箱で買ったり、ご近所からたくさんいただいたりしたさつまいも。いざ使おうと取り出してみると、白い綿のようなものや黒いシミ、さらには芽まで出ていて、これを口にしても大丈夫なのかと不安になった経験はないでしょうか。実は、さつまいものカビは種類によって対処が異なり、黒いシミはカビではないことも。そして、じゃがいもとは違い、さつまいもの芽に毒性はありませんので安心して食べられます。この記事では、カビや芽が出たさつまいもを安全に食べられるかどうかの見分け方から、もしもの時の対処法、さらにはカビや芽を発生させないための正しい保存のコツまで、あなたの疑問に丁寧にお答えしていきます。箱でさつまいもを買う方、必見の内容になっています!
さつまいものカビは食べられる?種類別の見分け方と対処法
納屋や台所の片隅に置いておいたさつまいも。いざ使おうと手に取ってみたら、表面にうっすらとカビのようなものが生えていて、がっかりした経験はありませんか。食べ物を無駄にしたくないけれど、体に害があっては元も子もありません。ここでは、さつまいもに生えたカビが食べられるのかどうか、その見分け方と正しい対処法を詳しく解説していきます。
これはセーフ?白いカビや黒い点の正体
さつまいもに見られる変化の中には、カビのように見えても実は食べられるものと、そうでないものがあります。まずは、比較的安全とされるサインから見ていきましょう。
白い綿状のカビは取り除けば食べられる可能性

さつまいもの表面に、ふわふわとした白い綿のようなものが付着していることがあります。 これは白カビの一種である可能性が高いです。 もしカビが表面に付着しているだけで、さつまいも自体が硬く、異臭もしない場合は、その部分を厚めに切り落とせば食べられる可能性があります。 ただし、少しでも中身が変色していたり、柔らかくなっていたりする場合は、内部まで菌糸が伸びている恐れがあるため、思い切って処分する方が賢明です。
黒いシミはカビじゃない?ヤラピンの可能性も

さつまいもの皮や切り口に、黒いシミやタール状のものが付着していることがあります。 これを見て黒カビかと慌ててしまうかもしれませんが、多くの場合、その正体は「ヤラピン」という成分です。 ヤラピンはさつまいもを切った時に染み出る白い液体で、空気に触れると酸化して黒く変色する性質があります。 このヤラピンは、さつまいも特有の成分で食べても全く問題ありません。 むしろ、腸の動きを活発にする働きがあると言われています。 見た目が気になる場合は、その部分だけ取り除くと良いでしょう。
これはアウト!危険なカビの色と状態
一方で、一目で危険と判断できるカビや腐敗のサインも存在します。これらのサインを見つけたら、残念ですが食べるのは諦めましょう。
青カビ・緑カビは食中毒のリスクあり
さつまいもの端などが青や緑に変色している場合、それは青カビや緑カビの可能性があります。 これらのカビは、種類によってはカビ毒(マイコトキシン)を産生し、食中毒を引き起こす危険性があります。 見える範囲は小さくても、菌糸は内部深くまで広がっていることが多いため、一部を切り取って食べるのは非常に危険です。 青カビや緑カビ、あるいはヤラピンとは明らかに違う黒カビを見つけた場合は、絶対に食べずに全体を廃棄してください。
カビ以外の腐敗のサイン(異臭・ぬめり)

カビが生えていなくても、さつまいもが腐っている場合があります。 以下のようなサインが見られたら、食べるのは避けましょう。
| 危険なサイン | 具体的な状態 |
|---|---|
| 異臭 | 酸っぱい臭いやアルコールのような発酵臭、明らかな腐敗臭がする。 |
| ぬめり・ぶよぶよ | 表面がぬるぬるしていたり、水分が出てぶよぶよと柔らかくなっていたりする。 |
| 味の異常 | 口に入れたときに苦味や酸味、舌がピリピリするなどの違和感がある。 ※危険なので味見は絶対に避けましょう。 |
これらの状態は、細菌が繁殖して腐敗が進行している証拠です。カビの有無にかかわらず、さつまいも全体が傷んでいるため、食べずに処分してください。
もし危険なカビのさつまいもを食べたらどうなる?
万が一、危険なカビが生えたさつまいもを食べてしまった場合、カビ毒によって腹痛、下痢、嘔吐といった食中毒の症状が現れることがあります。 症状は必ず出るわけではありませんが、免疫力が低下している方などは特に注意が必要です。 もし、カビの生えたものを食べた後に体調不良を感じた場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診するようにしてください。
さつまいもの芽は食べても大丈夫!毒性の有無を解説
納屋や冷暗所に置いておいたさつまいもから、いつの間にか芽が伸びていて驚いた経験はありませんか。じゃがいもの芽には毒があるという話は有名なので、「さつまいもの芽も食べたら危ないのでは?」と不安に駆られてしまう方も少なくないでしょう。しかし、心配はご無用です。この章では、さつまいもの芽の安全性と、じゃがいもの芽との違いについて詳しく解説していきます。
さつまいもの芽に毒はない

結論から申し上げますと、さつまいもの芽に毒性はありません。 そのため、芽が出たさつまいもは食べても体に害はなく、安全です。 芽だけでなく、茎や葉も食べることができます。
ただし、芽の成長のためにさつまいも本体の栄養分が使われてしまうため、味が落ちたり、水分が失われて食感がパサパサになったりする可能性があります。 さつまいも本来の美味しさを存分に味わうためには、芽が出る前に食べきるのが理想的と言えるでしょう。
じゃがいもの芽に含まれるソラニンとの違い

多くの方がさつまいもの芽を危険だと感じてしまうのは、じゃがいもの芽と混同しているためです。 じゃがいもの芽には「ソラニン」や「チャコニン」といった天然毒素が含まれており、食中毒の原因となります。 これらを摂取すると、吐き気や嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状を引き起こす可能性があります。
そもそも、さつまいもとじゃがいもは、見た目は似ていますが植物学的には全く異なる種類の植物です。 さつまいもがヒルガオ科であるのに対し、じゃがいもはナス科の植物。 この分類上の違いが、芽の毒性の有無に繋がっているのです。
両者の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | さつまいも | じゃがいも |
|---|---|---|
| 植物の分類 | ヒルガオ科 | ナス科 |
| 芽の毒性 | なし | あり(注意が必要) |
| 含まれる主な毒素 | なし | ソラニン、チャコニン |
| 食べた場合の影響 | 体に害はないが、本体の味や食感が落ちることがある。 | 吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛などの食中毒症状を引き起こす可能性がある。 |
芽が出たさつまいもの調理法と注意点

さつまいもの芽は安全に食べられますが、調理の際にはいくつか押さえておきたいポイントがあります。芽が出たさつまいもを、より美味しくいただくための調理法と注意点をご紹介します。
まず、芽そのものは硬く、食感が良くない場合が多いため、調理前に取り除くのが一般的です。 包丁の根元やピーラーについている芽取りを使って、根元からしっかりとえぐり取るようにしましょう。 芽が広範囲に生えている場合は、その部分を少し厚めに切り落とすと手早く処理できます。
芽が出たさつまいもは、水分が少なくなり甘みが落ちていることがあります。そのため、煮物や大学芋のように、調理過程で水分や甘みを補える料理に向いています。また、天ぷらや味噌汁の具にすれば、多少の食感の変化も気になりにくいでしょう。
最も大切な注意点は、芽が出ていること以外の劣化のサインがないかを確認することです。 芽に毒はありませんが、さつまいも自体が腐っている可能性はあります。酸っぱい異臭がしたり、表面にぬめりがあったり、カビが生えていたりする場合は、食べるのをやめてください。 芽の有無だけでなく、さつまいも全体の鮮度をしっかりと見極めることが重要です。
もう失敗しない!さつまいもにカビや芽を生やさない保存術
せっかく手に入れた美味しいさつまいも、気づいたときにはカビが生えていたり、芽が出てしまったりしてがっかりした経験はありませんか。さつまいもは、実はとても繊細な野菜です。しかし、いくつかの簡単なコツを押さえるだけで、その美味しさをぐっと長持ちさせることが可能になります。これからご紹介する保存術を実践して、いつでも美味しいさつまいもを味わえるようにしましょう。
さつまいも保存の3つの鉄則
さつまいもを長く美味しく保つための基本は、非常にシンプルです。「温度と湿度」「土付きのまま」「冷蔵庫に入れない」という3つの鉄則を守ることが、カビや発芽を防ぎ、さつまいも本来の甘みを引き出すための鍵となります。
適した温度と湿度を保つ

さつまいもは熱帯地方が原産の作物であるため、寒さに非常に弱い性質を持っています。保存に最も適した環境は、温度が13℃〜15℃、湿度が80%〜90%です。 この温度と湿度を保つことで、さつまいもの呼吸が穏やかになり、鮮度と美味しさを長く維持することができます。10℃以下の環境では低温障害を起こし、傷みやすくなるため注意が必要です。
土付きのまま新聞紙で包む

もし八百屋や直売所で土付きのさつまいもが手に入ったなら、それはとても幸運なことです。土は洗わずに、付いたままの状態で保存するのが最善の方法です。 表面の土が天然のコーティングとなり、さつまいもを乾燥から守り、適度な湿度を保ってくれます。保存する際は、一本一本を優しく新聞紙で包みましょう。新聞紙が余分な湿気を吸収し、カビの発生を防いでくれます。 包んださつまいもは、段ボール箱などに入れておくとさらに良いでしょう。
冷蔵庫には入れない

野菜を保存するとなると、つい冷蔵庫に入れてしまいがちですが、さつまいもにとっては逆効果です。冷蔵庫内の低い温度は、さつまいもに低温障害を引き起こさせます。 低温障害を起こしたさつまいもは、甘みが失われたり、苦味が出たり、中が黒く変色したりと、食味を著しく損ないます。 また、腐敗も早めてしまうため、特別な場合を除き、冷蔵庫での保存は絶対に避けるべきです。
季節別 さつまいもの保存のコツ
さつまいもの基本的な保存方法は常温ですが、日本の四季の変化に合わせて少しだけ工夫を加えることで、より良い状態で保存できます。特に、気温が高くなる夏場と、氷点下に近づくこともある冬場は注意が必要です。
| 季節 | 最適な保存場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 秋・春 | 風通しの良い冷暗所(玄関、北向きの部屋など) | 直射日光を避け、段ボール箱などに入れて保存します。比較的管理しやすい季節です。 |
| 夏 | 冷蔵庫の野菜室 | 気温が20℃を超えると芽が出やすくなるため、夏場は例外的に野菜室で保存します。 その際も新聞紙で包み、ポリ袋に入れて乾燥を防ぐのがポイントです。 |
| 冬 | 室内(暖房の影響がない場所) | 気温が10℃以下になる場所は避けます。 床下収納や発泡スチロール箱で寒さ対策を行いましょう。 |
長期保存したい場合は冷凍がおすすめ

すぐに食べきれない量のさつまいもがある場合や、調理の手間を省きたいときには、冷凍保存が非常に有効な手段です。冷凍することで、約1ヶ月程度の長期保存が可能になります。 用途に合わせて、生のままでも加熱してからでも冷凍できます。
生のまま冷凍する場合
生のまま冷凍すると、調理時に煮崩れしにくいという利点があります。
- さつまいもをよく洗い、皮をむくか、むかないで使いやすい形(輪切り、いちょう切りなど)にカットします。
- 変色を防ぐため、5〜10分ほど水にさらしてアクを抜きます。
- キッチンペーパーで水気を完全に拭き取ります。
- 冷凍用保存袋に平らになるように入れ、空気を抜いて冷凍庫で保存します。
加熱してから冷凍する場合
加熱してから冷凍しておくと、使いたいときにすぐに料理に加えられて時短になります。
- さつまいもを洗い、蒸したり茹でたりして柔らかく加熱します。
- 使いやすい大きさにカットするか、熱いうちに潰してマッシュ状にします。
- 十分に冷ましてから、小分けにしてラップで包みます。
- 冷凍用保存袋に入れて冷凍します。マッシュ状のものは、平らにならして保存すると場所を取りません。
冷凍したさつまいもは、煮物や味噌汁には凍ったまま、炒め物などに使う場合は電子レンジで解凍するなど、料理に合わせて使い分けることができます。
まとめ

今回は、さつまいもに生えるカビや芽について、その見分け方から正しい対処法までを詳しく見てきました。結論として、さつまいもの芽にはじゃがいものような毒性はないため、取り除けば安心して食べることができます。一方でカビは、その色が見極めの重要なポイントです。白い綿状のものは部分的に取り除けば食べられる可能性がありますが、青や緑のカビは健康を害する恐れがあるため、残念ですが処分するのが賢明でしょう。正しい知識を身につけ、適切な保存方法を心掛けることで、さつまいもを無駄なく、最後まで美味しく味わうことができます。この記事が、皆さんの日々の食生活の一助となれば幸いです。








