ふくむらさきという新品種の紫芋をご存じ?アグリ・コーポレーションでも有機栽培技術で作り始めたのでラボ長にふくむらさきの特徴、苗、栽培、収穫時期、味、糖度、食べ方、美味しいふくむらさきの見分け方を聞いてみた

期待の新人というべきか?大型新人というべきか?さつまいもの新品種の登録は、活況の中、ついに出たというべきなのか?2021年に登録されたさつまいもの新品種「ふくむらさき」に注目が集まっているのだ。

期待の新人

そのような新品種について、前回同様、ラボ長に色々と聞いてみた。前回というのは「初心者でも出来る!安納芋の育て方をプロが教えます!家庭菜園で安納芋栽培で失敗しないコツとは?安納芋の水やり、収穫方法、そのポイントは?ベランダで栽培できる?美味しい安納芋の育て方」というちょっと大袈裟なタイトルの記事で丁寧に分かりやすく説明していたのは…梅雨に入るか?入らないか?という時期だったように記憶している。その時の記事はこちら


家庭菜園で作ってるけどうまくいかないので教えて~という1通のメールから始まった企画だったと思う。話がそれてしまったので戻すと「ふくむらさき」をアグリ・コーポレーションでも作り始めたので色々と教えて~ということで「ふくむらさき」を細かく聞いてみた。

「ふくむらさき」の特徴は?

今までの紫芋とは異なり、糖度が高く、ねっとりとした食感です。色も黒に近い紫といった感じでアントシアニンも豊富。アントシアニンはパープルスイートロードの約1.4倍も含まれているのが「ふくむらさき」です。

「ふくむらさき」の苗は?

2019年にテスト栽培を始めました。当時は20株しか入手できませんでしたね。その20株から種芋を増やしていって漸く、今年、栽培面積が大きく広がりましたよ。でも同じ苗から出来た種芋ばかりを使用していると色々と問題が出て来るので、ウィルスフリーの苗を購入したりしています。でもまだまだ新しい品種だからホームセンターや苗専門のお店でも取り扱いは無いかもしれません。

「ふくむらさき」の栽培は?

正直、難しいかもしれません。まず、苗がまだ大きく流通していないので、種芋を育てるところから始まると思うのですが、寒いうちは、芽が出てこないのです。安納芋はそのようなことは全くないのですけど「ふくむらさき」は、目で分かるくらい寒いときの成長は遅いですよね。ハウスでも成長が遅いです。でも温かくなってくると成長スピードの早い品種なのかもしれません。正直、温かくなると成長が早く、先に成長していた安納芋に追いついてしまうくらいですから。

後は、土の固さによって「ふくむらさき」の形が変わってしまうところでしょうか?五島(福江島)の粘土質の土だと、形状は丸くなるのですが、鹿児島の黒土や五島(福江島)でもサラサラしている土では、「ふくむらさき」の形状は、細長い感じになってしまうようです。それと、「ふくむらさき」は大きくなる品種ではないのかもしれません。安納芋を長年、作ってきたから分かるのですが、大きくするには私たちが行っているような改良を色々行わないと難しいかもしれませんよ。でも、この「ふくむらさき」は、焼き芋にすると抜群に甘く、ねっとりとするので、あまり大きくなると焼き芋には向かなくなってしまうかもしれませんね。

「ふくむらさき」の収穫時期は?

「ふくむらさき」の収穫時期は、安納芋とほぼ同じ。9月後半~12月初旬くらいでしょうか?4月上旬に安納芋を定植して、少し遅れて「ふくむらさき」の定植があるのですが、最初は成長が遅い「ふくむらさき」でも温かくなってくると成長は先に定植した安納芋と同じくらいになるのです。

「ふくむらさき」の産地は?どのあたりが多い?

紅あずまや紅はるかというさつまいもとは異なり、まだまだ新しい品種なので大きな産地というのはまだ無いと思います。宮崎県や鹿児島県でも作っているし、勿論、五島(福江島)でも作っているので。どこが多いというのはこれからではないでしょうか?土壌とかもあるので。

「ふくむらさき」の味は?

紫芋なのだが安納芋に匹敵するくらい「甘い」。食感も安納芋のように「ねっとり」。という品種です。以前は、パープルスイートロードを栽培していたのですが、「ふくむらさき」のほうが「美味しい」から変えたといっても良いくらいこの品種は「美味しい」ですよ。

「ふくむらさき」の糖度は?

さつまいも全般に言えることですが、収穫して、追熟して出荷をするのですが、収穫したばかりの頃は安納芋より糖度は高いです。追熟していくと安納芋はどんどん糖度が上がって最終的には「安納芋」と「ふくむらさき」の糖度の差はあまり無くなるのですけど。「ふくむらさき」は収穫したばかりの時でも糖度10度くらいありますよ。

収穫したての「ふくむらさき」の糖度

焼き芋にした「ふくむらさき」の糖度

「ふくむらさき」の食べ方は?

一番のオススメは焼き芋。これは安納芋と同じような甘さとねっとり感になります。よく言われるのが皮が美味しいということですね。有機栽培をしているので焼き芋にしてもそのまま皮ごと食べれるというのがあるのですけど、焼き芋にするから皮は香ばしくなり、紫芋の品種では今までなかったような「蜜」が出るのです。「ふくむらさき」を焼き芋にすると安納芋と同じような糖度になりますよ。糖度40度を超えるものも多く、平均でっ糖度38度くらいですね。今までの紫芋は、焼き芋にしても糖度は30度くらいまでだったということと食感もほくほく系と言われるさつまいもらしいさつまいもが好きな人には人気でしたけど、「ふくむらさき」は先程も話した通り「焼き芋にすると糖度が高く(糖度40度になることも)食感もねっとりしているので焼き芋が一番美味しい食べ方」かもしれませんね。もちろん、ポテトサラダにしても紫色のきれいな色が出るので美しいし、これからはスイーツでも使われていくのではないかと思っています。

美味しい「ふくむらさき」の見分け方は?

画像で説明したほうが分かりやすいと思うので撮影したのですが、洗ってある場合、「ふくむらさき」の皮の色が濃いほうが断然美味しい。これは個体差になってしまうのですけど。「ふくむらさき」の果肉の色は、黒に近い紫。その影響なのか?皮も濃くて黒ぽいものが断然オススメできます。画像で黒ぽい皮の「ふくむらさき」と皮の色が薄めの「ふくむらさき」を選んで、カットしてみるとこれだけ差があります。より美味しいものを探すなら皮の色が黒ぽくて濃い色が良いかと思います。もちろん、切り口に黒い蜜が出ているというのもより美味しい「ふくむらさき」です。

↑色が濃い「ふくむらさき」をカットしてみた↓

「ふくむらさき」の保管方法は?

購入した後は新聞紙に包んで、直射日光をさけて、冷暗所で保管というのは、他のさつまいもと変わらないのだけど、「ふくむらさき」は湿気に弱いかもしれません。他のさつまいもより汗をかきやすいというのか?湿度の高い場所では他のさつまいもより傷みやすくなるので、湿気のある場所での保管は避けたほうが良いと思います。

まとめ

新しい紫芋「ふくむらさき」。今までの紫芋には無い甘さとねっとり食感は画像のとおり。焼き芋にすると安納芋に匹敵する糖度になる(糖度40度を超えるものも)。ん~~確かにラボ長に言われた通り、「ふくむらさき」を焼き芋にして食べてみると、アルミホイルからは、蜜が溢れているのが分かり、アルミホイルを外すと高級焼き芋で見たことのあるような蜜が皮から溢れて…手で持つとべっとりと蜜がついてしまうくらいのレベル。

「ふくむらさき」の皮も聞いていたとおり美味しい

今まで食べた事のない紫芋の食感と甘さだったと思います。これは今後の焼き芋で有名になっていくかも。一足お先に知っておくというのはさつまいも・焼き芋通になれる近道かも。