秋の味覚として食卓にのぼる、さつまいも。最近ではスーパーの店頭にも驚くほど多くの品種が並び、どれを選べば思い描いた味になるのか、迷ってしまうことも増えてきたのではないでしょうか。この記事では、そんなあなたのために、数あるさつまいもの種類を「甘さ」と「食感」の2つの軸で整理した、一目でわかるマップをご用意しました。ねっとり甘い蜜芋から昔ながらのホクホク系まで、あなたの好みに合う一本がきっと見つかります。結論から言えば、最高のさつまいも体験の鍵は、品種ごとの個性を理解し、焼き芋や天ぷらといった調理法に合わせて賢く使い分けること。さあ、奥深いさつまいもの世界へ、私たちと一緒に出かけてみませんか。
あなたに合うさつまいもはどれ?甘さ・食感マップで好みの種類を探そう
秋の味覚の代表格であるさつまいも。一口にさつまいもと言っても、スーパーの店頭には驚くほど多くの品種が並び、どれを選べばよいか迷ってしまうことはありませんか。実は、さつまいもには様々な種類があり、その個性は甘さや食感によって大きく異なります。蜜が溢れるほど甘くねっとりとしたものから、栗のようにホクホクとした昔ながらの味わいのものまで、その魅力は実に多彩です。
この記事の最初の章では、あなたの好みにぴったりのさつまいもを見つけられるよう、品種ごとの特徴を「甘さ」と「食感」の2つの軸で整理したマップをご用意しました。このマップを参考にすれば、数ある種類の中から理想の一本をきっと見つけ出すことができるでしょう。
さつまいもの食感は大きく3タイプ
さつまいもの個性を示す最も大きな違いは「食感」にあります。現在の主流は、食感によって大きく「ねっとり系」「ホクホク系」「しっとり系」の3つのタイプに分類されます。 それぞれがどのような特徴を持っているのか、まずは基本を押さえておきましょう。
ねっとり系

近年、焼き芋ブームの中心的存在となっているのが「ねっとり系」です。 その名の通り、加熱すると水分が多く、粘り気のあるクリーミーな食感になります。 糖度が非常に高い品種が多く、まるでスイーツのような濃厚な甘さを楽しめるのが最大の魅力です。
ホクホク系

昔ながらのさつまいもらしい味わいを楽しみたい方には「ホクホク系」がおすすめです。水分が少なく粉質なのが特徴で、栗やかぼちゃを思わせるような、ほっくりとした食感が楽しめます。 上品でやさしい甘さの品種が多く、天ぷらや煮物といった料理にも幅広く活用できます。
しっとり系

「しっとり系」は、ねっとり系とホクホク系のちょうど中間に位置する食感が特徴です。 絹のようになめらかな舌触りと、ほどよい水分量が魅力で、上品な甘さを持つ品種が多いです。 バランスが取れているため、焼き芋からお菓子作り、料理まで、どんな用途にも使いやすい万能タイプと言えるでしょう。
甘さ・食感マップで品種のポジションを確認
それでは、代表的なさつまいもの品種が、甘さと食感のマップ上でどこに位置するのかを見ていきましょう。食感と甘さの組み合わせが、品種の個性を決める重要な要素です。この表を見れば、あなたの求めるさつまいもがどの品種なのか、一目でイメージが掴めるはずです。
| ねっとり系 | しっとり系 | ホクホク系 | |
|---|---|---|---|
| 甘さが強い | 紅はるか 安納芋 |
シルクスイート | (該当する代表品種は少ない) |
| 上品な甘さ | (該当する代表品種は少ない) | べにまさり | 紅あずま 鳴門金時 |
品種選びで失敗しないための3つのポイント

マップで大まかな好みの品種が見つかったら、次はより具体的に選ぶための3つのポイントをご紹介します。このポイントを押さえることで、調理法や気分に合わせて最適な一品を選ぶことができるようになります。
ポイント1:まずは「食感」で選ぶ
最も好みが分かれるのが食感です。スイーツのようなとろける食感が好きなら「ねっとり系」、昔ながらの素朴な味わいが恋しいなら「ホクホク系」、両方の良いところを楽しみたいなら「しっとり系」というように、まずはどの食感のタイプが好きかを基準に選んでみましょう。
ポイント2:「甘さ」で好みを絞り込む
食感の次に注目したいのが「甘さ」の度合いです。同じ系統の食感でも、品種によって甘さの強さは異なります。例えば、ねっとり系の中でも「紅はるか」は強い甘みとすっきりした後味が特徴ですが、「安納芋」は蜜のような濃厚でコクのある甘みが魅力です。 デザートとして楽しむのか、食事の一品として使うのかによっても、適した甘さは変わってきます。
ポイント3:「調理法」も考慮に入れる
作りたい料理によって、さつまいもの向き不向きがあります。例えば、最高の焼き芋を作りたいなら、蜜がたっぷりの「ねっとり系」や、なめらかな舌触りの「しっとり系」が最適です。 一方で、天ぷらや大学芋のように、ある程度の形を保ちつつホクホクに仕上げたい料理には「ホクホク系」がその真価を発揮します。 この後の章で詳しく解説しますが、調理法から逆引きで品種を選ぶのも賢い方法です。
【人気】定番さつまいもの種類と特徴
私たちの食卓に、秋の訪れを告げてくれるさつまいも。その素朴な姿かたちの奥には、品種ごとに異なる豊かな個性と、育て手の想いが詰まっています。ここでは、数あるさつまいもの中でも特に人気が高く、多くの人に愛され続ける定番の品種たちをご紹介します。それぞれの持つ甘さや食感、そして畑で育まれる物語を知ることで、次に出会う一本が、きっと特別な存在になるはずです。
ねっとり甘い蜜芋の代表格 紅はるか

2010年に品種登録された比較的新しい品種でありながら、今やねっとり系さつまいもの代表格となった「紅はるか」。 その名は、他の品種よりも「はるか」に優れていることから名付けられました。焼き芋にすると糖度が一層高まり、まるでスイーツのような濃厚な甘さが口いっぱいに広がります。 加熱すると溢れ出す蜜のようなコクのある甘みと、しっとりクリーミーな食感は、一度味わうと忘れられない感動をもたらしてくれるでしょう。 私たちが丹精込めて育てた紅はるかが、土の中でじっくりと糖分を蓄え、最高の状態で皆様の元へ届く日を思うと、日々の作業にも一層力が入ります。
| 特徴 | 甘さ | 食感 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|---|---|
| 加熱すると蜜が出るほど糖度が高い。皮は赤紫色で、中は黄色みがかった白色。 | 非常に強い(安納芋と同等かそれ以上) | ねっとり・しっとり | 11月~1月頃 | 鹿児島県、茨城県、千葉県 |
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舌触りが魅力のシルクスイート

その名の通り、絹(シルク)のようになめらかな舌触りが多くの人々を魅了する「シルクスイート」。 2012年に誕生したまだ新しい品種ですが、その上品な甘さとすっきりとした後味で、瞬く間に人気品種の仲間入りを果たしました。 収穫してすぐは少しホクホク感が残りますが、じっくりと貯蔵熟成させることで、その真価であるしっとりとした食感へと変化していきます。 濃厚な甘さの紅はるかとはまた違う、品のある甘みとどこまでも滑らかな口どけは、まるで洗練されたデザートのようです。
| 特徴 | 甘さ | 食感 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|---|---|
| 繊維が少なくきめ細やかな肉質。皮は濃い紅色で中はクリーム色。 | 上品な甘さ | しっとり・なめらか | 11月~2月頃 | 茨城県、千葉県、福島県 |
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元祖ねっとり系さつまいもの安納芋

ねっとり系さつまいもの人気に火をつけた立役者といえば、鹿児島県種子島の特産品「安納芋」です。 コロンと丸みを帯びた愛らしい姿で、生のままでも糖度が16度前後あり、じっくり加熱すると40度近くにもなるという驚きの甘さを秘めています。 水分量が多く粘質で、クリームのようにねっとりとろける食感は、他のさつまいもとは一線を画す個性的な味わいです。 皮が赤い「安納紅」と、白っぽい「安納こがね」の2種類があり、どちらも濃厚な甘さを楽しめます。
| 特徴 | 甘さ | 食感 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|---|---|
| 丸みのある形で、果肉はオレンジ色。加熱すると蜜が溢れ出す。 | 非常に強い(蜜のような甘さ) | ねっとり・クリーミー | 10月~1月頃 | 鹿児島県(種子島) |
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昔ながらのホクホク食感 紅あずま

ねっとり系の品種が人気を集める一方で、昔ながらの味わいで根強いファンを持つのが「紅あずま」です。その魅力は、なんといっても栗のようなホクホクとした食感と、さつまいも本来の素朴で上品な甘さにあります。 関東地方を中心に広く栽培されており、私たちにとっても馴染み深い品種の一つです。 煮崩れしにくいため、天ぷらや煮物といった料理にも使いやすく、食卓を豊かに彩ってくれます。どこか懐かしさを感じるその味わいは、まさに日本の秋の味覚そのものです。
| 特徴 | 甘さ | 食感 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|---|---|
| 鮮やかな紅色の皮と黄色い果肉が特徴。繊維質が少なく粉質。 | 強い(上品な甘さ) | ホクホク | 9月~11月頃 | 茨城県、千葉県 |
どんな品種のさつまいも?産地や栽培時期、美味しい紅あずまの見分け方も
西日本を代表するブランド芋 鳴門金時

徳島県の温暖で雨の少ない気候と、海のミネラルを豊富に含んだ砂地という恵まれた土壌で育まれるブランド芋「鳴門金時」。 鮮やかな紅色の皮と、加熱したときの美しい黄金色の果肉が食欲をそそります。 食感はホクホク系で、栗のような上品な甘さが特徴です。 その品質の高さから、料理の食材としてはもちろん、高級和菓子の材料としても重宝されています。丁寧に育てられ、厳しく選果された鳴門金時は、まさにさつまいもの芸術品と呼ぶにふさわしい逸品です。
| 特徴 | 甘さ | 食感 | 旬の時期 | 主な産地 |
|---|---|---|---|---|
| 中身が黄金色で見た目が美しい。「里むすめ」などの地域ブランドがある。 | 強い(栗のような上品な甘さ) | ホクホク | 8月~11月頃(熟成させたものは秋~冬) | 徳島県(鳴門市、川内町など) |
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【調理法別】最適なさつまいもの種類を紹介
さつまいもと一口に言っても、その個性は品種によって大きく異なります。調理法に合わせて最適な一本を選ぶことで、料理の味は格段に引き立ちます。ここでは、定番の調理法ごとに、どのさつまいもがその真価を発揮するのかを詳しくご紹介します。
最高の焼き芋を作るならこの種類

焼き芋の魅力は、なんといってもあの甘さと食感にあります。近年では、蜜があふれ出す「ねっとり系」が人気を博していますが、昔ながらの「ホクホク系」にも根強いファンがいます。あなたの好みはどちらでしょうか。
蜜がしたたる「ねっとり系」焼き芋
時間をかけてじっくりと加熱することで、でんぷんが糖に変わり、まるでスイーツのような濃厚な甘さと、とろけるような食感が生まれるのが、ねっとり系さつまいもの真骨頂です。 代表的な品種には「紅はるか」や「安納芋」があり、その糖度の高さは他の品種を圧倒します。 また、「シルクスイート」は絹のような滑らかな舌触りが特徴で、上品な甘さを楽しめます。 これらの品種は水分量が多いため、焼き上げることで内部がクリーミーな状態になり、格別の美味しさを味わえます。
昔ながらの「ホクホク系」焼き芋
一方で、どこか懐かしい素朴な甘みと、ほっくりとした粉質の食感を楽しみたい方には、ホクホク系のさつまいもがおすすめです。 代表格は「紅あずま」や「鳴門金時」です。 これらの品種は加熱しても形が崩れにくく、さつまいも本来の風味をしっかりと感じることができます。甘さが控えめな分、毎日でも食べ飽きない、そんな魅力がホクホク系にはあります。
| タイプ | 代表的な品種 | 特徴 |
|---|---|---|
| ねっとり系 | 紅はるか、安納芋、シルクスイート | 糖度が非常に高く、蜜のように甘い。食感はクリーミーでとろけるよう。 |
| ホクホク系 | 紅あずま、鳴門金時 | 上品な甘さで、栗のようなホクホクとした食感。昔ながらの素朴な味わい。 |
天ぷらをサクッとホクホクに仕上げる種類

さつまいもの天ぷらは、おかずとしてもおやつとしても人気の高い一品です。この料理で最も大切にしたいのは、衣のサクサク感と、中のホクホク感のコントラストではないでしょうか。 そのためには、加熱しても水分が出にくく、形が崩れにくい品種を選ぶのが成功の鍵です。
天ぷらに最適なのは、ずばり「紅あずま」や「鳴門金時」といったホクホク系のさつまいもです。 これらの品種は繊維質が少なく、上品な甘さが特徴で、油で揚げることでその風味がより一層引き立ちます。 ねっとり系の品種だと、水分が多いため揚げ上がりがべちゃっとしてしまいがちですが、ホクホク系なら外はカリッと、中はほっくりと理想的な食感に仕上がります。調理の際は、少し厚めに切ることで、さつまいも本来の甘さと食感を存分に楽しむことができるでしょう。
スイートポテトが美味しくなる種類

なめらかな口当たりと濃厚な甘さが魅力のスイートポテト。 このお菓子を最高においしく作るには、素材となるさつまいも選びが非常に重要です。スイートポテトには、素材の甘さを活かした、濃厚でクリーミーな味わいを引き出せる品種が向いています。
最もおすすめなのが、その名の通り絹のような舌触りを持つ「シルクスイート」です。 繊維が少なく、加熱すると非常になめらかになるため、裏ごしの手間も少なく済みます。 また、「紅はるか」や「安納芋」も糖度が非常に高いため、砂糖の量を控えめにしても、さつまいも本来の自然で力強い甘さを活かしたスイートポテトを作ることができます。 これらのねっとり系の品種を使うことで、バターや生クリームとの馴染みも良く、しっとりとして口どけの良い、プロ級の仕上がりを目指せます。
| 代表的な品種 | 特徴 | 仕上がり |
|---|---|---|
| シルクスイート | 絹のようになめらかな食感。上品な甘さ。 | 非常になめらかで、口どけの良い仕上がりに。 |
| 紅はるか | トップクラスの糖度で濃厚な甘み。ねっとりとした食感。 | 砂糖控えめでも満足感のある、濃厚な味わいに。 |
| 安納芋 | クリーミーで水分が多く、蜜のような甘さ。 | しっとりとクリーミーで、自然な甘さが際立つ仕上がりに。 |
自宅でプロ級の味に仕上げるならこのさつまいも品種がおすすめ
【色別】珍しいさつまいもの種類
さつまいもといえば、多くの人が思い浮かべるのは黄色やオレンジ色の果肉ではないでしょうか。しかし、畑で多種多様なさつまいもを育てていると、自然が作り出す色の豊かさに驚かされます。ここでは、食卓をあっと驚かせるような、色鮮やかな珍しいさつまいもをご紹介します。見た目のインパクトだけでなく、それぞれに個性的な味わいや栄養が秘められています。
鮮やかな紫が特徴の紫芋

畑でその鮮やかな紫色を見ると、いつも自然の不思議を感じずにはいられません。この美しい紫色の正体は、ブルーベリーなどにも含まれるアントシアニンというポリフェノールの一種です。アントシアニンは強い抗酸化作用を持つことで知られ、私たちの健康をサポートしてくれる嬉しい成分です。かつては甘さが控えめで加工用が中心でしたが、品種改良が進み、近年では焼き芋などで美味しく食べられる品種も増えてきました。 その鮮やかな色合いを活かして、スイートポテトやモンブランといったお菓子作りに使うと、見た目も華やかに仕上がります。
| 品種名 | 甘さ | 食感 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| パープルスイートロード | やさしい甘さ | やや粉質でホクホク | 焼き芋、蒸し芋、お菓子作り |
| 種子島ゴールド | 紫芋の中では特に甘い | ホクホク | 焼き芋、天ぷら、お菓子作り |
| アヤムラサキ | 甘さ控えめ | 粉質 | ジュース、パウダーなどの加工用 |
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お菓子作りで活躍する白いさつまいも

皮をむくと現れる、雪のような白い果肉。これもまた、さつまいもの奥深い世界です。白いさつまいもは、私たち生産者の間では主に焼酎の原料やでんぷん用として馴染み深い存在でした。 そのため、スーパーなどの店頭で見かける機会は少ないかもしれません。 しかし、近年ではその上品な味わいが注目され、食用の品種も少しずつ流通するようになってきました。 特徴は、ホクホクとしたきめ細やかな食感と、素材の風味を邪魔しないやさしい甘さです。 そのため、他の食材の色合いを活かしたいスイートポテトやポタージュ、お菓子作りなどでその真価を発揮します。
| 品種名 | 甘さ | 食感 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| コガネセンガン(黄金千貫) | やさしい甘さ | ホクホクとした粉質 | 焼酎原料、でんぷん、食用(天ぷら、大学芋など) |
| シロユタカ | 甘さ控えめ | ホクホクとした粉質 | でんぷん原料 |
| しろほろり | やさしい甘さ | 口の中でほろりと溶ける食感 | 焼き芋、お菓子作り |
しろほろり、すずほっくり、シルクスイート、紅はるか。
2025年注目の新品種とトレンド
さつまいもの世界は、今まさに大きな変化の時を迎えています。かつての「ホクホク」とした食感が主流だった時代から、現在は「ねっとり」とした甘い蜜芋が人気を博し、その流れはさらに加速しています。ここでは、次世代のスター候補として注目される新品種と、2025年以降のさつまいものトレンドについて深く掘り下げていきます。
期待の新品種!次世代を担うスター候補たち
毎年、私たちの想像を超えるような特徴を持った新品種が開発されています。その中でも、特に2025年に向けて市場での活躍が期待される、個性豊かな品種をご紹介します。
まるでスイーツ!収穫直後から甘い「あまはづき」

2021年に発表された「あまはづき」は、さつまいもの常識を覆す可能性を秘めた新品種です。 多くのさつまいもが収穫後に貯蔵・熟成させることで甘みを増すのに対し、「あまはづき」は収穫直後の8月(葉月)からでもねっとりとした食感と強い甘みを持つのが最大の特徴です。 これは「低温糊化性でん粉」という特殊なでん粉を含むためで、加熱すると低い温度から糖に変化し、焼き芋にすると驚くほどの甘さを発揮します。 人気品種「べにはるか」よりも濃い黄色の肉質で、見た目からもその濃厚さが伝わってきます。 夏の早い時期から高品質な焼き芋が楽しめるため、新たな需要を掘り起こす品種として大きな期待が寄せられています。
小ぶりで調理しやすい「ひめあやか」

「ひめあやか」は、1個200g以下の小ぶりなサイズで、家庭でも使い切りやすいのが魅力の品種です。 一般的に小さな芋は味が落ちがちですが、「ひめあやか」は小さくても食味が良く、蒸したり焼いたりすると、やや粘質でしっとりとした食感を楽しめます。 調理後の肉色は鮮やかな黄色で黒変も少ないため、お菓子作りにも向いています。 病害にも比較的強く、育てやすさの面でも注目されています。
食品加工の可能性を広げる「こなみずき」
「こなみずき」は、主にでん粉原料用として開発された品種ですが、その特性が食品加工の分野で注目されています。 この品種が持つ「低温糊化性でん粉」は、冷蔵しても硬くなりにくく、なめらかな食感を保つ「耐老化性」に優れています。 この特性を活かすことで、わらびもちのような和菓子や水産練り製品、パンなどの食感を改良し、品質を長持ちさせることが可能です。 直接食べる機会は少ないかもしれませんが、私たちの食生活を陰で支える重要な品種となる可能性を秘めています。
【トレンド予測】2026年のさつまいもはこう変わる!

品種開発の進化とともに、さつまいもの楽しみ方や市場のニーズも変化しています。2026年に予測される3つの大きなトレンドを見ていきましょう。
トレンド1:さらなる「ねっとり系」の進化と多様化
「安納芋」や「紅はるか」によって火が付いた「ねっとり系」の人気は、今後も継続・進化していくと予測されます。 これまでは単に「甘い・ねっとり」という評価軸でしたが、今後は「あまはづき」のように収穫時期が早いものや、特定のスイーツ用途に特化した甘さや香りを持つものなど、ねっとり系の中でも特徴が細分化され、多様な品種が登場するでしょう。消費者は自分の好みや用途に合わせて、より多彩なねっとり系さつまいもを選べる時代になります。
トレンド2:調理用途の細分化と専用品種
焼き芋や天ぷらといった定番の調理法だけでなく、サラダ、スープ、さらには高級スイーツの素材として、さつまいもの用途は広がり続けています。この流れを受け、特定の料理に最適化された「専用品種」への需要が高まるでしょう。 例えば、サラダ向けの甘さ控えめでシャキシャキとした食感の品種や、モンブランなどのペースト加工に適した繊維質が少なく滑らかな品種など、プロの料理人や食品メーカーのニーズに応える形で開発が進むと考えられます。
トレンド3:「冷やし焼き芋」など新たな食べ方の定着
近年、夏場を中心に「冷やし焼き芋」の人気が高まっています。 冷やすことでねっとり感と甘みが増し、ヘルシーなスイーツとして受け入れられています。このトレンドは2025年も続くとみられ、冷凍焼き芋としての商品展開もさらに加速するでしょう。 これにより、さつまいもは秋冬の味覚というイメージから、年間を通して楽しめる食材へと変化していくことが予測されます。
コンビニで買える冷やし焼き芋を食べ比べしてみた!ダイエットもできる冷やし焼き芋のカロリーは?
新品種・注目品種の特徴比較表
ここまで紹介した新品種や注目される品種の特徴を、一覧表にまとめました。あなたの好みに合うさつまいも探しの参考にしてください。
| 品種名 | 主な特徴 | 甘さの目安 | 食感 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|---|---|
| あまはづき | 収穫直後から非常に甘く、夏から楽しめる。 | 非常に甘い | ねっとり | 焼き芋、スイーツ |
| ひめあやか | 小ぶりで家庭で使いやすいサイズ。しっとり食感。 | 中程度 | やや粘質・しっとり | 焼き芋、蒸しいも、お菓子作り |
| こなみずき | でん粉の耐老化性が高く、加工食品の品質を向上させる。 | -(主に加工用) | -(主に加工用) | 和菓子、水産練り製品、パンなど |
まとめ

今回は、さつまいもの種類について、甘さや食感、調理法といった様々な角度からご紹介してきました。蜜たっぷりの「紅はるか」から昔ながらの「紅あずま」まで、品種ごとの個性や魅力がお分かりいただけたのではないでしょうか。この記事のマップや特徴を道しるべにすれば、きっとあなたの好みに合う一本が見つかるはずです。その日の気分や料理に合わせてさつまいもを選ぶ時間は、これからの季節の楽しみを一層深めてくれることでしょう。ぜひ、奥深いさつまいもの世界を存分に味わってみてください。

















