ヘルシーで手軽に食べられるおやつとして、昔から人気の「干し芋」。子供のころから干し芋を食べていた人の中には、「昔のものはもっと硬くてしゃぶるようにして食べた」、「今みたいな柔らかい干し芋はなかった」と、昔の干し芋は現代のものよりも硬かった、と記憶している人も多いのではないでしょうか。
実際に、昔ながらの干し芋を販売している店では、噛み応えのある硬さを売りにしています。現代ではしっとりと柔らかい干し芋が主流となっていますが、なぜ昔の干し芋は硬かったのでしょうか。干し芋の歴史から干し芋の進化を辿ってみましょう。
また、硬い干し芋に当たってしまった場合に、柔らかくする方法もご紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。
干し芋が硬くなる3つの理由
干し芋は、昔はスルメのように硬いものがほとんどでした。現代でも柔らかいものの中に硬いものが混じっていたり、自分で作った結果、カチカチに硬くなってしまったりするケースがあります。そもそも、なぜ干し芋は硬くなるのでしょうか。その理由を見てみましょう。
干す時間
干し芋は、干す時間が長ければ長いほど、中の水分が抜けて硬くなります。自作の干し芋が硬すぎた場合、干し時間が長すぎた可能性があります。干し芋を作る際は、干しっぱなしにするのではなく、時々硬さを確認するようにしましょう。
さつまいもの品種・栽培状況
干し芋の硬さには、さつまいもの品種や、栽培された状況が大きく関わってきます。さつまいもは食感によって大きく、「ねっとり系(安納芋など)」、「しっとり系(紅はるか、シルクスウィートなど)」、「ホクホク系(紅あずま、鳴門金時など)」の3つに分類されます。
このうち、ホクホク系はそもそも芋の水分量が少ないため、硬くなりがちです。干し芋を作る際は、ねっとり系かしっとり系の芋を使うようにしましょう。また、ねっとり系やしっとり系でも、暑い日が続いたり降水量が少なかったりした状況で育てられた芋は、水分が少なく硬くなりがちです。ホクホク系や、雨量が少ない年に作られた水分量が少ない芋で干し芋を作る際は、蒸し器でしっかりと水分を含ませるようにしましょう。
保存状況
元々は柔らかい干し芋も、保存状況が悪いと硬くなってしまうことがあります。袋入りの干し芋を開封後に再度保存する際は、干し芋の水分が飛ばないように、ジップロックなどの密閉袋に入れて冷蔵庫で保存するようにしましょう。
昔の干し芋が硬かった理由を歴史から考察
干し芋は1892年ごろ、静岡県の天竜川の近くにある、大藤村に住む大庭林蔵と稲垣甚七が生み出したとされています。干し芋は煮炊き(調理)の必要がなく、長期保存が可能。栄養価が高く、さらに携帯に便利で、どこでも食べられるというメリットづくしのため、生産量は急増したと言われています。
この、干し芋の生産量が急増した理由から見てみると、生み出されたころの干し芋は、「長期保存」が可能であることが重要でした。保存食や携帯食としては、美味しさよりも保存力が大切だったのです。そのため、当時はあえてカラカラになるまで干して、少しでも保存期間を長くしたのではないでしょうか。
現代では、缶詰やレトルト食品など他の保存食・携帯食の種類が増え、また季節を問わず野菜や果物が手に入るようになりました。そのため、干し芋を長期保存する必要がなくなり、美味しさの方を追求して干し芋向きの品種が作られたり、柔らかくする製法が生まれたりした結果、しっとりと柔らかい干し芋が誕生したと考えられます。
硬い干し芋を柔らかくする方法
硬めの干し芋が好みであれば良いですが、柔らかめの干し芋が好きな場合、硬い干し芋に当たってしまうと食べづらく困ってしまいますよね。硬い干し芋でも、少しの工夫で柔らかくすることができます。干し芋が硬かった際は、ぜひ試してみてください。
トースター・電子レンジで温める
硬い干し芋は加熱することで柔らかくなります。トースターで温める場合は、水で濡らしてから焼きます。焼き時間は、芋の厚みや乾燥度合いによって変わります。また、放置すると焦げてしまうこともあるので、柔らかさや焦げが無いかチェックしながら焼きましょう。
電子レンジで加熱する際は、干し芋を水で濡らした後ラップでくるみ、500Wで20秒ほど温めます。加熱し過ぎると逆にさらに硬くなってしまうので、温めが足りない場合は10秒ずつ小刻みに加熱時間を追加しましょう。
まとめ
近年ヘルシーなおやつとして人気の干し芋は、柔らかいタイプが人気ですが、元々は携帯・保存食向けに作られており、硬いものでした。干し芋が硬くなる理由は、「干す時間」、「さつまいもの品種・栽培状況」が関係しています。硬い干し芋が好みであれば、硬くなりやすい品種で長めに干すと良いでしょう。もし、柔らかい干し芋の方が好みなのに硬い干し芋に当たってしまった場合は、今回ご紹介した柔らかくする方法を試してみてくださいね。