芋けんぴは、古くから愛されてきた高知県発祥の郷土菓子ですが、今ではスーパーやコンビニで手軽に購入できるほど身近な存在になっています。実は、このお菓子、かつては小麦粉から作られていたのをご存知でしょうか?江戸時代に薩摩芋(さつまいも)が普及してから芋けんぴが誕生し、長い歴史の中で進化を遂げてきました。この記事では、芋けんぴの深い歴史に加えて、スーパーやコンビニで手軽に買える3つの芋けんぴを実際に食べ比べ、味わいや食感の違いを料理研究家が詳しく紹介します。芋けんぴそれぞれの特徴を知ることで、あなた好みの芋けんぴを見つかるはずです!手軽に買えるコンビニやスーパーでお気に入りの芋けんぴを探してみてください!
芋けんぴとは?
いもけんぴは高知県の郷土菓子であり、今では全国で名が知れたお菓子となっていますが、元々はさつまいものお菓子ではありませんでした。「けんぴ」と聞けば芋けんぴを想像する方がほとんどであると思いますが、元々のけんぴは小麦粉でつくられたお菓子で、今でも高知県の郷土菓子として売られています。芋けんぴは、この「けんぴ」に似ていたことから命名されました。けんぴは砂糖を煮詰めた糖蜜の中に小麦粉を加えて練ったものを短冊状に切り、これを焼いて作られます。けんぴの歴史はとても古く、正確な記録こそありませんが、平安時代には食されていたといわれています。平安時代に書かれた日本最古の文書の一つと言われる「土佐日記」の中にけんぴのことが記されているそうです。
名前の由来は諸々の説が存在しており、奈良時代にあった「けんぺい」というお菓子に似ていたことから名前がついた説や体に良いことから「健肥」と読んだ説などがあります。江戸時代に入ると薩摩から伝わったさつまいもの栽培が土佐でも浸透し、盛んに栽培されるようになり、庶民の間にもさつまいもが浸透するようになったため、一般的にも芋けんぴが食されるようになりました。とはいえど、当時は砂糖が高級品であったため、芋けんぴはハレの日のご馳走の一つであったそうです。芋けんぴが商品として販売されるようになったのは大正時代からといわれています。戦後になると芋けんぴを販売する店も増えていき、全国的にも広まっていきました。昔から芋けんぴを作ってきたお店の中には今も老舗の芋菓子店として、古くから愛される味を作り続けているお店も存在しています。
芋けんぴに使うサツマイモは白い
出来上がりの見た目では気が付かないかもしれませんが、芋けんぴに使うさつまいもは皮が紫色の一般的なイメージのさつまいもではありません。今でこそ、様々な種類の芋けんぴが登場し、使われる品種も多種になりましたが、元々はコガネセンガンという品種で作られていました。恐らく初めて耳にする方が多いかと思いますが、コガネセンガンはさつまいもの品種別作付け比では上位となっています。
見た目が皮も中身も白っぽいため、白芋と呼ばれることもあります。皮が白いさつまいもはスーパーでは見かける機会は少ないですが’、なぜ作付比において上位になっているのでしょうか?答えが芋けんぴを作る為であればこの記事としては面白かったのですが、残念ながら一番の目的は芋けんぴではなく、でん粉類や焼酎の製造に使われています。コガネセンガンをはじめとする白芋はデンプンの含有量が高いことから使用されるようになりました。生産地としては鹿児島県がトップとなっています。
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コンビニやスーパーで購入できる芋けんぴを食べ比べてみた
そんな古くから愛され続けている芋けんぴ。今ではスーパーやコンビニでも手軽に購入出来るようになりました。どこのスーパーやコンビニに行っても、プライベートブランドの芋けんぴが必ず見つかったことが意外であったのと同時に芋けんぴ好きが多いのであろうと気づかされます。材料がシンプルなお菓子だけに見た目こそ似ていますが、各店舗に工夫や特徴が見られたので、早速お伝えしていきます。
ローソン 国産さつま芋で作ったさつま芋けんぴ
今回食べ比べた3種の中では一番甘みを強く感じたのがこちらでした。一番甘いと言っても、砂糖の使い過ぎのような甘さでは決して無く、パッケージの表記の通り芋本来の甘さがしっかり’生きている甘さです。何故、甘さを最も感じたのか考えてみたところ、答えは原材料から見当がつきました。こちらの材料はさつまいも、植物油脂、砂糖の3つだけ。それに対して他の二つには塩が入っていました。塩気が全くないところが、甘みを強く感じたのではないかと思います。
形状は短冊切りではなく、スティック状のため、どちらかというと硬めです。長さもバラツキこそありますが、平均して一番長く感じました。そのため食べ応えも一番高かったです。
容量:62g
価格:118円(税込み)
カロリー:302kcal(1袋あたり)
栄養成分
たんぱく質:1.0g
脂質:14.1g
炭水化物:44.0g
糖質:41.3g
食物繊維:2.7g
食塩相当量:0.02g
まいばすけっと 薄切り芋けんぴ
こちらはイーオンのプライベートブランドであるベストプライスから出ている芋けんぴです。今回購入したのは都心を中心に展開しているまいばすけっとでしたが、イオン系列のスーパーであれば全国で購入できるようです。スーパー大手のプライベートブランドということもあり、100円で80gと量がたっぷりのコストパフォーマンス。今回の3つの中でも一番お得なプライスとなっていました。使われているさつまいもは「みちしずく」とのことです。みちしずくは2022年にコガネセンガンの後継種として出来た新種のさつまいもで、コガネセンガンよりも腐りにくい点が特徴です。安定した供給の為に開発されました。
形状はスティック状なのですが、薄切りと表記があるように、厚みは若干薄いのでややライト食感です。こちらは原材料に食塩の記載がありますが、言われない限り塩気には気が付きません。甘さを引き立てる程度の使用量のようです。砂糖の他にオリゴ糖も使われているようで、優しい甘さが特徴的でした。
容量:80g
価格:108円(税込)
カロリー:388kcal(1袋あたり)
栄養成分
たんぱく質:1.2g
脂質:18.5g
炭水化物:55.7g
食塩相当量:0.2g
リコス 高知ふるさとの味 薄切り芋ケンピ
こちらは東京都と神奈川県に展開している都市型スーパーマーケット、リコスのプライベートブランドの芋ケンピです。唯一表記がカタカナであり、発祥の地である高知の名も記載されているところにこだわりを感じましたが、実際に3つの中で最も風味が特徴的であったのもこちらでした。まず、切り方が短冊切りであるため、他と比べて軽い食感です。昔は短冊切りで作っていたことを考えると、表記の通り最もふるさとの味に近いのかもしれません。次に風味です。こちらはしっかりと塩気を感じました。
芋けんぴは実は塩味のものもあるのですが、こちらは決して塩味なのではなく、甘みと塩味が両立しているような風味です。あまじょっぱいという言い方が分かりやすいでしょうか。使用している品種はコガネセンガンということで、ここにも高知の歴史をしっかりと伝承しようという意識が感じられます。
容量:54g
価格:108円(税込)
カロリー:268kcal(1袋あたり)
栄養成分
たんぱく質:1.2g
脂質:12.9g
炭水化物:36.7g
食塩相当量:0.17g
食べてみたい芋けんぴはございますか?他にも輪切りにしたもの、皮付きのままのものなど様々な芋けんぴが登場しています。体にも優しい伝統的なおやつ、色々試してみると面白いですよ!
まとめ
芋けんぴは、高知県発祥の郷土菓子として長い歴史を持ち、今や全国で愛されるお菓子です。元々は小麦粉から作られていた「けんぴ」が、江戸時代に薩摩芋(さつまいも)の栽培が広まったことで「芋けんぴ」として変化しました。この記事では、近所にあるスーパー、コンビニの「ローソン」、「まいばすけっと」、「リコス」で買える3種類の芋けんぴを実際に食べ比べ、それぞれの味わいの違いを紹介しました。ローソンで買える芋けんぴは芋本来の甘さが際立ち、食べ応えがあるスティックタイプ。まいばすけっとで買える芋けんぴは薄切りでライトな食感で優しい甘さが特徴。リコスで買える芋けんぴは短冊切りで軽く、あまじょっぱい風味が印象的でした。特に原材料や製法が異なるため、自分好みの芋けんぴを見つける楽しさもありました。是非!近所のスーパーやコンビニで購入し、芋けんぴの味わいの違いを比べてみてください。