格では変動することが多く、出始めの頃と春から夏にかけての価格は需要と供給のバランスと在庫の減少によりどちらかというと高めになることが多く、晩秋から冬にかけては安定する価格になります。調査したのは1月下旬ということで本来なら安定し、どちらかというと安価になる時期です。東京の大田市場では2024年12月の平均卸売価格は1kg当たり295円で前年同月比と比較をすると13%上昇をしていたというデータがあります。その影響もあり、例年に比べると上昇しているように思えました。勿論、スーパーマーケットの店舗により価格差がある為、一概には言えませんが、安価にさつまいもをスーパーで買おうと思った場合は、複数の店舗で「グラム数」と「価格」を比較して購入することをおすすめします。3kg、5kg、10kgという感じで購入をしようと思っている方は、ネット通販が安価で購入できる手段かもしれません。
さつまいもの価格まとめ
さつまいもの価格は、異常気象や物流の影響を受け、年々変動しています。特に2024年は「過去最も暑い夏」とされ、猛暑や長雨の影響で農作物全体の収穫量にばらつきが出ました。その影響を受け、北海道では温暖化による栽培拡大で収穫量が大幅に増加した一方、九州では暑さと長雨で小ぶりなさつまいもが多くなったようです。こうした地域ごとの違いが市場価格にどのように反映されているのか、実際にスーパーで調査しました。ライフ、いなげや、マルエツプチ、まいばすけっとなどの店舗を比較すると、品種や価格に違いがあることが分かりました。例えば、ライフでは品種の選択肢が豊富で、なると金時や安納芋などが並んでいました。一方、まいばすけっとでは、大きさが選べるような販売方法が取られていました。東京・大田市場のデータでは、2024年12月の平均卸売価格が前年同月比で13%上昇していたことから、例年よりも価格が高めに推移している可能性が高いようです。
さつまいもを安く購入するには、複数のスーパーを比較することが重要です。グラム数や品種をチェックしながら、最適な価格で購入するのが賢い選択かもしれません。また、大量購入を考えているなら、ネット通販での購入も視野に入れると、よりお得に手に入る可能性がありますのでチェックしてみてください。
2025年春のさつまいも価格
世の中はゴールデンウィーク真っただ中。東京都内の道路は、平日に比べて車の数が大幅に減り、早朝6時頃にはほとんど走っていない状況が見られました。このような光景は、数年前のコロナ禍以来とも言えるほどで、改めて大型連休の影響を感じさせられます。そんな四連休の初日、春のさつまいも価格がどう変化しているのかを調べるため、都内のスーパーマーケットをいくつか巡ってきました。前回の調査は2025年1月下旬、ちょうどさつまいもが最も甘みを増し、流通量も豊富な旬の終盤でした。それに対し今回は、春の端境期にあたる時期。果たして「旬」から外れた今、店頭にはどのようなさつまいもが並び、価格帯はどうなっているのでしょうか。
LIFE(ライフ)のさつまいも価格(2025年春)
関東や近畿地方に多くの店舗を展開している「ライフ」では、春らしく色とりどりのフルーツが前面に出ており、青果コーナーはにぎやかな雰囲気でした。
さつまいもは、茨城県産「紅まさり」(1袋358円)と徳島県産「なると金時」(1袋498円)が主力商品として並べられており、いずれも「ふぞろいさつまいも」という表記で、形や大きさにはばらつきがあるものの、ボリュームのあるお得用商品として売り場に置かれていました。
いなげやのさつまいも価格(2025年春)
東京・神奈川・埼玉・千葉を中心に展開する「いなげや」でも、茨城県産「紅まさり」(1袋399円)と徳島県産「なると金時」(1袋499円)が中心となっていました。
さらに、「お買い得品」として千葉県産さつまいもが1本99円で販売されており、やや大きめのサイズになると1本299円という設定でした。
売り場全体では、新じゃがいもが目立つ位置にあり、春野菜の中でも注目度の高い存在となっている様子がうかがえました。
maruetsu petit(マルエツプチ)のさつまいも価格(2025年春)
都市部のコンパクトな立地で展開されている「マルエツプチ」では、青果売場のスペースが限られていることもあり、フルーツトマトやイチゴなど赤系の果物が大きく陳列されていました。
さつまいもは千葉県産の「紅はるか」(1本298円)がわずかに置かれているのみで、隣には「大学いものたれ」や「茨城県産姫はるかの干し芋(平切り)」が並んでいるという、やや寂しげな構成でした。
まいばすけっとのさつまいも価格(2025年春)
イオングループが首都圏や北海道で展開している都市型小型スーパー「まいばすけっと」では、茨城県産さつまいも(1本199円)が1種類のみ確認できました。品種の表示は見られなかったものの、価格帯からみて小ぶりの紅はるかか紅まさりである可能性が高そうです。限られた棚数の中では、旬を外れた野菜はどうしても取り扱いが縮小されてしまう傾向が見受けられます。
総括:2025年春のさつまいもは「価格が下がったようで実は割高?」
1月下旬の調査時には、さつまいもが旬の終盤に差しかかっていたこともあり、袋に詰められた本数も多く、全体の価格としては一見高く見えるものも多くありました。ただし、1本あたりやグラムあたりの単価に換算すると、やはり旬の時期の方がコストパフォーマンスは優れていたようです。
今回の春の調査では、袋入り商品の価格自体はやや下がっている印象を受けましたが、中に入っている本数が少なくなっているため、見た目の印象以上に単価が上昇している場合があると感じました。また、旬の終わりを過ぎているためか、品種の種類も少なく、目立ったのは「紅まさり」と「なると金時」に絞られていました。近年は通年で焼き芋を楽しめる環境が整ってきており、さつまいも自体も年間を通して流通していますが、季節によって流通量や品種構成、価格帯には明確な違いがあります。
次回は夏の調査を予定しています。旬から最も遠ざかった季節に、さつまいもがどのような価格帯・品揃えになっているのか、引き続き注目していきたいと思います。