糖尿病の食事管理で、甘くて美味しいさつまいもを「食べてもいいの?」「血糖値は大丈夫?」と不安に感じていませんか。実はさつまいもは、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品であり、食べ方のポイントさえ押さえれば、糖尿病の方でも安心して食事に取り入れることが可能です。この記事を読めば、さつまいもが持つ食物繊維などの健康効果や、血糖値に影響しにくい「蒸す・茹でる」といった調理法、注意が必要な焼き芋のGI値までが分かります。1日の適量や食べるタイミング、冷やして食べる効果など、今日から実践できる具体的な方法を解説。もう食事に迷わず、安心してさつまいもを楽しみましょう。
さつまいもは糖尿病でも食べ方に気をつければOK
「甘いさつまいもは、糖尿病の食事には向かないのでは?」と心配されている方も多いかもしれません。しかし、結論から言うと、さつまいもは正しい知識を持って食べ方や量を工夫すれば、糖尿病の食事管理に役立つ優れた食材です。
さつまいもは糖質を含むため食べ過ぎは禁物ですが、白米や食パンといった他の主食と比較して食後の血糖値の上昇が緩やかであるという特徴があります。これは、さつまいもが「低GI食品」に分類されることや、血糖コントロールを助ける食物繊維が豊富に含まれているためです。

ただし、調理法によっては血糖値を上げやすくなるため、その特性を理解することが非常に重要です。例えば、甘くて美味しい「焼き芋」は、実はGI値が高くなりやすいため注意が必要です。
以下の表で、さつまいもを食事に取り入れる際の基本的な考え方をまとめました。
| 糖尿病の食事で推奨される理由 | 注意すべきポイント |
|---|---|
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このように、さつまいもは決して「食べてはいけない食材」ではありません。この後の章で、GI値を抑える具体的な調理法や1日の摂取目安量、おすすめの食べ合わせなど、安心してさつまいもを楽しむための方法を詳しく解説していきます。
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さつまいもが糖尿病の食事で注目される理由
甘い味わいから、糖尿病の食事では敬遠されがちなさつまいも。しかし、実はその栄養成分にこそ、血糖コントロールに気を配る方にとって嬉しい理由が隠されています。なぜ、さつまいもが糖尿病の食事で注目されるのか、3つのポイントから詳しく解説します。
血糖値の上昇が緩やかな低GI食品

糖尿病の食事管理で重要な指標の一つが「GI値(グリセミックインデックス)」です。これは、食後の血糖値がどれくらい上昇するかを示した数値で、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇が緩やかになります。さつまいもは、調理法にもよりますが、白米やパン、じゃがいもなどに比べてGI値が低い「低GI食品」に分類されます。
血糖値の急激な上昇は、インスリンを分泌するすい臓に大きな負担をかけます。そのため、GI値の低いさつまいもを上手に食事に取り入れることで、血糖値の安定化が期待できるのです。
| 食品名 | GI値の目安 |
|---|---|
| さつまいも(蒸し) | 40~60程度 |
| 白米 | 70~80程度 |
| 食パン | 90程度 |
| じゃがいも(茹で) | 60~70程度 |
※GI値は品種や調理法、一緒に食べるものによって変動します。
気になる味や食感はもちろん、緑黄色野菜に匹敵する栄養価、アク抜きなどの下処理方法、きんぴらや炒め物といった簡単レシピ、農薬などの注意点まで全てわかります。
豊富な食物繊維が血糖コントロールを助ける

さつまいもには、水溶性と不溶性の両方の食物繊維が豊富に含まれています。この食物繊維が、糖尿病の食事管理において重要な役割を果たします。
特に、水溶性食物繊維は、胃腸内をゆっくりと移動するため、糖質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑制する効果が期待できます。また、不溶性食物繊維は便のカサを増やして腸を刺激し、便通を促すことで腸内環境を整える助けとなります。良好な腸内環境は、インスリンの働きにも良い影響を与えると考えられています。
調理法別に変化する食物繊維の量や栄養の違いを徹底比較。最後まで読むことで、自分に合ったさつまいもの食べ方がきっと見つかります。
カリウムが余分なナトリウム排出をサポート

糖尿病の合併症として注意が必要なものに、高血圧があります。さつまいもに豊富に含まれる「カリウム」は、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿と一緒に排出し、血圧を下げる働きがあるミネラルです。
塩分の多い食生活は血圧を上昇させる一因となりますが、カリウムを適切に摂取することで、そのリスクを軽減できます。高血圧の予防・改善は、糖尿病の合併症である腎症や網膜症のリスクを低減する上で非常に重要であり、さつまいもはカリウムの優れた供給源となります。
ただし、腎臓の機能が低下している方はカリウムの摂取制限が必要な場合がありますので、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。
【重要】調理法で変わるさつまいものGI値と血糖値への影響
さつまいもが糖尿病の食事で注目されるのは、本来「低GI食品」だからです。しかし、そのGI値は調理法によって大きく変動します。なぜなら、さつまいもに含まれるでんぷんを分解する酵素「β-アミラーゼ」が、加熱温度によって働き方が変わるためです。この違いを知ることが、安心してさつまいもを食べるための鍵となります。
まずは、調理法によるGI値や糖質量の違いを一覧で見てみましょう。
| 調理法 | GI値(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 蒸す・茹でる | 約55 | 血糖値の上昇が最も緩やか。 |
| 焼く(焼き芋) | 約80~85 | 甘みが増すが、血糖値が急上昇しやすい。 |
| 揚げる・加工する | 高い | 油や砂糖が加わり、カロリー・糖質ともに高くなる。 |
※GI値は目安であり、品種や個体差によって変動します。
GI値が低めになる調理法 蒸す・茹でる

糖尿病の方がさつまいもを食べる際に最もおすすめなのが、「蒸す」または「茹でる」調理法です。これらの方法は、さつまいもを高温で一気に加熱するため、でんぷんを糖に変える酵素(β-アミラーゼ)が活発に働く前に失活します。その結果、糖への分解が抑えられ、GI値が低く保たれるのです。ふかしたさつまいもや、味噌汁・煮物の具材として活用するのが良いでしょう。
ふかし芋を美味しく作る際のコツを教えます。まず、さつまいも選びが重要です。ふかし芋には、全体が均一な太さで、皮が滑らかで傷のないものが適しています。
GI値が高くなる調理法 焼く(焼き芋)

甘くて美味しい「焼き芋」は、実は注意が必要な調理法です。石焼き芋のように、じっくりと時間をかけて加熱すると、酵素が最も活発になる60~70℃の温度帯を長く保つことになります。これによりでんぷんの糖化が最大限に進み、強い甘みとともにGI値が急上昇します。焼き芋はGI値が80を超える高GI食品に分類されるため、糖尿病の方が食べる際には量や頻度に細心の注意が必要です。
注意が必要な調理法 揚げる・加工品(大学芋など)

さつまいもの天ぷらやフライのように「揚げる」調理法は、衣の糖質と揚げるための油によって、カロリーが大幅に増加します。血糖値だけでなく、体重管理の観点からも避けた方が賢明です。
また、大学芋やスイートポテトといった砂糖やバターを大量に使う加工品は言うまでもありません。さつまいも自体が持つ糖質に加えて、調味料の糖質や脂質が大量にプラスされるため、血糖値を著しく上昇させる原因となります。健康のためには、こうした甘いお菓子としての食べ方は控えるようにしましょう。
糖尿病の方がさつまいもを安心して食べるための5つのポイント
さつまいもは栄養豊富で血糖値の上昇も緩やかですが、食べ方を間違えると血糖コントロールに影響を与える可能性があります。ここでは、糖尿病の方がさつまいもを食事に取り入れる際に知っておきたい5つの重要なポイントを解説します。
1. 1日の適量を守る 主食との置き換えが基本

さつまいもは低GI食品ですが、糖質を多く含んでいるため、食べ過ぎは血糖値の上昇につながります。1日の間食の目安である80kcal程度(蒸したさつまいも約60g)を守ることが大切です。
食事として取り入れる場合は、ご飯やパンなどの主食と置き換える「糖質量のコントロール」が基本です。さつまいもを食べた分、主食の量を減らすようにしましょう。
| 食品 | 糖質量(目安) | カロリー(目安) |
|---|---|---|
| さつまいも(蒸し) | 約29.7g | 131kcal |
| 白米ごはん | 約35.6g | 156kcal |
| 食パン(6枚切り) | 約44.3g | 248kcal |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より
例えば、いつものご飯を半分に減らし、その分さつまいもを食べる、といった工夫が有効です。
2. 食べるタイミングを工夫する
さつまいもを食べる時間帯や順番を意識するだけで、血糖値のコントロールがしやすくなります。
糖質制限中に甘くて美味しいさつまいも、食べても良いか?悩みますよね。この記事では、さつまいもの糖質量やカロリーを他の主食と比較しつつ、糖質制限中にあえて食べるメリットを解説します。
食後の血糖値上昇を抑える食べ方
食事の際にさつまいもを食べるなら、野菜(食物繊維)や肉・魚(タンパク質)を先に食べ、その後にさつまいもを食べる「カーボラスト」を意識しましょう。食物繊維やタンパク質が糖の吸収を穏やかにし、食後血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。
間食として食べる場合の注意点
間食としてさつまいもを食べるのも良い方法です。その場合、食事と食事の間の、血糖値が比較的安定している時間帯(例:午後3時頃)
3. 皮ごと食べるのがおすすめ

さつまいもの皮には、実の部分以上に栄養が豊富に含まれています。特に、豊富な食物繊維や、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種「クロロゲン酸」などが含まれています。これらの成分は、糖の吸収を緩やかにしたり、インスリンの働きを助けたりする効果が期待されています。さつまいもを食べる際は、よく洗ってぜひ皮ごと調理しましょう。
泥や土をしっかり落とす基本から、皮の栄養を活かす洗い方、残留農薬が気になる場合の対処法、さらには甘みをさらに高める下処理のコツまで、さつまいもを安心・安全に、そして格段に美味しく食べるための秘訣を徹底解説します。
4. 冷やして食べる レジスタントスターチの効果

一度加熱したさつまいもを冷やすと、でんぷんの一部が「レジスタントスターチ」という成分に変化します。レジスタントスターチは、消化・吸収されにくい性質を持つため、食物繊維と似た働きをします。
冷やして食べることで、血糖値の上昇がさらに穏やかになり、腸内環境を整える効果も期待できます。蒸したり茹でたりしたさつまいもを、冷蔵庫で冷やしてから食べる「冷やしさつまいも」は、糖尿病の方におすすめの食べ方です。
5. 他の食品との食べ合わせを意識する
さつまいもを単体で食べるのではなく、他の食品と組み合わせることで、より血糖コントロールに役立ちます。食物繊維が豊富なきのこや海藻、タンパク質を含む牛乳やヨーグルト、良質な脂質を含むナッツ類などと一緒に食べると、糖質の吸収がさらに緩やかになります。
例えば、間食に蒸したさつまいもと無糖のヨーグルトを組み合わせる、食事にさつまいもとわかめの味噌汁を取り入れるといった工夫が効果的です。
さつまいもと他の芋類 糖尿病における糖質とGI値の比較
糖尿病の食事管理では、さつまいもだけでなく他の芋類との違いを理解することも大切です。「芋類」と一括りにせず、それぞれの糖質量やGI値、栄養特性を知ることで、食事の選択肢が広がり、より良い血糖コントロールにつながります。
さつまいもとじゃがいもの違い

食卓でよく比較されるのが、さつまいもとじゃがいもです。どちらも主食の代わりにもなる芋類ですが、糖質と血糖値への影響には大きな違いがあります。一般的に、さつまいもはじゃがいもより糖質量は多いものの、GI値は低い傾向にあります。これは、さつまいもに含まれる豊富な食物繊維が糖の吸収を穏やかにするためです。
| 項目 | さつまいも(皮なし) | じゃがいも(皮なし) |
|---|---|---|
| カロリー | 126 kcal | 59 kcal |
| 糖質量 | 29.2 g | 10.8 g |
| 食物繊維 | 2.2 g | 1.3 g |
| GI値(目安) | 55(蒸し) | 90(マッシュポテト) |
※GI値は調理法によって大きく変動します。じゃがいもはマッシュポテトやフライドポテトにするとGI値が非常に高くなるため注意が必要です。一方、さつまいもは蒸したり茹でたりすることでGI値を低く保てます。
栄養成分や使用方法の違いも解説
里芋や長芋は糖尿病の食事に使える?

里芋や長芋も、調理法や量を工夫すれば糖尿病の食事に取り入れることが可能です。これらの芋類は、さつまいもとはまた違った利点を持っています。
里芋のぬめり成分である「ガラクタン」は、糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える効果が期待されています。長芋は生で食べられるのが特徴で、加熱によるGI値の上昇を避けやすい芋類です。里芋のぬめり成分や、長芋を生で食べられるといった特性は、血糖コントロールにおいてメリットとなり得ます。
| 項目 | さつまいも(皮なし) | 里芋 | 長芋 |
|---|---|---|---|
| カロリー | 126 kcal | 53 kcal | 64 kcal |
| 糖質量 | 29.2 g | 10.8 g | 12.9 g |
| 食物繊維 | 2.2 g | 2.3 g | 2.2 g |
| GI値(目安) | 55(蒸し) | 64(茹で) | 65(生) |
どの芋類を食べる場合でも、1日の摂取量を守り、主食(ごはんやパン)と置き換える形で取り入れるのが基本です。ご自身の血糖値の変動を見ながら、上手に食事に取り入れていきましょう。
品種による違いは?安納芋や紅はるかなど甘いさつまいもの注意点
さつまいもと一言でいっても、スーパーには様々な品種が並んでいます。近年人気の「安納芋」や「紅はるか」のように甘みが強い品種は、糖尿病の食事で特に注意が必要なのでしょうか。ここでは品種ごとの特徴と、選ぶ際のポイントを解説します。
「ねっとり系」と「ホクホク系」 特徴と選び方のポイント
さつまいもは、食感や甘みの特徴から「ねっとり系」と「ホクホク系」に大別できます。それぞれの特徴を理解し、ご自身の血糖コントロールの状態に合わせて選ぶことが大切です。
甘みが強く糖度が高い「ねっとり系」(安納芋、紅はるか、シルクスイートなど)

安納芋や紅はるか、シルクスイートに代表される「ねっとり系」の品種は、その名の通り、加熱すると水分が多く、クリーミーで濃厚な甘みが引き出されるのが特徴です。特に焼き芋にすると、蜜が溢れるほど甘くなります。
この強い甘みは糖分が多いことを意味するため、糖尿病の方が食べる際には糖質量が想定より多くなりやすいという点に注意が必要です。もし「ねっとり系」の品種を選ぶ場合は、量をホクホク系より少なめに調整する、または主食との置き換えをより厳密に行うといった工夫を心がけましょう。
比較的穏やかな甘さの「ホクホク系」(鳴門金時、紅あずまなど)

鳴門金時や紅あずまといった「ホクホク系」の品種は、昔ながらの粉質で、加熱するとホクホクとした食感が楽しめます。上品な甘さで、天ぷらや煮物など、料理にも使いやすいのが特徴です。
「ねっとり系」に比べると糖度が比較的穏やかな傾向にありますが、さつまいもであることに変わりはなく、糖質を多く含みます。「ホクホク系」だからと油断せず、どの品種であっても適量を守ることが血糖管理の基本であると覚えておきましょう。
品種選びより「食べる量」と「調理法」が最も重要

品種によって甘さや糖度に差はありますが、血糖値に与える影響という観点では、その差は限定的です。それ以上に血糖値を大きく左右するのは、一度に食べる「量」と、GI値を上げやすい「調理法」です。
どの品種のさつまいもを食べる場合でも、これまでの章で解説した「蒸す・茹でる」調理法を基本とし、「1日の適量を守る」ことが、安心して楽しむための最も大切な鍵となります。甘い品種が食べたい日は、その分量を少し減らすといった柔軟な調整をしていきましょう。
まとめ

さつまいもは、糖尿病だからといって完全に禁止する必要はありません。食物繊維が豊富で、調理法によっては血糖値の上昇が緩やかな低GI食品であるため、食べ方を工夫すれば食事に取り入れられます。重要なのは、GI値が高くなりやすい「焼き芋」よりも、「蒸す・茹でる」といった調理法を選ぶことです。また、1日の適量を守って主食と置き換えたり、血糖値の上昇をさらに緩やかにする効果が期待できる皮ごと食べたり、冷やして食べたりする工夫も有効です。正しい知識を持って、さつまいもを上手に食事療法へ活用しましょう。














