さつまいも後のおならをピタッと止める!原因と出ないようにする裏ワザを徹底解説

秋の味覚として人気のさつまいもですが、食べた後のおならが気になってしまい、楽しむのをためらってしまうことはありませんか。実は、さつまいもが原因のおならは、豊富な食物繊維などがもたらす腸が活発な証拠であり、基本的には心配いりません。この記事では、おならが出てしまう3つの原因を紐解き、出ないようにする食べ方や調理法の裏ワザを「事前対策」としてご紹介します。さらに、気になる臭いの疑問や、ガスが溜まって苦しいお腹の張りを解消するマッサージなどの「事後対策」まで詳しく解説。この記事を読めば、おならの悩みがスッキリ解消し、心置きなくさつまいもを味わえるようになります。

さつまいもを食べるとおならが出るのはなぜ?気になる3つの原因

秋の味覚の代表格といえば、ほくほくとした甘さがたまらないさつまいも。焼き芋天ぷら大学芋など、様々な料理で私たちを楽しませてくれます。しかし、その美味しさの裏で「食べた後のおならが気になる…」と、ひそかに悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。会社でお土産でもらった焼き芋を少し躊躇したり…色々と悩みはつきないわけです。実は、さつまいもを食べるとおならが出やすくなるのには、しっかりとした理由があるのです。それは決して不健康なことではなく、むしろ体にとって良い働きが起きている証拠でもあります。ここでは、その気になる3つの原因を詳しく解説していきましょう。

原因1 豊富な食物繊維が腸内で発酵するから

さつまいもを食べるとおならが出るのはなぜ?気になる3つの原因

さつまいもがおならの原因となる最大の理由は、なんといってもその豊富な食物繊維にあります。食物繊維は私たちの健康に欠かせない成分ですが、この食物繊維こそがガス発生の主役なのです。食物繊維には大きく分けて2つの種類があり、さつまいもにはその両方がバランス良く含まれています。

食物繊維の種類 主な働きと特徴
不溶性食物繊維 水に溶けにくく、便のカサを増やして腸を刺激し、排便をスムーズにする働きがあります。セルロースやリグニンがこれにあたります。
水溶性食物繊維 水に溶けるとゲル状になり、便を柔らかくしてくれます。また、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。ペクチンなどが代表的です。

これらの食物繊維は、人間の消化酵素では分解されにくいため、ほとんどがそのまま大腸まで届きます。すると、大腸にいる善玉菌をはじめとする腸内細菌が、この食物繊維をエサとして分解し始めます。この分解活動を「発酵」と呼び、腸内細菌が食物繊維を発酵させる過程で、水素やメタンといったガスが発生するのです。このガスがおならの正体というわけですね。つまり、さつまいもを食べた後のおならは、腸内の善玉菌が元気に働いている健康的なサインともいえるのです。

原因2 でんぷんがガスを発生させやすいから

でんぷんがガスを発生させやすいから

さつまいもの主成分であり、あの優しい甘さのもとになっている「でんぷん」も、おならの原因の一つとして挙げられます。実は、さつまいもに含まれるでんぷんの一部は、小腸で消化・吸収されにくく、食物繊維と同じように大腸まで届く性質を持っています。このようなでんぷんは「難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)」とも呼ばれ、食物繊維と似た働きをします。

大腸にたどり着いたでんぷんは、ここでも腸内細菌のエサとなります。そして、食物繊維の時と同じように、腸内細菌がでんぷんを発酵・分解する際にガスを発生させます。特に、石焼き芋のようにじっくりと時間をかけて加熱すると、でんぷんが糖に分解されて甘みが増すとともに、ガスを発生させやすい状態に変化するともいわれています。美味しさの裏側で、お腹の中ではガスを生み出す準備も着々と進んでいるのです。

原因3 腸の動きを活発にするヤラピンの影響

さつまいもを切ったとき、切り口からじんわりと染み出してくる白い液体を見たことはありませんか。これは「ヤラピン」という成分で、さつまいも特有のものです。このヤラピンも、おならが出やすくなる一因を担っています。

ヤラピンには、胃の粘膜を保護したり、腸の蠕動(ぜんどう)運動、つまり腸が内容物を先へ先へと送り出す動きを活発にしたりする働きがあります。腸の動きが活発になることで、便通が促進されるという嬉しい効果が期待できます。そして、この時、腸内に溜まっていたガスも一緒に体外へと押し出されやすくなるため、おならの回数が増えたように感じられるのです。ヤラピン自体が直接ガスを発生させるわけではありませんが、ガスの排出を助けることで、結果的におならの増加につながるというわけです。これもまた、腸がしっかりと働いている証拠といえるでしょう。

【事前対策】さつまいもを食べてもおならが出ないようにする裏ワザ5選

さつまいもは秋の味覚の代表格ですが、「後でおならが気になって、なかなか手を伸ばせない…」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご安心ください。これからご紹介するいくつかの簡単な裏ワザを実践するだけで、おならの悩みは大きく軽減できます。原因を知り、食べる前に対策を講じることで、心置きなくさつまいもの美味しさを楽しめるようになります。

食べ方の工夫でおならを予防する

まず最初に見直したいのが、日々の「食べ方」です。特別な調理器具も必要なく、意識するだけで今日から始められる最も手軽な対策と言えるでしょう。おならの原因となるガスは、食べ方ひとつで発生量が大きく変わってきます。

ゆっくりよく噛んで空気を飲み込まない

ゆっくりよく噛んで空気を飲み込まない

食事を急いでかきこむように食べてしまうと、食べ物と一緒に余計な空気をたくさん飲み込んでしまいます。これは「呑気症(どんきしょう)」とも呼ばれる状態で、体内に取り込まれた空気がおならの量を増やす直接的な原因になります。さつまいものホクホクとした食感を楽しみながら、一口につき30回ほどを目安に、意識してゆっくりと咀嚼することを心がけてみてください。よく噛むことで唾液の分泌が促され、消化酵素であるアミラーゼがでんぷんの分解を助けてくれるため、腸への負担も軽くなります。食事と一緒に空気を飲み込む量を減らすことが、おなら予防の第一歩です。

一度に食べる量を調整する

食物繊維が豊富で身体に良いさつまいもですが、一度にたくさん食べ過ぎてしまうと、腸が処理できる許容量を超えてしまいます。消化しきれなかった食物繊維やでんぷんが腸内で発酵し、ガスが発生しやすくなるのです。美味しいからと、ついもう一本…と手が伸びてしまう気持ちも分かりますが、まずは普段食べている量の半分くらいから試してみて、ご自身の腸が快適に消化できる量を見つけることが大切です。中くらいのさつまいも(約200g)なら、1日に半分から1本程度を目安に、数回に分けて食べるのも良い方法です。

調理法の工夫でおならを抑える

さつまいもに含まれる成分の働きを、調理の工夫によってコントロールすることも可能です。ほんのひと手間加えるだけで、おならの原因物質にアプローチし、ガスの発生を穏やかにすることができます。

皮ごとじっくり加熱して調理する

皮ごとじっくり加熱して調理する

さつまいものおなら対策で、最も効果的と言われるのがこの方法です。実は、さつまいもの皮と実の間には、でんぷんを分解する「β-アミラーゼ」という消化酵素が豊富に含まれています。この酵素は、60℃〜70℃の温度帯で最も活発に働きます。そのため、皮をむかずに、低温でじっくりと時間をかけて加熱することで、おならの原因となるでんぷんが、ガスを発生しにくい糖(麦芽糖)に分解されるのです。甘みが増して美味しくなるだけでなく、おなら対策にもなる、まさに一石二鳥の調理法と言えます。電子レンジでの急速な加熱よりも、オーブンで焼き芋にしたり、蒸し器で蒸したりするのがおすすめです。

さつまいもを冷やしてレジスタントスターチを増やす

加熱したさつまいもを一度冷蔵庫などで冷やすと、「レジスタントスターチ」という特別なでんぷん質が増加します。これは消化されにくい(レジスタント)でんぷん(スターチ)という意味で、食物繊維と似た働きをします。小腸で消化されずに大腸まで届き、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれるのです。一度冷やすというひと手間が、腸内環境を根本からケアし、結果的にガスの発生が穏やかになるという嬉しい効果につながります。冷やし焼き芋はもちろん、加熱したさつまいもを使ったポテトサラダや和え物なども、おなら対策には理にかなった食べ方です。

おなら対策におすすめの食べ合わせ

おなら対策におすすめの食べ合わせ

さつまいも単体で食べるのではなく、消化を助けたり、腸内環境を整えたりする食材と一緒に摂ることも非常に有効な対策です。相性の良い食材を知り、日々の食事に賢く取り入れてみましょう。

ここでは、さつまいもと一緒に食べることでおなら対策に役立つ食材をいくつかご紹介します。消化を助ける食材や腸内環境を整える食材を組み合わせることで、相乗効果が期待できます

食材のカテゴリ 代表的な食材 期待できる効果
消化酵素を含む食材 大根、りんご、キウイフルーツ 大根に含まれるジアスターゼや、りんご・キウイに含まれる酵素が、さつまいものでんぷんの消化をサポートし、腸内での異常発酵を防ぎます。
発酵食品 ヨーグルト、味噌、チーズ 乳酸菌や麹菌などの善玉菌が腸内環境のバランスを整え、ガスを過剰に発生させる悪玉菌の働きを抑えます。さつまいもの味噌汁などは理にかなった組み合わせです。
柑橘類の皮 みかんやゆずの皮(陳皮) 漢方で「陳皮(ちんぴ)」として知られる柑橘類の皮には、腸のぜん動運動を穏やかにし、ガスの排出を助ける働きがあるとされています。さつまいもの甘煮にゆずの皮を添えるのも良いでしょう。

例えば、デザートにさつまいもとヨーグルトを合わせたり、サラダに角切りにしたりんごを加えたりと、手軽に取り入れられる組み合わせはたくさんあります。ぜひ、色々な食べ合わせを試してみてください。

さつまいもによるおならは臭い?臭いの原因と対策

さつまいもを美味しくいただいた後、おならの回数が増えるのは仕方ないとしても、気になるのはその「臭い」ではないでしょうか。周りの人に不快な思いをさせていないか、自分の体調は大丈夫なのか、心配になることもあるかもしれません。ですが、ご安心ください。実は、さつまいもが原因で出るおならは、本来それほど臭うものではないのです。ここでは、おならの臭いのメカニズムと、気になる臭いを根本から改善するための対策について詳しく解説していきます。

さつまいものおならは臭いにくい健康的な証拠

さつまいものおならは臭いにくい健康的な証拠

驚かれるかもしれませんが、さつまいもを食べて出るおならは、臭いが少ないのが普通です。むしろ、それは腸が元気に働いている健康的な証拠とさえ言えるでしょう。なぜなら、さつまいもによるおならの主成分は、腸内の善玉菌が生み出すガスだからです。

さつまいもに豊富な食物繊維やでんぷんが腸に届くと、善玉菌がこれらをエサにして発酵を始めます。この過程で発生するのが、水素や二酸化炭素、メタンガスといったガスです。これらのガスは、おならの量を増やす原因にはなりますが、そのほとんどが無臭か、それに近いものです。つまり、さつまいも後のおならは「音や回数は気になるけれど、臭いはそれほどでもない」というのが本来の姿なのです。

おならが臭くなる原因は悪玉菌の増加

では、なぜおならが臭くなってしまうことがあるのでしょうか。その主な犯人は、腸内にいる「悪玉菌」です。おならにツンとくるような強い臭いがある場合、それはさつまいもが直接の原因ではなく、腸内環境のバランスが崩れているサインかもしれません。

悪玉菌は、肉類や卵、チーズといった動物性タンパク質や脂質を好みます。これらが腸内で悪玉菌によって分解されると、硫化水素やインドール、スカトールといった、いわゆる腐敗臭の原因となる非常に臭いの強いガスが発生します。食生活の乱れやストレス、便秘などによって腸内で悪玉菌が優勢になると、たとえさつまいもを食べた後でも、これらの臭いガスが混ざってしまい、結果としておならが臭くなってしまうのです。

腸内環境を整えて臭いを改善する方法

おならの臭いを根本から改善するためには、悪玉菌の働きを抑え、善玉菌が優位な腸内環境を取り戻すことが何よりも大切です。日々の食生活を見直して、腸が喜ぶ食事を心がけていきましょう。ポイントは「善玉菌を直接摂ること」と「善玉菌のエサとなるものを摂ること」の2つです。

具体的にどのような食品を摂れば良いのか、下の表にまとめてみました。

腸活アプローチ 働き 含まれる食品の例
プロバイオティクス
(善玉菌を直接摂る)
生きた善玉菌を腸に届け、腸内フローラのバランスを整える。 ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、チーズ、ぬか漬けなどの発酵食品
プレバイオティクス
(善玉菌のエサを摂る)
腸にもともといる善玉菌を増やし、その働きを活性化させる。 さつまいも、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、バナナ、大豆製品など(食物繊維やオリゴ糖が豊富)

この表からもわかるように、さつまいも自体も善玉菌のエサとなるプレバイオティクスが豊富な、腸活にぴったりの食材です。臭いの原因になりやすい動物性タンパク質に偏らず、こうした発酵食品や食物繊維が豊富な野菜・果物をバランス良く食事に取り入れることが、臭い対策の鍵となります。また、食事だけでなく、適度な運動や十分な睡眠、ストレスを溜めないといった生活習慣全体を見直すことも、健やかな腸内環境を育むためには欠かせません。

【事後対策】出てしまったおならやガスだまりを解消する方法

ガスだまりを解消する方法

さつまいもの美味しさを心ゆくまで満喫したものの、後からお腹がパンパンに張って苦しい…。そんな経験、誰にでもあるかもしれませんね。オフィスや電車の中など、静かな場所では特に気になってしまうものです。でも、ご安心ください。ここでは、すでにお腹に溜まってしまったガスをすっきりと解消し、不快な張りから解放されるための具体的な方法をご紹介します。ご自宅で簡単に試せるものばかりですから、ぜひ実践してみてください。

お腹の張りを和らげる簡単セルフマッサージ

お腹の張りを和らげる簡単セルフマッサージ

腸の動きを直接的に助け、ガスの排出を促すには、お腹のセルフマッサージが効果的です。血行が良くなっているお風呂上がりや、就寝前のリラックスした時間に行うのがおすすめです。食後すぐは胃腸に負担をかけてしまうため、少なくとも1〜2時間経ってからにしましょう。

代表的なのが、腸の流れに沿って行う「の」の字マッサージです。仰向けになり、リラックスした状態で行うことで、より高い効果が期待できます。

「の」の字マッサージの手順
手順 ポイント
1. 仰向けに寝て、両膝を軽く立てる 全身の力を抜き、楽な姿勢をとります。
2. 両手をお腹に置き、おへそを中心に時計回りに「の」の字を描く 右下腹部(上行結腸)からスタートし、右上腹部(横行結腸)、左下腹部(下行結腸)へと、腸の走行に沿って動かします。
3. ゆっくりと、心地よい圧をかけながらマッサージする お腹に溜まったガスを大腸の出口へと優しく導いてあげるようなイメージで、5〜10分ほど続けます。

痛みを感じるほど強く押すのは禁物です。あくまで「気持ちいい」と感じる強さで、深い呼吸を意識しながら続けてみてください。リラックスした状態で行うことが何より大切ですから、お気に入りの音楽を聴きながら行うのも良い方法です。

ガス抜きに効果的なストレッチとポーズ

ガス抜きに効果的なストレッチとポーズ

体を動かして腸に心地よい刺激を与え、ガスの排出を促すストレッチも非常に有効です。特にヨガには「ガス抜きのポーズ」という、そのものずばりのポーズがあるほど。ここでは、お腹の張りに悩むときに試してほしい、代表的なポーズをいくつかご紹介します。

ガス抜きに効果的なストレッチ
ポーズ名 手順
ガス抜きのポーズ(赤ちゃんのポーズ) 1. 仰向けに寝て、両膝を胸の方へ引き寄せます。
2. 両手で膝を抱え、息を吐きながらゆっくりと太ももでお腹を圧迫します。
3. その状態で、30秒ほど深い呼吸を繰り返します。
猫と牛のポーズ 1. 肩の真下に手首、股関節の真下に膝がくるように四つん這いになります。
2. 息を吸いながら、お腹を沈めて背中を反らせ、顔を上げます(牛のポーズ)。
3. 息を吐きながら、背中を天井に向かって丸め、おへそを覗き込みます(猫のポーズ)。
4. この動きを呼吸に合わせて5〜10回繰り返します。
ワニのポーズ 1. 仰向けに寝て、両腕を肩の高さで左右に広げます。
2. 右膝を立て、息を吐きながらその膝を左側へ倒します。
3. 顔は膝と反対の右側を向き、腰回りの伸びを感じながら30秒ほどキープします。反対側も同様に行います。

これらのポーズは、腸を直接刺激するだけでなく、自律神経を整えて心身をリラックスさせる効果も期待できます。お腹の不快感は精神的なストレスからくることもありますから、体を動かしながら心を落ち着ける時間を持つのも良い方法です。無理のない範囲で、気持ちよく伸びを感じる程度に行いましょう。

Q.子どもがさつまいもでおならをするのは大丈夫?

子どもがさつまいもでおならをするのは大丈夫?

秋になると食卓に並ぶ機会も増えるさつまいも。甘くて美味しいので、お子さんが大好きなご家庭も多いのではないでしょうか。でも、食べた後におならがぷっぷっと増えると、親としては「お腹が苦しくないかな?」「どこか悪いのかな?」と心配になってしまいますよね。特に、まだ言葉で伝えられない赤ちゃんの場合はなおさらです。

A.子どものおならは自然な生理現象で心配いりません

結論からお伝えすると、さつまいもが原因で子どものおならが増えるのは、多くの場合で心配いりません。むしろ、さつまいもに含まれる食物繊維などが腸を元気に動かしてくれている証拠ともいえます。大人の場合と同じように、さつまいもによるおならは健康的なサインなのです。ただし、子どもの体は大人とは違う特徴があるため、おならが出やすくなる特有の理由も存在します。

赤ちゃんや子どものおならが出やすい理由

赤ちゃんや子どものおならが出やすい理由

子ども、特に赤ちゃんは、大人に比べておならが出やすい体のつくりをしています。さつまいもを食べると、その傾向がより顕著になることがあります。

消化器官が未発達だから

生まれたばかりの赤ちゃんの腸はまだとてもデリケートで、消化機能も未発達です。さつまいもに含まれる豊富な食物繊維やでんぷんは、この未熟な腸にとっては分解しにくい成分。そのため、腸内で発酵してガスが発生しやすく、おならが増える原因となります。これは成長とともに消化器官が発達するにつれて、自然と落ち着いてくる現象です。

空気を飲み込みやすいから

赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むとき、泣いているとき、さらには離乳食を食べる際に、たくさんの空気を一緒に飲み込んでしまいがちです。これを「呑気症(どんきしょう)」と呼びます。飲み込んだ空気がゲップとして出ない場合、腸に送られておならとして排出されるため、もともとおならの回数が多くなる傾向にあるのです。

離乳食や幼児食でさつまいもを与える際の注意点

離乳食や幼児食でさつまいもを与える際の注意点

さつまいもは栄養価が高く、自然な甘みがあるため離乳食や幼児食にぴったりの食材です。おならを気にしすぎる必要はありませんが、いくつかポイントを押さえておくと、親子で安心して食事を楽しめるでしょう。

開始時期と量の目安

さつまいもは、離乳食初期にあたる生後5〜6ヶ月頃から与えることができます。ただし、アレルギーの可能性がゼロではないため、初めて与える際は、加熱してすりつぶしたものをアレルギーが出てもすぐに受診できる平日の午前中に、ひとさじから試すようにしましょう。月齢ごとの目安は次の通りです。

月齢 1回あたりの目安量 形状の目安
初期(5~6ヶ月頃) 小さじ1杯程度 なめらかなペースト状
中期(7~8ヶ月頃) 20~30g 舌でつぶせる豆腐くらいの固さ
後期(9~11ヶ月頃) 30~40g 歯ぐきでつぶせるバナナくらいの固さ
完了期(1歳~1歳6ヶ月頃) 40~50g 歯ぐきで噛める肉団子くらいの固さ

あくまで目安ですので、お子さんの食欲や成長に合わせて調整してあげてください。

調理の工夫でガスを減らす

調理の工夫でガスを減らす

与え方を少し工夫するだけで、ガスの発生を和らげることができます。大人と同じように、皮ごとじっくり加熱することで消化酵素が働き、ガスの原因となるでんぷんが分解されやすくなります。さらに、繊維を断ち切るように裏ごししたり、細かく刻んでペースト状にしたりすることで、未発達な腸への負担を軽くしてあげられます。

お腹が張って苦しそうなときのケア

もしお子さんがお腹が張って苦しそうにしていたり、泣き止まなかったりする場合は、優しくケアしてあげましょう。お腹を時計回りに「の」の字を描くようにマッサージしたり、赤ちゃんの両足を持って自転車をこぐように動かしてあげたりすると、腸の動きが促されてガスが抜けやすくなります。それでも改善しない、嘔吐や発熱など他の症状が見られる場合は、かかりつけの小児科に相談してください。

おならは気にしすぎないで さつまいもの嬉しい健康効果

さつまいもを食べた後のおならは、少し気恥ずかしいものかもしれません。しかし、それは裏を返せば、腸が活発に、そして健康的に働いている証拠でもあるのです。おならの心配を少し脇に置いて、さつまいもが私たちの体にもたらしてくれる、素晴らしい健康効果に目を向けてみませんか。その嬉しい効果を知れば、きっとさつまいもがもっと好きになるはずです。

腸内環境を整える腸活効果

腸内環境を整える腸活効果

さつまいもの最大の魅力の一つは、腸内環境を整える「腸活」効果にあります。その主役となるのが、豊富な食物繊維です。さつまいもには水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の両方がバランス良く含まれています。

これらの食物繊維は、腸内にいる善玉菌の良いエサとなり、その働きを活発にしてくれます。さらに、便のかさを増やして腸を刺激し、スムーズなお通じを促してくれるのです。加えて、さつまいもを切った時に断面から染み出る白い液体「ヤラピン」という成分も見逃せません。このヤラピンには腸のぜん動運動を促進する働きがあり、食物繊維との相乗効果で、便秘の改善に大きな力を発揮してくれます。

美肌に嬉しいビタミンCが豊富

美しく健やかな肌を保つために欠かせない栄養素といえば、ビタミンCを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。さつまいもには、実はリンゴの約7倍ものビタミンCが含まれています。ビタミンCには、肌のハリを保つコラーゲンの生成を助けたり、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたりする働きが期待できます。

一般的に、ビタミンCは熱に弱い性質を持っていますが、さつまいものビタミンCは主成分であるでんぷんによって保護されているため、加熱調理をしても壊れにくいという、非常に嬉しい特長があるのです。焼き芋や天ぷらなど、温かい料理で美味しく食べながら、効率的にビタミンCを摂取できるのは、さつまいもならではの大きなメリットと言えるでしょう。

むくみ解消に役立つカリウム

むくみ解消に役立つカリウム

夕方になると足がパンパンになる、朝起きると顔がむくんでいる、といった経験はありませんか。そんな女性の悩みの種である「むくみ」の解消に役立つのが、さつまいもに豊富に含まれるカリウムです。

カリウムには、体内の余分なナトリウム(塩分)を水分と一緒に体の外へ排出してくれる働きがあります。塩分の多い食事を摂りがちな現代人にとって、カリウムは意識して摂取したいミネラルの一つです。さつまいもを食事に取り入れることで、体内の塩分バランスを整え、すっきりとした毎日をサポートしてくれます。

このように、さつまいもにはおならの心配を上回る、たくさんの魅力が詰まっています。

栄養素 主な健康効果
食物繊維(水溶性・不溶性) 腸内環境の改善、善玉菌の活性化、便通促進
ヤラピン 腸のぜん動運動を促進し、便を柔らかくする
ビタミンC 美肌効果、抗酸化作用、免疫力向上
カリウム むくみ解消、高血圧の予防

さつまいもとおなら:まとめ

秋の味覚として親しまれるさつまいもですが、食べた後のおならが気になるという方も少なくないでしょう。その主な原因は、豊富な食物繊維やでんぷんが腸内で活発に働くためであり、むしろ腸が健康に機能している証拠ともいえます。おならを少しでも和らげたいときは、ゆっくりよく噛んで食べる、皮ごとじっくり加熱するといった食べ方や調理法の工夫が助けになります。もしガスでお腹が張ってしまった場合でも、簡単なマッサージやストレッチで和らげることが可能です。おならは気になるものですが、それ以上にさつまいもには腸を整えたり、美肌をサポートしたりと嬉しい効果が満載です。上手に付き合いながら、その豊かな恵みを存分に味わいましょう。