焼き芋のイメージを変えた!安納芋ってどんなさつまいも?安納芋の種類は?美味しい安納芋を選ぶ基準と選ぶ方法、糖度40度超えの話まで!安納芋の全てを教えます

安納芋は、10月〜1月頃に旬を迎える、人気のさつまいもです。いまや、名前を聞いたことがない人はいないほど、メジャーな存在となっています。安納芋は甘さや食感に特徴があり、従来の焼き芋のイメージをガラリと変えたことで、ブームにもなりました。今回の記事では、安納芋の由来や見た目から、そのおいしさや食感の秘密まで解説していきます。安納芋が大好きな人も、まだ食べたことがない人も、ぜひ読んでみてください。

安納芋はどんなさつまいも?

安納芋は、種子島の特産として知られています。安納芋栽培の起源は、第二次大戦後、スマトラ島北部のセルダンという地域から帰還した兵士が持ち帰った、1個の芋だと言われています。種子島は、海底が隆起して出来た島です。平坦な地形に吹く、西からの海風の影響もあり、土の中にはミネラルが豊富に含まれています。通気性、排水性も良好で、年間の平均気温は19度と温暖な気候です。この栽培環境が、安納芋のおいしさをつくり出している秘訣と考えられています。

安納芋はどんな見た目?

一般的に、さつまいもは細長い形状のものが多いですが、安納芋は小ぶりで、丸みを帯びたものが多いのが特徴です。安納芋の中でも種類があるので、いくつか紹介していきます。

安納紅

一般的に安納芋と言えば、この安納紅のことを指します。皮の色は他のさつまいもと比べて茶色く、中身は濃いカボチャのようなオレンジ色をしています。

安納こがね

皮の色が淡い黄色をしているのが特徴です。中身は安納紅と同じオレンジ色です。登録品種名は「安納こがね」ですが、JA種子屋久の商標「安納もみじ」という名称で流通することもあります。

フルーツこがね

フルーツこがねは、見た目は安納紅とほぼ変わりません。安納芋のなかで最も甘味のある系統を選抜し、育成した品種です。その糖度は19.87度にもなると言われています。

灯籠蜜(とろみつ)いも

種子島産の安納芋をもとに、熊本県山鹿で改良された品種です。安納紅に近い見た目ですが、縦の起伏はあまりなく、断面がほぼ円形です。果肉の色は安納紅と同様にオレンジ色です。その名の通り、種子島産の安納芋に勝るとも劣らない、とろりとした甘みが特徴です。

安納紫

「種子島ゴールド」とも呼ばれている紫芋です。皮色は白く、中身は鮮やかな紫色をしています。果肉は粉質で、ホクホク感があります。甘みが強く、お菓子や焼酎の原材料にも使われる安納芋です。

おいしい安納芋の選び方

おいしい安納芋を選ぶには、ふっくらと丸い形のもの、しっかりと重みのあるものがおすすめです。表面の皮の色が均一で、ハリ・ツヤのあるものがよいでしょう。また、甘いさつまいもを見分けるポイントとして、「蜜が染み出ているものを選ぶ」というテクニックもあります。表面にシミが見られるものや、両端の切り口が黒くなっているものは、蜜が染み出たさつまいもの目印で、甘さの判断基準になります。表面にある、くぼみが浅いものを選ぶのもコツです。くぼみが深いものは繊維質が多く、食感が筋っぽい傾向にあるので、表面が全体的になめらかなものを選んだほうがよいでしょう。

安納芋の魅力は甘みと食感

安納芋の特徴は、なんと言ってもその甘さと、しっとりした食感にあります。安納芋の甘さは、さつまいもの中でもダントツです。通常の糖度は13度~15度で、焼くことで糖度40度近くにもなります。安納芋は、他のさつまいもに比べてデンプン質が多く含まれています。デンプン質は、自らに含まれる酵素「β-アミラーゼ」により、麦芽糖という甘味成分に変化します。この「β-アミラーゼ」は、65℃~75℃の温度で最もよく働きます。この温度を保ち、時間をかけてじっくりと焼くことで、安納芋の甘みを最大限に引き出すことができます。また、ねっとりした食感の秘密は、オクラや山芋などに含まれている多糖類を多く含んでいることにあります。まるでクリームのような食感と甘さが混じり合うことで、安納芋は「天然のスイーツ」と評されることもあります。しっとりした食感と甘さから「蜜芋」とも呼ばれ、一度食べれば従来の焼き芋のイメージが一変することでしょう。ホクホク系の焼き芋と異なり、デザートのようにスプーンですくって食べることもできます。ジャムのようにパンに塗って食べるのもおすすめです。

まとめ

安納芋の特徴や見た目、おいしさや食感の秘密を解説してきました。安納芋は、甘さやしっとり感が魅力の、スイーツ感覚で味わえるさつまいもです。まだ食べたことがない人は、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。今回の記事を参考に、安納芋のおいしいシーズンを楽しんでみてください。