干し芋が市場に出てくるのは9月~2月頃。干し芋の国内生産量1位はどこ?干し芋を食べるメリットとは?栄養価まで調べてみた!干し芋を徹底解説

秋ごろから冬にかけて、スーパーなどで干し芋の袋を見かけることが増えるのではないでしょうか。干し芋になじみのない方は、なかなか手が出せないかもしれません。しかし、甘くて栄養のある干し芋は、実はおやつや間食にぴったりの食べ物なのです!この記事では、干し芋の特徴やメリットや歴史についてご紹介します。ぜひご覧ください。

そもそも干し芋って何?

干し芋とは、乾燥芋とも呼ばれる、さつまいもを干して加工した食品のことです。甘みと適度な歯ごたえがあり、保存がきいて、調理せずにそのまま食べられるのが魅力です。ここでは、干し芋の作り方や食べられる時期などをご紹介します。

干し芋の作り方は蒸してから干す

干し芋は、さつまいもを蒸して薄く切り、外に干したり、乾燥機を用いたりして、乾燥させて作ります。やわらかいソフトなタイプや、しっかり乾燥させたハードなタイプがあります。

そのまま食べても美味しいですし、オーブンや炭火で焼くと甘みが増し、さらに美味しくなります。揚げたり、スイーツの中に入れ込んだりと、アレンジしても美味しく食べられます。

干し芋が食べられる時期・シーズンは

干し芋は、9月頃から店頭に並び始め、2月頃までがよく食べられる時期です。中でも、美味しい干し芋のシーズンは12月~2月ごろです。なぜなら、その年に収穫されたさつまいもが熟成したのちに加工されるのが12月~2月ごろなので、新物で美味しい干し芋の可能性が高いからです。


人気店の干し芋は2月を過ぎると売り切れることもあります。今では加工・保存技術も発達しているので、1年中食べられる干し芋もあります。

自分で作れる干し芋レシピも

干し芋は自宅でも作れます。まずさつまいもを蒸して皮をむき冷まし、1cmほどの厚さに切ります。ネットやザルに並べ、2日~1週間ほど干すと完成です。作るときには晴れの続く日程を選び、夜は室内に取り込みます。手作りは日持ちしないので、3日から1週間で食べきるようにしましょう。

干し芋の生産量日本一は茨城県

干し芋の生産量が日本一なのは茨城県で、国産干し芋生産量の8割以上を占めています。茨城県には干し芋発展に関して長い歴史があり、水はけのよい土壌・冬場の晴天・潮風などの環境に恵まれていることも理由です。

特に茨城県ひたちなか市は、2009年に立ち上げられた「ほしいも学校」の活動や、2016年からの「ほしいも世界大会」なども行われている、干し芋の有名な産地です。

干し芋の歴史

干し芋は江戸時代から作られ始め、近年はさらに発展しています。ここでは干し芋の歴史についてご紹介します。

干し芋の始まりは江戸時代の中頃

干し芋の起源は、1766年に静岡県で、栗林庄蔵が煮切り干し法という手法を考えついたことが始まりだと言われています。煮切り出し法とは、さつまいもを釜ゆでして薄く切り、セイロに並べて干す方法です。この方法は評判がよく、近所の農家でも競って作られるようになりました。

明治時代~昭和時代に茨城で一気に生産量が増える

1892年ごろ、静岡県の大庭林蔵と稲垣甚七がさつまいもを蒸して厚切りにし、乾燥させる方法を考え出しました。これが現在にも使われる干し芋の製法です。いつでも食べられて保存がきくので、生産量は急増しました。その後、静岡で目にした干し芋を、照沼勘太郎が茨城県で作り始めました。さらに、茨城県ひたちなか市でせんべい屋を営んでいた湯浅藤七や小池吉兵衛が、干し芋の大規模な加工所を作り、一気に生産量が増えたと言われています。

戦時中の干し芋の禁止

戦争中は食糧難からさつまいもが主食にとって代わり、一時期干し芋の生産はストップしてしまいました。

干し芋の復活と現代の干し芋

戦後、再び干し芋の生産が始まりました。静岡に続いて茨城県でも生産が復活し、1955年を境に茨城県の生産量が全国ナンバー1になりました。近年では干し芋の開発が進み、スティック型の干し芋や、柔らかい干し芋、オレンジ色や紫色の干し芋など、さまざまな種類が販売されています。ギフト用の高級干し芋や、健康食品として海外への輸出も行われるなど、干し芋はさらなる発展を遂げています。

さつまいもを干し芋にするメリットは?

干し芋には、保存がきく・栄養がある・ダイエットにも利用できるなど、嬉しいメリットがいっぱいです。ここでは干し芋のメリットをご紹介します。

保存がきく

干し芋は、調理をしてからの保存期間が長いのがメリットです。市販のもので未開封の状態ならば約2か月は保存できます。手作りのものでも、冷蔵庫などで密閉して保存すれば2週間~1か月ほど保存可能です。

栄養価が高い

干し芋にすると栄養価が濃縮されるため、おやつや小腹がすいた時の栄養補給にぴったりです。蒸したり焼いたりする調理法よりも、効率的に栄養が取れます。たんぱく質は100gあたり3.1gで焼き芋の約2倍になります。成長期や健康維持に必要なカルシウム・亜鉛なども、蒸したさつまいもを食べる場合の2倍以上含まれるので、栄養食品として優秀です。

鉄は100gあたり2.1mgと、蒸した状態のなんと3倍にも増えます。不足しがちな鉄分や、食物繊維・ビタミンB・ミネラルが豊富に含まれて無添加なので、おやつにもおすすめの嬉しい食品です。

ダイエットにも効果あり

干し芋のカロリーは100gあたり約277kcalと決して低くはありません。しかし、歯ごたえがあり食物繊維が多い食品なので、よく噛むうちに満腹になり、食べ過ぎを防げるメリットがあります。干し芋には、食物繊維がレタスの2.5倍の5.9gも含まれていて大変豊富です。カリウム、ビタミンB、なども、さつまいもを蒸した場合に比べて約2倍含まれているので便秘解消やアンチエイジング、むくみとりの効果が期待できます。ただ、糖分も高いため食べ過ぎないように注意しましょう。

まとめ

今回は、干し芋の歴史やメリットについてまとめました。

  • 干し芋とは、サツマイモを蒸して薄く切り、外に干して乾燥させた食品のこと。
  • 出回る時期は9月から2月ごろ。
  • 茨城県が国内の生産量1位で、国内生産量の8割以上を占める。
  • 干し芋は静岡県で江戸時代中頃に作られ始め、徐々に広まり茨城県で生産拡大する。
  • 干し芋のメリットは保存が効くことや栄養価が濃縮されること。

ぜひとも寒い時期のおやつや、栄養補給に干し芋を取り入れてくださいね。