紅芋の特徴や栄養価、美味しい食べ方は?紅芋とさつまいもの違いも

果肉が鮮やかな紅紫色をしている紅芋は、沖縄県の代表的な食材としても知られており、紅芋を使ったスイーツなども人気があります。紅芋のスイーツは食べたことがあっても、紅芋がどのような芋なのか、くわしく知らない方も多いのではないでしょうか。更に紅芋の栄養価が気になっている方にとって、どのように紅芋が健康に貢献するかは重要なポイントです。紅芋には、健康維持に欠かせない食物繊維やビタミンC、カリウムが豊富に含まれています。特に、便通を改善する食物繊維や肌や髪の健康を保つビタミンC、むくみを防ぐカリウムなど、多くの栄養素が詰まっています。さらに、紅芋の鮮やかな紅紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。アントシアニンは強い抗酸化作用を持ち、視力回復や美肌効果、免疫力向上といったさまざまな健康効果が期待できます。これらの成分を効果的に摂取するために、紅芋を日常の食事に取り入れてみませんか?紅芋を選ぶときのポイントや人気の紅芋料理も紹介します。紅芋に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

紅芋とは?さつまいもとは違う?

出典:琉球商店より

ここでは、紅芋がどのような芋なのかを詳しく見ていきましょう。また、紅芋の味や栄養価についても解説していきます。

紅芋の特徴

紅芋-沖縄県

紅芋は紅紫色のさつまいもというイメージがありますが、実はさつまいもの一種ではなく、ヤムイモの一種のダイジョと呼ばれる品種です。紅芋は、1600年代初頭に中国から琉球へ伝わり、琉球各地で栽培されるようになりました。現在では沖縄県を中心に栽培されており、九州や四国の一部の地域でもわずかに栽培されています。沖縄県や南西諸島では紅芋の害虫被害が出ているため、生の紅芋の県外へ持ち出しは禁止されています。(消毒済み、加熱処理済みの紅芋の持ち出しは可能です。)紅芋はさつまいものように焼き芋やふかし芋として食べられますが、果肉の鮮やかな紅紫色をいかして、タルトやアイス、チップスなどのお菓子の原材料にも幅広く活用されています。

紅芋の味

紅芋-味

紅芋の味はさつまいもの味と似ていますが、さつまいもに比べてあっさりとした上品な甘さが特徴で、食感は少しねっとりしているところが特徴です。紅芋の代表的な品種には、「宮農36号」と「備瀬」の2種類あります。甘味は宮農36号の方が強いですが、口当たりの面ではきめが細かくクリーミーな食感の備瀬が勝ります。

紅芋の栄養価

日本食品標準成分表2020年版(八訂)における、紅芋(ダイジョ)100gあたりの栄養価は次のとおりです。

カロリー 102kcal
たんぱく質 2.6g
脂質 0.1g
糖質 22.8g
ビタミンC 17mg
カリウム 490mg
食物繊維 2.2g

引用:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

紅芋には、おなかの調子を整えて便通をよくする食物繊維が豊富に含まれています。また、健康な肌や髪を維持するために欠かせないビタミンCや、ナトリウムを体外へ排出してむくみを予防するカリウムも多く含まれています。紅芋の特徴である紅紫色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。アントシアニンは強い抗酸化作用をもち、視力を回復させる効果や美肌効果、免疫力の向上など、さまざまな健康効果が認められています。

美味しい紅芋の選び方

紅芋-美味しい紅芋の選び方

美味しい紅芋を見極めるためには、紅芋の正しい選び方を知っておきましょう。紅芋を選ぶときは、次のポイントをチェックしてみてください。

表面につやがある

紅芋を選ぶときは、表面がきれいでつやがあるものを選びましょう。軸から蜜が出ているものは熟しているので美味しく食べられます。反対に表面に傷があるものや、変色しているものは傷んでいる可能性があるため、注意しましょう。

ずっしりとした重さがある

紅芋-ずっしり重たい

紅芋を持ったときに、ふっくらとしていてずっしりとした重みがあるものも、美味しい紅芋の特徴です。細くて重みがないものは避けましょう。

硬くて太いひげ根がない

紅芋-ひげ根が無い

紅芋の表面にはひげ根が生えていますが、ひげ根が硬くて太いものは、果肉が筋張っている可能性があるため要注意です。紅芋を選ぶときは、ひげ根が細くて少ないものを選びましょう。

紅芋を使った人気の料理

紅芋といえば紅芋タルトのイメージがありますが、タルト以外にもさまざまな料理やスイーツに用いられています。ここでは、紅芋を使った人気料理を紹介します。

焼き芋・ふかし芋

紅芋-焼き芋、ふかし芋

紅芋の産地の沖縄県では、紅芋をさつまいもと同じように焼き芋やふかし芋として食べているそうです。焼き芋やふかし芋は、シンプルながらも紅芋本来の素朴なおいしさを味わえます。焼き芋はオーブンやトースターなどでも簡単にできるので、紅芋が手に入ったときはぜひ試してみてください。

ウムニー

沖縄では紅芋と砂糖を煮込んだ「ウムニー」と呼ばれる煮物が有名で、おやつ感覚で昔から食べられています。

ウムクジ天ぷら

紅芋-ウムクジ天ぷら

ウムクジ天ぷらは、蒸してつぶした紅芋に、沖縄の伝統食材のウムクジ(芋くず)、塩、砂糖などを練って油で揚げた料理です。ウムクジ天ぷらも沖縄の紅芋料理として有名で、琉球王朝時代には宮廷料理として食べられていたそうです。

紅芋-ウムクジ天ぷら2

紅芋スイーツ

紅芋-紅芋アイス

紅芋-紅芋タルト

鮮やかな紅紫色が特徴の紅芋は、紅芋タルトをはじめとするさまざまなスイーツに使用されています。チーズケーキやロールケーキ、モンブラン、アイスクリーム、紅芋チップスなど多種のスイーツで、紅芋の色合いや風味がいかされています。

紅芋-紅芋タルト2

紅芋とさつまいもの違い

紅芋-焼き芋

紅芋とさつまいもは、見た目や使われ方が比較的似ているため、混同されがちですが、異なる点が多く、紅芋とさつまいもは別物です。紅芋とさつまいもの違いについて詳しく説明をします。

品種の違い

紅芋はヤムイモの一種で、正式名称は「ダイジョ」です。1600年代初頭に中国から琉球(現在の沖縄県)に伝わり、広まった歴史を持ちます。さつまいもはヒルガオ科サツマイモ属で原産地は中南米です。日本には1600年代後半に渡来し、主に九州地方を中心に栽培が広まりました。

栄養価、味、食感の違い

紅芋-紅芋断面

紅芋は食物繊維やビタミンC、カリウムが豊富です。紅紫色の果肉にはアントシアニンが含まれており、強い抗酸化作用を持っています。さつまいもは、紅芋と比べて炭水化物が多く、ビタミンA(βカロテン)が豊富です。食味に関しては、紅芋はさつまいもと比べて上品な甘さで食感は少しねっとり、クリーミーな感じです。さつまいもは、甘味が強く、品種毎に「ほくほく」、「ねっとり」、「しっとり」とした食感が楽しめます。向ている食べ方ですが、紅芋は焼き芋、ふかし芋以外に人気なのは紅芋特有の色を活かしたタルト、アイスクリーム、チップス等のお菓子、スイーツの原材料としても広く使用されています、また、沖縄県の観光土産としても人気です。さつまいもは、こちらも焼き芋、ふかし芋は有名ですが、天ぷらや惣菜として多種多様な料理に使われ、スイーツではスイートポテトを中心に幅広いお菓子に利用されています。秋の味覚として家庭料理や学校給食に登場することも多々あったりします。

主要産地の違い

紅芋-畑(沖縄県)

紅芋の産地は沖縄県読谷村(よみたんそん)が有名です。沖縄県では病害虫のまん延防止のため、法律により紅芋を含むさつまいもは県外に持ち出せない植物になっています。(紅芋は蒸熱処理をすれば持ち出せるようです)一方、さつまいもは日本全国で広く栽培されています。さつまいもの名産地としては鹿児島県、宮崎県、茨城県、千葉県が挙げられます。

まとめ

紅芋-調理例

紅芋とは、紅紫色のさつまいもとは異なり、ヤムイモの一種であるダイジョのことを指します。1600年代初頭に中国から琉球に伝わり、現在では主に沖縄県で栽培されています。紅芋は鮮やかな紅紫色の果肉が特徴で、その色合いはポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。このアントシアニンは抗酸化作用があり、視力回復や美肌効果、免疫力の向上などが期待されています。紅芋の味は上品な甘さで、食感は少しねっとりしており、代表的な品種には「宮農36号」と「備瀬」があります。宮農36号は甘味が強く、備瀬はきめが細かくクリーミーな食感が魅力です。

紅芋-紅芋とさつまいもの違い

紅芋には食物繊維やビタミンC、カリウムが豊富に含まれており、腸内環境の改善やむくみの予防に効果があります。紅芋の選び方としては、表面につやがあり、ずっしりと重みがあるものが良品です。硬くて太いひげ根がないものも重要なポイントです。料理としては焼き芋やふかし芋が定番ですが、紅芋タルトやウムクジ天ぷらなどの沖縄料理も人気です。さらに、紅芋はスイーツの原材料としても広く利用されており、その美しい色合いと上品な甘さが多くの人に愛されています。本記事では、紅芋の美味しさや栄養価などを解説しました。また、美味しい紅芋の選び方や紅芋の人気料理もあわせて紹介しました。ぜひ、いろいろな食べ方で紅芋の美味しさを味わってみてください。