焼き芋は体に悪い?食べ過ぎに注意すべき理由と適量の目安

手軽に作れて美味しい焼き芋は、寒い季節になると特に恋しくなる食べ物です。食物繊維やビタミンが豊富で健康的なイメージがありますが、一方で「焼き芋は体に悪いのでは?」と気になる方も少なくありません。実際に焼き芋は糖質やカロリーを多く含んでいるため、量を考えずに食べ過ぎれば太りやすくなったり、胃腸に負担をかけたりする可能性があります。しかし、これはあくまで“過剰に食べた場合”の話。適量を意識して取り入れれば、腸内環境を整える食物繊維や抗酸化作用のあるビタミンCなどを効率よく摂れる、非常に優秀な食品でもあるのです。この記事では、焼き芋を食べる際の適切な量の目安や、食べ過ぎに注意すべき理由、そして適量を守ったときに得られる健康効果まで詳しく解説していきます。

焼き芋を食べても良い量は?

焼き芋を食べても良い量は?

焼き芋を食べてもよい量の目安は、1日におおよそ100〜200g程度とされています。これは基本的にさつまいも1本分にあたり、過剰に食べなければ体に悪い影響はほとんどありません。実際に重さを量るのは難しいため、目安としては手のひらにすっぽり収まるSサイズ(約130〜150g)や、手のひらいっぱいほどのMサイズ(約230〜250g)の範囲を参考にしましょう。もし「ちょっと大きいかな」と感じる場合は、半分に切って2日に分けて食べるのが安心です。焼き芋は栄養価が高い一方で糖質やカロリーも豊富なので、このように適量を意識すれば、健康的に楽しめる理想的なおやつになります。

食べ過ぎると起きやすいデメリット

焼き芋を食べ過ぎると体に悪いと言われる理由

焼き芋を食べ過ぎると体に悪いと言われる理由

焼き芋は栄養たっぷりで健康的なおやつですが、食べ過ぎると体に悪い影響を招くこともあります。特に注意したいポイントを整理しました。

1. カロリー・糖質の摂り過ぎ
焼き芋は100gあたり約160kcalと、意外に高カロリー。お茶碗1杯分のご飯と同じくらいのエネルギー量があります。つい2本3本と食べてしまうと、一気に糖質を摂り過ぎて太りやすい状態になります。ダイエット中の方や血糖値が気になる方は特に注意が必要です。

2. 食物繊維の過剰摂取によるお腹の不調
さつまいもは食物繊維が豊富で、便秘解消や腸内環境の改善に役立ちます。ただし一度に大量に食べると、腹痛や下痢、逆に便秘の悪化につながることがあります。腸が敏感な方は特に量を意識すると安心です。

3. ガスがたまりやすくなる
「焼き芋を食べるとおならが出やすい」とよく言われます。これは、腸内で食物繊維が分解されるときにガスが発生するためです。ニオイは強くないものの、人前で気になる場面があるかもしれません。食べるタイミングを工夫すると良いでしょう。

このように、焼き芋は適量なら健康効果が高い食べ物ですが、食べ過ぎれば体に悪い影響を及ぼすリスクもあるのです。

焼き芋を適量食べることによって得られる栄養価

焼き芋を適量食べることによって得られる栄養価

ここからは、焼き芋を適量食べることによって得られる健康効果について、4つ紹介します。食べ過ぎは良くありませんが、適切に食べることによって多くの健康効果が得られるので、参考にしてみてください。

食物繊維・ヤラピン・レジスタントスターチ

焼き芋には、腸内環境を整える食物繊維やヤラピン、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が含まれています。これらの成分によって腸活が期待できます。また、焼き芋は脂肪燃焼作用を持つクロロゲン酸を含んでいるので、ダイエットにも最適です。さらに、食物繊維は水分を吸収して膨らむ性質があるので、少量でもお腹を満たす上に腹持ちが良いので、食べ過ぎ防止や間食を防ぐ効果もあります。

さつまいもと腸活の関係を予防医療研究協会の栄養士が解説

さつまいもの凄い点は食物繊維も難消化性デンプンも豊富に含有されている点です

さつまいもの凄い点は食物繊維も難消化性デンプンも豊富に含有されている点です。食物繊維はじゃがいもの約2倍の量を含んでいます。更に、食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と水には溶けない不溶性食物繊維に分類されますが、さつまいもはその両方を含んでいます。食物繊維の種類別の働きは次の通りです。

主な成分 働き
水溶性食物繊維 ペクチン
グルコマンナン
アルギン酸
腸内環境の改善
血中コレステロール低下
血糖上昇の抑制
中性脂肪低下
不溶性食物繊維 セルソース
リグニン
キチン
排便促進
過剰脂肪分の排出
腸内トキシン(毒素)排出

この全ての働きが期待できるさつまいもは、腸活は勿論のこと健康の維持に大変優れた食品であることが分かります。食物繊維は皮に豊富に含まれているので、良く洗って皮ごと食べることがお勧めです。皮の紫色の成分であるアントシアニンやポリフェノールも同時に摂取することが出来ます。

レジスタントスターチで腸内細菌のパワー全開に

少し聞きなれない言葉かもしれないですが、「レジスタントスターチ」は最近腸活でも注目されているデンプンの一種です。難消化デンプンとも呼ばれ、大腸まで届き腸内細菌の餌となります。デンプンは通常は小腸で消化・吸収されるのですが、大腸まで届くデンプンがあることが分かってきました。これらは食物繊維と似たような働きをしていますが、水溶性食物繊維の生理機能と不溶性食物繊維の生理機能の両方の働きを兼ね備えているといわれています。つまり両方の良いとこ取りをしたような機能をもつ成分です。さつまいもはこのレジスタントスターチが豊富で、ご飯の約1.5倍含まれているといわれています。腸内細菌がレジスタントスターチを餌にして活発に働くようになると、上の項目でお伝えした腸活の様々なメリットが期待できます。

さつまいもで手軽に美味しく腸活

それではいよいよさつまいもを使用して腸活を実践していきましょう。

近年は腸活向けの商品が様々出ていますが、さつまいもであればどこのスーパーでも手に入り、美味しく手軽に腸活をスタート出来ます。腸活は難しく捉える必要はありません。一度の食事で腸内環境が変わるわけではなく、継続することで少しずつ腸内環境は変化していきます。あまり難しいことから始めてしまうと、始めたばかりの時は良いのですが、毎日のことなので挫折してしまいがちです。小さなことからで良いので毎日続けていけることから意識していきましょう!腸活の効果は早い人では2週間程度から実感する人もいるとも言われています。
今回ご紹介するのは簡単で一品の中にプロバイオティクスとプレバイオティクスの両方が摂取できるシンバイオティクスレシピです。腸は朝が一番よく動くと言われているので朝食に取っていただくのがお勧めです。お弁当にも入れやすいので、隙間おかずとして使っていただいたり、夕食のプラス一品にも役立ちます。

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カリウム

焼き芋にはカリウムが多く含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウムの排出を促す効果があるので、むくみの解消や体内の塩分バランスが保たれます。また、水太りや冷え性の改善も期待できるので、デスクワークが多い方や運動不足の方にもおすすめです。

ビタミンC

先ほど紹介したように、焼き芋が豊富に含んでいる食物繊維には、腸活に期待できる効果があります。腸活より、肌のターンオーバーが妨げられなくなり、ニキビの改善につながります。また焼き芋には、多くのクロロゲン酸やビタミンCが含まれていて、抗酸化作用によるアンチエイジング効果も高めることが可能です。さらに、ビタミンCはシミや日焼け対策にもなります。焼き芋にはたくさんのビタミンCが含まれており、活性酸素が過剰に作られることを防止したり、活性酸素で傷ついた体の修復を促したりすることで、体の免疫を高める効果があります。ビタミンCは、活性酸素から体を守ることで、免疫力を高める効果があるのです。

さつまいもと長寿の関係

さつまいもと長寿の関係

さつまいもは、その栄養価の高さと、期待できる健康効果から、長寿とも深く関連しているとされる食材です。腸内環境を整える食材として有名ですが、他にも期待できるさまざまな効能がたくさんあります。さつまいもは、食物繊維・ビタミン・ミネラル・抗酸化物質などの栄養素が豊富。特に、安納芋などの中身に見られるオレンジ色の色素であるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換され、免疫機能の向上や細胞の健康維持に役立ちます。

また、さつまいもには、抗酸化物質であるポリフェノールやアントシアニンも含まれており、細胞の老化や炎症を抑制する効果が期待できるのもポイントです。ただし、長寿にはさまざまな要因が関与するため、さつまいもだけでは長寿につながりません。健康で長生きするためには、さつまいもを取り入れたバランスのよい食事と、ライフスタイルを維持することが大切です。

さつまいもを日常的に食べる3つの長寿島

さつまいもを日常的に食べる3つの長寿島

日本には、100歳を超える高齢者が住む島があります。それぞれの島でよく食べられている食材が、栄養たっぷりのさつまいもです。健康長寿の島では、どのようにさつまいもを取り入れているのか、チェックしてみましょう。

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焼き芋の食べ過ぎが引き起こす注意点3選

焼き芋の食べ過ぎが引き起こす注意点3選

ここからは、焼き芋を食べ過ぎに注意しなければならない理由を、3つに絞って紹介します。どんなに健康に良い物であっても食べ過ぎは禁物ですので、参考にしてみてください。

カロリー・糖質が高いため太りやすくなる

焼き芋はカロリーや糖質が豊富に含まれるため、食べ過ぎると太りやすくなってしまいます。文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、焼き芋は100gあたり約163kcalです。これは、お茶碗約1杯分のカロリーに相当します。おやつなど間食に焼き芋を食べるのであれば、2個3個と食べてしまうと、一気にカロリーを摂取することになってしまうので注意が必要です。

食物繊維の摂り過ぎ

焼き芋には食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には不溶性と水溶性の2種類がありますが、焼き芋はどちらも多く含んでいるため、適量を摂取すれば高い健康効果を得ることが可能です。しかし、食べ過ぎてしまうと、下痢や腹痛などの症状を引き起こしてしまうことがあります。不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨らむため、便のかさを増し、排便を促す効果がありますが、摂り過ぎると便が固まり、便秘を悪化させてしまう可能性があります。水溶性食物繊維は、腸内で水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくする性質がありますが、こちらも摂り過ぎると下痢や腹痛を引き起こしてしまうのです。

糖質の摂り過ぎ

焼き芋は糖度が高いので、食べ過ぎはニキビができる原因となってしまいます。糖分を摂り過ぎると、脂肪として毛穴から排出されてしまうことと、糖分を摂ることで体温が上昇し、皮脂の分泌が活発化することから、糖質の摂り過ぎはニキビができやすい状態を作ってしまうのです。ビタミンが豊富に含まれるため、美肌効果で有名な焼き芋ですが、食べ過ぎはかえってニキビの原因となってしまうので、注意するようにしましょう。

糖尿病の人は焼き芋を食べても大丈夫?

糖尿病の人は焼き芋を食べても大丈夫?

結論から言うと、糖尿病を抱えている人は、焼き芋を全く食べてはいけないというわけではありません。しかし、焼き芋には多くの糖質が含まれているため、食べる量には注意が必要です。しかし、糖尿病を抱えている人は、なぜ糖質の量を気にしなければならないのでしょうか。

糖質制限

糖質制限

糖尿病の病気の仕組みをお話ししました。糖尿病を抱えている方が、炭水化物の量を気にしなければいけないのは、「血糖値を上げ過ぎないよう」にするためです。では、糖尿病を抱えている人にとって、どれくらいの焼き芋の摂取量が適切なのでしょうか。

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まとめ|焼き芋は体に悪いの?それとも健康的?

まとめ|焼き芋は体に悪いの?それとも健康的?

焼き芋は昔から日本人に親しまれてきたヘルシーフードであり、食物繊維・ビタミン・カリウムなど栄養価の高さが魅力です。しかし、「焼き芋は体に悪い」と言われるのは、主に食べ過ぎによる影響が原因。カロリーや糖質を摂り過ぎることで太りやすくなったり、腸内でガスがたまりやすくなったりすることがあります。一方で、適量を守れば焼き芋は腸活やダイエット、美肌やむくみ改善に役立つ心強い味方です。ポイントは 1日100〜200g(小ぶりのさつまいも1本程度) を目安にすること。食べ方を工夫すれば、間食にも主食代わりにも取り入れられる万能フードです。

つまり、焼き芋は食べ過ぎれば体に悪い側面もありますが、正しい量を意識すれば健康にプラスとなる栄養たっぷりの食品。秋冬の定番おやつとしてだけでなく、一年を通して賢く楽しみたいですね。