さつまいもとその他根菜類(じゃがいも、里芋、長芋)の違いを調べてみた!栄養成分や料理の使用方法、どのような料理に向いているのか?さつまいもとの違いとは?

芋類とは

芋類とは主に植物の根や球根が大きくなり栄養分が含まれた根菜類の一部で、食品として利用されるものを言います。また総称で呼ばれているだけで、芋という品種はありません。芋類にはさつまいも、じゃがいも、里芋、山芋、こんにゃく(こんにゃくいも)、ヤーコンなどがあります。ここではさつまいもとの比較をするため、普段よく料理に使われるじゃがいも、里芋、長芋に絞り栄養成分を比較します。

栄養成分比較表(可食部100g当たり)

さつまいも じゃがいも 里芋 長芋
エネルギー(kal) 127 51 53 64
タンパク質(g) 0.8 1.4 1.2 1.5
脂質(g) 0.1 微量 0.1 0.1
炭水化物(g) 28.4 14.2 10.3 12.9
食物繊維(g) 2.8 9.8 2.3 1.0
カリウム(mg) 380 420 640 430
ビタミンC(mg) 25 28 6 6
ビタミンE(mg) 1.0 微量 0.6 0.2
カルシウム(mg) 40 4 10 17

引用:文部科学省八訂日本食品成分表2020版より

まず上記の表でもわかるように、芋類にはでんぷん質(炭水化物のうち栄養源となるものを言います。)が多く含まれているので、体力を温存して健康な体作りに役立てる事ができます。芋類は全般的に食物繊維、カリウム、ビタミンCが豊富です。じゃがいもは特にビタミンCが豊富で、りんごの5倍もあるため「大地のりんご」とも呼ばれています。ビタミンCは免疫力を高め、老化の原因となる活性酸素を除去する作用があると言われています。

ここで一つ説明しておきたいのですが、食品成分表が7訂から8訂に改訂される際、食物繊維の求め方が変わったため、じゃがいもの食物繊維が大幅に多くなり、糖質(上記には書いていませんが)が減少しました。しかし、炭水化物は食物繊維と糖質の合計になるため、炭水化物総量としては変わっていないということをお伝えしておきます。これらの変更は、まだ世間に広く認知されていないように感じられますが、食物繊維が多いとわかったため、今後は、今までじゃがいもは太るというイメージを持っていた方にも、少し朗報になるのではないでしょうか?

次に里芋は、芋類の中でもカリウムが最も多く、高血圧予防の効果が期待でき、たんぱく質、ビタミン類もバランスよく栄養価が高い芋です。また、里芋の特徴であるぬめり成分の一つであるガラクタンは、脳細胞を活性化させ、免疫力を高める効果が期待されています。芋類の中では低カロリーなので、カロリーを抑えたい人には嬉しいです。

長芋の主な成分もでんぷん質ですが、でんぷん分解酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)が豊富に含まれており、消化を助けるため、芋類の中で唯一生で食べられる事ができます。また昔から、中国では漢方薬として利用されるほど、消化促進、滋養強壮効果が高く、老化防止、疲労回復、便秘改善などの効果が期待されています。

さつまいもも、他の芋類同様でんぷん質が主な成分で、水分を除くと90%が糖質です。加熱すると甘みが増し、芋類の中で最も甘みがあります。さつまいもは糖質が高いから太るというイメージを持つ人も多いと思いますが、カロリーは米や小麦に比べて1/3程度と低く、ビタミン、ミネラル、食物繊維、カルシウムが豊富に含まれているのが特徴です。食物繊維は脂質、糖分、ナトリウムなどを吸着し、体外に排出する働きがあります。これに加えて、さつまいもには切り口から出る白い乳液状のヤラピンという成分が多く含まれるのが特徴で、胃の粘膜を保護したり、整腸作用があり便秘予防に効果があると言われています。ヤラピンという成分は、食品ではさつまいもにしか含まれていませんので、食物繊維との相乗効果で、便秘で悩んでいる人にはより期待が高いです。したがって、1日3食のうち1食をさつまいもに置き換えてみるのもよいでしょう。

芋類別用途

芋類はそれぞれの品種も豊富で、いろいろな料理が楽しめます。メイン料理から付け合わせにスイーツまで幅広く使えてアレンジしやすいのも特徴です。ここでは、簡単にどういう料理に向いているか、どういう使い方ができるかを芋類別にご紹介します。

じゃがいも

じゃがいもは芋類の中でもアレンジがしやすく、煮る、蒸す、焼く、揚げるなど様々な調理法で楽しむ事ができます。カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮込み料理に、代表的なポテトサラダ、子供が大好きなポテトフライなどがあります。じゃがいも自体は味が淡白なので、どんな味付けにも馴染みやすく、あと一品ほしいという時に使いやすい食材です。

じゃがいもで一つ気を付けておきたい点は、じゃがいもの芽と緑化した皮です。そこにはソラニン、チャコニンと言われる毒性のある成分が含まれ、一定量以上摂取すると、腹痛や食中毒症状を引き起こすと言われています。また、加熱しても完全に毒性がなくなるわけではないため、芽はしっかりとえぐり取るようにしましょう。その点さえ気を付ければ、美味しいじゃがいもを色々なシーンで楽しむ事ができます。

里芋

里芋は、芋類の中では最も低カロリーなので、カロリーを気にしている人や、ダイエット中の人には嬉しい食材です。里芋で煮物を作る人は多いと思いますが、その中でも定番なのがイカと里芋の煮物で、イカの風味が里芋によく染み込んで旨味が増します。また大根を加えると、大根にもイカの旨味が染みわたり、ボリュームのある一品になります。

煮物のほかにも、じゃがいもの代わりに里芋を使ったお芋サラダにすると、里芋ならではのねっとり感が味わえ、ほのかな優しい甘みがひそかに人気です。煮物のイメージが強い里芋ですが、コロッケにしたり、豚肉などと一緒に照り焼きにしたりしても美味しいので、色々チャレンジしてみるのもよいでしょう。

長芋

長芋は調理法によって、味わいも食感も大きく変化する食材です。生で食べるとシャキシャキ、すりおろすとネバネバ、それを加熱するとフワフワ、ホクホクと様々な食感が楽しめます。短冊切りにしてシャキシャキサラダにしたり、すりおろしてお好み焼きに混ぜたり、とろろ丼にするのも人気です。

また、ホワイトソースの代わりに長芋をすりおろしてグラタンにすると、ホワイトソースを使うより低カロリーで手軽に作れます。色々アレンジして、ぜひ長芋の食感を楽しんでみて下さい。

さつまいも

さつもいもは安納芋、紅はるか、シルクスイートなど様々な品種があり、それぞれ違いはありますが、さつまいもと言えばやはり「焼き芋」というイメージが強いです。

さつまいもそのものをしっかり味わう方法としても、焼き芋、ふかし芋、蒸し芋などがあり、調理法によって甘みの引き出し方や、食感が変わります。ホクホク、ねっとり、とろとろ、しっとりなど、品種や調理法を変える事で楽しみ方がとても広がるでしょう。

また、さつまいもは主食から主菜、副菜、デザートまで、アレンジによって幅広く使う事ができます。例えばさつまいもご飯を主食に、豚肉とさつまいもの甘辛煮や鶏肉とさつまいものソテーなどを主菜に、そしてさつまいもサラダや豚汁、さつまいもきんぴらを副菜にし、最後にさつまいもプリンやさつまいものアイスクリームをデザートにすれば豪華なさつまいもメインのコース料理ができそうですね。デザートやおやつのイメージが強いさつまいもですが、食事の中でどこかに取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

芋類は糖質が多く太るというイメージを持っている人が多いと思いますが、上記でも述べたように、食物繊維やカルシウム、ビタミン、ミネラルも豊富で、とても優秀な食材です。肉類、魚類、豆類などのたんぱく質や野菜などと一緒に摂取することで、バランスのとれた献立になります。どんな料理にも合わせやすいので、ぜひ色々な芋類を取り入れて、上手に栄養素も摂取しましょう。