石焼き芋って知ってますか?焼き芋を美味しく食べるなら断然!石焼き芋がオススメ。石焼き芋が美味しい理由と平成世代は知らない!石焼き芋の歴史と石焼き芋の文化を解説します

今や焼き芋は、自宅のトースターや電子レンジなどで作れるものの、やはり石焼き芋の香ばしい香りと、ホクホクした甘さがたまらない、という方も多いでしょう。しかし、なぜ石焼き芋にすると、より一層美味しく感じられるのでしょうか。今回は、石焼き芋が美味しい理由や、その歴史について解説します。えっ!?石焼き芋を知らない?この記事を読めば石焼き芋のすべてが分かります。

石焼き芋とはどんな焼き芋?

石焼き芋とは、熱した石の中にさつまいもを埋めて、水分を加えずにじっくりと焼き上げたものです。現在、増えている空気を伝って温める壺焼き芋とは違い、石焼き芋は石の上で直接温めるため、皮が焦げやすいという特徴があります。

石焼き芋で代表的なさつまいもは?

さつまいもには多くの品種があり、それぞれ引き出される甘みや旨味などが異なります。ここでは、石焼き芋で代表的な3つのさつまいもの品種について紹介します。

紅あずま

紅あずまは、上品な甘さを楽しめる、ホクホク系代表のさつまいもです。果肉の色が黄色く、昔ながらのさつまいもらしい風味が楽しめるため、品種の誕生から35年を超えた今でも根強い人気があります。水分量が少ない品種であるため、食べる時は飲み物などを用意しておくことをおすすめします。

安納芋

安納芋は、コロンと丸い形をしており、「蜜芋」とも呼ばれる人気の品種です。時間をかけてじわじわと焼くことで糖度が高くなり、さつまいもとは思えないほどクリーミーな食感と、濃厚な甘みを味わえます。また、水分が多く、ねっとりと柔らかいため、離乳食や介護職など、小さな子どもから年配の方まで楽しめるのも特徴です。

紅はるか

2007年の品種登録直後から、人気が急上昇しているさつまいもが、紅はるかです。熱を入れると、安納芋に負けないほど強烈な甘みと、しっとり滑らかな口当たりを感じられます。また、味にクセがなく、後味がすっきりしているのも特徴です。

石焼き芋が美味しい理由とは?

石焼き芋が表面はこんがり、中はホクホクと美味しく出来上がるのは、「加熱時間」と「遠赤外線」という、大きな2つの理由が挙げられます。ここからは、石焼き芋が美味しい理由についてみていきましょう。

理由①|長時間の加熱

まず、石焼き芋が美味しい理由は、長時間加熱しているからです。焼き芋を甘くするためには、さつまいもに含まれているβ−アミラーゼという消化酵素が、同じくさつまいも内のデンプンを、甘い麦芽糖に変化させる必要があります。そして、β−アミラーゼが特に活発に作用する温度は70℃前後と言われ、その時間が長いほど麦芽糖を生成します。石焼き芋では、その温度帯で長い時間をかけてゆっくりと熱せられるため、甘味や旨味が強くなるのです。


理由②|遠赤外線の効果

遠赤外線の効果も、石焼き芋が美味しい理由の1つです。熱した石から放射される遠赤外線は、さつまいも全体のみならず、内部にも浸透します。この効果によって、必要以上に水分を蒸発させずに、さつまいもの表面と中身を同時に加熱できるため、芯までふっくらした美味しい石焼き芋ができあがるのです。


石焼き芋の歴史を解説

江戸時代後半から、庶民のおやつとして人気になったさつまいもですが、石焼き芋として登場したのは戦後からでした。最後に、石焼き芋の歴史について解説します。

石焼き芋の登場は戦後

加熱した石を用いる石焼き芋が登場するのは、太平洋戦争が終わった1950年以降です。それ以前の江戸時代や明治時代では、かまどや壺を使った焼き芋でした。東京向島の三野輪万蔵が考案したと言われる石焼き芋は、その甘みと旨味で瞬く間に人々を魅了。さらに、石焼き芋用の道具をリヤカーに乗せて移動販売をしたことで、販売場所を選ばないというメリットもあり、一大ブームになりました。その結果、全盛期には東京に1,000人以上もの石焼き芋売りがいた、と言われています。しかしその後、大阪万博を機に、食志向の変化や海外のファストフード進出などの影響を受けたことで、石焼き芋の人気は低迷し、移動式の石焼き芋屋の数は年々減っていきました。

平成以降の石焼き芋

平成に入ると、大阪万博以降おやつの代表から退いていた焼き芋のブームが、再熱します。焼き芋オーブンの普及によるスーパーでの販売や、品種改良によって、ホクホク系からネットリ系まで多種多様な焼き芋が食べられるようになったことで、焼き芋をより身近に楽しめる時代になっていったのです。また、現在では店頭での購入だけでなく、自宅やキャンプ場などで本格的な石焼き芋が楽しめる石焼き芋機や石焼き芋用の石なども販売されています。

石焼き芋は、秋冬限定の移動販売のおやつというイメージから、1年中気軽に楽しめるおやつに変化しつつあるのでしょう。


石焼き芋のまとめ

昭和の冬の風物詩という印象が強い、石焼き芋。しかし、石焼き芋は、絶妙な温度調整と時間で焼かれた「甘さ抜群の天然のスイーツ」であり、その魅力は令和の時代も健在です。石焼き芋に適した鍋や石などを使えば自宅でも作れるため、好みのさつまいもを使って、石焼き芋づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。