自宅で簡単!紅はるかで「ねっとり」蜜あふれる焼き芋を作る究極のレシピ

お店で買う焼き芋の、あの蜜があふれ出すようなねっとりとした食感。ご家庭で紅はるかを焼いてみても、なぜかパサついてしまって再現できない…。そう感じている方は少なくないかもしれません。実は、その美味しさの分かれ道は、焼き加減にありました。さつまいもが持つ甘さを最大限に引き出すには、酵素が働く「特定の温度帯でじっくり加熱する」ことが何よりも大切なのです。この記事を読めば、その科学的な理由から、ご家庭の調理器具でプロの味を再現する究極のレシピまで、すべてが分かります。もう失敗しない、蜜たっぷりの焼き芋作りを始めましょう。

なぜ?お店のように「ねっとり」焼けない…その原因と解決策

なぜ?お店のように「ねっとり」焼けない…その原因と解決策

焼き芋は簡単そうに見えて、実はとても奥が深い料理です。特に「紅はるか」を使って、あの蜜があふれ出すようなねっとり甘い焼き芋を自宅で再現しようとしても、「思ったより甘くない」「食感がパサパサしてしまった」という経験はありませんか?かくいう私も、理想の焼き芋を求めて何度も試行錯誤を繰り返してきました。その失敗の経験から見えてきたのは、お店のような極上の焼き芋が作れない原因のほとんどが、焼き方とさつまいもの状態にあるということでした。

でも、ご安心ください。失敗の原因さえ分かれば、解決策は意外とシンプルです。特別な調理器具がなくても、スーパーで手に入る紅はるかで、お店に負けないくらい「ねっとり」で「しっとり」な蜜あふれる焼き芋は作れるのです。ここでは、多くの人が陥りがちな失敗の原因と、それを解決するための具体的なポイントを詳しく解説していきます。

失敗の3大原因!「温度・時間・芋の状態」を見直そう

失敗の3大原因!「温度・時間・芋の状態」を見直そう

自宅での焼き芋作りがうまくいかない主な原因は、突き詰めると「加熱温度」「加熱時間」「さつまいも自体の状態」の3つに集約されます。まずは、ご自身の作り方がどれに当てはまるか、下の表で確認してみましょう。

失敗の原因 なぜダメなのか? 解決策
高温・短時間での加熱 さつまいもが甘くなるための酵素が働く前に火が通り過ぎてしまい、でんぷん質が残ってパサパサになる。 低温でじっくり時間をかけて加熱し、甘みを最大限に引き出す。
芋の追熟が不足 収穫直後のさつまいもはでんぷんが多く、糖度が低い状態。甘みのポテンシャルを秘めたまま眠っている。 購入後に適切な環境で保存し、さつまいも自身が甘くなるのを待つ。(追熟)
大きすぎる・細すぎる芋 大きすぎると中心まで均一に火が通らず、細すぎると水分が飛びすぎてパサつく原因になる。 火の通りが均一になりやすい、小ぶりでふっくらした形の芋を選ぶ。

原因1:加熱温度が高すぎる・時間が短すぎる

焼き芋がねっとり甘くなるのには、科学的な理由があります。さつまいもに含まれるでんぷんは、アミラーゼという酵素の働きによって麦芽糖(ばくがとう)という甘い糖に分解されます。このアミラーゼが最も活発に働くのが、60℃から70℃という温度帯なのです。

急いで食べたいからと200℃以上の高温で一気に焼いてしまうと、この「甘くなる魔法の温度帯」をすぐに通り過ぎてしまいます。酵素が十分に働く時間がなく、でんぷんが糖に変わる前にただ火が通っただけの状態、つまり「蒸した芋」や「茹でた芋」に近い、ホクホク・パサパサした食感になってしまうのです。お店の石焼き芋が時間をかけてじっくり焼かれているのは、この酵素の働きを最大限に引き出すため。自宅でねっとり焼き芋を成功させる最大の秘訣は、低温で長時間加熱し、60℃~70℃の温度帯をいかに長く保つかにかかっています。

原因2:さつまいもの「追熟」が足りていない

実は、収穫したばかりのさつまいもは、それほど甘くありません。でんぷんが多く蓄えられている状態で、甘みの素となる糖はまだ少ないのです。しかし、さつまいもは収穫後も生きており、適切な環境で貯蔵することで、自らのでんぷんをゆっくりと糖に変えていきます。このプロセスを「追熟(ついじゅく)」と呼びます。

スーパーなどで購入した紅はるかが、期待したほど甘くなかった場合、この追熟が十分に進んでいない可能性があります。お店で売られている焼き芋用のさつまいもは、専門の貯蔵庫で徹底した温度・湿度管理のもと、数ヶ月かけて追熟され、甘みがピークに達したものを使っていることが多いのです。家庭でもこの追熟を少し意識するだけで、紅はるかのポテンシャルをぐっと引き出すことができます。

原因3:焼き芋に向かない大きさや形の芋を選んでいる

せっかくなら立派なものを、と大きなさつまいもを選びがちですが、これも失敗の原因になり得ます。家庭用のオーブンでは、業務用のものほどパワーが強くないため、大きすぎる芋の中心まで低温でじっくり熱を伝えるのは至難の業です。結果的に、表面は焼けているのに中心はまだ硬い、といった焼きムラができてしまいます。

逆に、細すぎる芋は火の通りは早いものの、水分が抜けやすくパサついた仕上がりになりがちです。理想は、全体に均一に火が通りやすい、直径5~6cm程度の小ぶりで、きれいな紡錘形(ぼうすいけい)をしたふっくらした紅はるか。芋選びの段階から、美味しい焼き芋作りは始まっているのです。

紅はるかとは?他のさつまいもにはない甘さと食感の秘密

お店で買うあの蜜があふれ出す焼き芋、その多くが「紅はるか」という品種なのをご存知でしたか。数あるさつまいもの中でも、紅はるかはその圧倒的な甘さと、まるでクリームのような「ねっとり」とした食感で、多くの焼き芋ファンを虜にしています。なぜ、紅はるかはこれほどまでに私たちの心を掴むのでしょうか。その美味しさの背景には、他のさつまいもにはない、特別な秘密が隠されているのです。ここでは、その正体にじっくりと迫ってみましょう。

「はるかに甘い」が名前の由来

「はるかに甘い」が名前の由来

「紅はるか」という名前には、その特徴が実に見事に表現されています。まず「紅」は、その美しい赤紫色の皮から。そして「はるか」は、既存のどの品種よりも「はるかに」甘く、美味しいという開発者の自信と期待が込められています。

この品種は、九州沖縄農業研究センターで「九州121号」と「春こがね」という品種を交配させて誕生しました。外観が優れているだけでなく、蒸しいもや焼き芋にした際の糖度が非常に高いのが特徴です。その味わいは、まさに名前の通り。一度食べれば、誰もがその「はるか」な違いに驚かされることでしょう。

加熱で糖度60度にもなる「蜜芋」の代表格

加熱で糖度60度にもなる「蜜芋」の代表格

紅はるかの最大の魅力は、なんといってもその驚異的な甘さです。さつまいもは加熱することで、もともと含まれているデンプンが麦芽糖という甘い糖に変わります。紅はるかはこの働きが特に活発で、じっくりと時間をかけて低温で加熱すると、糖度はなんと60度近くにまで達することがあります。これは完熟したフルーツにも匹敵する甘さで、焼き上げると皮から蜜がじゅわっとあふれ出してくるほど。このことから、同じくねっとり系の代表格である安納芋と並び、「蜜芋」とも呼ばれています。

その食感もまた格別です。加熱しても果肉に水分がしっかりと残り、驚くほどしっとりとなめらかな舌触りを生み出します。高い糖度がもたらす濃厚な甘みと、この上質な水分量が合わさることで、あの唯一無二の「ねっとり」とした食感が生まれるのです。他の代表的なさつまいもと比べてみると、その特徴はより一層際立ちます。

さつまいもの品種別特徴比較
品種名 食感タイプ 甘さの目安 主な特徴
紅はるか ねっとり系 非常に強い 加熱で蜜があふれるほどの強い甘み。クリームのようにしっとりなめらかな食感。
安納芋 ねっとり系 非常に強い 蜜芋の元祖的存在。水分が多く、粘質で濃厚な甘さが特徴。オレンジ色の果肉。
シルクスイート しっとり系 強い 絹(シルク)のようになめらかな舌触り。上品な甘さで、スイーツのような食感。
鳴門金時 ほくほく系 やや強い 栗のようなほくほくとした食感。昔ながらの焼き芋らしい素朴で上品な甘さが魅力。

このように、紅はるかは甘さ、食感ともに他の品種とは一線を画す存在です。このポテンシャルを最大限に引き出すことが、自宅で究極のねっとり焼き芋を作るための鍵となるのです。

極上のねっとり焼き芋は「下準備」で9割決まる

お店で食べるような、蜜があふれ出す「ねっとり」とした焼き芋。自宅で挑戦してみても、なぜかパサついたり、甘さが足りなかったり。その失敗の原因は、実は焼き方そのものよりも、焼く前の「下準備」にあることがほとんどです。紅はるかが持つポテンシャルを最大限に引き出すためには、素材選びから焼き始める直前までの工程が極めて重要になります。言わば、極上の焼き芋は下準備で9割決まるのです。ここでは、誰もが驚くほどの美味しい焼き芋に仕上げるための、3つの重要な下準備について詳しく解説していきます。

美味しい紅はるかの選び方|小ぶりでふっくらした形がベスト

美味しい紅はるかの選び方|小ぶりでふっくらした形がベスト

美味しい焼き芋作りの第一歩は、なんといっても良質な紅はるかを選ぶことから始まります。スーパーの店頭には様々な形や大きさのさつまいもが並んでいますが、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。ポイントは、大きすぎず、ふっくらとした紡錘(ぼうすい)形のものを選ぶこと。小ぶりなサイズのほうが、時間をかけてじっくり火を通した際に中心部まで均一に熱が伝わりやすく、甘さを引き出す酵素が働きやすくなるのです。結果として、甘みが凝縮され、理想のねっとり食感に仕上がります。

見た目で判断する際の具体的なポイントを、下の表にまとめました。ぜひ、お店で紅はるかを選ぶ際の参考にしてください。

チェック項目 良い紅はるかの特徴 避けたほうが良いもの
形と大きさ ずんぐりと太く、中央がふっくらした紡錘形。大きすぎない小ぶり〜中くらいのサイズ。 細長いもの、大きすぎるもの、ゴツゴツと凹凸が多いもの。
皮の色と状態 全体的に色が均一で、鮮やかな赤紫色をしている。ハリとツヤがある。 黒い斑点や傷、シワが多いもの。色が薄く白っぽいもの。
表面 ひげ根が少ない、または細いもの。土がついているものは鮮度が保たれている証拠。 ひげ根が太く、たくさん生えているもの(繊維質が多い可能性がある)。
切り口 (もしあれば)切り口から蜜のような甘い香りのする液体(ヤラピン)が滲み出ている。 切り口が黒く変色している、乾燥しきっているもの。

特に、皮の表面にポツポツと黒い蜜の跡が付着しているものは、糖度が高い証拠とも言われています。これらのポイントを押さえて、最高の素材を手に入れてください。

買ってきたらすぐ焼かない!追熟で甘さを増す保存方法

買ってきたらすぐ焼かない!追熟で甘さを増す保存方法

実は、収穫したばかりのさつまいもは、まだ本来の甘さを秘めたまま眠っている状態です。紅はるかを含むさつまいもは、収穫後に一定期間貯蔵することで「追熟」し、でんぷん質が糖に変わることで甘みが格段に増します。この追熟こそが、ねっとり甘い焼き芋を作るための重要なプロセスなのです。

ご家庭で追熟させる方法は、決して難しくありません。買ってきた紅はるかを、すぐに調理するのではなく、適切な環境で少し寝かせてあげるだけです。

具体的な方法は、まず土付きの場合は土を落とさずに、洗ってある場合は水気をよく拭き取ります。その後、一本ずつ新聞紙でくるみ、ダンボール箱などに入れて、風通しの良い冷暗所(13℃〜15℃くらいが理想)で保存します。この状態で2週間から1ヶ月ほど置いておくと、さつまいも内部の酵素「β-アミラーゼ」が活発に働き、でんぷんを甘い麦芽糖へと変えてくれます。

注意点として、さつまいもは寒さに弱いため、冷蔵庫での保存は絶対に避けてください。10℃以下の環境では低温障害を起こし、甘みが出なくなるばかりか、傷みやすくなってしまいます。この追熟というひと手間が、紅はるかをただのさつまいもから、蜜あふれる極上のスイーツへと昇華させるのです。

ひと手間で変わる!アク抜きで雑味を消し甘さを引き出す

ひと手間で変わる!アク抜きで雑味を消し甘さを引き出す

さつまいもを切ると、切り口から白い液体が出てくるのを見たことがあるかと思います。これは「ヤラピン」という成分で、さつまいも特有のものですが、空気に触れると黒く変色し、えぐみや雑味の原因になることがあります。このアクを焼く前に取り除くことで、紅はるかが持つ本来の澄んだ甘さを存分に味わうことができるようになります。

アク抜きの方法はとても簡単です。まず、紅はるかをたわしなどで優しくこすり、表面の土や汚れをきれいに洗い流します。次に、たっぷりの水を張ったボウルに、洗ったさつまいもをそのまま入れて30分〜1時間ほど浸しておくだけ。もし両端を切り落とす場合は、切ってから水に浸けるとより効果的です。

さらに、水にひとつまみの塩を加えるのもおすすめです。塩水に浸すことで浸透圧の作用でアクが抜けやすくなるだけでなく、塩の持つ「対比効果」によって、紅はるかの甘さがより一層引き立ち、味の輪郭がはっきりとします。この一手間が、焼き上がりの風味に驚くほどの差を生み出します。さつまいもの個体差による味のブレを少なくする効果も期待できるので、ぜひ試してみてください。

【調理器具別】紅はるかのポテンシャルを最大限に引き出す焼き方

下準備を終えた紅はるか。いよいよ、その甘さと食感のポテンシャルを最大限に引き出す「焼き」の工程に入ります。ご家庭にある調理器具によって、焼き上がりの特徴や手間のかけ方が少しずつ変わってきます。ここでは、オーブン、オーブントースター、フライパンという3つの代表的な調理器具を使った、それぞれの究極レシピをご紹介します。あなたのキッチン環境に合わせて、最高のねっとり焼き芋作りに挑戦してみましょう。

王道!オーブンで作る基本のねっとり焼き芋レシピ

王道!オーブンで作る基本のねっとり焼き芋レシピ

お店で売っているような、蜜があふれ出すねっとりとした焼き芋を自宅で再現するなら、やはりオーブンを使うのが王道です。時間はかかりますが、その手間をかける価値は十分にあります。オーブンの最大の利点は、庫内全体を一定の温度で均一に加熱できること。この特性を活かし、紅はるかが持つデンプンを糖に変える酵素「β-アミラーゼ」が最も活発に働く温度帯をじっくりと通過させることが、極上の甘さを生み出す鍵となります。

低温でじっくりが鉄則!温度と時間設定の黄金比

焼き芋作りでありがちな失敗は、早く焼きたいがために高温で一気に加熱してしまうことです。それでは表面だけが焦げて、中心部はパサパサのまま。紅はるかの真価を発揮させるには、「低温で時間をかけて加熱し、その後、余熱でじっくり蒸らす」というプロセスが欠かせません。私が何度も試行錯誤を重ねてたどり着いた、温度と時間設定の黄金比をご紹介します。

工程 温度設定 時間 ポイント
1. 焼く(1回目) 150℃(140℃でも可) 60分 β-アミラーゼが最も働く温度帯(60〜70℃)をゆっくり通過させます。
2. 蒸らす オーブンの電源を切る 60分 庫内の余熱を利用し、中心部まで均一に熱を伝えます。この間、扉は絶対に開けないでください。
3. 焼く(2回目) 140℃ 60分 30分経った時点で一度ひっくり返し、焼きムラを防ぎます。最後の15分で芋の柔らかさを確認しましょう。
4. 仕上げ 15分程度 アルミホイルを外し、室温で少し冷まします。粗熱が取れることで、さらに甘みが凝縮されます。

この手順を踏むことで、紅はるかの中心部までしっかりと糖化が進み、皮から蜜がじゅわっと染み出すほどの、ねっとりとした食感が生まれるのです。焼き上がりに軍手でそっと押してみて、全体がふにゃっと柔らかくなっていれば成功の証です。

アルミホイルは必要?役割と正しい包み方

アルミホイルは必要?役割と正しい包み方

オーブンで焼く際、アルミホイルで包むべきか悩む方も多いかもしれません。結論から言うと、ねっとり食感を目指すならアルミホイルは必須アイテムです。アルミホイルには、さつまいも自身の水分を閉じ込めて蒸し焼き状態にし、パサつきを防ぐ重要な役割があります。また、熱を均一に伝えることで、焦げ付きを防ぎながら中までじっくり火を通す手助けもしてくれます。

ねっとり食感を目指すならアルミホイルは必須アイテム

ただし、包み方には少しコツがあります。さつまいもを何重にもぐるぐる巻きにするのは避けましょう。熱が伝わりにくくなり、焼き時間が余計にかかってしまいます。紅はるかをひと巻きし、少し余裕があるくらいの長さでカットするのがベストです。両端はキャラメルの包み紙のように、きゅっとねじるか、軽く折りたたむようにして、蒸気が逃げないようにしてください。焼き芋専用の黒いアルミホイルなども市販されていますが、ご家庭にある通常のアルミホイルで十分に美味しく作ることができます。

手軽さが魅力!オーブントースターでの作り方

手軽さが魅力!オーブントースターでの作り方

「オーブンはないけれど、手軽に焼き芋を楽しみたい」という方には、オーブントースターが便利です。オーブンに比べて庫内が狭く、熱源が近いため短時間で焼き上がりますが、その分、焦げやすいという点には注意が必要です。

手軽さが魅力!オーブントースターでの作り方

オーブントースターで作る場合も、アルミホイルは必ず使いましょう。さつまいもを洗い、水気がついたままアルミホイルでぴったりと包みます。これをトースターに入れ、まずは15〜20分ほど加熱。一度取り出して上下をひっくり返し、さらに15〜20分焼きます。加熱が終わった後、すぐに取り出さずに電源を切ったまま庫内で10〜20分ほど蒸らすのが、しっとり感を出すための大切なポイントです。竹串を刺してみて、スッと抵抗なく通れば完成です。オーブンほどのねっとり感は難しいかもしれませんが、十分に甘く美味しい焼き芋を手軽に味わうことができます。

しっとり仕上げ!フライパンと水で作る蒸し焼き法

しっとり仕上げ!フライパンと水で作る蒸し焼き法

オーブンもトースターもない、というご家庭でも諦める必要はありません。蓋つきのフライパンがあれば、しっとりとした「蒸し焼き芋」を作ることができます。この方法は、少量の水で蒸しながら焼くため、特に水分を保ったまま甘さを引き出すのに適しています。

作り方はとても簡単です。まず、洗った紅はるかをフライパンに並べ、大さじ2〜3杯の水を加えます。そして蓋をして、必ず弱火で加熱を開始してください。強火にすると水がすぐに蒸発し、芋が焦げてしまいます。15分ほど経ったら蓋を開けて芋をひっくり返し、水がなくなっていたら少量足してください。これを何度か繰り返し、合計で40〜60分ほど加熱します。芋の大きさによって加熱時間は変わりますので、竹串で柔らかさを確認しながら調整しましょう。焼き芋というよりは「ふかし芋」に近い仕上がりですが、紅はるかならではの甘さとしっとり感は存分に楽しめます。

もっと美味しく!紅はるか焼き芋の食べ方アレンジ

丹精込めて焼き上げた、蜜があふれる紅はるかの焼き芋。もちろん、そのままで頬張るのが一番の贅沢かもしれません。しかし、せっかくならその美味しさを色々な角度から味わってみたくはありませんか。ここでは、定番から少し意外なものまで、紅はるかのポテンシャルをさらに引き出す食べ方のアレンジをご紹介します。

熱々も絶品!でも冷やすと甘さが増す?

熱々も絶品!でも冷やすと甘さが増す?

オーブンから取り出したばかりの焼き芋を割った瞬間に立ちのぼる、甘く香ばしい湯気。ふーふーと息を吹きかけながら熱々を頬張る時間は、まさに至福のひとときです。しかし、紅はるかの焼き芋は、一度冷やすことで、また違った表情を見せてくれるのをご存知でしょうか。

「冷やすと甘くなる」とよく言われますが、これには理由があります。ひとつは、私たちの舌のメカニズムです。舌は温度によって甘みの感じ方が変わり、体温より少し低い温度帯で甘さを強く感じやすい性質があります。さらに、冷えることで食感が変化し、より一層ねっとり感が増します。その結果、蜜のような甘さが舌に絡みつき、より濃厚に感じられるようになるのです。

焼き芋の温度による味わいの違い
状態 食感 甘みの特徴 おすすめのシーン
熱々 ほくほく感とねっとり感が共存。繊維が柔らかい。 香りとともに、優しい甘さが口の中に広がる。 寒い日の体を温めるおやつとして。
冷やし しっとり感とねっとり感が際立つ。まるでスイーツ。 甘みが凝縮され、濃厚でダイレクトに感じられる。 食後のデザートや、暑い日のおやつとして。

スプーンですくって食べる「冷やし焼き芋」のすすめ

スプーンですくって食べる「冷やし焼き芋」のすすめ

特におすすめしたいのが、冷蔵庫でしっかりと冷やした「冷やし焼き芋」です。作り方はいたって簡単。焼き上がった紅はるかの粗熱がとれたら、ラップに包んで冷蔵庫で数時間寝かせるだけ。これだけで、まるで天然のスイートポテトのような、極上のデザートが完成します。

ひんやりとした舌触りのあと、蜜のように凝縮された甘さが口いっぱいに広がります

完熟した紅はるかの冷やし焼き芋は、皮を器に見立て、スプーンですくって食べるのが最高です。ひんやりとした舌触りのあと、蜜のように凝縮された甘さが口いっぱいに広がります。ねっとりとろける食感は、一度味わうと病みつきになること間違いありません。焼き芋が「スイーツ」と呼ばれる理由を、きっと実感していただけるはずです。

定番から意外な組み合わせまで!絶品トッピング

熱々の焼き芋にバターをのせ、ほんの少し塩を振る王道の組み合わせ

冷やし焼き芋をさらに楽しむなら、トッピングを加えてみるのも一興です。シンプルな焼き芋が、あっという間にカフェスイーツのような一皿に変わります。

  • バターと塩:熱々の焼き芋にバターをのせ、ほんの少し塩を振る王道の組み合わせ。バターのコクと塩味が、紅はるかの濃厚な甘さをさらに引き立てます。
  • バニラアイスクリーム:温かい焼き芋にも、冷たい焼き芋にも相性抜群。熱々とひんやりの温度差を楽しむもよし、冷たいもの同士でリッチな味わいにするもよし。シナモンパウダーをかければ、さらに本格的なデザートになります。
  • クリームチーズ:意外かもしれませんが、クリームチーズの爽やかな酸味と塩気が、焼き芋の甘さと驚くほどマッチします。はちみつや黒胡椒を少し加えるのもおすすめです。
  • きな粉と黒蜜:和の組み合わせも外せません。香ばしいきな粉とコクのある黒蜜が、焼き芋を上品な和スイーツへと昇華させてくれます。

ご家庭にあるもので手軽に試せるのも、焼き芋アレンジの魅力です。ぜひ、あなただけのお気に入りの組み合わせを見つけて、紅はるかの奥深い世界を堪能してみてください。

まとめ

紅はるかで「ねっとり」蜜あふれる焼き芋を作る究極のレシピのまとめ

ご家庭で焼く紅はるかが、なぜかお店のようにねっとり仕上がらない。その最大の理由は、加熱の温度と時間にありました。さつまいものでんぷんを糖に変える酵素が最も活発に働くのは、低温域。この温度帯を長く保ちながらじっくりと火を通すことこそ、あの蜜があふれ出すような食感を生み出す秘訣なのです。また、購入後に少し寝かせて追熟させるという下準備も、甘さを引き出す上では欠かせない工程と言えるでしょう。ぜひ、ご紹介した究極のレシピで、これまでの焼き芋の常識が変わるほどの感動を味わってみてください。

焼き芋は簡単そうに見えても実は奥が深かったりします。紅はるかを使って焼き芋を自宅で作っても、思ったほど甘さが出なかったり、ねっとり感が足りなかった経験はありませんか?その原因は、さつまいもの大きさや焼き方に隠れています。紅はるかは、じっくり時間をかけて低温で焼くことで、その持ち味である濃厚な甘さとしっとりした食感が引き出されます。今回の記事では、焼き芋を徹底的にこだわって何回も焼いてきた筆者が焼き芋失敗を元に、より理想的な仕上がりにするには?自宅でこの食感や濃厚な甘さを作るには?を研究しました。この方法を試せば、家庭でも極上の紅はるかの焼き芋を楽しむことができます。しかもスーパーで購入できる紅はるかでねっとりしっとりと蜜があふれる焼き芋が作れるのです。