秋や冬になると、ついつい食べたくなってしまう焼き芋。しかし糖尿病を抱えている人は、焼き芋を食べてよいのかどうか気になりますよね。この記事では、糖尿病の人が焼き芋を食べてよいのか、悪いのかその理由を説明します。
糖尿病の人は焼き芋を食べても大丈夫?
結論から言うと、糖尿病を抱えている人は、焼き芋を全く食べてはいけないというわけではありません。しかし、焼き芋には多くの糖質が含まれているため、食べる量には注意が必要です。しかし、糖尿病を抱えている人は、なぜ糖質の量を気にしなければならないのでしょうか。
そもそも糖尿病とはどのような病気?
焼き芋の話の前に、糖尿病について少し触れておきましょう。
糖尿病とは血糖値が高い状態が続く病気
糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く病気です。健康な人であれば、インスリンによって血糖値が抑えられますが、糖尿病患者さんの場合、インスリンの作用が十分ではないため、血液中に多く含まれる状態になります。これが高血糖と呼ばれる状態です。
妊娠糖尿病とは?
また妊娠中に初めて発見、もしくは発症した糖代謝異常のことを、「妊娠糖尿病」と呼びます。妊娠中に少しでも血糖が高くなると、胎児に影響があるので、糖尿病でなくても「妊娠糖尿病」と呼ばれているのです。
「糖尿病」は三大合併症がある
糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし高血糖が長く続くことによって、血管に傷がつきやすくなります。そうすると、多飲多尿、疲れやすいなどの症状が出たり、糖尿病三大合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)が突然発症したりすることがあります。症状が何もない初期の段階でも、適切な食事療法を行うことが大切です。
糖質制限
糖尿病の病気の仕組みをお話ししました。糖尿病を抱えている方が、炭水化物の量を気にしなければいけないのは、「血糖値を上げ過ぎないよう」にするためです。では、糖尿病を抱えている人にとって、どれくらいの焼き芋の摂取量が適切なのでしょうか。
焼き芋とご飯の糖質の量を比べてみよう
ここで、焼き芋100gとご飯100gの、糖質やカロリーを比べてみましょう。
焼き芋 ご飯(白米) カロリー(kcal) 151 156 糖質(g) 35.5 35.6 脂質(g) 0.2 0.2 たんぱく質(g) 1.2 2.5
表から見ていただくとわかるように、焼き芋とご飯の100gあたりの糖質やカロリーは、ほとんど変わりません。糖質が気になるという方が、さつまいもを食べたいときは、100gのご飯と置き換えて食べるといいでしょう。ちなみに100gの焼き芋は、だいたい小さいサイズ一本、100gのご飯は、お茶碗に6~7分目くらいの量です。脂質やたんぱく質も、同じ量の焼き芋とご飯では、それほど変わらないので、気にする必要はないでしょう。
最近流行りの糖度の高いさつまいもには注意!
しかし、焼き芋のさつまいもを選ぶ際に、一点だけ気を付けてほしいことがあります。それは、安納芋や紅はるかのような糖度の高い焼き芋です。糖度が高いと、それだけ糖質も高いので、糖度の高い品種のさつまいもは避けるようにしましょう。
焼き芋にするとカロリーが上がってしまうの?
生のさつまいもに比べて、焼いた場合、カロリーが上がってしまうのが心配な方もいるでしょう。結論から言うと、さつまいもは、焼き芋にしてもカロリーは上がらないので、気にしなくても大丈夫です。
さつまいも(生)100g さつまいも(焼き芋)100g カロリー(kcal) 126 151 糖質(g) 29.7 35.5
上の表を見ると、生のさつまいもに比べて、焼いたさつまいもは、カロリーや糖質が上がってるように見えます。これは、生のさつまいもと、焼いたさつまいもに含まれる水分の違いに原因があります。含まれている水分が焼き芋の方が少ないため、同じ量を比べたときに糖質やカロリーが高いように見えるだけなのです。
ご飯の代わりに焼き芋に置き換え
前章では、同じ量であれば、ご飯と焼き芋を置き換えて食べるとよいという話をしました。実は、ご飯を焼き芋に置き換えることには、さらなるメリットがありました。
ご飯に含まれない栄養素が摂取できる
焼き芋100g ご飯(白米)100g 食物繊維(g) 3.5 1.5 カリウム(mg) 540 29 ビタミンC(g) 23 0 ビタミンB6(g) 0.33 0.02
上の表を見ると、ご飯に比べて焼き芋は、食物繊維やカリウム、ビタミンC、ビタミンB6の数値が高いことがわかります。食物繊維には、便のかさを増やすことによって便通を良くし、腸内環境を整えてくれる働きがあります。また食物繊維には、血糖値が急に上がるのを防ぐ働きが期待されています。カリウムには、ナトリウムを体外に排出する働きがあるので、むくみや高血圧を防ぐ効果が期待されており、ビタミンCとビタミンB6は、ともに免疫力アップに効果があります。血糖値に悩まされている人にとって、さつまいもは多くの健康効果が期待できるのです。
焼き芋を食べるときは皮も一緒に食べよう
ご飯の代わりに焼き芋を食べるときは、皮も一緒に食べることをおすすめします。皮を食べることによって、より多く食物繊維が摂れるという利点があります。また焼き芋の皮に含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種であり、抗酸化作用が認められているのです。
焼き芋を冷やして食べる
最近では、スーパーやコンビニで「冷やし焼き芋」に人気が高まっています。食べたことがある人もいるのではないでしょうか。焼き芋は冷やすと、難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)という成分が増加します。これは食物繊維と同じような働きを持っています。
まとめ
焼き芋と糖尿病についてお話ししましたが、いかがだったでしょうか。糖尿病を抱えている人も適正な量を守れば、安心して焼き芋を食べることができます。またご飯に比べて、焼き芋は、食物繊維やカリウムなどの栄養価を、より多く摂取できます。置き換え食として食べてみてはいかがでしょうか。