さつまいもは良質なビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んでいる準完全食品と言われている野菜です。もしかしてさつまいも、その食べ方、損しているかも?

良質なビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含み、焼いても蒸しても干しても美味しく食べられるさつまいもは、様々な健康効果を秘めています。ダイエットのサポートのため、腸活のため、コレステロールを下げる効果を期待して……など、皆さん様々な目的でさつまいもを食べているのではないでしょうか。

けれども、さつまいもと同じタイミングで食べる食品との相性によっては、さつまいもに期待した健康効果を十分に得られないばかりか、かえって健康を害するような結果にもなりかねません。この記事ではそうした、さつまいもとの食べ合わせに注意すべき食材について紹介します。

腸活のために:この食べ合わせは避けよう!

腸活のために、意識して食物繊維を摂取されている方も多いでしょう。けれども、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があることをご存知でしょうか? 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、それぞれ役割が異なり、どちらかに偏ることなく摂取することが、健康管理の上で重要であることが分かっています。

ちなみにさつまいもは100g中、水溶性食物繊維を0.9g、不溶性食物繊維を1.8g含んでいます。水溶性の割合が比較的多く、バランスの取れた食材であると言えます。

水溶性食物繊維は水に溶けることで、柔らかく吸着性のある物質に変化します。一方の不溶性食物繊維は水に溶けず、水を吸って大きく膨らむという性質があります。不溶性食物繊維によって便の量を増やして、腸管を刺激し排便を促し、水溶性食物繊維によって内容物を柔らかくして、スムーズな排便をサポートする。どちらも腸活のためには欠かせない役割を担っており、片方だけの摂取では十分な効果が得られません。

これから紹介する食べ合わせは、そうした「食物繊維の摂り方」について注意すべきものです。

ゴボウ

ゴボウは100g中、水溶性食物繊維を2.3g、不溶性食物繊維を3.4g含んでいます。水溶性食物繊維が豊富であり、非常に優秀な食材ですが、同じく食物繊維が豊富なさつまいもと同時に食べる場合には、「一度に食物繊維を摂りすぎることへのリスク」について、注意する必要があります。

ゴボウに特に豊富な不溶性食物繊維ですが、これが大きく膨らむためには水分が必要です。腸内の水分が食物繊維に取られるため、水分が不足している場合、あるいは不溶性食物繊維の分量が多い場合には、腸内の水分が不足してしまいます。その結果、便が柔らかくなることができず、排出困難な便秘を招いてしまいかねません。

短時間に大量の不溶性食物繊維を摂取することは、逆に便秘のリスクを高めます。どちらも優秀な食材ではあるため、食べたい場合には、摂取のタイミングを朝食と3時のおやつなど、分けて設けるようにするとよいでしょう。

大豆

蒸し大豆は100g中、水溶性食物繊維を2.3g、不溶性食物繊維を6.5g含んでいます。

ゴボウよりも不溶性食物繊維の割合が多いこの大豆もまた、一度に多く摂取することで、同じく便秘の要因となります。食物繊維が豊富なさつまいもとの食べ合わせには、注意した方がよいでしょう。大豆とさつまいもは、煮物などで合わせて使用されがちです。大豆にさつまいもの甘味が伝わり美味しく仕上がりますが、大量に食べないよう注意する必要がありそうです。

こうした煮物を楽しみたい場合には、同時に水分を多めに摂るようにしましょう。腸内に十分な水分があれば、不溶性食物繊維が膨らむのに十分な水量を確保できます。

体質改善のために:体を冷やす食べ方をやめよう!

体を冷やさないようにするために、食品に含まれているカリウムの量に注意する必要があります。

カリウムには利尿作用があり、体内の水分や塩分を排出するサポートを担っています。また発汗を促進する働きもあるため、体を冷やす効果もあるとされています。この「体を冷やす」効果により、消化管の運動が抑制されてしまうため、消化不良を起こしたり、便秘を悪化させてしまったりするおそれがあるのです。

カリウムは、生の野菜や果物に豊富に含まれています。イモ類にも豊富であり、さつまいもの含有量も決して少なくありません。体の良好な代謝のためになくてはならないミネラルではありますが、一気に摂取することで体温が下がり、体調を崩すことにもなりかねないため注意する必要があるでしょう。

バナナ

バナナは100g中、水溶性食物繊維を0.1g、不溶性食物繊維を1.0g含んでいます。ゴボウや大豆と比較して、食物繊維の割合は少なめですが、おやつ感覚で多めに食べると食物繊維の量も増すため、同じく便秘を誘発してしまいかねません。また、バナナにはカリウムが豊富に含まれています。同じくカリウムを豊富に含むさつまいもと同時に摂取することで、体温の低下を招くことになってしまいます。砂糖を使わない天然の甘さを楽しむためのおやつとして、さつまいももバナナも親しまれていますが、同時に食べるのは避けた方が無難でしょう。

さつまいもと旬が同じであり、秋には同時にいただく機会も多いかもしれませんね。柿は一度にたくさん収穫できるため、おやつとして1個丸々食べるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、この柿にもカリウムが豊富であるため、消化器を冷やすことになってしまい、消化不良のリスクが上がってしまいます。

柿もさつまいもも、干し柿や干し芋に加工することのできる食材です。たくさん収穫できたから、たくさんお裾分けを貰ったからと一気に食べてしまうのではなく、ちょっとした加工で長持ちできるようにして、少しずつ分けて楽しむようにするとよいでしょう。

まとめ

食べ合わせに注意すべき食材についてまとめました。いずれも多くの作用を持つ優秀な食材ですが、食べる量とタイミングに注意することで、安全に健康効果を得られます。食べ方や保存にも工夫して、秋の味覚を楽しめるとよいですね。