「安納芋 焼き芋」というキーワードで検索して、この記事に辿り着いたあなたは、おそらく今まで食べたことが無いような究極の焼き芋を自宅で作りたいと思っていませんか?飛びぬけた甘さでねっとりした食感が魅力の安納芋は、焼き芋にするとスイーツのような美味しさを引き出すことができます。しかし、ただ焼くだけでは安納芋の実力を十分に発揮できたとはいえません。そこで、時間と手間を惜しまずにじっくり焼き上げることで、甘さも食感も格段にレベルアップさせる方法を試してみませんか?本記事では、安納芋を使った焼き芋をさらに美味しく仕上げるための具体的な工程やコツを紹介します。時間をかけてじっくり焼き上げた結果、その驚きの甘さと食感に、あなたもきっと満足するはずです。自宅でプロ並みの焼き芋を作る方法に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。料理素人の私でさえここまで時間をかければ家庭にあるものだけでこんな凄い焼き芋が作れたのです。
究極の焼き芋作りに挑戦
安納芋で究極の焼き芋を作る!時間と手間はかかりますが、絶対に美味しいと誰もが言うような焼き芋を作ってみたい。家庭用レンジを使っても美味しい焼き芋ができる!と断言してみたものの、この道はなかなか険しく、長い道のりのように思えてなりません。世の中には、どのカテゴリにも「究極」と呼ばれるものが存在します。最近、私の身近なところで気付いたのが、さつまいもです。そう、焼き芋にも究極と称されるものがたくさんある事を知りました。
それを実感したのは、初めて「さつまいも博」にお邪魔した時のことです。驚いたのは、こんなにも多くの人々が、さつまいも、そして焼き芋を愛していること。会場には北風が強く吹き、周囲のビルの谷間にある場所だったため、春が近い時期にもかかわらず、凍えるほどの冷たい風が吹き下ろしていました。それでも、焼き芋を求める人々は長蛇の列を作っていました。焼き芋というシンプルな食べ方でありながら、これほどまでに愛されるさつまいもは、奥が深いのだと実感することができました。「焼き芋沼」とも呼ばれるこの世界、一度足を踏み入れたら、ズブズブとハマっていくような奥深さがあります。そんな焼き芋を、素人ながらどこまでプロの味に近づけられるかを、自分なりに試してみました。
安納芋とは?
五島商店 佐藤の芋屋を運営するアグリ・コーポレーションは、五島列島・福江島(長崎県五島市)で、有機栽培にて安納芋や紫芋の新品種ふくむらさきを栽培から加工まで一社で行っています。アグリ・コーポレーションで栽培している安納芋の品種は「安納紅」です。安納芋を栽培しているアグリ・コーポレーションが安納芋の特徴を説明します。
まずは読み方ですが「あんのういも」と読みます。安納芋は、鹿児島県の種子島で栽培がスタートしたさつまいもの品種のひとつです。安納芋の特徴は、豊かな甘さ(濃厚な甘さとも言います)とねっとり食感で、焼き芋にすると、まるで蜜のようにしっとり、ねっとりとした舌触りになります。安納芋の甘さは、一般的なさつまいもに比べても非常に高く、スイーツのような甘さと言われるくらい人気の品種になっています。安納芋の品種には、「安納紅」と「安納こがね」の2種類があり、「安納紅」は、皮が赤みがかかった色をしており、見た目が一般的なさつまいもに近い色をしていますが、形状は楕円で少し可愛らしい形になっています。「安納こがね」は、皮が薄い黄色です。「安納紅」も「安納こがね」も中身は鮮やかなオレンジ色に近い黄色で、こちらも焼くと蜜芋と言われるくらい蜜が溢れてくるのが特徴です。
また、安納芋は、栄養価でも優れており、ビタミンCや食物繊維が豊富に含まれている為、健康に良いと言われる食材です。特にビタミンCは加熱しても壊れにくい性質があり、焼き芋にしてもその栄養価がしっかり保たれます。
安納芋が焼き芋に向いている理由とは?
安納芋は、他のさつまいも品種と比較して糖度が高く、焼く(焼成)することで更に甘さが引き出されます。通常の安納芋は、生の状態でも糖度16度前後ですが、焼くことで糖が分解され、糖度が40度近くまで上がることもあります。この為、安納芋の焼き芋は「まるでスイーツ」と言われるような甘さを持ちます。安納芋には、でん粉が豊富に含まれており、このでん粉が熱を加えることにより糖に変化する過程で、特有のねっとりした食感が生まれます。また安納芋は、水分含有量が他のさつまいもに比べて多く、焼くとその水分が蒸発せずに内部に閉じ込められる為、焼き上がった時に非常に…しっとりとした仕上がりになります。また、焼き上がった時に蜜のようなものが出ることもあり、このねっとり&しっとり、そして蜜が出ることから蜜芋と言われています。
安納芋の焼き芋を更に美味しく作るには低温でじっくり焼くことで安納芋の甘さが最大限に引き出されます。これはさつまいもに含まれるでん粉が時間をかけて糖(ショ糖)に変わる為、時間をかけてゆっくりと加熱することで、より濃厚で深みのある甘さが生まれます。これは安納芋だけが持つ特徴で他のさつまいもよりも甘さが際立ちます。ここの内容を踏まえて…安納芋をじっくり低温でオーブンを使用して焼いてみました。その前に
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焼き芋は、フレンチに通じる!?
世界三大料理の一つに数えられる「フランス料理」。その特徴や魅力といえば、こだわり抜かれた調理法と、星の数ほどあるといわれる豊富な調味料の使い方にあると思います。シンプルな食材をこれら多彩な調味料を駆使して調理し、熟練の技術で一皿に仕上げる様子は、まさに芸術のような凄みを感じさせます。実は、さつまいもを使った「焼き芋」にも、フランス料理と通じる部分があるのではないかと感じます。さつまいもというシンプルな素材ながら、その品種は非常に多く存在し、それぞれに独自の甘みや食感があります。さらに、焼き芋を作る際には、貯蔵方法や加熱、焼成技術を駆使して、そのさつまいもが持つ最高の味わいを引き出すのです。フランス料理が多彩な技術と調味料を用いて一皿を完成させるように、焼き芋もまた、その工程に多くの工夫が詰まっています。場合によっては、調味料を加えることで、さらにその美味しさが引き立つこともあります。
実際、「さつまいも博」などのイベントでは、行列が絶えないほどの人気を誇る焼き芋が数多くあり、その中には、一流のフレンチ料理のようにこだわり抜かれた逸品も見受けられます。日本国内だけでなく、海外でもさまざまな種類の焼き芋が存在し、それぞれが一級品と評されることもあります。今回は、手軽な時短調理ではなく、できる限りの時間と手間をかけて、自宅でじっくりと焼き芋を作ってみました。さつまいもの魅力を存分に引き出すためには、やはり時間をかけることが重要だと身をもって感じました。手間をかけた焼き芋は、その分、格別な美味しさが楽しめるのです。
出来る限り時間と手間をかけて作り上げる
焼き芋に適した芋を選ぶ。今回は少し小さめのサイズを選びました。理由は、全体に均等に火が通りやすく、甘さが引き出されやすいのではないかと考えたからです。小さめの安納芋は、焼いた際により甘みが濃厚になることが多く、表面から内部までしっかり火が通ることで、芋全体の食感がねっとり、しっとりとした理想的な仕上がりになるのでは?と思いました。また、小さめの芋は焼き時間も比較的短く、じっくり時間をかけて低温で焼くことで、安納芋の持つ自然な甘さがさらに際立ちます。実は、ここがかなり重要なポイントかもしれません。焼き芋はサイズ選びも重要で出来る限り小さめがベスト。
安納芋を軽く洗ってアルミホイルで包み、オーブンに入れるという手軽な方法ではなく、今回は少し変えてみました。まず、安納芋の両端を少しだけカットし、アク抜きを行ってみました。こうすることで、芋の雑味が取れ、より安納芋が持つ甘みを引き出すことができるのでは?と考えました。安納芋は水分量が多いため、アク抜きをすることで余分なアクが取り除かれ、焼いたときの味わいがさらにまろやかになるのが特徴です。こういったひと手間をかけることで、より一層美味しい焼き芋を楽しむことができるはずです。
まず鍋に水を張り、その中に安納芋を沈めて待ちました。2時間かけてじっくりとアク抜きを行い、芋の雑味を取り除くことに集中。アクが抜けた後は水を一度変え、少々の塩を加えてさらに2時間浸しました。塩は、食卓塩でも十分だと思います。この塩が甘みを引き立てる役割を果たし(スイカと塩の関係)、より一層深い味わいが期待できると思いました。アク抜きの工程は、少し手間がかかりますが、この丁寧な下ごしらえが、安納芋の持つ甘さを最大限に引き出すための大切なポイントですので抜かりなく。
たまたま自宅にちょっぴりお高めの塩があったので今回は、長崎県五島列島産の「矢堅目(やがため)の塩」を使用しました。「矢堅目の塩」は、五島列島の海水をじっくりと薪で炊き上げて作られた海水塩です。その特徴は、粗めの結晶でありながら、口に含んだ際にざらついた感じや刺激が一切なく、まろやかな塩味がしっかりと感じられるところです。さらに、ほんのりと甘味も感じられるため、ミネラルが豊富でバランスのとれた味わいの塩です。この塩を使うことで、安納芋の自然な甘さがより一層引き立つのではないか?と思いました。
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その「矢堅目(やがため)の塩」を目分量で加え、さらに約2時間、安納芋を浸しました。この工程により、塩が芋にじっくりと染み込み、甘さが一層引き立つように感じます。時間はかかりますが、この手間が美味しい焼き芋を作るための大切なステップです。
アク抜きを2時間行い、その後、水を変えて塩を入れてさらに2時間浸した安納芋がこちらです。時間をかけて丁寧に下ごしらえをしたことで、安納芋の甘さが一層際立つ状態に仕上がっています。焼き上げる前の段階でも、芋がしっとりと柔らかく、これから焼くのが楽しみです。では焼いて行きます。
安納芋をいよいよオーブンで焼く工程に入ります。オーブンの温度は、約140~150℃に設定しました。時折オーブンを開けて外気を入れ、温度を調整しながらじっくりと焼き上がるのを待ちます。今回使用した安納芋は小さめサイズなので、約60分で焼き上がるはずです。低温でじっくりと加熱することで、安納芋の甘さがさらに引き出され、しっとりとした食感が楽しめる仕上がりになりそうですね。低温で加熱するということで最初60℃とか80℃とかで加熱しようとしましたが…これ…方法が違うのかもしれませんが、全く焼き芋になりませんでした。
焼き上げた安納芋の余熱をしっかりと取った後、今度はアルミホイルで1本1本、丁寧に包んでいきます。こうすることで、芋の水分が逃げず、しっとりとした状態を保つことができます。アルミホイルに包まれた焼き芋が並んだ様子は、こんな感じになります。手間をかけて仕上げた安納芋が、この後どのように仕上がるのか、楽しみですね。
その後、アルミホイルで丁寧に巻いた状態の安納芋を一旦、冷凍庫へ入れます。約48時間、そのまま冷凍庫で保管します。安納芋の焼き芋を冷凍することで、甘みがさらに凝縮され、焼き芋がより美味しくなると聞いたので試してみました。
低温(140~150℃)でじっくりと焼き上げた安納芋を、1本1本アルミホイルで丁寧に包み、そのまま冷凍庫で約48時間保管します。その後、冷凍庫から取り出し、アルミホイルを付けたままの状態で、冷凍のままオーブンへ入れます。この時は少し温度を上げて低温(160℃)に設定し、約60分加熱します。すると、部屋中に焼き芋の甘い香りが広がり、お~と思うような焼き芋の美味しさを感じさせてくれます。中身を確認してしっかりと焼き上がっていれば、完成です!
本来なら、1本1本アルミホイルで丁寧に包んであった焼き芋。しかし、焼き芋の香りがあまりに強く、あまりに美味しそうだったので、早く中身を見たい!という気持ちに負けてしまい、撮影する前に開封してしまいました。そのため、アルミホイルを開けた状態で撮影した結果、焼き芋をまとめて撮影する形になってしまったのが、少し残念です。
とはいえ、自宅にある材料を使い、時間と手間をかけて丁寧に焼き上げた焼き芋。さっそくその焼き芋を食べてみました!
焼き芋はねっとり新食感
まず最初に驚いたのは、焼き芋(安納芋)の香りが非常に強かったことです。今までさまざまな焼き芋を作ってきましたが、今回の焼き芋の香りは、これまでの焼き芋とは大きく異なっていました。
今回の焼き芋は、これまでの中でも断トツでNo.1の香りでした。甘く濃厚な香りが他の焼き芋とは一線を画し、焼き上がった瞬間からその香りだけで特別感が漂っていました。
そして、食感は安納芋特有のねっとりとした舌触りに加え、今回、2度焼きしたのが良かったのか、それとも冷凍保管が功を奏したのか、水分がきれいに抜けてほど良いしっとりとした食感もプラスされていました。甘さは文句なしの最強レベルで、特に少し焦げ目がついた部分は、甘さが一層引き立ち、たまらない美味しさでした!糖度計があれば計りたくなるくらい甘かったです!
焼き芋(安納芋)の甘さの個体差が無くなる!
あっという間に完食してしまいました!本当に10分もかからなかったのではないでしょうか。それともう一つ驚いたのが、「焼き芋の味の個体差がほぼ無くなった」という点です。焼き芋は当たり外れがあると言われるように、これまでは焼き芋にしたさつまいもの個体差を少なからず感じていたのですが、今回の安納芋の焼き芋には、明確な個体差がほとんど見られませんでした。ここで書いている個体差とは、この焼き芋は甘い、この焼き芋はさほど甘くないと言った焼き芋により甘さが大きく変わる事という意味です。
アク抜きが功を奏したのか、それともミネラルたっぷりの海水塩を使用したことが良かったのかは分かりませんが、全ての芋がほぼ同じように「ねっとり・しっとり」で甘さが強く、さらに香りも素晴らしい焼き芋に仕上がっていました。今回の焼き芋は本当に特別な仕上がりでした!
焼き芋は、時短でも簡単に自宅で作れる最強のおやつ、そしてスイーツです。しかし、時間がある時には、手間と時間をかけて「究極」と自分で呼べるような焼き芋作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?手間と時間をかけることで、その分美味しさがしっかりと跳ね返ってくることは間違いありません。
自宅で自分だけの「究極」と呼べる焼き芋を作り、それを味わうのも、面白くて美味しい趣味になるかもしれません。是非、挑戦してみてください!
まとめ
まとめとして、今回の「安納芋を使った究極の焼き芋作り」を振り返ると、手間と時間を惜しまずにかけることで、驚くほどの甘さと食感を引き出すことができることが分かりました。安納芋は、焼くことでスイーツのような濃厚な甘さとねっとりとした食感が際立ちますが、更にアク抜きや塩の使用、さらに低温でじっくりと焼くなど、丁寧な下ごしらえと焼成がその美味しさを最大限に引き出します。これ、間違いありません。
また、今回の焼き芋では個体差がほぼなく、どの芋も均一に美味しく仕上がった点が特筆すべきポイントです。ミネラルたっぷりの海水塩や冷凍保存など、少しの工夫でさらに味わいが深まります。究極の焼き芋作りは、手間がかかる反面、その結果は格別です。ぜひ自宅で挑戦して、究極の焼き芋を味わってみてください。