ダイエットの相棒「さつまいも」の魅力を栄養士が徹底解説!さつまいもを使ったダイエットは痩せる?さつまいもを上手に活用することで痩せ効果が期待できます。ダイエットレシピも

甘いのにダイエット向き

甘いものはダイエットの天敵。これは言わずと知れた常識と言っても過言ではないでしょう。しかし、甘くてもダイエットの味方になる例外なものがあります。それがさつまいもです。確かにさつまいもはダイエット中に控えるべき炭水化物の一つではありますが、同じく炭水化物である白米や食パンに比べると、その栄養価は比較にならないほど優れています。とは言われても、本当にダイエット中に食べても良いのか心配な方の為にも、この記事ではさつまいものダイエットに向いている点、そしてさつまいもを使ったメインディッシュをご紹介していきます。

豊富な食物繊維が痩せ体質を作る

さつまいもに含まれる豊富な食物繊維。数ある野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。食物繊維にはダイエットを手助けしてくれる働きが沢山あり、瘦せ体質に導きます。

瘦せ型細菌を増やす

近年、ダイエットと腸内環境には密接な関係があることが分かってきました。「腸活」といった言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。食物繊維はこの腸活にも大いに役立ちます。私たちの腸には200種類以上、量にして100兆個以上もの腸内細菌が存在するといわれています。これらの腸内細菌はそれぞれ善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられます。その名の通り、善玉菌が多くなると腸の状態を良好に保ち、悪玉菌が増えると腸内環境を悪化させます。日和見菌はどちらにも分類されませんが、数の多い方に優位に働きます。食物繊維は善玉菌の餌となり、善玉菌を増やすことに貢献します。腸内細菌にはエネルギーや脂肪を溜め込みやすい肥満型細菌と、脂肪や糖を好まないやせ型細菌があり、このことが体型の違いに大きく影響しているという報告があります。どちらが優勢になるのかを決めるのが善玉菌と悪玉菌のバランスです。善玉菌が多いとやせ型細菌も増えると考えられています。

便秘解消効果

さつまいもには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。このうち水に溶ける水溶性食物繊維は便を柔らかくし、水に溶けない不溶性食物繊維は便のかさを増す働きがあります。便秘になると、当然のことながらお腹周りはスッキリせず、体重も増加します。「運動をしているのにお腹周りが痩せない」「食べ過ぎてはいないはずなのに体重が落ちない」という方はそもそも便秘により老廃物をため込んでいることが原因かもしれません。便秘を長い間放置していると基礎代謝が低下することもあり、瘦せにくくなるともいわれています。ダイエットの面だけではなくても便秘は万病の元とも言われるほど、健康面でも美容的な観点からも天敵です。悪玉菌が増え、有害物質が発生し、血液に乗って全身に運ばれてしまいます。便秘をすると肌荒れする等と言われるのはこの為です。また、先述にもある肥満型細菌は悪玉菌が増えることで増殖すると考えられています。

腹持ちアップ

食満繊維は胃に留まる時間が長く、満腹感が長く続きます。これにより、食べ過ぎを防止することに繋がります。また、食物繊維が多いと噛み応えがあるので、満腹感が得やすく、早食いの防止にもなります。

血糖値の上昇を抑える

糖類は小腸で吸収されますが、食物繊維はこの吸収を緩やかにする働きあります。その結果、血糖値の急激な上昇を抑えることが出来ます。血糖値が急激に上昇すると、脂肪として溜め込みやすくなります。

美味しくさつまいもを食べよう

優れた効果を持ち合わせるさつまいもですが、食べ方となると焼き芋かふかし芋しか思い浮かばず、というお声もよく伺います。両方とも確かに美味しいですが、さつまいもの食べ方はそれだけではありません。普段の料理に使用しても美味しく食べられます。ふかし芋を毎日ではいくら体に良くても飽きてしまう、という方。是非、おかずに加えて食べてみましょう!和食は勿論、洋食、中華料理にもとっても相性が良いですよ!

さつまいもと鮭の塩麹フリカッセ

〈材料〉

  • 鮭・・・2切れ
  • さつまいも・・・60g
  • ごぼう・・・20g
  • ブロッコリー・・・1/4株
  • 無調整豆乳・・・50ml
  • 生クリーム・・・30g
  • 白ワイン・・・30ml
  • 塩麹・・・小さじ1
  • オリーブオイル・・・大さじ1
  • 薄力粉・・・小さじ2
  • 塩、こしょう・・・少々

〈作り方〉

  1. 鮭は塩、こしょうで下味をつけておく。
  2. さつまいもは5㎜幅に切り、水にさらす。ごぼうは長めの斜め切りにして水にさらす。
  3. ブロッコリーは小房に分け、塩少々を加えた熱湯でさっと茹でる。
  4. フライパンにオリーブオイルの半量を熱し、水気を切ったさつまいも、ごぼうを弱めの火加減でじっくり焼く。竹串が刺さるようになったら一度バットに取り出す。
  5. 鮭の水気をクッキングペーパーで抑え、全体に薄力粉を薄くまぶす。
  6. 4のフライパンに残りのオリーブオイルを入れて熱し、5を焼く。両面に焼き色がついたらさつまいも、ごぼうを戻し入れる。白ワイン、塩麴を加えて蓋をして、中火にかける。
  7. アルコールが飛んだら、無調整豆乳、生クリームを加えて軽く煮立て、火を止める。器に盛り付け、ブロッコリーを添える。

甘くても低GI低カロリー

GI値=グリセミックインデックスという言葉を聞いたことはありますか。これは食品ごとの食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。この値が高いほど血糖値は急激に上がりやすく、低いほど穏やかに上昇します。一般的にはご飯、パン、麺類といった炭水化物や甘いものは高GI食品です。しかし、さつまいもはこれだけ甘みがあってもGI値が低めの食品。さつまいもより甘みが少ないじゃがいもは逆にGI値が90ですが、さつまいもは55と随分と低いことが分かります。カロリーの面でもさつまいもは優秀です。さつまいも100gあたりのカロリーは127kcal。一般的に中サイズのさつまいもが約250gなので、100gとなると中サイズ半分ほどですが、それでも食パン1枚のカロリー160kcalよりも低いのです。中サイズ1本のカロリーは318kcalで、これはパスタ1食分の麺のカロリーとほぼ同じ程度のカロリーとなります。食パン1枚とさつまいも半分、パスタの麺1食分とさつまいも1本、どちらの方が食べ応えがあるかと考えるとさつまいもではないかと思います。更に、他の炭水化物は糖質以外の栄養素を殆ど含みませんが、さつまいもは糖質以外にもビタミンやミネラルなど、健康や美容に嬉しい栄養素が沢山含まれています。ダイエット中は甘みのあるものが恋しくなるものですが、さつまいもであれば安心して食べることが出来ますね。

さつまいも特有の成分ヤラピン

さて、さつまいもを切ったときに白い液体のようなものが包丁に付着していたことはないでしょうか。これはさつまいも特有の成分で「ヤラピン」というものです。さつまいもの皮に黒い傷のようなものが付着していることがありますが、これもヤラピンによるものです。購入時にこれがついていると、傷んでいるのか、汚いのかと敬遠してしまうかと思いますが、むしろヤラピンが詰まっていてラッキーと思って下さい。ヤラピンには整腸作用があり、さつまいもの豊富な食物繊維に付着すると、相乗効果で腸の蠕動運動を促進するといわれています。加熱しても減少しにくい点も嬉しい成分です。

ダイエット効果と抗酸化作用を持ち合わせるクロロゲン酸

さつまいもを切ってからしばらくすると、黒~緑のような色になってくることがあります。これは決して傷んでしまったわけではなく、クロロゲン酸というポリフェノールによるものです。このクロロゲン酸、近年の研究で糖分の吸収を緩やかにする、脂肪の蓄積を抑えるといった働きがあることが分かってきました。その為、肥満予防のサプリメントや特定機能食品にも利用されています。抗酸化作用にも優れており、アンチエイジングとしても強い味方となる成分です。特に皮に多く含有されています。

皮付近にはダイエットの味方がいっぱい

ここまで読んで下さった方はお気づきかと思いますが、一つ断言しておくことがあります。それは「さつまいもは皮ごと食べるべき」ということです!なぜなら皮と皮の付近にダイエットに有効な成分もその他の栄養素も豊富に含まれています。料理によっては色合いや食感から皮を除くものもありますが、その場合はむいた皮を素揚げしてチップスにすると美味しく食べられます。お菓子のトッピングや料理のアクセントに添えるのもオススメです。要はそれだけ捨てるのがもったいないくらいに栄養が詰まっているのです。今まで皮はむいて食べていたという方は初めは抵抗があるかもしれませんが、料理として味付けされているものからスタートすると案外美味しく食べられるでしょう。色合いも綺麗なので、ピーラーは一旦封印して、是非皮付きのまま調理してみて下さい。

さつまいもとお手軽肉団子の甘酢あん

〈材料〉

  • 豚ロースこま切れ肉・・・120g
  • 下味
    おろししょうが・・・小さじ1/2
    おろしにんにく・・・小さじ1/8
    酒・・・小さじ1
    塩・・・少々
  • さつまいも・・・80g
  • アスパラガス・・・4本
  • 黒酢・・・大さじ4
  • 砂糖・・・大さじ2
  • しょうゆ・・・小さじ2
  • 酒・・・小さじ1
  • ごま油・・・小さじ1×2
  • 水溶き片栗粉
  • 片栗粉・・・小さじ1
  • 水・・・小さじ2

〈作り方〉

  1. 豚こま切れ肉は下味をつけ、一口大に丸める。
  2. さつまいもは1cm幅の半月切り、大きければいちょう切りにして水にさらす。
  3. アスパラガスは下半分の皮を剥き、塩少々を加えた熱湯でさっと茹でる。ざるに取り、斜め4等分に切る。
  4. フライパンにごま油を入れて熱し、1を中火で転がしながら焼く。全体に焼き色が付いたらバットに取り出す。
  5. 4のフライパンにごま油を入れて熱し、水気を切ったさつまいもを弱火でじっくり焼く。両面に焼き色を付け、柔らかくなったらバットに取り出す。
  6. 5のフライパンに黒酢、砂糖、しょうゆ、酒を入れて火にかける、混ぜながら少しとろみがつく程度まで煮詰め、最後に水溶き片栗粉を回し入れ、火を止める。
  7. 6のフライパンに3,4、5を入れて全体に甘酢あんを絡める。