寒さが深まる季節になると、思わず恋しくなるのが焼き芋。外で香ばしい石焼き芋の匂いを嗅ぐと、つい足を止めてしまう方も多いのではないでしょうか。あのほっこりとした甘さを、自宅でも再現できたら嬉しいですよね。
今回は、そんな石焼き芋をおうちで楽しむための方法を、お手軽なやり方から少し本格的なものまでご紹介します。また、「なぜ石焼き芋は特別に美味しく感じるのか?」という秘密にも迫ります。
スーパーで買ったさつまいもでも、ちょっとしたコツをつかめば、香ばしくて甘い石焼き芋に近い味わいに仕上がります。ふと焼き芋が食べたくなったときに、ぜひこの記事を参考にして、ご家庭でも“できたての幸せ”を味わってみてください。
美味しい焼き芋の作り方6選
焼き芋の作り方には、実にさまざまな方法があります。専用の焼き芋器や焼き石を使えばもちろん本格的に仕上がりますが、実はご家庭にある調理器具だけでも、驚くほど美味しい焼き芋を作ることができるんです。
今回は、特別な道具を使わずに楽しめる焼き芋レシピをご紹介します。オーブンや魚焼きグリル、蒸し器、炊飯器など、普段の調理に使っている器具で完結する方法ばかり。手間をかけずに、甘くてしっとり、まるで石焼き芋のような味わいをおうちで楽しめますよ。
電子レンジ?トースター?オーブン?時短で美味しく作れる焼き方は?人気の焼き芋調理器具の炊飯器、魚焼きグリルでも試してみた!安納芋の焼き芋の甘みが増すのはどの方法がベストなのかやってみた
電子レンジ

電子レンジを使った焼き芋づくりは、「今すぐ食べたい!」というときにぴったりの方法です。わずか数十分でほくほくの焼き芋ができあがるので、忙しい日や小腹が空いたときにも大活躍します。ただ、レンジ加熱はオーブンなどに比べると甘みが出にくいといわれています。そこでおすすめなのが、“2段階加熱”というひと工夫。まずは低めの出力でじっくり温めてから、後半で強めに加熱することで、さつまいも内部のデンプンがゆっくり糖に変化し、自然な甘さがしっかり引き出されます。
短時間でも満足感のある味わいに仕上がるので、「時間はないけど美味しい焼き芋が食べたい」という方にぴったりの調理法です。
作り方
作り方はとてもシンプルで、思い立ったときにすぐ試せるのが電子レンジ調理の魅力です。
まず、さつまいもをよく洗い、水気を拭き取らずにそのまま濡れた状態でペーパータオルや新聞紙などに包みます。その上からさらにラップで全体をしっかり包み、電子レンジへ。
最初に600Wで1分〜1分半ほど加熱して表面を温めたあと、200Wに切り替えて8〜10分ほどじっくり加熱します。
低温で時間をかけて温めることで、さつまいもの中のでんぷんが糖へと変わり、自然な甘さが引き立ちます。最後にラップと紙をめくり、竹串を刺してスッと通れば完成です。しっとり甘く、できたての香りがふんわり漂うお手軽焼き芋のできあがりです。
ポイント
・紙で包む際は、全体がしっとりと湿るようにしておくのがポイントです。適度な水分が蒸気となり、加熱中にさつまいも全体をやわらかく包み込みます。こうすることで、中までしっとりと火が通り、ふっくらとした焼き上がりになります。
・竹串を刺してみてスッと通らない場合は、まだ中心が固いサイン。無理に取り出さず、200Wで30秒ずつ追加加熱して様子を見ましょう。じっくり温めることで、でんぷんがしっかり糖化し、甘みがさらに増していきます。
新聞紙を使ってしっとり、ホクホクに仕上げる焼き芋のコツを紹介!さつまいもを新聞紙で包むのはなぜ?新聞紙と電子レンジ、新聞紙とオーブントースターが最強
炊飯器

炊飯器で作る焼き芋は、とにかく手軽なのが魅力です。さつまいもとお水を入れてスイッチを押すだけで、ほっくり甘い焼き芋ができあがります。炊飯中はふたを開けずにじっくり待つだけなので、調理が苦手な方でも失敗しにくい方法です。
さらに、炊き上がった焼き芋をトースターで軽く焼くと、表面がこんがり香ばしくなり、まるで石焼き芋のような風味に。中はねっとり、外はカリッとした食感のコントラストが楽しめます。炊飯器のやさしい蒸し焼きと、トースターの香ばしさが合わさって、お店にも負けない本格的な焼き芋に仕上がりますよ。
実際にやってみた。炊飯器で作る焼き芋は、ほぼ放置で、出来上がる焼き芋の甘さはかなり甘い!これはやってみる価値あり
作り方
作り方はとても簡単で、手間いらずなのに驚くほど本格的な味に仕上がります。
まず、さつまいもをよく洗って皮つきのまま炊飯器に入れます。次に、芋の半分ほどが浸かる程度に水を加え、通常の炊飯モードでスイッチを押しましょう。炊飯が終わったら、すぐにふたを開けずに5〜10分ほどそのまま蒸らします。このひと手間で、内部までしっとり柔らかくなり、甘みがぐっと深まります。
最後にトースターで約5分、皮にこんがりとした焼き目がつくまで焼けば完成です。外は香ばしく、中はねっとり濃厚。まるで石焼き芋のような味わいを、自宅で手軽に楽しめます。
ポイント
・ほくほくとした食感が好きな方は、水の量を少し減らして炊いてみてください。水分を控えることで、さつまいもがより乾いた仕上がりになり、甘さの中にほっくりとした口あたりが楽しめます。ただし、水が少なすぎると焦げ付きの原因になるため、必ず炊飯器の1合メモリ以上は入れるようにしましょう。適度な蒸気を保つことで、芯までふっくら火が通り、焼き芋本来の香りと甘みがしっかり引き出されます。
炊飯モードは、低温炊飯の「玄米モード」を使用してください。「玄米モード」がなければ、通常の「白米モード」でも構いません。加熱はすべて炊飯器にお任せなので、調理時間を家事や育児に充てられます。
オーブン

オーブンを使った焼き芋作りは、まさに家庭で楽しむ“石焼き芋スタイル”です。低温でじっくりと火を通すことで、さつまいも内部のデンプンがゆっくり糖へと変わり、濃厚で自然な甘みが引き出されます。
少し時間はかかりますが、その分仕上がりは格別。ねっとりとした舌ざわりと蜜のような甘さが広がり、まるで専門店の焼き芋のような味わいに。おうちに漂う香ばしい香りもまた、オーブン焼きならではのご褒美です。
作り方
作り方は少し時間がかかりますが、その分だけ甘みが増し、まるで石焼き芋のような本格的な味に仕上がります。
まず、さつまいもをしっかり洗い、水気を軽く拭き取ります。次に、1本ずつアルミホイルで包みます。包む際は、両端を折りたたんで上から押さえ、ピッタリと密着させるのがポイントです。これで中の水分が逃げず、しっとりとした焼き上がりになります。
天板にアルミホイルを敷き、包んださつまいもを並べたら、オーブンへ。予熱なしの160℃でまず30〜60分焼きます。そのままオーブンの中で90分ほど置いて余熱でじっくり火を通したあと、再び160℃で30〜60分焼きましょう。30分経過したあたりで上下を返すと、ムラなく均一に焼き上がります。
じっくり時間をかけて焼くことで、さつまいもの中に蜜がしっかり広がり、驚くほど甘く濃厚な焼き芋が完成します。
ポイント
・焼き時間の目安に加えて、竹串で柔らかさを確認するのがおすすめです。天板に近い部分など、さつまいものどこか一部でもスッと刺さるようなら、次の工程へ進めます。複数本を同時に焼く場合は、火の通り具合に差が出やすいので注意を。まだ硬い芋があれば、柔らかいものだけ先に取り出し、残りを10分ほど追加加熱して再度竹串で様子を見ましょう。
・焼いているうちににじみ出た蜜を全体に行き渡らせるように上下を返します。この蜜が焼き芋の深い甘みのもとになりますが、加熱しすぎると焦げてしまうことも。上下をひっくり返すタイミングで、アルミホイルの中の様子も一緒に確認すると安心です。
時短で美味しく作れる!普通のアルミホイルで作った焼き芋と食べ比べてみた!ねっとり焼き芋はコレで作れ!
魚焼きグリル

魚焼きグリルで作る焼き芋は、直火ならではの香ばしさと、ほくほくとした食感が楽しめるのが魅力です。火の熱がじんわりと芋の中心まで届くため、まるで焚き火で焼いたような素朴で懐かしい味わいに仕上がります。
また、調理時間も比較的短く、コンロの上でほかの料理を作りながら同時に調理できるのも嬉しいポイント。焼きあがるころには、キッチンいっぱいに甘く香ばしい香りが広がり、食欲をそそります。忙しい日でも気軽に本格的な焼き芋が楽しめる、便利で頼もしい方法です。
作り方
作り方はとてもシンプルで、家庭の魚焼きグリルでも香ばしい焼き芋が簡単に作れます。
まず、さつまいもをしっかり洗い、水気を軽く拭き取ります。次に、1本ずつアルミホイルで包みましょう。両端を折りたたみ、上から軽く押さえて密着させると、熱が均一に伝わりやすくなります。
包んださつまいもを魚焼きグリルに並べ、中火で約20分焼きます。焼き色がついてきたら上下を返し、竹串を刺してスッと通るまでさらに15〜20分ほど焼きましょう。火の通り具合は芋の太さによって変わるので、様子を見ながら調整してください。外は香ばしく、中はほくほくで自然な甘みが広がる、焚き火焼きのような仕上がりになります。
ポイント
・さつまいもの大きさによって火の通り方が異なるため、上下を返したあとは、15分ほど経ったところで竹串を刺して様子を見てみましょう。スッと通れば中までしっかり火が通っているサインです。まだ少し硬さが残る場合は、焦げないよう様子を見ながら数分ずつ追加で加熱してください。太いさつまいもほど中心まで熱が届きにくいので、時間をかけてじっくり焼くのがコツ。外側は香ばしく、中はふっくら甘い、理想的な焼き芋に仕上がります。
高級焼き芋専門店の味を自宅で作りたい!絶品!焼き芋を作ろう!自宅でオーブンレンジ、魚焼きグリル、蒸し器、炊飯器を使って焼き芋を作ってみた!どれが1番美味しく出来るのか?を検証してみた!高級焼き芋専門店の味を目指すならサツマイモの選び方が肝心。安納芋、紅はるか、シルクスイートで果皮の色が均一、つやあり、斑点無し少ない物。糖度の高いサツマイモの見分け方も
鍋

お米を炊けるくらいの厚手の鍋があれば、コンロだけでも驚くほど本格的な焼き芋が作れます。直火の熱をゆっくり伝えることで、さつまいもの中まで均一に火が入り、まるで石焼き芋のように甘く香ばしい仕上がりに。
特別な道具を用意する必要はありません。普段使っている鍋ひとつでできるので、オーブンやグリルがない方にもおすすめです。キッチンに広がる甘い香りを楽しみながら、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。
作り方
作り方はとても簡単ですが、じっくり時間をかけることで甘みが引き出され、香ばしくもしっとりとした焼き芋に仕上がります。
まず、さつまいもをよく洗い、水気を軽く拭き取ってから鍋に並べます。鍋は厚手のものを選び、蓋をしてコンロの一番小さい弱火にかけましょう。最初に5分ほど加熱したら、一度上下を返して焼きムラを防ぎます。その後は15分ごとに上下をひっくり返しながら、竹串を刺してスッと通るまでじっくり加熱します。目安は30分〜1時間ほどです。
焼き上がったら、すぐに食べずに新聞紙で包み、1時間ほど保温します。このひと手間で余熱による“追い焼き”が進み、さつまいもの中の糖がさらに熟成。ねっとりとした甘さと香ばしさが増し、まるで石焼き芋のような深い味わいを楽しめます。
ポイント
・安納芋や紅はるかなど、蜜が多い品種を使うと、加熱の途中で焦げ目の部分から蜜がじんわりとにじみ出てきます。これが焼き芋の甘さの証。香ばしい香りとともに、濃厚な味わいが広がります。焦げすぎないように様子を見ながら、香りで焼き加減を感じ取るのも楽しみのひとつです。
・しっとりよりも、ほくほくとした食感が好みの方は、工程3までで火を止め、焼きたてをそのまま味わってみてください。表面が香ばしく、中はほどよく柔らかい“できたての焼き芋”ならではの素朴な甘さが堪能できます。
トースター

トースターを使った焼き芋づくりは、手軽なのに本格的な美味しさが楽しめる方法です。特別な準備もいらず、スイッチひとつでほくほくとした焼き芋が完成します。
焼いている途中でトースターのサーモスタットが作動して一時的に止まることがありますが、これは温度を一定に保つための仕組みです。中のさつまいもにはしっかり熱が伝わり続けているので、気にせずそのまま時間通りに焼き上げましょう。じっくり火を通すことで甘みが引き出され、外は香ばしく中はしっとり柔らかい焼き芋に仕上がります。
作り方
作り方はとても簡単で、思い立ったときにすぐ試せるのがトースター調理の魅力です。
まず、さつまいもをしっかり洗い、水気を軽く拭き取ります。次に、トースターの天板にアルミホイルを敷き、さつまいもを並べましょう。800Wで10〜15分焼いたら、庫内にそのまま10分ほど置いて粗熱をとります。この間に余熱でじんわり中まで火が通り、甘みがぐっと引き出されます。
その後、上下を返して再び10〜15分焼きます。竹串を刺してスッと通るようなら完成です。外は香ばしく、中はほくほくと柔らかい、シンプルながらも満足感のある焼き芋に仕上がります。
ポイント
・竹串を刺してみてまだ固いと感じる場合は、さつまいもをアルミホイルで包み直し、15分ずつ追加で加熱して様子を見ましょう。ホイルで包むことで中の熱が逃げにくくなり、じんわり火が通ってしっとりとした仕上がりになります。
・また、上下を返す前に10分ほど休ませることで、さつまいもの中に熱が均等に広がり、甘みがより引き立ちます。竹串がスッと通ったあとも、すぐに食べずに10分ほどそのまま置いておくと、蜜が落ち着いて味がなじみ、さらに美味しい焼き芋になります。まるで石焼き芋のように濃厚で甘い一口を楽しめますよ。
余った焼き芋の保存方法
焼き芋を一度に食べきれないときは、冷凍保存しておくととても便利です。甘みがしっかり残るうえ、アレンジ料理にも使いやすくなります。
保存するときは、食べやすい大きさにカットしておくのがポイント。角切りにしておけばスープやスイーツの具材に、マッシュ状につぶしておけばパン生地やお菓子作りにもすぐ使えます。冷凍する際は、1回分ずつ小分けにしてラップで包み、密閉袋に入れて保存しましょう。
食べたいときに電子レンジで軽く温めれば、焼きたてのように甘くしっとりとした味わいがよみがえります。無駄なく美味しく楽しむためにも、冷凍保存を上手に活用してみてください。
安納芋の焼き芋はオーブン?電子レンジ?トースター?ねっとり美味しい時短!焼き芋レシピ
美味しい焼き芋を作るコツ
どんなさつまいもでも、焼けばほっこり甘くて美味しいのが焼き芋の魅力ですよね。でも、「せっかくなら、もっと美味しく仕上げたい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
実は、ちょっとした工夫や選び方のコツを押さえるだけで、焼き芋の味わいはぐんと変わります。ここからは、いつもの焼き芋をワンランクアップさせるためのポイントをご紹介します。品種の選び方や焼き方のこだわりを知れば、おうちでも専門店のような味わいが楽しめるはずです。
自分好みの食感にこだわる
焼き芋の美味しさを左右する大きなポイントのひとつが、「さつまいもの品種選び」です。しっとり、ねっとり、ほくほく――焼き上がりの食感は品種によって驚くほど違います。
今日はどんな気分で焼き芋を味わいたいかを考えながら、品種を選んでみるのも楽しい時間です。濃厚で蜜たっぷりの甘さを楽しみたいなら「安納芋」や「紅はるか」、ほくほく系の素朴な味わいを求めるなら「鳴門金時」や「高系14号」などがおすすめ。品種ごとの個性を知ることで、焼き芋の楽しみ方がぐっと広がります。
しっとり
シルクスイート
手軽に電子レンジでも簡単に調理ができる「クイックスイート」、シルクのような滑らかさの舌触りの「シルクスイート」どっちが好き?
ほくほく系
紅あずま、パープルスイートロード、鳴門金時
紅あずま、高系14号の作付け状況や主な産地、美味しさの違い。なぜ?紅あずま、高系14号は作付け面積が減りつつあるの?解説します!
産地、歴史、特徴、おすすめレシピや購入できる場所まで徹底解説!焼き芋、蒸かし芋に向いているのはどっち?
ねっとり系
紅はるか、安納芋
ねっとり系さつまいも、焼き芋の代表格「安納芋」「紅はるか」。安納芋が紅はるかより優れている4つの理由とは?
ねっとり食感の紅はるか、ほくほく食感の紅あずま。食べ比べるとどっちがおいしい?「紅はるか」「紅あずま」を解説します。
美味しいさつまいもの選び方
さつまいもを切ったときに、じわっと白い液体が出てくることがありますよね。これは「ヤラピン」と呼ばれる成分で、古くから整腸作用があることで知られています。このヤラピンが多く含まれているさつまいもほど栄養価が高く、加熱したときに甘く仕上がりやすいとも言われています。
さつまいもを選ぶ際は、皮に黒っぽい“土のような跡”がついているものに注目してみてください。それは実は汚れではなく、滲み出たヤラピンが酸化してできた跡。つまり、黒い部分があるさつまいもは甘みが強い可能性が高いということです。
また、さつまいもは通年で手に入りますが、収穫直後の10月ごろはまだ糖が十分に熟成していないため、甘さが控えめです。しっかり甘い焼き芋を楽しみたいなら、貯蔵期間を経て糖度が増す11月以降がおすすめ。寒くなる季節に合わせて、より濃厚でとろけるような焼き芋を味わうことができます。
品種によって夏が収穫期のさつまいもも!ねっとり系さつまいもの代表格「安納芋」の収穫期や旬はいつ?
重要なチェックポイント!芋の断面
さつまいもを切ってみると、断面の色がそれぞれ違うことに気づくと思います。実はこの色こそが、さつまいもの特徴を見分ける大きなポイントなんです。
焼き芋に向いているのは、断面が黄色いタイプ。加熱すると鮮やかな黄金色になり、甘みが強く、ねっとりとした食感に仕上がります。特に「紅はるか」や「安納芋」、「シルクスイート」などは、焼くほどに蜜があふれる人気の品種です。
一方、断面が白いさつまいもは、水分量が少なくほくほくとした食感が特徴。天ぷらや煮物にすると形が崩れにくく、素材の自然な甘さを楽しめます。複数本購入して断面の色を比べてみると、それぞれの個性が分かり、料理の幅も広がりますよ。
どうして石焼き芋は美味しいのか?秘密を解説

ここまでご紹介してきたように、家庭でも工夫次第でとても美味しい焼き芋を作ることができます。ですが、それでも「やっぱり石焼き芋のあの味にはかなわない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
外の皮は香ばしく、中はとろけるように甘く、しっとりとしたあの食感――まさに別格ですよね。では、どうして石焼き芋はあんなにも美味しいのでしょうか?ここからは、その“特別なおいしさ”の秘密について、わかりやすく解説していきます。
焼き芋を美味しく食べるなら断然!石焼き芋!石焼き芋が美味しい理由と石焼き芋の歴史を徹底解説!
焼き芋が甘くなる仕組み
石焼き芋の美味しさの理由を知る前に、まず「そもそも焼き芋がどうして甘くなるのか」を理解しておきましょう。
さつまいもを加熱すると、内部のデンプンが水分と結びつき、“糊化(こか)”という変化が起こります。すると、さつまいもに含まれる酵素「β-アミラーゼ」が働き始め、この糊化したデンプンを分解して「麦芽糖(ばくがとう)」という糖を作り出します。麦芽糖は水あめの主成分でもあり、あの優しい甘さのもとになっているのです。
β-アミラーゼが活発に働く温度はおよそ50℃前後で、70℃を超えるとその働きが弱まります。そのため、甘い焼き芋を作るには、さつまいもの中心温度を急に上げず、ゆっくり時間をかけて温めていくことが大切。じんわり火を通すことで酵素の働く時間が長くなり、さつまいも本来の自然な甘みを最大限に引き出すことができるのです。
焼き芋は何を使って調理すれば美味しく仕上がる?石焼き芋が美味しい秘密を知れば家で焼く焼き芋のコツをつかめます!
石による遠赤外線効果
石焼き芋が特別に美味しい理由は、その加熱方法にあります。約200℃に熱せられた小石から放射される「遠赤外線」が、さつまいもの表面にじんわりと熱を伝え、内部までゆっくり温めていくのです。このとき、石と芋のあいだに生じる摩擦熱が加わることで、外は香ばしく、中はしっとりと甘い理想的な焼き上がりになります。
この遠赤外線加熱は、オーブンや炊飯器などのどの調理法よりも時間をかけて、均一に熱を伝えることができるのが特徴。時間をかけて加熱されることで、β-アミラーゼの働く時間が長くなり、さつまいも内部のデンプンがしっかりと麦芽糖へと変化します。つまり、石焼き芋が家庭で作る焼き芋よりも甘く感じるのは、この“ゆっくり加熱”の効果なのです。
さらに、200℃の高温により表面の水分が蒸発すると、内部の糖分が濃縮され、皮がこんがりと焼けて香ばしい風味がプラスされます。この香ばしさと蜜のような甘さが合わさって、唯一無二の石焼き芋の味が生まれるのです。温度管理や加熱の時間を考えると、家庭でこの味を完全に再現するのはなかなか根気が必要ですが、だからこそ石焼き芋が特別な存在に感じられるのかもしれませんね。
焼き芋の美味しい調理方法と、石焼き芋の秘密まとめ

焼き芋を美味しく仕上げるための一番のポイントは、どの調理法でも“ゆっくり”と火を通すこと。さつまいもの内部温度を50〜70℃ほどに保ちながらじんわり加熱することで、でんぷんが糖に変わり、自然な甘みが引き出されます。
さらに、品種選びにもこだわると、味わいがぐっと深まります。ねっとり系の「安納芋」や「紅はるか」、しっとり上品な「シルクスイート」など、好みの食感や甘さを意識して選ぶことで、石焼き芋に近い本格的な味に近づけることができます。石焼き芋の特別な美味しさの秘密は、遠赤外線によるゆっくりとした加熱。この“時間をかけて甘さを育てる”という工程こそが、焼き芋を極上のスイーツへと変える鍵です。
今回は、おうちで手軽に作れる焼き芋の方法から、より美味しくするためのコツまでをお伝えしました。忙しい日にはレンジや炊飯器で、時間に余裕があるときにはオーブンや鍋でじっくりと…そのときの気分や予定に合わせて、いろいろな焼き方を楽しんでみてください。ゆっくり火を通したさつまいもは、驚くほど甘く、心までほっと温めてくれますよ。






















