
焼き芋ブームを牽引する代表的な品種、「紅はるか」と「シルクスイート」。どちらも人気が高まり続けている品種で、スーパーや専門店でもよく見かけるようになりました。そのため、実際に食べ比べてみたい、あるいは味や食感にどのような違いがあるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「紅はるか」と「シルクスイート」の特徴を比較し、それぞれの味わいや食感の違いを詳しく解説します。さらに、おいしく食べられる旬の時期や、価格の傾向などについても触れていきます。それぞれの品種の魅力を知ることで、食べる楽しみが広がるかもしれません。焼き芋好きの方はもちろん、これから試してみたいと思っている方も、ぜひチェックしてみてください。
紅はるかとシルクスイートの違いは?
焼き芋ブームの追い風を受けて人気が急上昇し、多くの人を魅了している「紅はるか」と「シルクスイート」。どちらも甘みが強く、焼き芋にすると絶品ですが、それぞれに異なる特徴があり、味わいや食感に大きな違いがあります。紅はるかは、ねっとりとした口あたりが特徴的で、焼くことで甘さが際立ち、まるで蜜のような濃厚な味わいが楽しめます。さらに、焼きたての状態では芳醇な香りが広がり、一口食べるごとに深い甘みが感じられるのが魅力。時間が経って冷めても甘さが引き立つため、スイーツ感覚で楽しめるのも紅はるかならではの特長です。
一方、シルクスイートはその名の通り、シルクのようになめらかな舌触りが印象的。ホクホクとした食感とねっとりとした質感の両方を兼ね備えた絶妙なバランスで、紅はるかとはまた違った味わいが楽しめます。甘さも上品で、後味が軽やかなので、焼き芋はもちろん、おかずやスイーツにも取り入れやすいのがポイント。
濃厚で蜜のような甘さが魅力の紅はるか、上品でなめらかな舌触りのシルクスイート。それぞれの違いを知ることで、好みに合わせた楽しみ方が広がります。
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紅はるかとシルクスイートはどちらが甘い?
紅はるかとシルクスイートは、どちらも一般的なさつまいもと比べて甘みが強い品種として知られていますが、その糖度には大きな違いがあります。通常のさつまいもの糖度は約6.9度とされていますが、シルクスイートはその数値を上回る約8.8度。ほんのりとした自然な甘さがあり、焼き芋にすると甘みがさらに引き立ち、口の中で優しい味わいが広がります。
一方、紅はるかの糖度は生の状態で約30度にも達し、焼き芋にするとさらに糖度が上昇し、なんと50度ほどになることもあります。これは果物に例えると、完熟したマンゴーや柿に匹敵するほどの甘さ。紅はるかを焼くと表面に蜜がにじみ出ることがあり、まるでスイーツのような濃厚な味わいが楽しめます。
こうして比較してみると、どちらも甘さが魅力の品種ではありますが、紅はるかのほうが糖度が高く、しっかりとした甘みが感じられるのが特徴です。
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紅はるかとシルクスイートの特徴
ここからは、紅はるかとシルクスイートの特徴を紹介します。人気の高い2つの品種を比較してみましょう。
ねっとり系の蜜芋!紅はるか
名前 | 紅はるか(べにはるか) |
産地 | 主に九州地方 |
旬の時期 | 11月〜1月ごろ |
糖度 | 30〜40度前後 |
食感 | ねっとり |
紅はるかは、美しい見た目に定評のある「九州121号」と、皮の色の鮮やかさや味の良さを兼ね備えた「春こがね」を交配させて生まれた品種です。焼き芋として人気の高い安納芋と比較されることも多く、ねっとりとした口あたりと濃厚な甘みが特徴的。焼くことで表面に蜜がにじみ出ることもあり、まるでスイーツのような仕上がりになるのが魅力です。特徴的なのは、糖度の高さによる非常に強い甘み。しっかりとした濃厚な甘さがありながらも、後味は意外とすっきりとしているため、甘すぎるのが苦手な人でも食べやすいと感じることが多い品種です。この絶妙なバランスが、多くの人を虜にし、一度食べたらファンになってしまう人が続出する理由のひとつ。
ただし、収穫したばかりの紅はるかは繊維質が多く、甘みもほとんど感じられず、正直なところ美味しいとは言えません。本来の味わいを引き出すには、収穫後にしっかりと貯蔵し、熟成させることが重要です。貯蔵することででんぷんが糖へと変化し、甘さがぐんと増していきます。特に糖化が進む11月から1月頃にかけては、紅はるか本来の濃厚な甘みを存分に楽しめる時期。焼き芋にするとしっとりとした食感と蜜のような甘みが引き立ち、一番おいしく味わえるタイミングとなります。
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絹のようななめらかさ!シルクスイート
名前 | シルクスイート |
産地 | 千葉・茨城県など |
旬の時期 | 11月〜2月ごろ |
糖度 | 約8.8度 |
食感 | しっとりなめらか |
シルクスイートは、ほどよい甘さが特徴の「春こがね」と、なめらかな食感を持つ「紅まさり」を掛け合わせて誕生した品種。比較的新しい品種のため、紅はるかに比べるとまだ出荷量は少なく、市場に流通する量も限られています。しかし、その独特の食感と上品な甘さから、焼き芋ブームとともに徐々に人気が高まってきています。糖度は通常のさつまいもよりも高く、甘みをしっかり感じられるものの、紅はるかほどの濃厚な甘さではなく、あっさりとした上品な味わいが魅力。甘すぎるさつまいもが苦手な人や、食事としても楽しみたい人にはぴったりのバランスです。収穫時期は8月下旬から10月頃にかけてで、この時点ではホクホクとした食感が強く、一般的なさつまいもらしい風味を楽しめます。
ただし、シルクスイートの真価が発揮されるのは、収穫後にしっかりと熟成を経た11月以降。1ヶ月ほど貯蔵することででんぷんが糖に変わり、甘みが増して粘質へと変化。焼き芋にすると、まるで絹のようになめらかな舌触りになり、スプーンですくって食べられるほどのスムースな食感が楽しめます。この独特の質感が、スイーツにも匹敵する贅沢な味わいを生み出し、焼き芋好きの間でも高く評価されているポイント。紅はるかのような濃厚な甘さとはまた異なる魅力を持ち、食感の良さを求める人には特におすすめの品種です。
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紅はるかとシルクスイートの値段
通販やスーパーで購入する際の価格も気になるポイントです。紅はるかとシルクスイートの値段をチェックしてみましょう。
紅はるかの値段
1本あたり200gの場合 | 紅はるかの値段相場 |
1本 | 150円前後 |
1kg | 約700円 |
紅はるかの価格は、1本(約200g)あたりおよそ150円が目安。さつまいもの中サイズは150〜350g前後と幅があるため、重さによって価格が変動するのが特徴です。大きめのものになると1本200円以上になることもあり、小ぶりなものは比較的手頃な価格で手に入ります。
紅はるかのブランド品種として知られるJA大分の「甘太くん」は、特に糖度が高く品質が安定しているため、一般的な紅はるかよりもやや高価な傾向にあります。サイズに応じて価格が設定されており、5kgあたり2,700〜3,600円程度で販売されていることが多く、焼き芋に適した品種として人気を集めています。紅はるかは、収穫後すぐには甘みが十分に引き出されておらず、熟成を経て糖度が増してから出荷されるため、市場に多く出回るのは11月以降。スーパーでは1袋(数本入り)で300円前後で販売されていることがあり、手軽に購入できるのも魅力のひとつ。ただし、大きめのサイズやブランド品種を選ぶ場合は価格が高めになることもあります。
まとめて購入したい場合や、品質の良いものを選びたい場合は、通販を利用するのもおすすめ。産地直送のものや、熟成状態の良いものを選べば、よりおいしい紅はるかを楽しめます。スーパーよりも選択肢が広がるため、用途や好みに合わせたものを選ぶことができ、お得に購入できるケースもあります。
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シルクスイートの値段
1本あたり200gの場合 | シルクスイートの値段相場 |
1本 | 200円前後 |
1kg | 約1,000円 |
シルクスイートの価格は、1本(約200g)あたりおよそ200円が目安。紅はるかと比較するとやや高めの傾向があり、特に品質の良いものやブランド化されたものはさらに価格が上がることもあります。スーパーではあまり見かける機会が少ない品種ですが、一部の店舗では1パック(数本入り)で400円前後で販売されていることもあり、見つけたら試してみる価値があります。また、表面にキズがあったり、形が不揃いだったりする「訳あり品」なら、より手頃な価格で手に入ることも。5kgで3,000円前後で販売されているケースがあり、大量に購入して焼き芋やスイーツに活用したい場合にはおすすめ。通販サイトや直売所を利用すると、収穫時期に合わせてお得なシルクスイートを探しやすくなります。
シルクスイートも、紅はるかと同様に収穫後すぐには甘みが十分に引き出されておらず、熟成させることで糖度が増し、粘質へと変化します。ただし、シルクスイートは掘り立ての状態でも甘みが感じられる品種で、熟成を待たずに食べても十分においしさを楽しめるのが特徴。特に、粘質に変わる前のホクホクとした食感が好きな人には、収穫後すぐのものを試してみるのもおすすめ。8月下旬ごろから収穫が始まり、期間限定で販売している農家もあるため、フレッシュなシルクスイートを味わいたいなら、この時期を狙って探してみるのも良さそうです。
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まとめ
紅はるかとシルクスイートは、どちらも人気が高く、多くの人に愛されているさつまいも。上品な甘さと独特の食感が魅力で、一度食べるとそのおいしさに魅了される人が多い品種です。それぞれに異なる個性を持っており、濃厚な甘さが特徴の「紅はるか」は、焼き芋にすると蜜のような甘みが際立ち、しっとりとした食感が楽しめます。一方の「シルクスイート」は、なめらかでシルクのような舌触りが特徴的で、ホクホク感とねっとり感の両方を併せ持つ絶妙なバランスが魅力。どちらを選ぶかは、好みや食べ方によって変わりますが、それぞれの特徴を知ることで、より自分に合った品種を楽しむことができます。甘みをしっかりと感じたいなら紅はるか、なめらかな食感を重視したいならシルクスイートといった選び方もおすすめ。
また、おいしい時期を逃さずに楽しむためには、旬の時期を把握しておくことが大切。紅はるかは収穫後に熟成が必要なため、糖度が増して本来の甘さが引き出されるのは11月以降。一方のシルクスイートは、収穫してすぐはホクホクとした食感ですが、1ヶ月ほど熟成させることでしっとりとなり、より甘さが増します。スーパーでは手に入りにくいこともあるため、通販サイトなどを活用して、早めにチェックしておくのもおすすめ。産地直送のものや、熟成が進んで甘みが増した状態のものを選べば、よりおいしいさつまいもを楽しめます。お気に入りの品種を見つけて、それぞれの魅力を存分に味わってみてください。
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