魚を美味しく食べる方法は漁師さんに訊け、というように、その食材を最も美味しく食べる方法は、その道のプロが良く知っている。では、干し芋はどうか?そのままでも美味しい干し芋に、手を加えるなんて!?と思う方もいるかもしれないが、ぜひ試してみてほしい。かつて、テレビ番組「家事ヤロウ!!!」でも紹介されて話題となった、干し芋の炊き込みご飯。今回は、干し芋を知り尽くした、干し芋生産者おすすめの食べ方に挑戦してみた。
干し芋の炊き込みご飯を作ってみた
干し芋の炊き込みご飯。世の中に炊き込みご飯は数あれど、この発想はなかった。なぜなら、さつまいもの炊き込みご飯というものが、すでに存在しているからである。逆に言えば、既存の発想から抜け出せなかった、と言えるのかもしれない。干し芋の炊き込みご飯の情報を耳にしたとき、その手があったかと、目から鱗のような衝撃を覚えた。
使用した材料はこちら。
・干し芋約100g
・米2合
以上。たったこれだけである。出汁や醤油などで味付けをするレシピも巷にはあるが、今回は、味付けはしない炊き込みご飯を作ることにする。その理由は後ほど紹介しよう。とにかく、干し芋と米の美味しさだけで勝負、という潔さなのである。
調理方法は以下の通り。
1.干し芋を2~3cmの大きさに切る。
2.米を研ぎ、2合炊く分の水を入れて、その上に切った干し芋を並べる。
3.炊飯開始。あとは出来上がるのを待つだけ、である。
なお、今回使用した干し芋は、甘味と旨味がたっぷりの茨城県産紅はるかの干し芋だ。米の炊き方は、通常の白米モードだ。スイッチを入れて、あとは出来上がりを待つだけ、という簡単な調理である。
干し芋の炊き込みご飯を食べてみた
さて、炊き込みご飯の出来上がりを見てみよう。ふたを開けると立ち上る、干し芋の甘い香り。湯気の向こうに見えるのは、炊きあがった黄金色の干し芋たち。まるで金塊のようだ。これほどまでに美しい炊き込みご飯があるだろうか。
熱々のうちに、口に運ぶ…。
うまい。
熱を加えられ、よりねっとりと変化した紅はるかの干し芋の食感が、たまらない。お米にも干し芋の旨味が染み出している。干し芋によって、カサが増えているため、ある意味で、白米の一部を干し芋に置き換えた食事、と言えるかもしれない。甘い炊き込みご飯が苦手でなければ、一度は食べてみてほしい。さつまいもの炊き込みご飯とは、また違う美味しさに出会えることだろう。
干し芋の炊き込みご飯にちょい足ししてみた
さて、干し芋の炊き込みご飯そのものが美味しいことはわかったが、さらなる味の発見をしてみようではないか。そう、ちょい足し、である。今回、炊き込みご飯に味付けをしなかったのは、ちょい足しのためなのだ。どこの家庭にもある、ご飯のお供と呼べるようなものを使って、干し芋の炊き込みご飯が持つポテンシャルを探ってみよう。紹介する7つのちょい足しはこれだ。
ゴマ塩
まずは、お弁当やおにぎりを作る際、また、赤飯を食べる際に大活躍するゴマ塩を、干し芋の炊き込みご飯にちょい足ししてみた。初手としては、オーソドックスな選択だろう。ゴマの香ばしさと旨味が加えられた、ナイスなちょい足しだ。さらに、ゴマ塩の持つ塩っ気が、干し芋の甘味を引き立てている。ちょい足しをするならば、このように何らかの相乗効果が見られないと、あまり意味がないと思う。その点で、このちょい足しは成功と言えるだろう。ゴマの食感も良いアクセントになっている。さすがゴマ塩、食卓の仕事人、である。
梅干し
日本の食卓には欠かせない、梅干しをちょい足し。梅干しの酸味と、干し芋の甘味との相性が、とても良い。そして、梅肉と干し芋、この2つのねっとりとした食感の組み合わせが絶妙で素晴らしい。梅干しが、干し芋にはない爽やかな風味を補ってくれている。お互いを支えあうような、ちょい足しだ。こちらもおすすめ、である。今回使用したのは、はちみつ入りの、やや甘めの梅干しだが、昔ながらの塩辛い梅干しでも相性が良さそうな気がする。
バター醤油
干し芋の炊き込みご飯に、濃厚な味わいを加えてくれるのが、バター醤油だ。熱々のご飯に、バターをのせ、バターが少し溶けてきたところに醤油をかけて、いただこう。和風な炊き込みご飯なのに、どこかスイーツのような印象さえ感じられる、そんな仕上がりになるのだ。これだけで、朝ごはんとして成立するような満足感が得られる。これは美味しすぎて、食べすぎ注意である。バター醤油は禁断のちょい足し、と言えるだろう。
海苔の佃煮
こちらも食卓の定番、海苔の佃煮だ。これさえあれば、ご飯を何杯でも食べられる、という人も多いのではないだろうか。果たして、海苔の佃煮のちょい足しはいかに…?結論から言えば、残念な結果に終わった。海苔の佃煮の主張が強すぎて、干し芋の炊き込みご飯との相性はいまいちのように感じた。海苔の佃煮は、これほどまでに、干し芋の存在を消してしまうものなのか。正直なところ、あまりおすすめはできないのが、干し芋の炊き込みご飯+海苔の佃煮、という組み合わせだ。薄味の海苔の佃煮であれば、もしかしたら結果は違っていたのかもしれない。
韓国海苔
ゴマ油の風味が食欲をそそる韓国海苔はどうだろう。指でちぎって、ご飯にふりかけて食べてみたところ…。韓国海苔自体は美味しいのだが、あえて干し芋の炊き込みご飯と合わせなくても良い気がする。可もなく不可もなく、といったところだ。1+1=1にしかならないような、そんな印象を受けた、韓国海苔のちょい足しであった。
キムチ
その健康効果にも注目されている、豊富な乳酸菌を含んだ発酵食品であるキムチ。キムチ自体が、その辛さと酸味による味のインパクトは抜群だ。それに対して、どちらかと言えば、控えめな印象のある干し芋。剛と柔でいえば、キムチが剛、干し芋が柔、という構図になるだろう。キムチの酸味と干し芋は、相性が良かった。それもそのはず、お隣の韓国では、焼き芋にキムチをのせて食べるのが定番のようなので、これは当然の結果なのかもしれない。美味しいだけでなく、干し芋(さつまいも)の食物繊維と、キムチの乳酸菌との相乗効果で、整腸作用も期待できるという、素晴らしい組み合わせと言えるのではないだろうか。
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カレー
最初に言ってしまおう。今回、最も試してほしいちょい足し。それが、カレーだ。カレーは甘めのものよりも、スパイシーで辛めの方が良いと思う。カレーのルウと、ねっとりとした干し芋の食感がたまらない。これは、いつか食べた、あの「ほしいもカレー」の味ではないか。干し芋の聖地ともいえる、茨城県ひたちなか市を訪れた際、JA常陸長砂直売所で出会った、ほしいもカレー。カレーと干し芋って合うの?と、その疑いが大きければ大きいほど、食べた時に感じる美味しさのインパクトが強くなるだろう。カレーの中で干し芋の存在を、よりはっきりと感じるために、合わせるカレーは具がゴロゴロしていない方が良い。野菜や肉などは煮込んでしまい、できる限り「ルウだけ」という状態のカレーをかけて食べてみてほしい。
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まとめ
今回は、干し芋生産者おすすめの、干し芋の炊き込みご飯と、それに合う(合わない)ちょい足しレシピを紹介した。今回使用したのは、紅はるかの干し芋だったが、使用する干し芋の品種によって、出来上がりもまた変わってくるだろう。ちょい足しをせずに、そのまま食べても美味しい干し芋の炊き込みご飯だが、機会があれば、この身をもって試した、数々のちょい足しレシピも参考にしてほしい。友人や家族で、どのちょい足しが好みなのか、そんな話題で盛り上がること間違いなしだ。