さつまいもは健康に悪い?
食物繊維やビタミンCなどの栄養を豊富に含むことで知られるさつまいも。多くの方にとっては、さつまいもは健康に良い、というイメージの方が強いのではないでしょうか。ですが、食べ過ぎや、その方の体質によっては、デメリットもあります。今回は、管理栄養士の視点から「さつまいもは健康に悪い?」という疑問について、お答えします。
【結論】さつまいもが健康に悪いわけではない
「さつまいもが健康に悪い?」の問いに対する答えは、ズバリ「さつまいもそのものが健康に悪いわけではない。含まれる栄養素によって、摂取量や体質によっては注意が必要!」です。デメリットと、その理由を説明していきますね。
理由①便秘の原因になることがある
さつまいもには、不溶性食物繊維が含まれています。不溶性食物繊維は、便のかさをを増やし腸のぜん動運動を促すことから、便秘改善の効果が期待できる栄養素です。しかし注意点があります。不溶性食物繊維の摂りすぎによって、便が固くなり排便がしづらくなり、逆に便秘につながることがあります。実際に、便秘解消のために焼き芋や干し芋をたっぷり摂っているのになかなか改善されない、という声は少なくありません。便が固く出づらいという方は、焼き芋の食べ過ぎに注意しましょう。水分をたっぷりと摂る、食べ過ぎで疲れた胃腸を少し休める、という方法を試してみても良いですね。
理由②下痢やお腹の張りの原因になる
引き続き、食物繊維に関するお話しです。さつまいもには、便を柔らかくする水溶性食物繊維も含まれています。腸内細菌は水溶性食物繊維を「エサ」とし、さまざまな物質を代謝します。その中にはガスも含まれています。腸内細菌の量、内容、バランスによっては、ガスが発生しすぎたり、大腸のぜん動運動が活発になりすぎたりします。心当たりのある方は、焼き芋を食べる時には少しずつ食べるようにすると良いですね。
理由③糖質の摂りすぎにより体重が増える
食物繊維やビタミンC、β-カロテンなど、さつまいもの栄養価はとても高いのですが、同時に糖質を多く含むということは、ぜひ知っておきましょう。さつまいもは、じゃがいもなどの他のいも類と比べて、糖質は多めです。一般的なさつまいも(250g)ですと、1本あたりの糖質量はおよそ80gあります。これは大きめのお茶碗1杯(200g)のご飯に相当する量です。エネルギー源である糖質は、消費量よりも過剰に摂取した分は体脂肪の元となり、体重増加の原因に。おやつに焼き芋、おかずにさつまいものサラダや大学芋など、さつまいもを頻繁に摂る際は、ご飯の量を控えたり、場合によってはご飯なしの献立にしたりして調整ができると、体重増加を防ぐことができるでしょう。
理由③血糖値を上げやすい
理由②とも関連しますが、さつまいもに含まれる糖質は、体内に入ると血液中の糖分となり、一時的に血糖値を上げることにつながります。特に「温かい焼き芋」は血糖値を上げやすく、その後すぐに血糖値が下がるという、血糖値スパイクの状態を作ります。血糖値スパイクは、疲れや集中力低下などの不調を引き起こし、慢性化すると動脈硬化のリスクを高めるため、できるだけ避けたい状態です。よく噛んで食べる、野菜やたんぱく質など糖質以外の食べ物を一緒に摂るなどの方法で、なるべく血糖値スパイクを起こしづらくすることもできます。また、冷やした焼き芋は、糖化したでんぷんの一部がレジスタントスターチという状態に変わります。レジスタントスターチにより、血糖値が上がりにくくなり、かつ、腸内細菌のエサになり、腸内環境を良くする上でも効果的です。
健康的な食べ方
ご飯の代わりにするなら1/2本を目安に
軽いお茶碗1杯分くらいのご飯と、中位のさつまいも1/2本の糖質量がほぼ同じです。こちらを目安に、さつまいもを食べるときは、ご飯の量を調整することで、糖質の摂りすぎを防ぐことができます。白いご飯には含まれない栄養素がさつまいもには含まれることから、ご飯の代わりにさつまいもを主食とすることで、1食全体の栄養バランスを良くすることも可能です。うまく活用していきましょう。
間食・おやつにするなら明るい時間帯に
温かい焼き芋は血糖値を上げやすい、ということを先にお伝えしましたが、日中や活動量の多い時間帯に摂ることで、血糖値の上昇を抑えられます。そのことから、温かい焼き芋や甘いお芋料理を食べるときは、夜や就寝前を避け、日中の活動量の多い時間帯に食べることをお勧めします。
お腹の張りや下痢が気になる方は量を控えめに。
さつまいもを食べることで、お腹が異常に張ったり、下痢の症状が出るのは、腸内細菌のバランス、体調によるものである可能性が高いです。それらの原因がある限りは、さつまいもを沢山食べることで、心身への負担が大きくなります。とはいえ、さつまいもが好きであれば、全く食べられないのは悲しいことですよね。この量までなら大丈夫、という自分にとっての適量があるかもしれません。体調と相談をしながら、程よい量を楽しんでいけると良いですね。
さいごに
今回はさつまいもの健康への影響と、健康的な食べ方について解説しました。いかがでしたか。おいしく食べられるのは健康があってこそ。これからの人生でも長く、さつまいもを食べられるよう、自分にとってのちょうど良い量、おいしい食べ方を考えてみてくださいね。