干し芋が好きな人なら、袋を開けた瞬間から手が止まらなくなる、あの素朴で懐かしい甘さに思わず共感してしまうのではないでしょうか。最近はスーパーやコンビニでも気軽に買えるようになり、自然派のおやつとして人気が高まっています。とくにダイエット中の方からは「罪悪感のない甘いもの」として選ばれることも多く、干し芋の魅力はじわじわと広がり続けています。
実は、干し芋のおいしさは原料となるさつまいもの品種で大きく変わります。ねっとり濃厚な甘さ、ほっくりした食感、やさしい口どけ…どの品種を選ぶかによって、楽しめる味わいは驚くほど違ってきます。また、同じ品種でも「平干し」「丸干し」「角切り」「円形」といった形状によって食感が変化し、ひとつのおやつとは思えないほど奥深い世界が広がっています。
この記事では、人気品種である紅はるか・玉豊・泉13号・シルクスイート・パープルスイートなどの特徴から、干し芋の形状ごとの違いまで、やさしく丁寧にまとめました。
これまで何気なく選んでいた干し芋も、知識が増えると“自分にぴったりの一枚”に出会える楽しさがぐっと広がります。
まだ味わったことがない品種があれば、この機会にぜひ試してみてくださいね。
干し芋とは

干し芋が好きな人なら、一度開けた袋があっという間に空っぽになってしまう…そんな経験があるかもしれません。スーパーやコンビニで手軽に買えるようになり、思い立った瞬間に味わえる身近なおやつになりました。最近は、素朴で安心感のある素材として注目され、食事のバランスを整えたい人が取り入れることも増えてきています。
干し芋は、さつまいもをじっくり蒸してから乾燥させた、昔ながらのシンプルなおやつ。けれど、同じ干し芋でも使うさつまいもの種類によって甘さや香り、やわらかさに違いがあり、その奥深さに気づくと楽しみ方がぐっと広がります。例えば、ねっとり濃厚な味わいのものから、軽い噛み心地で素朴な甘さが心地よいタイプまで幅広く、まるでワインやコーヒーを選ぶように、自分の“お気に入り”を探す時間もまた楽しい瞬間です。
ここからは、干し芋に使われるさつまいもの品種や、特徴の違いをやわらかい視点でたっぷりとお伝えしていきます。
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干し芋の品種

干し芋と一口にいっても、その背景にはたくさんのさつまいもの個性が息づいていることをご存じでしょうか。実はどの品種を使うかによって、口に入れたときのやわらかさや甘さの濃さが大きく変わり、同じ干し芋でもまったく違う表情を見せてくれます。
そして、その違いを知ることで、ふだん何気なく食べていた干し芋が、少し特別に感じられるようになります。ねっとり系・しっとり系・ほくほく系など、品種ごとの特徴を知るだけで、自分好みの干し芋が探しやすくなるのも嬉しいところです。
ここからは、それぞれのさつまいもが持つ甘みや香り、食感の違いをやさしく掘り下げながら、干し芋になるとどんな魅力が引き立つのかを丁寧にお伝えしていきます。いろいろな干し芋を味わうときの小さなお楽しみとして、そっと心に留めてみてくださいね。
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紅はるか

2010年に誕生した紅はるかは、まだ新しい品種でありながら、登場してすぐ多くの人を惹きつけてきました。姿かたちの美しさや、口に広がる豊かな甘みが既存の品種よりも抜きん出ていたため、その魅力をそのまま名前に込めて「紅はるか」と名づけられたそうです。
干し芋として仕上げると、この品種ならではの魅力が一段と際立ちます。まるでスイートポテトを思わせる濃厚な甘さと、とろりとするほどのねっとり食感は、一度味わうと忘れられないほど。噛むたびに広がる深い甘みは、干し芋の中でも特に評価が高く、“最高レベルの甘さ”と評されることもあります。
紅はるかの干し芋に出会えた日は、少しだけ贅沢なおやつ時間になるかもしれません。ゆっくりと味わいたくなる、そんな魅力にあふれた品種です。
玉豊

「玉豊(たまゆたか)」は、名前の響きからも想像できるように、ころんと丸みを帯びた姿が印象的なさつまいもです。玉のようにふくよかな形をしていて、一度にたくさん収穫できることからこの名がついたといわれています。昔から干し芋づくりに寄り添ってきた品種で、40年以上もの長い年月にわたり生産され続けてきた、いわば干し芋の王道のような存在です。
全国に流通する干し芋の多くが茨城県産ですが、その大部分を支えているのがこの玉豊。約80%が玉豊だともいわれるほど、干し芋の世界には欠かせません。ひと口食べると、どこかほっとするような穏やかな甘さがふわりと広がり、やわらかくねっとりとした食感がやさしく寄り添います。強いクセがないため、誰でも食べやすく、普段のおやつにも自然と馴染んでくれる存在です。
干し芋の魅力に出会うきっかけとしてもぴったりで、素朴さの中にゆるやかな満足感を感じられる品種といえるでしょう。
泉13号
昔から干し芋づくりに欠かせない存在として親しまれてきた品種ですが、近年は収穫量の少なさが影響し、生産がだんだんと減ってきているといわれています。市場で見かける機会が少ないぶん、出会えたときはちょっとした特別感があるかもしれません。
ひと口かじると、さつまいもそのものが持つ力強い風味がふわっと立ち上がり、奥行きのある甘さがじんわり広がるのがこの品種ならではの魅力です。やわらかな口あたりの中にほどよい粘りがあり、噛むほどに深い味わいが続いていくので、ゆっくりと味わいたくなるような落ち着きがあります。
どこか懐かしさを感じさせてくれる存在で、干し芋ならではの素朴なおいしさを楽しみたい人にそっと寄り添うような品種です。
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にんじん(兼六)
「泉13号」と同じく育てるのが難しく、今ではめったに出会えない希少な品種として知られています。外皮がにんじんのように赤みを帯びていることから、その姿にちなんで名前がつけられました。昔から作られてきたものの、扱いづらさゆえに生産者が少なく、見かけた瞬間に思わず手に取りたくなる“特別な存在”です。
干し芋に仕上げると、丸干しならではの素朴な風合いが際立ち、まるで干し柿を思わせるような佇まいになります。切った瞬間に広がる鮮やかなオレンジ色は、カロテンをたっぷり含んでいる証。噛むほどに甘みが濃く、やわらかい粘りと独特の香りが調和し、希少品種ならではの奥ゆかしいおいしさを感じさせてくれます。
市場にほとんど出回らないため、「これを食べられた人は幸せ」といわれるほど。干し芋好きにとって、いつか一度は味わってみたい憧れのような存在です。
ほしキラリ
「ほしキラリ」は、その名の通り干し芋のために生まれた特別な品種です。最初から加工を前提に育てられているため、甘さや食感、仕上がりの美しさがバランスよく整い、扱いやすさでも高く評価されています。
蒸しあがった瞬間にぱっと広がるのは、レモンイエローのように明るくて温かい色合い。そこから乾燥が進むにつれて、少しずつ飴色へと変化していく様子には、まるでゆっくり熟していく果実を眺めているような楽しさがあります。深みのある甘さがしっかり感じられるのに、後味は驚くほどすっきりしていて、ついもう一口…と手が伸びてしまうやさしい味わいです。
この上品な甘みと色合いの美しさから、お菓子作りの素材として選ばれることも多く、スイートポテトや焼き菓子に使うと、ほんのり甘くて自然な風味がふわっと広がります。干し芋としても、スイーツの材料としても、そっと輝きを添えてくれる品種です。
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シルクスイート

紅はるかと比べると芽の数が少なく、皮の表面がすっとなめらか。見た目からも上品さが伝わってくるのが「シルクスイート」です。ひと口食べた瞬間にふわっと広がるのは、重たさのないやさしい甘さ。余計なクセがなく、すっきりとした後味が心地よく続きます。
そして最大の魅力は、まるでシルクを思わせるような、とろんとなめらかな食感。その上質な口どけから、この名前がつけられたといわれています。噛むたびにほどけていくようなやわらかさがあり、干し芋に仕上げると上品な甘みと軽やかな食感がより引き立ちます。
甘さが濃厚すぎず、すっと溶けるような軽い口どけを楽しみたい人に寄り添ってくれる、とてもやさしい魅力を持つ品種です。
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パープルスイートロード

紅はるかほどの強い甘さはありませんが、その分カロリーが控えめで、日々の食事に気をつけたい人にもやさしく寄り添ってくれる品種です。負担の少ない自然な甘さは、食べ続けても重たくならず、ちょっとしたおやつにもぴったり。素朴なのに満足感があり、ダイエット中でも無理なく取り入れやすいのが嬉しいところです。
また、この品種には一般的なさつまいもにはあまり見られないアントシアニンが含まれています。アントシアニンはブルーベリーなどにも多い紫色の成分で、体の年齢サインに寄り添った働きが期待できると言われています。さらに、目の健康に関わるロドプシンの再合成を助ける動きもあり、日常生活の中でそっと味方になってくれる成分です。
無理せず続けたい人にぴったりの、やさしさに満ちた品種といえるでしょう。
ハロウィンスイート

鮮やかな濃い黄色からオレンジへと続く色合いがとても印象的で、ひと目見ただけで元気をもらえるような品種です。食べてみると、ほっくりとした質感が広がり、どこかカボチャを思わせるような優しい口あたり。噛むほどに自然な甘みがふわりと立ち上がり、落ち着いた味わいがじんわり続きます。
この美しい色は、Bカロチンを豊富に含んでいる証でもあります。Bカロチンは体の中で必要に応じてビタミンAへと変わり、健やかな毎日を支える力が期待されている成分です。生活習慣が気になる人のサポートや、季節の変わり目の弱りやすい時期に寄り添う働きがあるとされ、免疫面にもやさしく関わってくれるといわれています。
鮮やかな見た目と落ち着いた甘さ、そして心強い栄養がそっと寄り添う、頼もしさのある品種です。
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干し芋の種類
同じ品種でも、干し芋の「形・形状」によって、美味しさが変わります。薄くスライスしたものは、乾燥時間を短縮できるので、手に入れやすい価格で販売されています。カットしていない、丸干しのものであれば、もっちりとした食感になるので、干し芋を選ぶ際の参考にしてみてください。
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平干し芋

最もよく見かける干し芋といえば、この平干しタイプです。さつまいもを丁寧に蒸し上げ、熱いうちにそっと皮を割いてから、専用のスライサーでおよそ10mmの厚さに切り分けて作られます。仕上がった一枚はだいたい15〜20cmほどの長さで、厚みは1〜2cmほど。見慣れたあの形には、実はこんな手間がかけられています。
天日干しでじっくり仕上げられた平干し芋は、しっとりとしていて柔らかく、噛むほどに甘みがほどけるやさしい味わいが魅力です。口あたりがとてもやわらかいため、小さな子どもからお年寄りまで幅広く喜ばれ、干し芋に初めて触れる人にも親しみやすい形です。
一枚をゆっくり噛みしめると、太陽と風の力で育った自然の甘さがじんわり広がり、どこか懐かしさを感じるようなほっとする時間になります。
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丸干し芋

丸干し芋は、その名の通りさつまいもの形を残したまま仕上げる干し芋で、じっくり時間をかけて天日で乾かしていきます。平干しに比べて倍以上の手間と時間が必要なため、生産量はとても少なく、自然と希少性が高まり、価格もやや上がる傾向があります。そのぶん“特別なおやつ”として楽しむ人も多く、干し芋好きの間では密かに人気の高いプレミアム品です。
外側はやさしい甘さがふんわり広がり、噛み進めていくと、中心部に向かって濃厚な蜜のような甘みがじわりと深まっていきます。表面の軽やかな甘さと、中心にぎゅっと詰まった蜜のコントラストがとても贅沢で、ひと口ごとに変化する味わいに思わず夢中になってしまうような魅力があります。
手間ひまを惜しまず仕上げられた丸干し芋は、ゆっくり味わいたい特別な一品。干し芋の奥深さを存分に感じられる存在です。
角切り干し芋

2cmほどの幅にスライスしたさつまいもを、もう一度90度向きを変えてカットしていくことで生まれるのが、この角切りタイプです。形がそろいやすく扱いやすい一方で、ひとつひとつがほどよい厚みを持っているため、平干しの食べやすさと丸干しのしっとり感の両方を楽しめるのが魅力です。
一粒を口に運ぶと、食べやすいサイズ感の中に、さつまいもらしい甘みと噛みごたえがぎゅっと詰まっていて、小腹がすいたときのおやつにもぴったり。干し芋のタイプの中では比較的手軽に使えるため、海外、特に中国産の商品で見かけることが多い傾向があります。
軽やかな食感とほどよい満足感があり、ついつい手が伸びてしまうタイプの干し芋です。
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円形干し芋

円形のまま仕上げられた干し芋は、流通量がとても少なく、ちょっとした出会えたら嬉しい特別なタイプです。さつまいもを縦ではなく横向きに寝かせてスライスすることで、輪切りのような丸い形が生まれます。
ひとつひとつが可愛らしい見た目で、口に入れたときの食べやすさも魅力のひとつ。断面にさつまいもらしい年輪のような模様が浮かび上がり、視覚的にも楽しめる干し芋です。サイズもほどよく、小腹がすいたときにもつまみやすい軽やかさがあります。
数量が限られているため市場ではあまり見かけませんが、見つけたときには思わず手に取りたくなるような、ちょっと特別な存在です。
数日から1週間ほどを要する天日干しに比べて、2時間のオーブン調理で完成するこちらの干し芋は、インスタント干し芋と呼んでもよいのではないでしょうか。インスタントとしては、十分な美味しさです。
まとめ

今回は、干し芋に使われるさつまいもの品種や、形の違いによる種類をゆっくり辿ってきました。ここまで眺めてみると、干し芋が愛される理由が、ただ甘くておいしいだけではなく、自然のままのやさしさと栄養がぎゅっと詰まっているからだと改めて感じられたのではないでしょうか。
そして、「干し芋ってこんなに種類があったんだ」と驚いた人も多いかもしれません。品種が変われば甘さの深みや香り、食感だけでなく、期待できる栄養面も少しずつ変わります。自分の体調や気分に合わせて選べる楽しさがあるのも、干し芋の魅力のひとつです。
もし、まだ出会っていない干し芋があるなら、ほんの少しだけ冒険してみるのもおすすめです。初めてのひと口が思わぬお気に入りにつながることもありますし、いつものおやつ時間が少し豊かに広がるかもしれませんよ。
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