「なると金時」と「鳴門金時」は同じ?違う?由来と本当の読み方をプロが解説

私たちの食卓にもおなじみのさつまいも、「なると金時」。一方で、漢字で「鳴門金時」と書かれているのを目にすることもあります。この二つは同じものなのか、それとも違う品種なのか、迷われた経験はないでしょうか。結論から申し上げますと、これらは全く同じさつまいもを指しています。では、なぜ二通りの表記が存在するのか。そこには商標というはっきりとした理由が隠されているのです。この記事では、そんな表記の違いの謎を解き明かすとともに、その正しい読み方、名前の由来、そして徳島の風土が育んだ美味しさの秘密までを徹底解説。美味しい鳴門金時の選び方や、その魅力を最大限に引き出す調理法もご紹介しますので、もうこの甘いお芋のことで迷うことはありません。

「なると金時」と「鳴門金時」の違いは表記だけ

スーパーの野菜売り場や八百屋の店先で、「なると金時」と書かれていたり、「鳴門金時」と漢字で書かれていたり、どちらの表記も見かけたことがあるのではないでしょうか。どちらが本当の名前なのだろう、もしかして違う種類のさつまいもなのだろうかと、疑問に思ったことがあるかもしれません。実はこの二つ、表記が違うだけで、指し示しているさつまいもは全く同じものなのです。

指しているさつまいもは同じもの

「なると金時」と「鳴門金時」の違いは表記だけ

「なると金時」も「鳴門金時」も、徳島県を代表するブランドさつまいもを指す言葉です。 品種としては「高系14号」から選抜育成されたもので、その品質や味わいに違いはありません。 見た目の鮮やかな紅色と、加熱したときのホクホクとした食感、そして上品な甘さが特徴の、あの美味しいさつまいもで間違いありません。 どちらの表記であっても、安心して手に取ることができます。

「なると金時」と「鳴門金時」の違い・比較まとめ|呼び方・品種・商標登録の違いを解説
項目 なると金時(ひらがな表記) 鳴門金時(漢字表記)
指し示すもの 徳島県産のブランドさつまいも 徳島県産のブランドさつまいも
品種 高系14号の系統 高系14号の系統
特徴 皮は鮮やかな紅色で、ホクホクとした食感と上品な甘さが特徴。栗のような風味で、焼き芋や和菓子にも人気です。
商標登録 登録あり(JA全農)。「なると金時」は正式に商標登録されたブランド名です。 「鳴門金時」は一般的な表記として使われますが、商標としては「なると金時」に含まれます。

「鳴門金時」はJA全農とくしまの登録商標

では、なぜ二つの表記が存在するのでしょうか。その理由は、商標登録にあります。「なると金時」という名称は、全国農業協同組合連合会(JA全農)によって地域団体商標として登録されています。 この商標は、徳島県内の鳴門市、徳島市、板野郡といった指定された地域で生産されたさつまいものみに使用が認められています。 このように、ブランドとしての価値を守り、他の産地のさつまいもと明確に区別するために、ひらがなの「なると金時」が正式な登録商標として管理されているのです。そのため、市場ではJAを通して出荷される正規品の多くに「なると金時」の表記が使われています。

なぜ「なると金時」とひらがなで書かれることが多いのか

なぜ「なると金時」とひらがなで書かれることが多いのか

「鳴門金時」が正式なブランド名であるにもかかわらず、スーパーの店頭やレシピサイトなどで「なると金時」とひらがなで表記されているのを頻繁に目にします。これには、消費者に親しみやすさを感じてもらうための工夫や、商標としての取り扱いなど、いくつかの理由が背景にあるのです。私たちの仕事の現場でも、出荷先や販売戦略によって表記を使い分けることがあります。

読みやすさと幅広い世代への配慮

最大の理由として挙げられるのが、ひらがな表記が持つ「読みやすさ」と「親しみやすさ」でしょう。さつまいもは、小さなお子様からご年配の方まで、幅広い世代に愛される食材です。「鳴門」という漢字が読みにくいと感じる方や、パソコンやスマートフォンで漢字変換する手間を省きたいと考える方も少なくありません。ひらがなで表記することで、誰もが直感的に「なるときんとき」と認識でき、手に取ってもらいやすくなるというわけです。特に、家族連れが多く訪れるスーパーマーケットの青果売り場では、こうした配慮が購買意欲に繋がると考えられています。

登録商標としての「なると金時」

実は、「なると金時」という名称は、JA全農とくしまによって地域団体商標として登録されています。 徳島県内の指定された地域(鳴門市、徳島市、板野郡)で特定の栽培方法によって作られたさつまいものみが、この名称を名乗ることを許されているのです。 この登録商標がひらがな表記であるため、公式なブランド名としてひらがなが広く使われる大きな要因となっています。一方で、「鳴門金時」とすべて漢字で表記することも商標法に抵触する可能性があるため、ひらがな表記が一般的に用いられるようになりました。

インターネット検索のしやすさ

現代ならではの理由として、インターネットでの検索しやすさも挙げられます。レシピを調べたり、通販で購入したりする際に、多くの人が「なるときんとき」とひらがなで検索窓に入力する傾向があります。そのため、ウェブサイトやオンラインショップの運営者は、検索する人のキーワードに合わせて「なると金時」と表記することで、より多くの人の目に触れる機会を増やそうと考えています。これはSEO(検索エンジン最適化)と呼ばれる考え方に基づいた、販売戦略のひとつなのです。

場面に応じた使い分けが実態

結局のところ、「なると金時」と「鳴門金時」は、どちらが間違いというわけではなく、場面や伝えたい印象に応じて戦略的に使い分けられているのが実情です。それぞれの表記が持つ特徴を、下の表に整理してみました。

「なると金時」と「鳴門金時」の表記の使い分け|使用場面と印象の違い
表記 主な使用場面 与える印象
ひらがな「なると金時」 スーパーのPOP、一般的なレシピサイト、家庭での会話、オンラインショップの商品名 親しみやすく柔らかい印象。消費者に分かりやすく、日常使いに向いています。
漢字「鳴門金時」 徳島県の公式サイト、贈答品のパッケージ、報道、歴史や由来を解説する場面 本格的で高品質な印象。伝統や格式を感じさせるため、公式・高級用途で使われます。

このように、私たちは消費者にその魅力を最大限に伝えるため、日々考えながら「なると金時」と向き合っています。ひらがな表記を見かけたときには、そんな背景にも思いを馳せていただけると、また違った味わいを感じていただけるかもしれません。

鳴門金時の由来と歴史を深掘り

食卓でおなじみの鳴門金時ですが、その名前がどこから来て、どのような歴史をたどって私たちの元に届くようになったのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか。実は、その背景には先人たちの知恵と、徳島の土地が持つ力が深く関わっています。ここからは、鳴門金時がトップブランドとして愛されるに至った、その物語を紐解いていきましょう。

高系14号から生まれたブランド芋

なると金時は高系14号から生まれたブランド芋

現在、鳴門金時として親しまれているさつまいもは、「高系14号(こうけいじゅうよんごう)」という品種が元になっています。 この高系14号は、西日本を中心に広く栽培されている品種で、多くのブランドさつまいもの親とも言える存在です。 徳島県では、この高系14号の中から特に見た目の色鮮やかさや形の良いものを選び抜き、独自の栽培方法で品質を高めることで、「鳴門金時」という唯一無二のブランドを確立しました。 その歴史は古く、明治時代にまで遡ります。鳴門市里浦出身の西上国蔵氏が長崎から持ち込まれたさつまいもの中から優れたものを選抜したのが、この地でのさつまいも栽培の名声を高めるきっかけになったと言われています。

鳴門金時ブランド確立までの歴史と歩み|誕生の背景と発展の流れ
時代 出来事
明治初期 鳴門市里浦の西上国蔵氏が、長崎県から伝わったさつまいもの優良系統を選抜。関西方面で「撫養(むや)いも」として知られ、産地としての名声が高まる。
昭和30年代 現在の「鳴門金時」の直接の祖先となる高系14号が導入される。
昭和40年代 鳴門市を中心に栽培地域が拡大し、約1,000ha規模の産地に成長。
1979年(昭和54年)頃 高系14号の中から特に外観や食味に優れた株が選抜され、「なると金時」と命名。徳島県を代表するブランドさつまいもとして確立される。

「鳴門」の地名が名前の由来

その名の通り、「鳴門金時」の「鳴門」は、徳島県鳴門市を中心とした地域で栽培されていることに由来します。 しかし、単に地名が付いているだけではありません。この土地こそが、鳴門金時の美味しさを育む上で欠かせない特別な場所なのです。鳴門金時が栽培される畑は、吉野川河口の沿岸地域に広がる砂地です。 海のミネラルを豊富に含んだ水はけのよい砂地の土壌と、温暖で雨の少ない瀬戸内式の気候という、さつまいも栽培にとってまさに理想的な条件が揃っています。 この特有の風土が、鳴門金特有の上品な甘さとホクホクとした食感を生み出しているのです。つまり「鳴門」という名は、品質を保証する産地の証そのものと言えるでしょう。

「鳴門金時」の本当の読み方は「なるときんとき」

「鳴門金時」の本当の読み方は「なるときんとき」

スーパーの野菜売り場や、秋になると聞こえてくる焼き芋屋さんの声。私たちの食生活に彩りを与えてくれる「鳴門金時」ですが、その名前を声に出して呼ぶとき、ふと「この読み方で合っているのだろうか」と不安になったことはありませんか。漢字とひらがなが混ざった表記を見かけることもあり、迷ってしまうのも無理はありません。しかし、どうぞご安心ください。鳴門金時の正式な読み方は「なるときんとき」です。 これさえ覚えておけば、もう迷うことはありません。

この機会に、「鳴門」と「金時」それぞれの言葉が持つ意味合いを少し掘り下げてみることで、より一層このさつまいもに親しみが湧いてくることでしょう。

「鳴門(なると)」の読み方について

まず「鳴門」の部分ですが、これは徳島県の北東部に位置する「鳴門市(なるとし)」という地名に由来しています。 渦潮で有名な鳴門海峡に面したこの地域は、温暖で雨が少なく、海のミネラルを豊富に含んだ砂地の土壌が広がっています。 この特殊な風土こそが、鳴門金時ならではの上品な甘みとホクホクとした食感を生み出す秘密なのです。地名である「鳴門」をそのまま「なると」と読むのが、ごく自然なことなのです。

「金時(きんとき)」の読み方について

次に「金時」ですが、これは加熱したときに見せる、鮮やかな黄金色の中身に由来しています。 そして、この「金時(きんとき)」という言葉の響きには、日本の昔話に登場する、あの力強い英雄の姿が重ねられています。そう、幼名を金太郎という坂田金時(さかたのきんとき)です。 彼の健康的な赤い顔色を彷彿とさせることから、赤みの強い野菜や豆類などに「金時」という名が付けられるようになった、という説が広く知られています。 鳴門金時の美しい紅色の皮は、まさにこの「金時」の名を冠するにふさわしいと言えるでしょう。

よくある読み間違い

「鳴門金時」という言葉に馴染みがないと、つい他の読み方をしてしまうこともあるかもしれません。例えば、「鳴門」を音読みで「めいもん」と読んでしまったり、「金時」を「きんじ」と読んでしまったり。しかし、これらは一般的な読み方ではありません。下の表に正しい読み方と間違いやすい例をまとめましたので、一度確認してみてください。

鳴門金時の正しい読み方と間違いやすい例|「なるときんとき」が正式名称
分類 読み方 備考
正しい読み方 なるときんとき 地名の「鳴門(なると)」と、坂田金時などに由来する「金時(きんとき)」を組み合わせたものです。
間違いやすい読み方 めいもんきんとき 「鳴門」を音読みしたことによる誤読です。「なると」と訓読みするのが正解です。
間違いやすい読み方 なるときんじ 「金時」の「時」を「じ」と読んでしまう誤読です。正しくは「きんとき」と読みます。

正しい読み方を知ることで、お店で注文するときも、家族や友人とその美味しさについて語り合うときも、自信を持ってその名を口にすることができるはずです。これからは、親しみを込めて「なるときんとき」と呼んであげてください。

徳島ブランド「なると金時」の魅力と特徴

徳島が誇るさつまいものトップブランド、なると金時。その鮮やかな紅色の皮と、中身の美しい黄金色が目を引きます。 しかし、なると金時の魅力は見た目だけではありません。一度味わえば誰もが虜になる上品な甘さと、栗を思わせるホクホクとした食感こそが、長年にわたり多くの人々に愛され続ける最大の理由と言えるでしょう。 ここでは、そんななると金時がなぜこれほどまでに美味しいのか、その秘密に迫ります。

栽培に適した徳島の風土

なると金時の栽培に適した徳島の風土

なると金時の美味しさの根幹を支えているのは、徳島県北東部の沿岸地域という、まさにさつまいも作りのためにあるかのような恵まれた自然環境です。 温暖で降水量の少ない瀬戸内式気候は、さつまいもが病気になりにくく、じっくりと糖分を蓄えるのに最適な条件を備えています。

そして、何よりも特徴的なのが、鳴門海峡のミネラルを豊富に含んだ、水はけの良い砂地の土壌です。 この砂地で育つことで、なると金時は水っぽくなることなく、きめ細かく美しい肌に育ちます。まさに、徳島の風土が育んだ奇跡の産物なのです。

上品な甘さとホクホク食感の秘密

鳴門金時 上品な甘さとホクホク食感の秘密

なると金時を口にしたときに感じる、どこか懐かしく優しい甘さ。これは、近年人気のねっとり系のさつまいもとは一線を画す、なると金時ならではの魅力です。 その秘密は、加熱することでデンプンが糖に変わる性質にあります。じっくりと時間をかけて火を通すことで、本来持っている甘みが最大限に引き出され、黄金色の果肉とともに口の中に広がります。

さらに特筆すべきは、収穫してから一定期間貯蔵することで「追熟」し、さらに糖度が増すという点です。 収穫したてのフレッシュな味わいも格別ですが、じっくりと熟成されたなると金時は、甘みが凝縮され、より一層深みのある味わいへと変化します。このホクホクとした粉質の食感と上品な甘さの組み合わせが、焼き芋はもちろん、天ぷらやスイーツなど、幅広い調理法でその真価を発揮する理由なのです。

鳴門金時の旬はいつ?

鳴門金時の旬はいつ?

なると金時の収穫は、早いものでは7月下旬頃から始まり、8月から10月にかけて最盛期を迎えます。 この時期には、収穫されたばかりの「新いも」が多く出回ります。しかし、本当の意味での「食べ頃の旬」は、そこから少し待った時期にやってきます。

前述の通り、なると金時は収穫後に貯蔵・熟成させることで甘みが増していきます。 そのため、収穫のピークから1〜2ヶ月ほど経った11月頃から2月にかけてが、最も甘く美味しくなる時期と言えるでしょう。 もちろん、収穫直後の瑞々しい味わいも楽しめますが、より甘さを求めるのであれば、秋が深まるのを待つのがおすすめです。

鳴門金時の旬の時期と特徴まとめ|新いもから食べ頃の違いまで
時期 特徴
7月下旬~10月 収穫期・最盛期。水分が多く、みずみずしい「新いも」が出回ります。ほくほくよりもしっとり系で、フレッシュな味わいが特徴です。
11月~2月 もっとも甘みが乗る食べ頃の旬。貯蔵による追熟で糖度が増し、鳴門金時らしい濃厚な甘さとホクホク感が引き立ちます。
3月~6月 貯蔵品が中心の時期。品質は安定していますが流通量は少なめ。焼き芋やお菓子加工用に向いています。

美味しい鳴門金時の選び方

せっかく鳴門金時を手に取るなら、その美味しさを最大限に味わえる一本を選びたいものです。スーパーの店頭などで、どれにしようかと迷ったときに役立つ、いくつかの簡単な見分け方のポイントをご紹介します。ほんの少し気に掛けるだけで、いつもの鳴門金時がさらに特別な味わいになるかもしれません。

皮の色とツヤをチェック

美味しい鳴門金時の選び方

まず注目していただきたいのは、鳴門金時の「顔」ともいえる皮の状態です。鮮やかな紅色が均一に広がっていて、表面に自然なツヤとハリがあるものは、新鮮で健やかに育った証拠と言えるでしょう。 私たちが畑で収穫する際も、この生き生きとした色ツヤは品質を見極める大切な指標になります。

一方で、表面に黒い斑点や傷が見られるものは注意が必要です。 この黒い部分は「ヤラピン」という成分が変色したもので、食べても問題ない場合が多いのですが、傷から傷み始めている可能性も考えられます。 また、ひげ根が多すぎたり、硬くなっていたりするものは、繊維質が多い傾向にあるかもしれません。

鳴門金時の見分け方と選び方チェックポイント|鮮度の良いさつまいもを見抜くコツ
チェックポイント 良い状態 避けたほうが良い状態
色とツヤ ムラのない鮮やかな紅色で、ハリとツヤがあるもの。 色がくすんでいる、またはシワが寄っているもの。
表面の状態 皮がなめらかで、傷や黒い斑点が少ないもの。 黒い斑点や傷が多いもの、芽が出ているものは避けましょう。
ひげ根 ひげ根が少なく柔らかいものは、繊維が細かく食感が良いです。 ひげ根が多く、硬くなっているものは繊維質が多くなりがちです。

ふっくらと重みのある形を選ぶ

次に、その形と重さに注目してみましょう。全体的にふっくらとした紡錘形(ぼうすいけい)で、持った時にずっしりと重みを感じるものがおすすめです。 見た目の大きさ以上に重みがあるものは、中に栄養と水分がぎっしりと詰まっている証拠。加熱したときのホクホクとした食感につながります。

極端に細長いものや、表面がゴツゴツと凹凸の激しいものは、調理がしにくいだけでなく、中にスジが多いことがあります。 また、手に取った時に軽く感じるものは、収穫から時間が経って水分が失われている可能性があります。美味しい鳴門金時を選ぶ際は、ぜひその重みも感じてみてください。

鳴門金時の味を最大限に活かす調理法

鳴門金時の魅力である上品な甘みとホクホクとした食感を存分に味わうためには、その特性に合わせた調理法を選ぶことが大切です。ここでは、鳴門金時のポテンシャルを最大限に引き出す、シンプルながらも奥深い調理の世界をご紹介します。定番の焼き芋から、おかず、スイーツまで、様々な表情をお楽しみください。

素材の甘さを楽しむ焼き芋や蒸し芋

なると金時の素材の甘さを楽しむ焼き芋や蒸し芋

鳴門金時本来の味を最もシンプルに、そして深く味わえるのが焼き芋や蒸し芋です。さつまいもに含まれるでんぷんを糖に変える酵素「β-アミラーゼ」は、低い温度でゆっくりと加熱することで活性化し、甘みを最大限に引き出します。 高温で短時間で調理するのではなく、時間をかけることが美味しさの秘訣です。

鳴門金時の美味しい調理法とコツ|オーブン・蒸し器・炊飯器の違い
調理法 特徴 ポイント
オーブン 香ばしい香りと、皮のパリッとした食感が楽しめる本格的な仕上がりになります。 アルミホイルで包み、160℃程度の低温で60~90分じっくり加熱。竹串がすっと通れば焼き上がりのサインです。
蒸し器 しっとりとなめらかで、焼き芋とは違う優しい甘さが味わえます。 皮をところどころ剥き、塩水に軽く浸けてから蒸すと甘みが引き立ちます。蒸し時間は約40~60分。
炊飯器 手軽にねっとり甘い蒸し芋が作れます。水を少し入れてスイッチを押すだけ。 芋の量は釜の半分以下に。みりんや蜂蜜を少し加えると、まるで蜜芋のような仕上がりになります。

揚げ物との相性も抜群

なると金時は揚げ物との相性も抜群

鳴門金時は、揚げ物にも非常に適しています。油で揚げることで水分が適度に抜け、甘みが凝縮されるのです。外側の衣はサクサク、中はホクホクという食感のコントラストは、一度食べたらやみつきになる美味しさです。

代表的な料理は「天ぷら」でしょう。 輪切りにした鳴門金時を少し厚めに切り、低温の油でじっくり揚げるのがコツです。 揚げることで鮮やかな黄金色になり、見た目にも食欲をそそります。 味付けはシンプルに塩をひとつまみ振るだけで、鳴門金時の上品な甘さが際立ちます。また、甘い蜜を絡めた「大学いも」も定番の人気料理です。 カリッとした飴の食感と、中のホクホク感が絶妙にマッチします。

冷めても美味しいスイートポテト

なると金時の冷めても美味しいスイートポテト

鳴門金時のきめ細かく上品な甘さは、お菓子作り、特にスイートポテトに最適です。 小麦粉などのつなぎを使わなくても、卵やバター、生クリームと合わせるだけで、しっとりとなめらかな生地に仕上がります。 素材そのものの風味を活かした、ごまかしのない自然な味わいが魅力です。 加熱して裏ごしすることで、鳴門金時のなめらかな舌触りが一層引き立ちます。バターや生クリームのコクが加わることで、満足感のあるリッチなスイーツが完成します。冷めてもパサつきにくく、しっとりとした美味しさが続くのも嬉しい特徴です。

まとめ

「なると金時」と「鳴門金時」は同じ?違う?実は表記が違うだけで同じさつまいものまとめ

「なると金時」と「鳴門金時」、この二つの表記の違いに迷われた方もいらっしゃるかもしれませんが、どちらも同じさつまいもを指しています。漢字表記の「鳴門金時」はJA全農とくしまの登録商標であり、ひらがな表記は親しみやすさから広く使われるようになった、というわけです。

そのルーツは「高系14号」という品種にあり、名前は徳島県の豊かな土地「鳴門」に由来します。正しい読み方は「なるときんとき」。徳島の温暖な気候とミネラル豊富な砂地という、恵まれた環境があってこそ、あの栗のようなホクホク感と品の良い甘さが生まれるのです。

この記事でご紹介した見分け方や調理のコツを参考に、ぜひ旬の鳴門金時を手にとって、その格別な味わいをじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。きっと、その美味しさの虜になるはずです。