
さつまいもと言えば、焼き芋、芋けんぴ、大学芋、スイートポテト…と美味しいお菓子が目白押し。秋冬になると、さつまいもの甘い香りが一層恋しくなりますよね。この記事では、定番からちょっと贅沢なアレンジまで、さつまいもを使った人気お菓子と、それぞれに合うおすすめ品種をまとめました。家庭で作るときのコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
秋冬に食べたい!さつまいもお菓子の魅力
秋から冬にかけて、さつまいもが並ぶ季節になると、心もほっとほどけるような甘い香りがあちこちから漂ってきます。昔から親しまれてきたお菓子も、新しいアレンジのスイーツも、さつまいもはどれも温かく、やさしい美味しさを届けてくれます。一番身近で王道なのは、やっぱり焼き芋。低温でじっくりと火を入れることで、でんぷんが甘い糖に変わり、何も足さなくてもとろりとした甘さとしっとり感が広がります。最近では、表面を香ばしくキャラメリゼした「焼き芋ブリュレ」や、とろける口どけの「焼き芋プリン」など、ちょっと贅沢なアレンジも人気です。
素朴な魅力といえば干し芋も忘れられません。蒸したさつまいもをスライスして干すことで、甘みがぎゅっと詰まって、もちっとやわらかな食感に。紅はるかや安納芋などのねっとり系を使うと、しっとり感が増してスイーツのような仕上がりに。そのままでも、軽くトースターで温めても、口いっぱいに広がる香りと甘さにほっとします。
昔ながらの甘味では、大学芋もほくほくとした幸福感があります。揚げたさつまいもに甘い蜜をまとわせたカリッと香ばしい一口は、ほろ苦さと甘さが絶妙なバランス。おやつにも、お弁当の隅にも、ちょっと嬉しい存在です。
和菓子の世界では芋羊羹がしっとりと上品に輝きます。さつまいものやさしい甘さが口いっぱいに広がり、ほろりと崩れる舌触りは、お茶請けにも贈り物にもぴったり。
お家で手軽に楽しむなら、ふかふかのさつまいも蒸しパンもおすすめ。蒸したての湯気と一緒に、やわらかな甘い香りが広がり、さつまいもの角切りがごろっと入った一口に思わず笑顔になります。
洋風なら、スイートポテトやさつまいもパイが華やかです。バターや生クリームを合わせて焼き上げたスイートポテトは、なめらかな口当たりと濃厚な甘さが魅力。バター香るサクサクのパイ生地とさつまいもの甘みが重なるパイは、ティータイムにも特別感を添えてくれます。
そして、カリッと軽快な芋けんぴも、素朴な美味しさで根強い人気。甘じょっぱい蜜の絡んだ一口は、ついつい手が止まらなくなります。最近は黒ごまや塩、大学芋風などアレンジもいろいろ。
こうして見ていくと、さつまいものお菓子は和洋を問わず、季節のぬくもりをそのまま閉じ込めたような存在。寒い日、温かいお茶やコーヒーと一緒に味わえば、ゆっくりと時間が流れるような、幸せなひとときを届けてくれます。今回は、さつまいものお菓子について紹介します。
定番&人気!さつまいもお菓子一覧
焼き芋|さつまいもの王道スイーツとおすすめ品種
焼き芋をお菓子と呼ぶかどうかはさておき、さつまいもと言えばやはりシンプルな焼き芋の人気が根強いですよね。素朴ながらも奥深い甘みがあり、寒い季節になるとつい恋しくなる方も多いはずです。焼き芋にぴったりのさつまいもは、大きく分けると「ほくほく系」と「ねっとり系」の2タイプがあります。それぞれ味わいと食感が異なるので、その日の気分や好みに合わせて選ぶのも楽しいものです。
まず、ほくほくとした食感が魅力の品種には「紅あずま」や「鳴門金時」、「紅さつま」、「紅こがね」、そして「高系14号」が代表格。軽やかな甘みと香ばしさが特徴で、昔ながらの焼き芋を好む方にぴったりです。
一方、口に含んだ瞬間にとろけるような甘さを感じられるねっとり系には、「安納芋」や「紅はるか」、「シルクスイート」、「クイックスイート」などがあります。加熱すると蜜がにじみ出るほど甘く、スイーツ感覚で楽しめるタイプです。
美味しい焼き芋を作るコツは、じっくり時間をかけて低温で加熱すること。オーブンを使う場合は160℃前後で1時間以上かけるのがおすすめですし、炊飯器を使えば手軽にほったらかしで仕上げられます。少し手間をかけるだけで、お店顔負けの甘くて香り高い焼き芋が自宅で味わえますよ。
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芋けんぴ|カリカリ食感がクセになる昔ながらのおやつ
芋けんぴは、カリッとした歯ごたえと香ばしい甘さで、子どもから大人まで幅広く愛されている昔ながらのおやつです。スティック状に切ったさつまいもを油で揚げ、仕上げに砂糖を絡めて艶やかに仕上げるその姿は、見ているだけでも食欲をそそります。
手作りに挑戦するなら、選ぶさつまいもにもこだわりたいところ。特におすすめなのは、ほくほく系の品種です。ほくほく系は水分が少なく揚げた後もシャキッとした食感が残りやすく、芋けんぴ特有のカリカリ感をしっかり楽しめます。代表的な品種としては、「紅あずま」や「鳴門金時」、「紅こがね」、「高系14号」などが挙げられます。これらを使えば、口に入れた瞬間にカリッと軽やかな音とともに、じんわりと広がるさつまいもの甘みを堪能できます。
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ねっとり系のさつまいもも甘みは強いですが、水分が多く揚げるとややしっとりした仕上がりになるため、カリカリ感を重視するならほくほく系が断然おすすめです。
大学芋|甘じょっぱさがたまらない揚げスイーツ
大学芋は、外側の「カリっ」とした飴の衣と、中の「ほくっ」とやわらかなさつまいもの食感が絶妙に調和した、昔から親しまれている和菓子です。揚げたさつまいもを、砂糖・しょうゆ・みりんで作った甘辛いタレに絡め、仕上げに黒ごまをふりかければ、香ばしさと甘みが一層引き立ちます。
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美味しい大学芋を作るなら、さつまいもの品種選びがポイント。おすすめは、しっとりとした甘さを持つねっとり系の品種です。特に「シルクスイート」や「紅はるか」は、加熱することで内部が柔らかくほどけるような食感になり、外のカリっとした衣とのコントラストがより際立ちます。ねっとり系を選ぶことで、冷めても固くなりにくく、タレとのなじみも抜群。ひと口ごとに、香ばしい飴の甘みと濃厚なさつまいもの旨みが広がり、まさに「ほくほく」と「カリカリ」のいいとこ取りが楽しめます。
干し芋|自然な甘さと食感が魅力のヘルシーおやつ
干し芋は、さつまいもの素朴な甘さと自然な食感をそのまま閉じ込めた、昔ながらのおやつです。さつまいもを蒸して丁寧に干し上げることで、水分がほどよく抜け、噛むほどに甘みが口いっぱいに広がります。砂糖や添加物を使わないシンプルな製法なので、素材本来の味わいが引き立つのも魅力です。
最近では、ダイエット中のおやつとしても注目され、手軽に栄養が摂れることからコンビニやスーパーでも手に入る身近な存在に。ビタミンや食物繊維が豊富で腹持ちが良く、美容と健康を意識する方々に人気があります。女優やモデルがバッグに忍ばせているというエピソードも、干し芋が愛される理由のひとつでしょう。
料理経験がほぼゼロの筆者が試行錯誤して編み出したレシピを公開しています。失敗しやすいポイント(本当に失敗した)や失敗を通して分かった改善策も詳しく解説しています。
干し芋作りに向いているのは、甘みとしっとり感が特徴のねっとり系さつまいも。特に「紅はるか」や「安納芋」、「シルクスイート」などは、干すことで水分が減って甘みがぎゅっと濃縮され、噛みしめるたびに濃厚な風味が楽しめます。
スイートポテト|濃厚でなめらかな洋菓子の定番
さつまいもスイーツの定番といえば、やはりスイートポテトは外せません。蒸かしたさつまいもを丁寧に裏ごしし、砂糖やバター、牛乳を加えて混ぜ合わせ、オーブンでこんがりと焼き上げる――シンプルながらも贅沢な味わいが広がるお菓子です。実はこのスイートポテト、日本で生まれた洋菓子だということをご存じでしょうか。日本人の舌にしっくりなじむのも納得です。スイートポテトを一層おいしく仕上げるには、さつまいもの品種選びがポイントです。おすすめは、なめらかな食感と甘みが際立つねっとり系。特に繊維が少ない品種を選ぶと、舌触りの良いクリーミーな仕上がりになります。
冷凍保存を繰り返すうちに家族全員からも飽きられることも。とはいえ、甘くて美味しい焼き芋を捨ててしまうのももったいないですよね。その焼き芋が時間をかけてじっくり作った焼き芋なら尚更です
「紅はるか」や「安納芋」、「シルクスイート」などは、加熱すると自然な甘さとしっとり感が引き立ち、まるでお店で作ったような上品なスイートポテトに。ひと口食べれば、バターの香りとさつまいもの甘みがふんわり広がり、ついもうひとつ…と手が伸びてしまう魅力があります。
芋羊羹|しっとり上品な和菓子の代表格
芋羊羹は、上品な甘さとさつまいものやさしい風味が楽しめる和菓子ですが、「お店で買うもの」というイメージが強く、自分で作るのは難しそう…と感じる方も多いかもしれません。けれど、実は材料も作り方もとてもシンプルで、意外と気軽に挑戦できるお菓子なんです。おうちで作れば、できたてならではのふんわり感や、甘さの加減も好みに合わせられるのが魅力です。
芋羊羹作りにおすすめなのは、甘みとほくほく感がしっかり感じられる「ほくほく系」のさつまいも。特に「紅あずま」は、ほどよい甘さと繊維の少なさでなめらかな口当たりになり、羊羹の舌触りを格上げしてくれます。
どのレシピより再現度が高い!さつまいもの品種から徹底的に選んでみた。あの味を再現できるのか?検証してみた。
ゆっくり火を通して裏ごしすれば、なめらかなペースト状になり、寒天と合わせるだけで上品な芋羊羹の完成。手作りだからこそ、砂糖の量や固さも自分好みに調整でき、贈り物やお茶請けにもぴったりです。
さつまいも蒸しパン|ふんわりやさしいおやつ
さつまいもは、ふんわりとした蒸しパンとも相性抜群です。やさしい甘みとほくほく感が生地に溶け込み、お子さんのおやつにも、軽めの朝食にもぴったり。見た目にも可愛らしく、ほんのり甘い香りがキッチンいっぱいに広がります。
「蒸しパンは作るのが大変そう…」と思われがちですが、ホットケーキミックスを使えば驚くほど簡単。卵と牛乳、砂糖を混ぜ合わせて生地を作り、カットしたさつまいもを加えて蒸すだけで、ふわふわ食感の手作り蒸しパンが出来上がります。蒸しパンに合わせるなら、おすすめはねっとり系のさつまいも。特に「紅はるか」や「シルクスイート」は、蒸すことで甘さがぐっと引き立ち、生地のやわらかさと見事にマッチします。実際、コンビニの人気蒸しパンにも紅はるかが使われているほど、その相性は折り紙つきです。
焼きたてを頬張れば、さつまいものしっとりとした甘みと、蒸しパンのふわっとやわらかな口当たりが合わさり、ほっとするような優しい味わいに。朝食やおやつがちょっと特別なひとときになりますよ。
さつまいもパイ|サクサク生地と甘いフィリングの至福の組み合わせ
スイートポテトパイは、サクサクのパイ生地と濃厚でしっとりしたさつまいもフィリングの組み合わせがたまらない、高級感のあるスイーツです。見た目は手間がかかりそうですが、市販のパイシートを使えば自宅でも意外と簡単に作れます。
作り方はシンプル。蒸かしたさつまいもをなめらかにつぶし、牛乳、砂糖、バター、そしてほんのり香るバニラエッセンスを加えて混ぜ合わせます。これを解凍したパイシートで包み、オーブンでこんがり焼き上げれば、香ばしいパイの香りと甘いさつまいもの香りがキッチンいっぱいに広がります。パイの中身がスイートポテトに近い仕上がりになるため、使うさつまいもはスイートポテト同様、ねっとり系がおすすめです。特に「紅はるか」や「安納芋」、「シルクスイート」はしっとりとした甘さがあり、パイのサクサク感とのコントラストが抜群。口に入れた瞬間、バター香るパイ生地と、なめらかなさつまいものフィリングが絶妙なバランスで溶け合います。
おうちで作ったとは思えないリッチな仕上がりになるので、ティータイムのお供やちょっとしたおもてなしにもぴったりです。
お菓子別おすすめ品種早見表
お菓子 | おすすめ品種 | 特徴 |
---|---|---|
焼き芋 | 紅あずま・安納芋・紅はるか | ほくほく〜ねっとりまで好みで選べる |
芋けんぴ | 紅あずま・鳴門金時 | カリっと揚がる |
大学芋 | シルクスイート・紅はるか | 冷めても柔らかい |
スイートポテト | 安納芋・紅はるか | クリーミーな舌触り |
干し芋 | 紅はるか・シルクスイート | 甘み凝縮、ねっとり食感 |
まとめ
さつまいもは、種類によって甘さや食感がまるで別物。ほくほく系は香ばしく、ねっとり系はとろけるような甘さがあり、選ぶ品種で仕上がりが驚くほど変わります。
焼き芋の素朴な甘みや、カリッと香ばしい芋けんぴ、しっとり濃厚なスイートポテトなど、どれも家庭で手軽に作れる秋冬ならではのおやつたち。寒い日には、旬のさつまいもを使ってお気に入りのレシピに挑戦し、ほっとする時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。