安納芋ってどんなさつまいも?特徴は?
「安納芋(あんのういも)」は、ねっとりとした食感と驚くほどの甘さが特徴のさつまいもです。この芋の読み方は「あんのういも」で、さつまいもの中でも特に高い人気を誇ります。一般的なさつまいもに比べると、丸みを帯びており、小ぶりな形状が特徴です。安納芋の歴史は、太平洋戦争後にまでさかのぼります。当時、兵隊が戦地から持ち帰った芋苗が鹿児島県種子島の安納地区で栽培されたことが、安納芋の始まりとされています。種子島は、海に囲まれた環境と標高の低い地形を持ち、潮風によって運ばれる天然のミネラルが土壌に豊富に含まれています。このミネラル豊かな土壌が、安納芋の甘さと独特の食感を生み出す重要な要素となっています。
安納芋は、ただ甘いだけでなく、その甘さを最大限に引き出すための環境や栽培方法にもこだわりが詰まっています。そんな背景を持つ安納芋は、その味わいと質の高さから、焼き芋やスイーツなど幅広い用途で愛されています。
糖度が高い安納芋
ねっとり焼き芋の代名詞
安納芋に多く含まれる栄養素と期待できる効果
- カリウム
- ビタミンC
- 食物繊維
カリウム
ビタミンC
食物繊維
水溶性食物繊維
不溶性食物繊維
安納芋の品種と特徴
安納紅
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安納こがね
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フルーツこがね | |
皮の色
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赤紫色
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淡黄色
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赤紫色 |
果肉の色
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オレンジ
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オレンジ | オレンジ |
特徴
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蜜のような甘さ
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安納紅よりしっとりした食感
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フルーツのような甘さ |
安納紅
「安納紅(あんのうべに)」は、安納芋の中でも特に広く知られている品種で、その名の通り、皮の色が赤紫色をしているのが特徴です。この赤紫色の皮は見た目にも美しく、焼き芋として調理した際には、鮮やかなオレンジ色の果肉とのコントラストが目を引きます。果肉はしっとりとした食感で、焼き芋にすると特に甘みが引き立ちます。
安納紅の甘さは他のさつまいもと比べても非常に高く、糖度が高いことで知られています。収穫後、一定期間追熟させることで、でんぷんが糖に変わり、その甘さがさらに増します。追熟により甘みとともにねっとりとした質感が強まり、焼き芋にした際には、まるで蜜が染み出すような濃厚な甘さを楽しむことができます。また、安納紅は「安納芋」の名で市場に出回ることが多く、一般的に流通している安納芋の大部分がこの安納紅です。そのため、安納芋として購入したものが実際には安納紅であることがほとんどです。
安納紅は、その甘さと食感から焼き芋だけでなく、スイーツやデザートの素材としても非常に人気があります。さつまいもスイーツの原料として使われることが多く、特に秋冬の季節には、多くの家庭で安納紅を使った料理が楽しまれています。この品種は、安納芋の名を世に広めた主役とも言える存在で、今や全国的にファンの多いさつまいもとなっています。
安納こがね
「安納こがね(あんのうこがね)」は、安納芋の品種の一つで、その特徴は皮の色が淡い黄色であることです。この淡黄色の皮は、他のさつまいも品種と比べても比較的珍しく、その見た目からも「こがね(黄金)」という名前がつけられています。果肉の色はオレンジ色で、見た目は安納紅と似ていますが、味わいや食感において独自の魅力を持っています。
安納こがねの最大の特徴は、そのしっとりとした食感です。焼き芋にした際には、ねっとりとした質感が強調され、まるでクリームのような滑らかさを楽しむことができます。これは、安納こがねに含まれる水分が比較的多いためで、加熱するとその水分が蒸発せず、しっとりとした食感が維持されるからです。特に、低温でじっくりと焼くことで、糖度が増し、より濃厚な甘さとねっとり感を引き出すことができます。また、安納こがねは安納紅に比べてさらに滑らかな口当たりが特徴で、口に入れた瞬間にとろけるような食感を楽しむことができます。この食感と甘さのバランスが絶妙で、焼き芋として食べるのはもちろん、スイーツやデザートの材料としても非常に人気があります。特に、焼き芋にした際の蜜のような甘さとしっとり感は、他のさつまいもではなかなか味わえない特別なものです。
安納こがねは、その食感や甘さから「さつまいものスイーツ」としても注目されており、多くのさつまいもファンの間で高く評価されています。特に、焼き芋として食べるときには、皮ごとじっくりと焼くことで、皮の部分にも甘さが染み出し、果肉との相性が抜群になります。このように、安納こがねはその豊かな甘さと滑らかな食感で、秋冬のさつまいもシーズンには欠かせない存在となっています。
フルーツこがね
「フルーツこがね」は、安納芋の中でも特に甘さが際立つ品種として知られています。この品種は、安納芋の中で最も甘味が強いものを掛け合わせて作られており、甘さのレベルが他の品種と一線を画しています。名前の通り、まるでフルーツのような甘さを持つこの「フルーツこがね」は、さつまいもの中でも特別な存在です。
見た目は「安納紅」と非常によく似ており、赤紫色の皮とオレンジ色の果肉が特徴です。しかし、その甘さは安納紅を凌ぐほどで、糖度は驚異的な19.87度にも達します。この糖度は、通常のさつまいもや多くのフルーツと比較しても非常に高く、食べた瞬間に感じる甘さが格別です。「フルーツこがね」の甘さの秘密は、収穫後の追熟過程にあります。収穫後、一定期間じっくりと追熟させることで、でんぷんが糖に変わり、甘味が最大限に引き出されます。さらに、加熱することでその甘さが一層際立ちます。焼き芋にした場合、果肉からまるで蜜が溢れ出すかのようなねっとりとした食感と、豊かな甘さが口の中に広がります。
「フルーツこがね」は、その高い糖度から焼き芋やスイーツに最適で、特に甘党の方にはたまらない一品です。また、その甘さだけでなく、食感も滑らかでしっとりとしており、食べるたびに贅沢な味わいを楽しむことができます。この品種は、特別な贈り物や、自分へのご褒美としても人気があります。焼き芋にするのはもちろん、ペーストにしてスイーツの材料にするなど、さまざまな楽しみ方ができるのも「フルーツこがね」の魅力です。そのため、さつまいも好きの方には一度は試してほしい品種です。「フルーツこがね」は、安納芋の甘さを極限まで引き出した、まさにフルーツのような贅沢な味わいを提供してくれるさつまいもです。
安納芋の魅力を最大限生かす食べ方は焼き芋がおすすめ!
安納芋の魅力を最大限に引き出すためには、「ゆっくりじっくり加熱」することが非常に重要です。この加熱方法によって、安納芋の持つ自然な甘さとねっとりとした食感が最大限に引き出されます。そのため、安納芋の食べ方として最もおすすめなのが「焼き芋」です。焼き芋にする際には、まず低温でじっくりと加熱することで、安納芋の中に含まれるでんぷんが糖に変わり、甘さが増していきます。特に、65〜80℃の温度帯でゆっくり加熱すると、でんぷんがβ-アミラーゼという酵素の働きで麦芽糖に変わり、驚くほど甘い焼き芋が出来上がります。この温度帯を保ちながら時間をかけて加熱することで、安納芋の糖度が最大限に高まります。
また、じっくりと加熱することで、安納芋特有のねっとりとした食感が生まれます。安納芋は水分を多く含んでいるため、ゆっくり加熱することで内部の水分がしっかりと蒸発せずに残り、しっとりとした食感を保ちながら、外は香ばしく、中はとろけるような焼き芋が完成します。このように「焼き芋」は、安納芋の甘さと食感を最大限に楽しむために最適な調理方法です。特に、低温から徐々に温度を上げる二段階加熱や、オーブンでの長時間加熱が効果的です。家庭で焼き芋を作る場合、アルミホイルで包んでオーブンやトースターでじっくりと時間をかけて焼くと、甘くてねっとりとした焼き芋が出来上がります。
安納芋の焼き芋は冷めてもその甘さと食感が持続するため、おやつやデザートとしても大変人気です。焼きたてはもちろん、冷やしても美味しくいただけます。安納芋の本来の甘さを引き出し、その魅力を存分に味わえる焼き芋は、一度食べたら忘れられない美味しさです。安納芋を手に入れたら、ぜひ焼き芋にしてその深い甘さと濃厚な食感を楽しんでみてください。
自宅でも焼き芋はオーブントースターで簡単に!
作り方
- オーブントースターの庫内を200℃~250℃に温めておく
- よく洗った安納芋を濡らしたキッチンペーパーで包む
- さらにその上からアルミホイルで包む
- 安納芋の大きさにもよりますが40~60分加熱する
- 竹串を刺してスッと通れば完成。硬いようであればさらに5分加熱する
手軽な方法は電子レンジ!ただし、加熱ムラになりやすいので注意!
作り方
- 安納芋をよく洗い、濡らしたキッチンペーパーで包む
- さらにその上からラップで包む
- 200W~300Wで10分前後加熱する
まとめ
安納芋は、その豊かな甘さとねっとりとした食感で多くの人を魅了するさつまいもですが、その中にもさまざまな品種があります。代表的な品種には「安納紅(あんのうべに)」「安納こがね(あんのうこがね)」「フルーツこがね」があります。それぞれが独自の特徴を持ち、焼き芋にしたときの味わいや食感も異なります。
「安納紅」は、赤紫色の皮とオレンジ色の果肉が特徴で、しっとりとした食感と強い甘さが際立ちます。一般的に「安納芋」として市場に出回ることが多く、その濃厚な甘さは焼き芋に最適です。「安納こがね」は、淡黄色の皮とオレンジ色の果肉を持ち、焼き芋にすると特に滑らかな食感が楽しめます。安納紅よりもしっとりとしており、まるでクリームのような口当たりが特徴です。「フルーツこがね」は、最も甘味が強い品種を掛け合わせて作られた品種で、糖度が19.87度にも達する驚くほどの甘さを誇ります。その甘さはまるでフルーツのようで、焼き芋にした際には果肉から蜜が溢れ出すかのような濃厚な味わいが楽しめます。
これらの品種それぞれが持つ個性を活かすには、焼き芋が最適です。安納芋は、低温でじっくりと加熱することで内部のデンプンが糖に変わり、甘さとしっとり感が最大限に引き出されます。オーブントースターや電子レンジを使って、自宅でも簡単に美味しい焼き芋を作ることができるので、ぜひ試してみてください。それぞれの品種の違いを楽しみながら、安納芋の深い甘さと贅沢な食感を堪能してみてください。