健康診断でコレステロールを指摘されたら迷わずやってみる価値のある焼き芋健康法とは?

ほんのりとした甘さが魅力の焼き芋は、口に入れた瞬間ほくほくとした食感が広がり、心まで温かくなる美味しさがあります。実はこの焼き芋、味わいだけでなく、体にもうれしい効果がたくさんあるのです。食物繊維やビタミンが豊富で、腸内環境を整えたり、美肌づくりにも役立つといわれています。寒い季節のおやつや食事の一品として取り入れることで、無理なく健康をサポートしてくれる頼もしい存在です。ここでは、焼き芋がもたらす健康へのうれしい働きや、美味しく焼き上げるためのちょっとしたコツをご紹介します。ゆっくり読み進めながら、心も体も満たされる焼き芋の魅力に触れてみてくださいね。

焼き芋が健康に良い理由

なぜ焼き芋は、健康に良いとされているのでしょうか。その理由について見ていきます。

自然な甘み

焼き芋は自然な甘み

焼き芋のあの自然な甘さには、ちゃんとした理由があります。ほかのさつまいも料理と比べて甘みが強いのは、加熱の過程で「でんぷん」と「アミラーゼ」という成分がじっくり働くからです。さつまいもの主成分であるでんぷんは、小さなブドウ糖が長くつながった鎖のような構造をしています。これをアミラーゼという酵素が少しずつ切り離していくことで、麦芽糖やオリゴ糖といった“自然の甘み”を生み出すのです。麦芽糖は水あめにも使われる成分で、砂糖の約3分の1ほどのやさしい甘さが特徴。焼き芋を低温で時間をかけて焼くことで、この酵素がしっかりと働き、まるで蜜のように濃厚でねっとりとした甘みが引き出されます。さらに、この糖は消化に時間がかかるため、満腹感が長く続き、血糖値の急上昇も抑えられるといわれています。だからこそ、焼き芋は糖質が気になる方や、ダイエット中の間食にもぴったりな優しいスイーツなのです。

低GI値食品

さつまいもは低GI値食品

さつまいもは低GI値食品です。GI値とは、血糖値の上昇率を示したもので、ブドウ糖の上昇率を100とした食品の数値を示します。以下は、糖質を含む食品のGI値を表にしたものです。

主な主食のGI値比較(血糖値の上がりやすさの目安)
食品 GI値
ご飯 84
パン 91
うどん 80
パスタ 65
そば 59
さつまいも 55

他の糖質を含む食品と比較しても、さつまいものGI値は低いことが分かります。GI値が高い食品は血糖値が急激に上がりやすく、GI値が低い食品は血糖値の上昇が緩やかです。ただし、焼き芋にすると生のさつまいもよりもGI値が高くなるため、冷まして食べるのがポイントです。焼き芋を冷ますことで、糖化したでんぷんがレジスタントスターチという形に変わります。レジスタントスターチは消化に時間がかるため、血糖値の上昇が緩やかになります。

栄養価が高い

さつまいもは栄養が豊富に含まれています。以下は100g当たりの焼き芋とご飯の栄養価の比較です。

焼き芋とご飯の栄養比較(100gあたり)
栄養素 焼き芋(100g) ご飯(100g)
カロリー(kcal) 151 156
糖質(g) 36.7 38.1
脂質(g) 0.1 0.2
たんぱく質(g) 1.2 2.0
食物繊維(g) 3.5 1.5
カリウム(mg) 540 29

焼き芋とご飯では、カロリーや糖質に大きな差はありません。焼き芋は、食物繊維やカリウムなどの栄養素が多く含まれています。

焼き芋の栄養成分とは?

焼き芋の栄養成分とは?

焼き芋は健康に良いとされていますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

食物繊維

さつまいもの食物繊維

さつまいもには、体の調子を整えるために欠かせない「食物繊維」がたっぷりと含まれています。その特徴は、水に溶ける“水溶性”と溶けない“不溶性”の両方をバランスよく含んでいること。水溶性の食物繊維は、便に水分を含ませてやわらかくし、腸の動きをスムーズにするサポートをしてくれます。一方の不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸を刺激し、自然な排便を促す働きがあります。この2つの力が合わさることで、腸内の環境が整い、毎日のスッキリとしたリズムを保ちやすくなります。焼き芋として楽しめば、甘みを感じながら無理なく食物繊維をとることができ、体の内側からすっきり軽やかに整えてくれるのです。

ヤラピン

さつまいものヤラピン

さつまいもを切ったときに、断面からにじむ白い液体を見たことはありませんか?それが、さつまいも特有の成分「ヤラピン」です。このヤラピンは昔から、腸の働きをやさしく助ける成分として知られています。特に皮の近くに多く含まれているため、焼き芋を食べるときは皮ごと味わうのがおすすめです。ヤラピンには便をやわらかくして排出を促す働きがあり、食物繊維と一緒に摂ることでお互いの力を高め合い、よりスムーズな腸のリズムをサポートしてくれます。皮の香ばしさと甘い身のバランスを楽しみながら、体の中からきれいを目指せるのも、焼き芋ならではの魅力ですね。

レジスタントスターチ

難消化性のでんぷんであるレジスタントスターチは、焼き芋を冷ますことででんぷんが再結晶化した成分です。食物繊維と同じような働きがあるレジスタントスターチは、消化されずに大腸まで届き、腸の健康に作用します。また、複数の研究により、血中総コレステロールや悪玉コレステロールを低下させることが明らかになっています。食後の血糖値の上昇も緩やかになるため、満腹感が持続するのも利点です。

ビタミンC

さつまいものビタミンC

ビタミンCといえば、体を守る力を高めたり、ハリのある肌をつくるために欠かせない栄養素としてよく知られています。コラーゲンの生成を助ける働きがあり、肌の弾力を保ったり、シミやくすみの原因となる色素沈着を防ぐサポートもしてくれます。ところが、一般的にビタミンCは熱に弱く、加熱すると壊れやすいのが難点。しかし、さつまいもに含まれるビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱しても壊れにくいという優れた特徴があります。そのため、焼き芋として食べても効率よくビタミンCを摂ることができるのです。おいしく温まりながら、美容や健康のケアまでできるのは、まさに一石二鳥といえるでしょう。

ビタミンB群

ビタミンB群は、私たちの体を動かすためのエネルギーづくりに欠かせない栄養素です。食べたものをエネルギーへと変える働きを担っており、代謝をスムーズに整えることで、疲れにくい体をサポートしてくれます。さらに、神経の働きを正常に保つ作用もあり、ストレスを感じやすいときや集中力が落ちているときにも心強い味方です。また、髪や爪、肌といった粘膜を健やかに保つ働きがあるため、美容の面でも欠かせません。ホルモンバランスを整える助けにもなるため、体の内側から元気と美しさを引き出す栄養素といえるでしょう。焼き芋を食べながら、自然にビタミンB群を取り入れられるのはうれしいポイントですね。

カリウム

カリウムは、体の中のバランスを整えるためにとても大切なミネラルです。細胞の中と外の水分量を一定に保つ「浸透圧」を調整しながら、体の働きをスムーズにしてくれます。特に注目したいのは、余分なナトリウムを外へ排出してくれる点。塩分のとりすぎによる血圧の上昇を防ぎ、高血圧の予防にもつながります。また、ナトリウムと協力しながら、心臓のリズムを整えたり、筋肉の動きをスムーズにする役割も担っています。そのため、カリウムがしっかり摂れていると、体のめぐりが良くなり、むくみの軽減にも効果が期待できます。焼き芋を食べることで、自然な甘みを楽しみながら、体の調子をやさしく整えられるのはうれしいですね。

クロロゲン酸

さつまいものクロロゲン酸

クロロゲン酸は、さつまいもにも含まれるポリフェノールの一種で、コーヒーやじゃがいもなどにも多く含まれていることで知られています。この成分は強い抗酸化作用を持ち、体内で発生する活性酸素を抑えることで、細胞の老化を防いだり、肌や血管の健康を守るサポートをしてくれます。さらに、脂肪の燃焼を促す働きがあるため、代謝を高めてダイエットを後押ししてくれるのもうれしいポイントです。また、糖の吸収をゆるやかにする作用もあることから、血糖値の上昇を防ぎ、糖尿病の予防にもつながるとされています。自然の甘みを楽しみながら、体の中から美しさと健康を整えられる――そんな魅力が、焼き芋に隠れているのです。

健康診断でコレステロールが高い!と言われた方に朗報です

健康診断でコレステロールが高い!と言われた方に朗報です

焼き芋は甘くて満足感のある秋冬の定番スイーツですが、実はコレステロール対策にも役立つ食品です。さつまいも自体にはコレステロールが含まれていませんが、体内の余分なコレステロールを排出する働きがあります。その理由は、先程も少し触れた豊富に含まれる「食物繊維」と「ヤラピン」という成分にあります。食物繊維は腸内でコレステロールの吸収を抑え、排出を促す効果があるほか、血糖値の上昇を緩やかにする作用もあります。一方、ヤラピンは便通を良くし、老廃物の排出をサポートします。

焼き芋とコレステロールの関係

これらの働きによって、動脈硬化や高コレステロールの予防に役立つとされています。また、焼き芋は油を使わずに調理するため、揚げ物やバターを使ったスイーツよりも脂質が少なく、健康的です。ただし、食べ過ぎると糖質の摂りすぎになるため、1日100g程度を目安に楽しむのがおすすめです。香ばしい甘さを味わいながら、無理なくコレステロール対策ができるのが焼き芋の魅力です。

焼き芋を美味しく作るときのコツ

焼き芋を美味しく作るときのコツ

焼き芋をおいしく仕上げる秘訣は、なんといっても“じっくり低温で焼く”ことです。さつまいもは丸ごと加熱することで、内部までゆっくりと熱が伝わり、甘みのもととなる酵素「アミラーゼ」がしっかり働きます。このアミラーゼが、でんぷんを甘い糖に変えてくれるため、まるで蜜のような自然な甘さが引き出されるのです。反対に、小さく切ったり電子レンジで一気に加熱してしまうと、すぐに高温になりすぎてしまい、甘みを生み出す大切な温度帯を通り過ぎてしまいます。おすすめの方法は、オーブンを使って65〜80℃の低温で1〜2時間ほどかけて焼くこと。オーブンがない場合は、蒸し器やフライパンでもOK。弱火でじっくり火を通すと、水分がほどよく残って、ねっとりとした濃厚な甘さとしっとり感のある焼き芋に仕上がります。少し手間はかかりますが、その分、格別なおいしさに出会えますよ。

まとめ

焼き芋には、体にうれしい3つの成分「食物繊維」、「ヤラピン」、そして「レジスタントスターチ―」がしっかりと含まれています

焼き芋には、体にうれしい3つの成分「食物繊維」、「ヤラピン」、そして「レジスタントスターチ―」がしっかりと含まれています。これらが互いに助け合いながら、血糖値の上昇をゆるやかにし、腸内環境を整えてくれるのです。特に、食物繊維とヤラピンは腸の動きをサポートし、自然なリズムを整えてくれる働きがあります。また、焼き芋は消化に時間がかかるため、食後の満足感が長く続き、間食が減るといううれしい効果も。さらに、低GI値食品として注目されており、糖尿病予防や体重管理を意識している方にもぴったりです。

なかでもレジスタントスターチは、焼き芋が冷める過程で生成されるため、冷めた焼き芋を食べるとより効果的に摂取できます。焼くときは、大きなさつまいもを丸ごと使い、低温でじっくり火を通すのが美味しさの秘訣。こうして丁寧に作った焼き芋は、甘みも栄養もたっぷり詰まった自然のごちそうです。日々の食事やおやつに取り入れて、楽しみながら健康管理をしていきたいですね。