皆さんはさつまいもという言葉を聞くと、どのようなことをイメージするでしょうか?近年は糖質制限ブームもあり、甘くて美味しいさつまいもは少し敬遠しているなんて人も多いかもしれません。そんな糖質が多いイメージもあるさつまいもですが、実は糖尿病予防にも。
そこで今回は糖尿病がどのような病気なのか、糖尿病の予防方法と一緒にさつまいもの栄養価についても解説していきます。
糖尿病とは?
まずはじめに糖尿病がどのような病気なのかについて解説していきます。糖尿病は一言で言えば「血糖値が常に高い状態」が続く病気と言えるでしょう。糖尿病の初期症状では血糖値が高い状態が持続するだけなので、自覚症状は殆どありません。しかし、高血糖である状態が続くことで血管が傷つき、のどが渇く頻度が増えたり、疲れやすくなることが考えられます。
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糖尿病にならないための生活習慣と食生活
糖尿病にならないためには以下のような行動を心がけてみましょう。
- 食べすぎない
- 低GI食品を選ぶ
- 野菜は多めに摂取する
- 運動を習慣化させる
これらについて一つひとつ解説していきます。
食べすぎない
糖尿病の予防においては「食べすぎないこと」が大切です。食べ過ぎの人は「甘いものや脂っこいものの食べ過ぎ」「炭水化物の取りすぎ」などこれらの食生活を日常的に行っている人も多いでしょう。これを改善するだけでも糖尿病予防には非常に効果的なので、少しづつ意識すると良いでしょう。
低GI食品を選ぶ
低GI食品とは、食後の血糖値が上がりにくい食品のことを指します。GI値の低い食品には玄米や野菜類、きのこ類、海藻類などが挙げられます。また、GI値の低い食品には食物繊維が多く含まれているものが多いので、血糖値の上昇をゆっくりにしてくれる効果も期待できるでしょう。
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野菜は多めに心がける
野菜は食品の中でも特に低カロリーなものが多いと言えるでしょう。また、ビタミンやミネラル、食物繊維も多く含まれているので長い目で見ることで肥満の予防にも一役買ってくれます。
運動を習慣化させる
栄養学に基づいた食事と定期的な運動を組み合わせることで、糖尿病の発生リスクを大きく下げることができます。運動を取り入れることで、インスリンの働きが改善されたり、善玉コレステロールが増えたり、高血圧の人は血圧が下がったりと多くのメリットが挙げられます。
さつまいもに含まれている栄養素
さつまいもに含まれている主な栄養素は以下のとおりです。
- 食物繊維
- ビタミンやC
- ビタミンB6
これらの栄養素について一つひとつ説明していきます。
食物繊維
さつまいもには食物繊維が非常にたくさん含まれています。食物繊維は栄養素の吸収をおだやかにしたり、体内の不要なものを便として体の外に出してくれる効果が期待できます。ダイエットをしている人の中にはご飯などの代わりにさつまいもを主食として取り入れている人もいます。
ビタミンC
ビタミンCは体の組織を構成するために必要と言われているコラーゲンを作り出すのに一役買っている栄養素です。この他にも、免疫力を高めたり、体の調子を整えたりと健康的な生活を送るために最も欠かせない栄養素と言えるでしょう。
ビタミンB6
ビタミンB6には免疫力を適正な値に保ってくれる働きが期待できます。また、タンパク質の分解をサポートしてくれることから、タンパク質を日頃から多く摂取している人はビタミンB6の必要量も多くなります。糖尿病の他にも肝臓に脂肪が貯まるのを防ぐため、脂肪肝の予防にも大きく貢献してくれます。
さつまいもは食物繊維が豊富
食物繊維が多いため、体内でゆっくりと消化や吸収がされる。前述しましたが、さつまいもには食物繊維が豊富に含まれています。そのため体の中でゆっくりと消化や吸収がされ、血糖値の急上昇が起こりません。一般的に糖質を多く含む食べ物を摂取しすぎることで血糖値は急上昇します。血糖値の急上昇の仕組みとしてパンや麺、ごはん類に含まれている糖質は、食べた後に少腸においてブトウ糖に変化された後、吸収されます。その時に「インスリン」というホルモンが分泌されますが、このホルモンによって筋肉などに蓄積され、エネルギーとして活用されていきます。
食事を摂るとどんな人でも、食後には血中のブドウ糖の量が多くなりますが、一時的なものなので特に不安になる必要はありません。しかし、糖尿病の可能性がある人は食後の血糖値が急上昇することが分かっています。この仕組みは食後高血糖といいます。
食後高血糖の原因としてはインスリン不足やインスリンの働きが良くないことで引き起こされることが考えられています。
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さつまいもは糖尿病予防にもおすすめな理由
血糖値の急上昇を防ぐためには、一度に多くの食事量を摂らないことが大切です。特に脂っこいものや糖質量の多いものを食べ過ぎることで血糖値の上昇は大きなものになります。その中でもさつまいもは糖質が高く、主食になりうる食品でありながら、食物繊維が豊富なことによって食べても血糖値の上昇が緩やかになります。
また、ブドウ糖の吸収を遅くさせる効果が期待できる「クロロゲン酸」が豊富なことからも糖尿病予防に大きな期待ができるでしょう。皆さんもさつまいもを積極的に活用することで、是非糖尿病の予防を心がけてみてはいかがでしょうか?
糖尿病の人は焼き芋を食べても大丈夫?
結論から言うと、糖尿病を抱えている人は、焼き芋を全く食べてはいけないというわけではありません。しかし、焼き芋には多くの糖質が含まれているため、食べる量には注意が必要です。しかし、糖尿病を抱えている人は、なぜ糖質の量を気にしなければならないのでしょうか。
糖質制限
糖尿病の病気の仕組みをお話ししました。糖尿病を抱えている方が、炭水化物の量を気にしなければいけないのは、「血糖値を上げ過ぎないよう」にするためです。では、糖尿病を抱えている人にとって、どれくらいの焼き芋の摂取量が適切なのでしょうか。
焼き芋とご飯の糖質の量を比べてみよう
ここで、焼き芋100gとご飯100gの、糖質やカロリーを比べてみましょう。
焼き芋 ご飯(白米) カロリー(kcal) 151 156 糖質(g) 35.5 35.6 脂質(g) 0.2 0.2 たんぱく質(g) 1.2 2.5
表から見ていただくとわかるように、焼き芋とご飯の100gあたりの糖質やカロリーは、ほとんど変わりません。糖質が気になるという方が、さつまいもを食べたいときは、100gのご飯と置き換えて食べるといいでしょう。ちなみに100gの焼き芋は、だいたい小さいサイズ一本、100gのご飯は、お茶碗に6~7分目くらいの量です。脂質やたんぱく質も、同じ量の焼き芋とご飯では、それほど変わらないので、気にする必要はないでしょう。
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最近流行りの糖度の高いさつまいもには注意!
しかし、焼き芋のさつまいもを選ぶ際に、一点だけ気を付けてほしいことがあります。それは、安納芋や紅はるかのような糖度の高い焼き芋です。糖度が高いと、それだけ糖質も高いので、糖度の高い品種のさつまいもは避けるようにしましょう。
焼き芋にするとカロリーが上がってしまうの?
生のさつまいもに比べて、焼いた場合、カロリーが上がってしまうのが心配な方もいるでしょう。結論から言うと、さつまいもは、焼き芋にしてもカロリーは上がらないので、気にしなくても大丈夫です。
さつまいも(生)100g さつまいも(焼き芋)100g カロリー(kcal) 126 151 糖質(g) 29.7 35.5
上の表を見ると、生のさつまいもに比べて、焼いたさつまいもは、カロリーや糖質が上がってるように見えます。これは、生のさつまいもと、焼いたさつまいもに含まれる水分の違いに原因があります。含まれている水分が焼き芋の方が少ないため、同じ量を比べたときに糖質やカロリーが高いように見えるだけなのです。
ご飯の代わりに焼き芋に置き換え
前章では、同じ量であれば、ご飯と焼き芋を置き換えて食べるとよいという話をしました。実は、ご飯を焼き芋に置き換えることには、さらなるメリットがありました。
ご飯に含まれない栄養素が摂取できる
焼き芋100g ご飯(白米)100g 食物繊維(g) 3.5 1.5 カリウム(mg) 540 29 ビタミンC(g) 23 0 ビタミンB6(g) 0.33 0.02
上の表を見ると、ご飯に比べて焼き芋は、食物繊維やカリウム、ビタミンC、ビタミンB6の数値が高いことがわかります。食物繊維には、便のかさを増やすことによって便通を良くし、腸内環境を整えてくれる働きがあります。また食物繊維には、血糖値が急に上がるのを防ぐ働きが期待されています。カリウムには、ナトリウムを体外に排出する働きがあるので、むくみや高血圧を防ぐ効果が期待されており、ビタミンCとビタミンB6は、ともに免疫力アップに効果があります。血糖値に悩まされている人にとって、さつまいもは多くの健康効果が期待できるのです。
焼き芋を食べるときは皮も一緒に食べよう
ご飯の代わりに焼き芋を食べるときは、皮も一緒に食べることをおすすめします。皮を食べることによって、より多く食物繊維が摂れるという利点があります。また焼き芋の皮に含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種であり、抗酸化作用が認められているのです。
焼き芋を冷やして食べる
最近では、スーパーやコンビニで「冷やし焼き芋」に人気が高まっています。食べたことがある人もいるのではないでしょうか。焼き芋は冷やすと、難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)という成分が増加します。これは食物繊維と同じような働きを持っています。
焼き芋は冷ますことで、さつまいもに含まれているデンプンが、消化されにくいレジスタントスターチに変化します。このレジスタントスターチが、ダイエットに繋がる要因なのです。
糖尿病の人は焼き芋の食べ方には注意が必要!おすすめの食べ方
さつまいもには、糖尿病予防によいとされる成分が含まれていますが、糖質を多く含む食材であることは事実です。食べすぎてしまうと高血糖につながる可能性があるので、注意しましょう。ここでは食べ方の注意点や、おすすめの食べ方を紹介します。
適量を守る
糖尿病を治療中の人は、医師から食事療法について指導を受けているでしょう。さつまいもを食べる場合、1日の摂取カロリー・糖質量を考慮したうえで、ほかの食材と合わせてバランスよく食べることが大切です。さつまいもを1本丸ごと食べてしまうと、カロリー・糖質量ともにオーバーしてしまう可能性があります。中くらいの大きさのさつまいもであれば、3分の1本程度に留めるのがおすすめです。医師とも相談のうえ、食べすぎには注意しましょう。
食事の後半で食べる
血糖値の上昇を防ぐには、食べる順番にもポイントがあります。はじめは食物繊維の豊富な野菜、次に肉・魚といったタンパク質、最後に炭水化物を食べるのがよいでしょう。さつまいもは食物繊維を多く含みますが、糖質も多い炭水化物であるため、食事の後半で食べるのがおすすめです。ゆっくりとよく噛んで食べることで、食べすぎ防止にもつながりますよ。
加工食品は避ける
さつまいもを食べる際は、味付けをせずに、シンプルな焼きいもや、ふかしいもにして食べるのがおすすめです。天ぷらや大学いも、干しいもなど、おいしい加工食品や調理方法がたくさんありますが、これらは油分や糖分が多く、高血糖につながるため避けましょう。
皮ごと食べる
さつまいもを食べる際は、焼いもにして、皮ごと食べてみてはいかがでしょうか。さつまいもの皮には食物繊維が豊富に含まれており、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。そのほかにも、糖新生を抑制するクロロゲン酸、腸の蠕動運動を促すヤラピンなど、身体によいとされる成分が、皮付近に多く含まれているとのこと。せっかくの栄養を捨ててしまうのはもったいないので、ぜひ皮ごと食べてくださいね。
さつまいもの皮に含まれる栄養素が素晴らしい!さつまいもを皮つきで食べる方法と調理法を解説
一度焼いて、冷やしてから食べる
さつまいもに含まれるデンプンは、一度加熱してから冷やすことで「レジスタントスターチ」という成分に変化します。レジスタントスターチには食物繊維と似たような働きがあり、血糖値やコレステロール値の上昇の抑制に期待ができますよ。ほかにも、整腸効果や排便促進の働きもあるので、ぜひ冷やして食べてみてください。冷やし焼きいもは、簡単に作れるのでおすすめです。
上手にさつまいもを取り入れよう
本記事では、さつまいもが高血糖予防につながる理由や、おすすめの食べ方を紹介しました。食べる量や方法に気を付ければ、糖尿病の人でもさつまいもを食べられます。医師とも相談しながら、食生活に上手にさつまいもを取り入れてみてくださいね。
糖尿病の人がさつまいもを食べるゴールデンタイム
これまでの記事で糖尿病食事療法では何を基準に食べるものを選ぶか、そして甘くて美味しいさつまいもも楽しむことが出来るということがお分かりになられたと思います。初めの記事で糖尿病の食事療法では「何を・いつ・どのくらい」食べることが大切だとお話しましたが、最終回はこの中の「いつ」と「どのくらい」についてお伝えしたいと思います。
おやつは3時という言葉は嘘?本当?どっち?
3時のおやつという言葉がありますが、実は糖尿病患者様にはこの習慣はあまり良くありません。なぜなら昼食後にやっと下がってきていた血糖値が、下がりきる前に再度上がってしまい、また下がりきる前に夕食になってしまう、つまり高血糖な状態が長くなってしまうからです。そこでオススメなのが昼食の後です。一時的に血糖値は高くなりますが、夕食までに十分に時間があるため、血糖値の下がった時間を作ることが出来ます。そうなると夕食後でも良い気がしますが、夕食の後は活動量が低く、糖を消費しきれない可能性が高まるのであまりオススメは出来ません。今日からおやつは13時にしてみましょう。
間食は160kcal以下、糖質10g以下を目安に
このくらいのエネルギー量、糖質量であれば血糖値にそこまで大きく影響されないとされている数値が160kcal以下、糖質10g以下です。さつまいもでは30gで糖質が9g程度になります。さつまいもは乳製品との相性がとても良いので、一緒に使ったデザートは栄養価も食べ応えも風味も上がります。タンパク質は血糖値の上昇を抑える効果が期待できる点からも良い組み合わせと言えます。作るのが面倒な時は蒸したさつまいもにミルクティーやカフェラテもオススメです。おやつは飲み物と一緒に摂ると満足感も得やすいです。その際にお砂糖は入れないようにしましょう。
簡単ヘルシーさつまいもスイーツ
さつまいもモンブラン
スポンジもクリームもさつまいもの甘さだけで作った低糖質モンブランです。
〈材料〉
安納芋(生地用)・・・10g
安納芋(クリーム用)・・・15g
生クリーム(クリーム用)・・・5g
生クリーム(ホイップ用)・・・10
卵・・・1/2個
おからパウダー・・・3g
ベーキングパウダー・・・小さじ1/2
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごしする。
2、 卵を溶き、生地用の安納芋に少しずつ加えて馴染ませる。
3、 2におからパウダーとベーキングパウダーを加えて均一になるように混ぜる。
4、 2を耐熱容器に入れて電子レンジに500w1分かける。
5、 ホイップ用の生クリームを角が立つまで泡立出る。
6、 ボウルにクリーム用の安納芋と生クリームを入れてよく混ぜる
7、 4の生地の上に2のクリームを乗せ、上から6のさつまいもクリームを絞る。
安納芋のアイスクリーム
〈材料〉
安納芋・・・25g
生クリーム・・・10g
牛乳・・・5ml
〈作り方〉
1、 安納芋は蒸して皮を除き、裏ごしする。
2、 ボウルに1を入れ、生クリーム、牛乳を加えてよく混ぜる。
3、 冷蔵庫に入れて冷やし固める。