世界と日本のさつまいも生産量をわかりやすく解説。主要4県の特徴と人気品種まとめ

中南米で生まれたさつまいもは、今では世界中のあらゆる地域で親しまれる存在になっています。日本でもその広がりは大きく、現在は60種類以上もの品種が栽培されており、甘みの強さや食感、色合いなどが産地ごとに少しずつ異なるのがとても興味深いところです。「同じさつまいもでも、育つ場所が違うだけでこんなに表情が変わるんだ」と感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、世界全体で見たときのさつまいもの生産量の状況と、日本国内の主な産地が持つ特徴を、わかりやすく整理してみました。地域によってどんな違いがあるのかを知っておくと、買うときの楽しみもぐっと広がります。

さつまいも生産量世界一は中国

さつまいも生産量世界一は中国

さつまいもは暖かい気候を好むため、今ではアジア・アフリカ・中南米を中心に、110を超える国と地域で栽培されています。FAO(国連食糧農業機関)のデータによると、2020年の世界生産量はおよそ8,900万トン。その中で最も多いのは中国で、約4,900万トンと、世界全体の半分以上を占めています。中国では品種改良が非常に活発で、日本へも生鮮品や乾燥品、冷凍加工品などが幅広く輸出されています。そのあとに続くのがアフリカ勢で、2位にマラウイ、3位にタンザニア、4位にナイジェリアが並び、ここ数年で存在感がぐっと高まっているのが印象的です。気候との相性がよく、生産が拡大しやすい背景も影響していると考えられます。

一方、日本の生産量は世界で16位ですが、糖度が高く香りの良い日本産さつまいもは海外でも人気があります。シンガポールやタイなどを中心に需要が伸びており、日本ならではの甘みや品質の高さが評価されている点も興味深いところです。

 

国内さつまいも収穫量トップは?

国内さつまいも収穫量トップは?

国内でさつまいもを多く栽培している地域は、鹿児島県・茨城県・千葉県・宮崎県の4県です。なかでも収穫量トップは鹿児島県で、農林水産省のデータによると、2021年の収穫量は約19万600トン。国内生産量の約3分の1を占める圧倒的な規模となっています。

次いで、2位が茨城県の約18万9,200トン、3位が千葉県で約8万7,400トン、4位が宮崎県の約7万1,000トンと続き、この4県が日本のさつまいも生産を大きく支えている状況です。海外からの注目度が高まる一方で、国内の収穫量は少しずつ減少傾向にあり、2021年は67万1,900トンと、前年から約1万5,700トン(2%)減っていることがわかります。背景には、生産者の高齢化や「さつまいも基腐病」の発生による影響があると考えられています。

また、現在日本で栽培されているさつまいもは60種類以上にも及び、同じ品種でも地域によって味わいや香りが変わってくるのも興味深い特徴です。ここからは、収穫量の多い上位4県それぞれの特色を、順番にご紹介していきます。

さつまいも国内四大産地|①鹿児島県

さつまいも国内四大産地|①鹿児島県

鹿児島県は一年を通してあたたかい気候に恵まれ、広い作付面積を持つことから、国内でも圧倒的な収穫量を誇っています。育てられている品種も幅広く、黄金千貫・紅はるか・安納芋など、個性豊かなさつまいもが揃っています。

なかでも黄金千貫は、その名のとおり淡い黄金色の皮が特徴で、でんぷん質が多いためホクホクとした心地よい食感が楽しめます。芋焼酎の原料として使われることが多いものの、天ぷらや煮物といった料理でも存在感を発揮します。一方、安納芋は“極甘さつまいもブーム”のきっかけになった品種として知られ、焼くと皮から蜜が溢れるほど濃厚な甘みが魅力です。ねっとりとした深い甘さとやわらかな口どけは、一度味わうと忘れられないおいしさです。

鹿児島県のさつまいもは、品種ごとの個性がはっきりしているため、料理に合わせて選ぶ楽しさがあるのも特徴です。豊かな気候が育む味わいは、さつまいもの魅力を存分に感じさせてくれます。

さつまいも国内四大産地|②茨城県

さつまいも国内四大産地|②茨城県

茨城県も、さつまいもの一大産地として知られています。育てられている品種は主に紅あずまや紅はるかで、どちらも多くの人に愛され続けてきた味わい深いさつまいもです。

紅あずまは、茨城県や千葉県を中心に東日本で広く栽培されており、どこか懐かしさを感じる素朴な甘さが魅力です。繊維が少なく、ほくほくとした食感が楽しめるため、焼き芋はもちろん、天ぷら・煮物・サラダなど、普段の料理にも自然となじみます。

一方、紅はるかは近年人気が高まっている品種で、ねっとり濃厚な舌ざわりと、まるで蜜を足したような強い甘みが特徴です。その甘さは砂糖に匹敵するといわれるほどで、スイートポテトやプリンなどのスイーツ作りにもぴったり。茨城名産として知られる干し芋にも、紅はるかが多く使われています。

同じさつまいもでも、品種によって味わいが大きく変わるのが茨城県産の面白さです。料理にも、おやつにも幅広く活躍する魅力が詰まっています。

さつまいも国内四大産地|③千葉県

さつまいも国内四大産地|③千葉県

茨城県と並び、東日本でさつまいもの生産が盛んな地域といえば千葉県です。ここでは紅あずまや紅はるかに加え、近年人気が高まっているシルクスイートも多く栽培されています。

なかでもシルクスイートは、その名のとおり“シルクのようななめらかさ”が魅力で、スプーンですくえるほど柔らかく、とろっとした口どけが楽しめます。2012年に登場した比較的新しい品種ですが、一般的なさつまいもよりも甘みがまろやかで上品な味わいがあり、発売以来たちまち話題に。焼き芋にすると甘さが一層引き立ち、そのなめらかさに驚く人も多いほどです。

千葉県産のさつまいもは、品種ごとに個性がはっきりしていて、食べ比べる楽しさが広がります。しっとり系からほくほく系まで幅広く、近年のさつまいもブームを支える存在といえるでしょう。

さつまいも国内四大産地|④宮崎県

さつまいも国内四大産地|④宮崎県

宮崎県では、高系14号や宮崎紅を中心に、味わい豊かなさつまいもが育てられています。高系14号は西日本で広く栽培されている代表的な系統で、なると金時・宮崎紅・紅さつまといった人気の品種も、この系統をもとに誕生しました。

ほくほくとした軽やかな食感に、ほんのりとした甘さ、やわらかな口あたりが加わり、昔ながらのさつまいもらしいおいしさが楽しめるのが魅力です。焼き芋はもちろん、きんとんやスイートポテトなど、和洋どちらの料理にも合わせやすく、幅広い場面で使える万能さも特徴といえます。

宮崎県産のさつまいもは、素朴なおいしさの中にやさしい甘みが広がり、どんな料理にもすっとなじむのが嬉しいところです。

まとめ

さつまいもの世界生産量から日本の主要産地まで、最新データまとめ

さつまいもは世界110以上の国で栽培されており、なかでも中国が世界生産量の半分以上を占めています。日本の生産量は世界16位ですが、甘みと品質の高さから海外でも評価されています。国内では鹿児島・茨城・千葉・宮崎の4県が中心となり、それぞれ異なる風味や食感の品種が育てられています。地域によって味わいが変わるため、産地を知ることで選ぶ楽しみがより広がります。