家庭でさつまいもを楽しむ際、シンプルかつ素材の味を一番感じられるのが「ふかし芋(蒸し芋)」ですよね。 蒸し器やレンジを開けた瞬間に広がる甘い香りは、幸せそのもの。ついつい「あれもこれも」と多めに蒸してしまい、食べきれずに残ってしまった経験はありませんか?
「ふかし芋は常温で置いておいても大丈夫?」 「冷蔵庫に入れたら、いつまで食べられるの?」
そんな疑問をお持ちの方のために、今回はふかし芋の正しい保存方法と日持ち期間について、さつまいものプロである五島商店佐藤の芋屋が詳しく解説します。 さらに、残ってしまったふかし芋を「極上の保存食」に変身させる、農家直伝の裏ワザもお教えします。
ふかし芋の日持ちはどれくらい?保存方法別の目安

結論から申し上げますと、ふかし芋は水分を多く含んでいるため、生のさつまいもに比べて傷みやすい食品です。季節や保存環境によって日持ちは大きく変わります。
まずは、保存方法ごとの賞味期限(美味しく食べられる期間)の目安を見ていきましょう。
常温保存の場合
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日持ち目安:当日中(夏場はNG)
ふかし芋の常温保存は、基本的におすすめしません。 特に気温や湿度が高い時期は、半日放置しただけでも傷んでしまう可能性があります。冬場の暖房が効いていない冷暗所(10℃以下)であれば1〜2日持つこともありますが、リスクを避けるためにも、粗熱が取れたらすぐに冷蔵または冷凍することをおすすめします。
もし「少し変な匂いがするかも?」と迷った場合は、以下の記事で見分け方を確認してください。
冷蔵保存の場合
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日持ち目安:2日〜3日
冷蔵庫(野菜室ではなく冷蔵室)で保存した場合は、2日〜3日が目安です。 ただし、さつまいもはデンプン質が多いため、冷蔵庫の乾燥した冷気によって水分が抜け、パサパサになりやすい弱点があります。後ほどご紹介する「正しい包み方」で保存することが重要です。
冷凍保存の場合
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日持ち目安:約1ヶ月
食べきれない時は、迷わず冷凍保存が一番です。 冷凍することで約1ヶ月ほど日持ちします。しかも、さつまいもは冷凍しても味が落ちにくい食材の一つ。むしろ、半解凍で食べることで「アイスケーキ」のような食感を楽しめたり、お味噌汁や煮物にそのまま使えたりと、メリットがたくさんあります。
【実践編】美味しさを逃さない!ふかし芋の正しい保存手順

「冷蔵庫に入れておいたら、カチカチに硬くなって美味しくなかった…」 そんな失敗を防ぐために、水分と甘みを守る正しい保存手順をご紹介します。
冷蔵保存のコツ:乾燥を防ぐ「二重包装」
冷蔵庫内は非常に乾燥しています。ふかし芋をしっとりしたまま保存するには、以下の手順を守ってください。
- しっかりと粗熱を取る 熱いまま包むと、蒸気が水滴となって付着し、そこから腐敗(カビやぬめり)の原因になります。中心まで冷めるのを待ちましょう。
- 1本ずつラップでぴっちり包む 空気に触れる面積を減らすため、隙間なくラップを密着させます。皮は剥かずに、皮付きのまま保存したほうが乾燥を防げます。
- 保存袋(ジップロック等)に入れる ラップをしたお芋をさらにフリーザーバッグやタッパーに入れ、空気を抜いて口を閉じます。この「二重包装」が美味しさを保つ秘訣です。
冷凍保存のコツ:用途に合わせて形を変える
冷凍する場合は、解凍後の食べ方をイメージして形を変えておくと便利です。
- 丸ごと冷凍: 焼き芋やふかし芋の「ねっとり感」を楽しみたい場合は、皮付きのまま丸ごと(または半分に切って)ラップに包み、保存袋に入れて冷凍します。
- 料理用にカット: お味噌汁やサラダに使いたい場合は、輪切りや角切りにして冷凍します。
注意!こんな状態は食べちゃダメ(腐敗のサイン)
保存していたふかし芋を食べようとした際、以下のような変化が見られた場合は、腐敗している可能性があります。もったいないですが、食べずに破棄してください。
- 酸っぱいニオイがする
- 表面にぬめりや糸引きがある
- カビが生えている(白や緑のふわふわしたもの)
冷えたふかし芋を美味しく復活させる温め方

冷蔵や冷凍で保存したふかし芋は、温め方ひとつで焼きたてのような美味しさが戻ってきます。
電子レンジを使う場合(手軽さNo.1)
- ラップを一度外し、濡らしたキッチンペーパーでふかし芋を包みます。
- その上からふんわりとラップをかけます。
- 600Wで1分〜2分程度(冷蔵の場合)、様子を見ながら加熱します。
そのままチンすると水分が飛んで硬くなるので、「濡れペーパー」が必須です。レンジ加熱の詳しいコツは以下の記事も参考にしてください。
トースターで焼く(香ばしさUP)
半分に切ったふかし芋をアルミホイルに乗せ、トースターで表面に焦げ目がつくまで焼きます。 「蒸し芋」が「焼き芋」風に変化し、香ばしさがプラスされて非常に美味しくなります。バターを乗せれば絶品です。
プロ農家のおすすめ!余ったふかし芋は「干し芋」にリメイク

ここまで基本的な保存方法をお伝えしましたが、五島商店佐藤の芋屋として最もおすすめしたい保存方法があります。 それは、残ったふかし芋を「自家製干し芋」にしてしまうことです。
「干し芋って専用の芋じゃないと作れないんじゃ?」と思われがちですが、実は家庭で余ったふかし芋(紅あずまや安納芋など)でも簡単に作れます。 干すことで日持ちが良くなるだけでなく、水分が抜けて甘みが凝縮され、極上のスイーツに生まれ変わります。
なぜ冬の保存食におすすめなのか?

冬場は空気が乾燥しており、干し野菜を作るのに最適なシーズンです。 干し芋にしておけば、冷蔵庫で場所を取ることもなく、小腹がすいた時の栄養満点なおやつとして活躍します。ストーブの上でさっと炙って食べる干し芋は、冬ならではの楽しみです。
超簡単!自家製干し芋の作り方
特別な道具は必要ありません。100円ショップなどで売っている「干し網」やザルがあればOKです。
- 皮をむく:調理済み(蒸かす・焼く)のさつまいもの皮を綺麗にむきます。
- 切る:さつまいもを繊維に沿って縦方向に切ります。厚さは1cm程度が目安です。
- 干す:重ならないようにザルや網に並べ、ベランダなどの風通しの良い場所で干します。夜間は室内に入れましょう。
- ひっくり返す:1日1回、表裏をひっくり返して、両面を均等に乾燥させます。
より詳細な作り方や失敗しないコツは、こちらの記事で写真付きで解説しています。
干す期間の目安と保存期間
干す期間によって、食感や保存期間が変わります。お好みの硬さを見つけてみてください。
- 干し期間 3日〜5日(半生タイプ): 表面は乾いていて、中はトロっとした半生状態。冷蔵庫で約1週間保存可能。
- 干し期間 1週間以上(保存食タイプ): しっかり水分が抜け、硬めの食感になります。ラップに包んで冷凍すれば、半年〜1年ほど持ちます。
干し芋だけじゃない!余ったふかし芋の活用レシピ
干し芋を作る時間がない、という方には、ふかし芋を使った簡単アレンジレシピもおすすめです。一度火が通っているので、調理時間を大幅に短縮できるのがメリットです。
ふかし芋のサクサク天ぷら

生の芋から天ぷらを作ると「中まで火が通っていない」という失敗がありませすが、ふかし芋なら安心です。輪切りにしたふかし芋に衣をつけ、高温の油でサッと揚げるだけ。衣がカリッときつね色になれば完成です。
ふかし芋の赤ワイン煮(コンポート)

少し時間が経ってパサついてしまったふかし芋におすすめです。鍋にふかし芋、赤ワイン、砂糖、レモン汁を入れて一煮立ちさせ、冷めるまで味を含ませます。洋風の上品なデザートになります。
ふかし芋におすすめの品種は?
そもそも、ふかし芋にして美味しい品種を選ぶことも重要です。 五島商店佐藤の芋屋では、用途に合わせて以下の品種をおすすめしています。
安納芋(あんのういも)
ねっとり濃厚な甘さが特徴。水分が多いので、蒸すとクリームのような食感になります。冷凍して「冷やし芋」にするなら安納芋が一番です。
紅はるか・シルクスイート
紅はるかはしっとりとした滑らかな食感と強い甘みが特徴。シルクスイートは絹のような舌触りが魅力です。どちらも冷めても硬くなりにくいので、お弁当や作り置きに向いています。
まとめ:ふかし芋は「冷凍」と「干す」で賢く保存しよう
家庭で作るふかし芋は、無添加でヘルシーな最高の栄養食です。 作りすぎてしまっても、決して無理をして食べる必要はありません。
- すぐに食べるなら「冷蔵で2〜3日」
- 長期保存なら「冷凍で約1ヶ月」
- 手間を楽しめるなら「干し芋にして冬の保存食へ」
この3つの基本を押さえておけば、食品ロスを出すことなく、最後まで美味しくさつまいもを堪能できます。特に、冷やしたさつまいもは「レジスタントスターチ」が増え、ダイエット効果も期待できるので、一石二鳥です。








