安納芋の栄養価と期待できる健康効果とは?安納芋の皮は食べる?捨てる?

安納芋は、その濃厚な甘さとねっとりとした食感で人気ですが、実は栄養価の面でも優れたさつまいもです。特にビタミンCや食物繊維、カリウムが豊富に含まれており、風邪予防や疲労回復、腸内環境の改善など、さまざまな健康効果が期待できます。さらに、皮に含まれるヤラピンという成分は、腸の働きをサポートするため、便秘解消にも役立ちます。こうした栄養素を最大限に摂取するためには、安納芋を皮ごと食べることが良いとされています。この記事を読み進めることで、安納芋の期待できる健康効果やおすすめの食べ方を知ることができ、より美味しく健康的なさつまいも・焼き芋ライフを楽しめるはずです。

安納芋はどんなさつまいも?

安納芋は、他のさつまいもと、どのような違いがあるのでしょうか。安納芋の歴史(入ってきたルート)や安納芋の特徴、安納芋の主な品種に分けて説明を致します。

安納芋の歴史は?

安納芋の歴史イメージ

安納芋(あんのういも)とは、鹿児島県・種子島が原産のさつまいもの品種です。日本の安納芋の歴史は、第二次世界大戦後にさかのぼります。インドネシアのスマトラ島に出兵していた兵隊さんが、種子島の安納地域に持ち帰ったさつまいもが、今の安納芋のはじまりだったとされています。

安納芋の味の特徴

安納芋の特徴

安納芋は「ねっとり」系さつまいもの代表格と言われている品種です。糖度が高く、生芋の状態でも16~18度の糖度があります。また安納芋は焼き芋等のように火を入れて焼くことにより更に糖度があがり、焼き芋にすると40度を超えるものもあります。安納芋の果肉は、しっとりとクリーミーで焼き芋にすると中がとろけるようなねっとりとした食感もプラスされます。安納芋独特のオレンジ色の果肉はβカロテンを多く含むため、鮮やかなこの色になっており、見た目にも食欲をそそります。安納芋はその甘さと食感を活かして焼き芋以外にもスイーツや料理の素材として幅広く使われています。安納芋はこのような食感と糖度で全国的にも高い人気を誇り、現在の第四次焼き芋ブームの牽引役としても有名なさつまいもの品種です。

安納芋の主な品種

安納芋の品種イメージ

現在、安納芋として品種登録されているのは、「安納紅」と「安納こがね」の2種類。両品種の共通点は、肉食部はオレンジ色をしており、加熱することで黄色に近い色になる点です。

安納紅

安納紅イメージ

安納紅(あんのうべに)は、赤紫色の皮が特徴的な安納芋です。安納芋と言われている品種が主にこの安納紅になります。

安納こがね

安納こがねイメージ

安納こがねは、淡黄色の皮が特徴的な安納芋です。白っぽくて、長芋のような見た目をしています。安納紅よりも、しっとりとした味わいがあります。

安納芋の栄養と期待できる健康効果を徹底分析

安納芋の栄養成分イメージ

ここでは、安納芋に含まれている栄養素と期待できる健康効果を解説します。

安納芋のビタミンC

安納芋には、ビタミンCが豊富に含まれており、これによりさまざまな健康効果が期待できます。ビタミンCは免疫力を高める働きがあるため、風邪の予防やウイルスに対する抵抗力を強化する効果が期待されます。また、疲労回復にも効果的で、体内のストレスを軽減し、健康な体を維持する手助けをしてくれます。さらに、ビタミンCは美肌効果も持っています。メラニンの生成を抑制し、色素沈着を防ぐことで、シミやくすみの改善に役立ちます。また、コラーゲンの生成を促進するため、肌のハリや弾力を保つ効果があり、しわやたるみを予防するのにも効果的です。このように、安納芋を食事に取り入れることで、健康維持だけでなく、美肌づくりにも貢献できるのです。

安納芋の食物繊維

安納芋には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が豊富に含まれており、これらが体にさまざまな健康効果をもたらします。まず、水溶性食物繊維は、胃や腸内でゲル状に変化し、食べ物の消化吸収を緩やかにすることで、食後の急激な血糖値の上昇を防ぎます。これにより、糖尿病の予防や血糖値のコントロールに役立つほか、コレステロール値を低下させ、心血管疾患のリスクを軽減する働きも期待できます。一方、不溶性食物繊維は、消化されずに腸内を移動し、便のかさを増やすことで腸の動きを活発にします。これにより、排便を促進し、便秘の改善や腸内環境の整備に効果的です。また、不溶性食物繊維は、腸内の老廃物や有害物質を排出するのを助けるため、腸の健康維持やデトックス効果も期待できます。安納芋を定期的に食べることで、これらの食物繊維の恩恵を受け、消化器系の健康や血糖値、コレステロールの管理にも良い影響を与えることができます。

安納芋のビタミンE

安納芋には、ビタミンEが豊富に含まれており、この栄養素は体にとってさまざまな健康効果をもたらします。ビタミンEは、ビタミンCと同様に強力な抗酸化作用を持っており、体内で発生する活性酸素を抑制する役割を果たします。これにより、細胞の酸化を防ぎ、免疫力を高めることで風邪や感染症の予防に効果が期待できるのです。抗酸化作用は、加齢に伴う細胞の劣化や老化の進行を遅らせる働きもあるため、健康な体を保つために重要な栄養素です。さらに、ビタミンEは血行を促進し、体内の酸素や栄養素の循環を助けるため、疲労回復にも効果があります。血液の流れが改善されることで、筋肉の疲労が軽減され、体全体のエネルギー代謝が向上します。これにより、日常生活で感じる疲れを和らげ、活力を取り戻すのに役立つのです。安納芋を食事に取り入れることで、ビタミンEの抗酸化作用と疲労回復効果を同時に得られ、健康維持や美容面でもプラスの効果を享受できるでしょう。

安納芋のβ-カロテン(ベータカロテン)

安納芋のβカロチン

安納芋の果肉には、豊富なβ-カロテンが含まれています。このβ-カロテンは、果肉の鮮やかな黄色やオレンジ色の色合いを特徴付ける成分で、体内でビタミンAに変換され、免疫力を高める効果が期待されます。ビタミンAは、体の防御機能をサポートし、ウイルスや細菌から身を守るために重要な役割を果たします。特に風邪や感染症の予防に効果的で、免疫機能の向上に期待できます。

安納芋のカリウム

安納芋には、カリウムが豊富に含まれており、これが体にさまざまな健康効果をもたらすとされています。カリウムは、体内の水分バランスを調整するミネラルで、特にナトリウムの排出を助ける働きがあります。ナトリウムは塩分の一部であり、過剰に摂取すると体に負担をかけることがありますが、カリウムを適切に摂ることで、体外への排出を促進し、体内の塩分濃度をバランスよく保つことが期待できます。また、カリウムには、血管の健康をサポートし、血圧を適切な範囲で保つ働きがあるため、安納芋を食べることで、日常の食生活においてカリウムの摂取を簡単に取り入れることができます。このように、安納芋に含まれるカリウムは、体内の余分な水分を排出し、体全体の調子を整える効果が期待できるため、日々の健康維持に役立つ食材と言えるでしょう。

安納芋を皮ごと食べる?皮は残す?

安納芋は皮ごと食べる

さつまいもを食べるとき、皮ごと食べるか、皮を残して中身だけを食べるかは人それぞれですが、安納芋を皮ごと食べることには多くのメリットがあります。まず、さつまいもの皮には、果肉には含まれていない栄養素が豊富に含まれており、特に食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、腸内環境を整えるのに役立ち、便通を良くする効果が期待できるため、皮ごと食べることで、消化器官の健康をサポートすることができます。安納芋を皮ごと食べるメリットを更に詳細まで説明致します。

安納芋の皮には「ヤラピン」が含まれている

安納芋のヤラピン

安納芋に限らず、さつまいもの皮には、ヤラピンという貴重な栄養素が含まれています。さつまいもを切ったときに、皮寄りの部分から出てくる白い液体を見たことがあるかもしれませんが、これがヤラピンです。ヤラピンは、さつまいもに特有の成分で、他の野菜ではあまり見られない栄養素です。このヤラピンには、腸のぜん動運動を促進する働きがあり、腸内で便をスムーズに移動させる役割を果たします。そのため、便秘気味の人にとって、ヤラピンは非常に重要な成分となります。

さらに、ヤラピンには便をやわらかくする働きもあるため、排便がスムーズになり、腸内環境の改善が期待できます。さつまいもに多く含まれている食物繊維とともに摂取することで、より高い整腸作用が得られ、腸の健康を保つために非常に効果的です。食物繊維が腸内の老廃物を掃除し、ヤラピンがその排出を助けることで、腸全体の調子を整えることができるのです。さつまいもの皮には、ヤラピン以外にもさまざまな栄養素が含まれており、皮を残さずに食べることで、無駄なくその恩恵を受けることができます。特に安納芋は皮が薄く、食べやすいので、ヤラピンを含む皮も一緒に摂取することで、より健康的な食生活が期待できるでしょう。

安納芋を皮ごと食べるときの注意点

安納芋を洗うイメージ

安納芋を皮ごと食べる際は、表面に付いている土をしっかりと軽く洗い流すことが大切です。特に皮には栄養が豊富に含まれているため、無駄なく食べるためにも、丁寧に汚れを落として調理しましょう。また、さつまいもには芽がありますが、基本的に芽を取らなくても食品衛生上の問題はありません。

さつまいもの芽イメージ

さつまいもの芽には有害な成分が含まれておらず、安心して食べられるため、芽を取らずに調理しても安全です。

じゃがいもの芽イメージ

これに対して、じゃがいもの芽にはソラニンという有毒な成分が含まれており、摂取すると食中毒を引き起こす恐れがあります。そのため、じゃがいもの芽は必ず取り除き、場合によっては芽周辺の部分も厚めに削る必要があります。この点が、じゃがいもの芽とさつまいもの芽の大きな違いです。さつまいもの芽は、味や健康に影響を与えるものではないため、気にせずに食べることができます。特に安納芋の場合、皮ごと調理することで皮に含まれる食物繊維やヤラピンといった栄養素をしっかり摂取することができ、より健康的に楽しむことができるでしょう。

安納芋の美味しい食べ方とは?

安納芋の美味しい食べ方

安納芋は糖度が高く、ねっとりとした食感のさつまいもの為、料理の素材だけではなく、そのままダイレクトに美味しさを味わうことが出来ます。この点は加工品向けのさつまいも品種と大きな違いになります。高い糖度を活かした「焼き方」、「蒸し方」、「電子レンジを使う方法」を紹介致します。

安納芋の美味しい焼き方

安納芋の焼き方ーオーブンレンジ

洗ったさつまいもをオーブントースターの天板に均等に並べたら、20~30分ほど焼きます。焼いている間、さつまいもが焦げないように注意が必要です。途中で、トングや菜箸を使ってさつまいもの焼き面をこまめに変えながら、全体にしっかりと火が通るようにしましょう。焼きムラができるのを防ぐためにも、定期的にさつまいもを回転させたり、裏返したりするのがポイントです。焼きムラを防ぐためにアルミホイルに包んで焼くという方法もあります。

安納芋の焼き芋

また、さつまいもの大きさやオーブントースターの性能によっては、焼き時間が多少変わることもありますので、焼き加減を確認しながら調整しましょう。竹串がすーと入るようになったり、中がしっとりと柔らかくなれば、焼き上がりのサインです。焼きたての安納芋は甘みが増し、蜜が出てしっとりとした食感と濃厚な甘さを楽しむことができます。

安納芋の美味しいふかし方

安納芋の蒸かし芋

蒸し器に洗ったさつまいもを並べたら、中火で30~35分ほどじっくり蒸していきます。この際、空焚きにならないように、蒸し器のお湯の量を定期的に確認しながら、必要に応じてお湯を追加しましょう。蒸している間、蒸し器の蓋をしっかり閉めておくことで、さつまいも全体に均等に蒸気が行き渡り、ふっくらと仕上がります。このように、時間と手間をかけてじっくり蒸すことで、さつまいも本来の甘さとしっとり感が引き出され、美味しいふかし芋が完成します。

安納芋の焼き芋を時短で作る(電子レンジ)

安納芋を電子レンジで焼き芋

濡らしたキッチンペーパーで洗ったさつまいもをしっかり包み、600Wの電子レンジでまず3分間加熱します。この初めの加熱で、さつまいもの外側に火を通し、柔らかくする準備をします。その後、電子レンジのワット数を200Wに下げて、さらに8~10分ほどじっくり加熱していきます。この低温での加熱により、さつまいもが内側からゆっくりと火が通り、より甘さが引き出されるのが特徴です。さつまいもの大きさや厚みによって、加熱時間は多少前後するため、途中で硬さを確認しながら加熱していきましょう。竹串やフォークをさつまいもに刺して、スッと通るかを確認すると、ちょうど良い加熱具合がわかります。もしまだ硬い部分があれば、様子を見ながら追加で1~2分ずつ加熱し、理想の柔らかさに調整します。簡単にできるこのレンジ調理は、時間がないときでもさつまいもの甘さをしっかり楽しめる便利な方法です。

安納芋の栄養成分、健康効果まとめ

安納芋の栄養価まとめ

安納芋は、その豊富な栄養と独特な甘さ、ねっとりとした食感が特徴で、健康面でも多くの効果が期待できます。特に、ビタミンCや食物繊維、カリウムが多く含まれ、免疫力の強化や腸内環境の改善、疲労回復などに寄与します。また、皮に含まれるヤラピンは便秘解消に役立ち、安納芋を皮ごと食べることで、これらの栄養素を効果的に摂取できます。焼き芋として楽しむだけでなく、蒸し芋や電子レンジで手軽に調理することでも、甘さと食感を堪能できます。安納芋は、焼き芋ブームの牽引役としても知られ、その美味しさと健康効果を同時に楽しめる優れたさつまいもです。是非、安納芋で焼き芋や料理にチャレンジしてみてください!