昨今、健康志向の高まりから、腸内環境を整える「腸活」を意識する方も増えています。腸内環境を整えるなら、体の内側からきれいにすることが大切です。そこでおすすめなのが、ほんのりした甘さが美味しい焼き芋です。焼き芋には腸内環境を改善する効果が期待できます。この記事では、焼き芋が腸内環境に良いとされる理由、腸内環境への効果、有効とされる栄養成分について解説していきます。効果的な焼き芋の食べ方もご紹介していますので、ぜひ実践してみてください。
焼き芋は腸内環境に改善効果ある?
結論からいうと、焼き芋には腸内環境を改善する効果が期待できます。その理由は、焼き芋に豊富に含まれる栄養成分が、腸に効果的なものだからです。焼き芋に含まれる栄養成分には次のような整腸作用があるとされています。
その1:善玉菌を育てる
腸内環境の改善には、善玉菌を育てることが大切ですが、焼き芋は食物繊維やポリフェノール類を豊富に含んでおり、それらには腸内の善玉菌を増やす作用があります。現代人には腸内環境が乱れている方が少なくありません。腸内の善玉菌が増えれば、腸内環境が整えられます。それゆえ、焼き芋を食べることは、腸内環境の改善に繋がるといえるでしょう。
その2:食物繊維で便通を改善する
焼き芋に含まれる豊富な食物繊維には、便通を改善する作用があります。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、焼き芋は両者をバランス良く含んでいるのが特徴です。不溶性食物繊維は、便の量を増やして腸を刺激し排便を促進、水溶性食物繊維は、便をやわらかくして腸の蠕動運動をサポートする働きがあります。
この2つの食物繊維が腸内をきれいにしてくれるのです。
その3:抗酸化物質により炎症を抑制する
焼き芋に含まれるビタミンCやβ-カロテンなどの抗酸化物質には、細胞の酸化を防ぎ、炎症を抑制する作用があります。疲労やストレス、小麦粉や添加物の取り過ぎなどで、胃腸は炎症を起こしやすいです。抗酸化物質は、その炎症を改善してくれます。腸内環境を整えるためには、胃腸の炎症を抑えることが不可欠です。焼き芋を食べることで、胃腸内で起こった炎症を抑えることが期待でき、腸内環境も安定した状態で維持できるでしょう。
焼き芋の特有の栄養成分
腸内環境を整えるとされる焼き芋ですが、その秘密はさつまいも自身や焼き芋にすることで産生される2種類の栄養成分も関与しています。それぞれについて、見ていきましょう。
さつまいも特有の成分「ヤラピン」
ヤラピンとは、生のさつまいもをカットした切断面に出てくる白い液体のことです。さつまいも特有の成分で、善玉菌を増やして、腸内環境を改善する効果があるといわれています。焼き芋に含まれている豊富な食物繊維と一緒に摂ることで、相乗効果が得られるでしょう。
難消化性でんぷん「レジスタントスターチ」
さつまいもは焼き芋にした(加熱した)後に冷やすことで、でんぷんがレジスタントスターチと呼ばれる成分、つまり、難消化性でんぷんに変化します。消化されずに大腸まで届き、腸内環境の改善や血糖値の上昇を抑制する作用があるとされています。つまり、レジスタントスターチにも食物繊維やヤラピンのように腸内環境の改善や便秘解消の効果が期待できるということです。レジスタントスターチは低温の環境下でゆっくり増えていきます。そのため、常温で冷ますのではなく、冷蔵庫で冷やした状態で食べるのがポイントです。
整腸作用以外の焼き芋の健康効果
焼き芋は整腸作用以外にも、次のような健康効果が期待できます。それぞれひとつずつ見ていきましょう。
善玉菌は心身の安定にも関与している
善玉菌を育てる成分を豊富に含んだ焼き芋は、腸内環境の改善に最適な食べ物といえるでしょう。腸内環境を整えることは、心身の安定にも繋がります。というのも、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の90%は腸で作られているからです。「セロトニン」は腸内でトリプトファンというアミノ酸から合成されますが、その合成を担うのが腸内の善玉菌だといわれています。つまり、「セロトニン」を増やすためには、腸内環境が肝となるのです。焼き芋を食べることは、心身の健康維持にも役立つといえます。
低GI食品で血糖値の吸収が緩やか
焼き芋は低GI値食品であるため、食後の血糖値の急上昇を抑制するとされています。低GI値とは、食後血糖値の上昇を示す指標のことです。野菜の中でも特にGI値が低く、同量のじゃがいもやパン、ご飯よりも低いため、主食の置き換えにも適しています。血糖値が上がりにくく、体脂肪を溜めにくいため、ダイエットにも効果的といえるでしょう。
腸内環境の改善には必須!効果的な焼き芋の食べ方
焼き芋は食べ方も大切な要素です。次の点を押さえることで、より効果が得やすくなるでしょう。
10℃以下に冷やす
焼き芋は冷蔵庫で冷やしたものを食べましょう。焼き芋が冷める過程で、でんぷんをレジスタントスターチに変化させてくれることがポイントなのです。先述の通り、レジスタントスターチは消化されにくく、食物繊維と同じような働きをし、食後の血糖値の上昇を抑えるとされています。それにより太りにくくなることも期待できるため、ダイエット中のおやつにも最適です。
皮つきで食べる
焼き芋は皮ごと食べることで、栄養素を余すことなく摂取できます。さつまいもの紫色の皮にはポリフェノールや食物繊維などの栄養素が多く含まれています。また、さつまいも特有のヤラピンも皮と実の間に含まれている成分です。焼き芋は香ばしく焼けた皮ごといただきましょう。
まとめ:焼き芋で腸内環境を育もう
焼き芋には、食物繊維や抗酸化物質、ヤラピンやレジスタントスターチなど、整腸作用に効果的とされるさまざまな栄養成分が多く含まれています。焼き芋は皮ごと冷やした状態で食べるなど、食べ方も重要です。自然な甘みがある焼き芋は、腹持ちが良く、気軽に取り入れやすいため、おやつにも適しています。ぜひ焼き芋を食べて、腸内環境の改善を図りましょう。