
糖尿病と聞くと「甘いものはダメ」と考える方も多いかもしれません。しかし、糖尿病でも食べ方を工夫すればおやつを楽しむことは可能です。中でも注目したいのが、自然な甘みと低GI値で知られる「さつまいも」。この記事では、血糖値の上昇を緩やかにする成分や満腹感を得やすい特性を持つさつまいもを活用した、おすすめの手作りおやつをご紹介します。さつまいもは、食物繊維やクロロゲン酸が豊富で、血糖値のコントロールをサポートする食材です。砂糖を使わなくても自然な甘さがあり、栄養価も高いため、糖尿病の食事療法にぴったり。また、簡単に作れるレシピや適切な摂取量も解説しているので、無理なく健康的な食生活を続けるためのヒントが満載です。最後まで読むと、健康と美味しさを両立する手作りおやつのレパートリーが広がります。今日から食事制限を楽しく、そして美味しく変えてみませんか?
さつまいもを使って糖尿病でも美味しくおやつを楽しもう!
日本の国民病とも言われている糖尿病は、糖尿病予備軍を入れると約2,000万人以上、存在すると言われています。糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の量が慢性的に高くなる病気です。インスリンというホルモンが不足したり、その作用が十分に発揮されないことで、血糖値を適切に調整できなくなることが主な原因です。高血糖状態が続くと、血管や神経にダメージを与え、心臓病や腎臓病、失明のリスクが高まります。主に1型と2型のタイプがあり、1型は自己免疫の影響で発症する一方、2型は生活習慣や遺伝的要因が絡んでいます。適切な食事や運動、薬物療法が管理に重要になってきます。糖尿病はサイレントキラーとも言われる病気で静かに忍び寄る病と言われています。
苦しい食事制限の印象がある糖尿病食事療法。特に甘いものはご法度だと思われている方も多いと思います。しかし、実はそんなに特別なことはありません。勿論制限をすることはありますが、逆に言うと制限と上手に付き合えば甘いものも楽しむことが出来ます。その手助けをしてくれるのにオススメな食品の一つがさつまいもです。この記事では糖尿用食事療法でさつまいもを上手に活用して糖尿病食事療法を無理なく続ける方法とおすすめのレシピをお伝えしていきます。糖尿用患者様以外の方にも健康的な食生活を継続していくポイントとなりますので、是非取り入れて見て下さい。
糖尿病でもおやつは食べられる?
糖尿病の食事療法の原則は
- 適正なエネルギー量
- バランスの良い食事
- 規則正しい食習慣を守る
の3点です。こう聞くと堅苦しく、美味しくない食事や辛い食事管理をイメージされる方も多いと思いますが、実は糖尿病だからといって絶対に食べてはいけないとされている食品はありません。大切なのは「何を・いつ・どのくらい食べるか」であり、食品と上手に付き合っていくことです。この3点についてはこれからの記事でお話していきたいと思います。従っておやつも食べ過ぎは禁物ということが大前提ではありますが、食べてもOKです。
ホクホクとした食感と甘みが魅力の焼きいも。とても美味しくて、おやつについ食べたくなりますが、糖質を多く含むため「糖尿病の人は食べてはいけないのでは?」と考える人も多いでしょう。糖尿病の人でも、適量を守れば焼いもを食べても問題ありません。糖尿病は、食生活のほかにも遺伝・運動不足・ストレスなど、あらゆる要因が絡み合って発症する病気です。「焼きいもを食べたら糖尿病が悪化する」ということではないので安心してください。また、さつまいもには、血糖値の上昇を緩やかにする成分が含まれています。ここでは、高血糖予防につながるさつまいもの成分を解説するので、参考にしてください。
食物繊維が豊富
さつまいもは、食物繊維を豊富に含む食材です。食物繊維は、体内でゆっくりと消化・吸収されるため、糖の吸収を穏やかにしたり、血糖値の上昇を緩やかにする作用があるといわれています。また、食物繊維を多く含む食品は、咀嚼回数が増えるため満腹感が得られやすく、食べすぎ防止にもつながるでしょう。
低GI食品である
GIとはGlycemic Index(グリセミック インデックス)の略であり、食後血糖値の上昇度を示す指標です。GI値が低い「低GI食品」は、血糖値の上昇を穏やかにする働きがあります。また、低GI食品はおなかの中でゆっくりと消化・吸収されるので、腹持ちがよくなるというメリットも。さつまいもは低GI食品のひとつであることから、糖尿病のリスク軽減に期待が持てるでしょう。
クロロゲン酸が豊富
さつまいもには「クロロゲン酸」という成分が多く含まれています。クロロゲン酸はポリフェノールの一種であり、主にコーヒーに多く含まれることで有名です。クロロゲン酸には糖新生を抑える働きがあり、糖尿病予防に期待できるといわれています。「糖新生」とは、乳酸や糖原性アミノ酸を原料として、人間や動物の体内で糖を合成することです。糖新生を抑制するクロロゲン酸の働きを、糖尿病治療薬に活用する研究も進められています。
さつまいもが糖尿病のおやつに向いている理由
さて、先ほどおやつはOKと申しましたが、「何を」食べるかは非常に大切です。糖尿病では血糖値が上がりやすいものを控える必要があります。残念なことに、おやつの美味しさには欠かせない砂糖は血糖値が急激に上がりやすい食品です。しかし、さつまいもは甘みがありながらも糖の吸収を抑える食物繊維が豊富に含まれているので、糖質の多い食品の中では血糖値が上がりにくい食品です。近年ではクロロゲン酸という糖の吸収を緩やかにするポリフェノールが含まれていることも分かっています。更にビタミンやミネラルも豊富なので、砂糖の代わりにさつまいもの甘みを使うことで血糖コントロールをしながら栄養バランスもサポートするおやつを作ることが出来ます!
簡単に作れる安納芋の低糖質スイーツ
安納芋のミルクプリン
砂糖の代わりに安納芋を使った自然な甘みのミルクプリンです。
〈材料〉
- 安納芋・・・20g
- 低脂肪牛乳・・・50ml
- 生クリーム・・・5g
- 粉ゼラチン・・・1g
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸し器で柔らかくなるまで蒸す。皮を除き、裏ごしする。
2、 1を鍋に入れて、低脂肪牛乳を少しずつ加えて馴染ませる。全体が均一に混ざったら弱火にかけてひと煮たちさせる。粉ゼラチンを振り入れ、よく混ぜる。
3、 火を止めて生クリームを入れて混ぜる。器に入れ冷蔵庫で固めるまで冷やす。
安納芋のドーナツ
〈材料〉
- 安納芋・・・25g
- おからパウダー・・・3g
- 卵・・・1/4個
- ベーキングパウダー・・・小さじ1/4
- 低脂肪牛乳・・・大さじ1
- 無塩バター・・・2g
〈作り方〉
1、安納芋は蒸して皮を除き裏ごしする。
2、バターは室温に戻し、泡だて器でよく混ぜる。安納芋、おからパウダー、ベーキングパウダーを加え更によく混ぜる。最後に牛乳を少しずつ加え、伸ばす。
3、耐熱ドーナツ型容器に2の生地を入れ、下から軽く叩いて空気抜きする。
4、電子レンジに500w3分かけ、一度取り出しひっくり返す。再度電子レンジに500w1分かける。
糖尿病の病気の仕組みをお話ししました。糖尿病を抱えている方が、炭水化物の量を気にしなければいけないのは、「血糖値を上げ過ぎないよう」にするためです。では、糖尿病を抱えている人にとって、どれくらいの焼き芋の摂取量が適切なのでしょうか。
焼き芋とご飯の糖質の量を比べてみよう
ここで、焼き芋100gとご飯100gの、糖質やカロリーを比べてみましょう。
焼き芋 ご飯(白米) カロリー(kcal) 151 156 糖質(g) 35.5 35.6 脂質(g) 0.2 0.2 たんぱく質(g) 1.2 2.5
表から見ていただくとわかるように、焼き芋とご飯の100gあたりの糖質やカロリーは、ほとんど変わりません。糖質が気になるという方が、さつまいもを食べたいときは、100gのご飯と置き換えて食べるといいでしょう。ちなみに100gの焼き芋は、だいたい小さいサイズ一本、100gのご飯は、お茶碗に6~7分目くらいの量です。脂質やたんぱく質も、同じ量の焼き芋とご飯では、それほど変わらないので、気にする必要はないでしょう。
糖尿病でもさつまいもは食べられる?
糖尿病食事療法でも間食が楽しめることをお伝えしました。さつまいもは甘いので間食に向いていますが、食事としてもオススメの食品です。今回は糖尿病食事療法で何を基準に食べるべきかという観点と合わせて、さつまいもがオススメな理由をお伝えしていきます。
バランスの良い食事とは?
「バランスの良い食事」、前回の記事にも書きましたが、この言葉は誰もが一度は聞いたことがあると思います。それでは具体的にはどんなバランスなのでしょうか。この質問を講演や教室ですると「野菜が沢山食べる」とか「品数を多くする」といった声が聞こえてくることが多いです。勿論間違いではありせん。野菜も品数も多ければ様々な栄養素が摂取しやすくなります。しかし、専門的には具体的な数値で推奨されている食事のバランスがあります。これが3大栄養素の比率を数値としたものです。3大栄養素とは炭水化物・タンパク質・脂質の3つです。1日の総摂取カロリーの55~60%を糖質、13~15%をタンパク質、20~25%を脂質から摂取することが望ましいとされています。これは糖尿病の食事療法でも’同じです。つまり糖尿病の食事とは特別なものではなく、健康的な食事をすることなのです。
糖尿病だからこそさつまいも
糖尿病と聞くと糖質は摂らない食事と思われる方が多いのですが、そんなことはなく、摂取エネルギーの半分は糖質から摂取することを基本としています。しかしながら糖質の「質」には注意が必要です。同じ糖質でも血糖値の上昇が急な食品もあれば緩やかな食品もあります。これはグライセミック・インデックス(GI値)という指数で示されており、数値が高いほど食後の血糖値の上がり方が急上昇しやすくなります。GI値が高いと血糖を下げる働きのホルモンの作用が追い付かず、高血糖状態が続きやすくなるため糖尿病食事療法では低GI値の食品の摂取を推奨しています。白米、白砂糖、小麦粉など精製された穀物や糖類は高GI値の物がほとんどです。しかし、さつまいもはGI値が55と低い値となっています。他の穀類より甘みが強いことにより、糖尿病では避けなければならない印象ですが、量を守れば糖尿病患者様でも食事の中で甘みを楽しめる食品なのです。
簡単ヘルシーさつまいもスイーツ
安納芋のチーズケーキ
糖類不使用。混ぜて焼くだけで誰でも簡単に作れるチーズケーキです。
〈材料〉
- 安納芋・・・20g
- クリームチーズ・・・15g
- 卵・・・1/4個
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごししておく。
2、 1に卵を溶いて少しずつ加え、よく馴染ませる。
3、 クリームチーズは室温に戻しておく。2と3をよく混ぜ合わせる。耐熱容器に入れて220℃のオーブンで20分焼く。
安納芋のトリュフ
〈材料〉
- 安納芋・・・20g
- きなこ・・・5g
- ダークチョコレート・・・5g
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごしする。
2、 1をボウルに入れてきなこを加えてよく混ぜる。
3、 ボウルにダークチョコレートを湯煎で溶かし、2を全体につけ、冷やし固める
さつまいもを食べるゴールデンタイム
これまでの記事で糖尿病食事療法では何を基準に食べるものを選ぶか、そして甘くて美味しいさつまいもも楽しむことが出来るということがお分かりになられたと思います。初めの記事で糖尿病の食事療法では「何を・いつ・どのくらい」食べるこ
とが大切だとお話しましたが、最終回はこの中の「いつ」と「どのくらい」についてお伝えしたいと思います。
おやつは3時という言葉は嘘?本当?どっち?
3時のおやつという言葉がありますが、実は糖尿病患者様にはこの習慣はあまり良くありません。なぜなら昼食後にやっと下がってきていた血糖値が、下がりきる前に再度上がってしまい、また下がりきる前に夕食になってしまう、つまり高血糖な状態が長くなってしまうからです。そこでオススメなのが昼食の後です。一時的に血糖値は高くなりますが、夕食までに十分に時間があるため、血糖値の下がった時間を作ることが出来ます。そうなると夕食後でも良い気がしますが、夕食の後は活動量が低く、糖を消費しきれない可能性が高まるのであまりオススメは出来ません。今日からおやつは13時にしてみましょう。
間食は160kcal以下、糖質10g以下を目安に
このくらいのエネルギー量、糖質量であれば血糖値にそこまで大きく影響されないとされている数値が160kcal以下、糖質10g以下です。さつまいもでは30gで糖質が9g程度になります。さつまいもは乳製品との相性がとても良いので、一緒に使ったデザートは栄養価も食べ応えも風味も上がります。タンパク質は血糖値の上昇を抑える効果が期待できる点からも良い組み合わせと言えます。作るのが面倒な時は蒸したさつまいもにミルクティーやカフェラテもオススメです。おやつは飲み物と一緒に摂ると満足感も得やすいです。その際にお砂糖は入れないようにしましょう。
簡単ヘルシーさつまいもスイーツ
さつまいもモンブラン
スポンジもクリームもさつまいもの甘さだけで作った低糖質モンブランです。
〈材料〉
- 安納芋(生地用)・・・10g
- 安納芋(クリーム用)・・・15g
- 生クリーム(クリーム用)・・・5g
- 生クリーム(ホイップ用)・・・10g
- 卵・・・1/2個
- おからパウダー・・・3g
- ベーキングパウダー・・・小さじ1/2
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごしする。
2、 卵を溶き、生地用の安納芋に少しずつ加えて馴染ませる。
3、 2におからパウダーとベーキングパウダーを加えて均一になるように混ぜる。
4、 2を耐熱容器に入れて電子レンジに500w1分かける。
5、 ホイップ用の生クリームを角が立つまで泡立出る。
6、 ボウルにクリーム用の安納芋と生クリームを入れてよく混ぜる
7、 4の生地の上に2のクリームを乗せ、上から6のさつまいもクリームを絞る。
安納芋のアイスクリーム
〈材料〉
- 安納芋・・・25g
- 生クリーム・・・10g
- 牛乳・・・5ml
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごしする。
2、 ボウルに1を入れ、生クリーム、牛乳を加えてよく混ぜる。
3、 冷蔵庫に入れて冷やし固める。
糖尿病は炭水化物コントロールでよくなる!: 総合内科専門医が教える 最強の糖質適正化メソッド
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