
秋が深まり、冬の気配を感じるようになると、さつまいもが美味しい季節がやってきます。コンビニのスイーツコーナーには、さつまいもを使ったお菓子がずらりと並び、スーパーの店頭では焼き芋の甘い香りが広がり、思わず足を止めてしまうこともあるでしょう。そんなさつまいもですが、何気なく食べていると、その種類にまで意識を向けることは少ないかもしれません。しかし、最近はさつまいもの品種が注目されるようになり、スーパーや専門店でも「○○芋」と品種名が記載されていることが増えてきました。焼き芋専門店やスイーツショップでも、品種ごとの特徴を活かした商品が登場し、それぞれの違いを楽しむ人も増えています。さつまいもにはさまざまな品種があり、それぞれ味や食感が異なります。中でも、特に人気が高く名前をよく耳にするのが「安納芋」と「シルクスイート」です。どちらも甘みが強く、焼き芋にすると格別の美味しさを楽しめる品種ですが、それぞれに個性があります。今回は、この二つのさつまいもが持つ魅力や違いを紹介していきます。
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さつまいもの品種によって何が違うの?
さつまいもには数多くの品種があり、それぞれに異なる特徴がありますが、品種ごとにどのような違いが生まれるのかが気になるところです。まず最も分かりやすい違いは、甘さの強さや風味です。さつまいもは一般的に甘いイメージがありますが、その甘さの度合いや味の奥行きは品種ごとに異なります。さらに、味だけでなく、食感の違いもさつまいも選びの大きなポイントとなります。甘さはさつまいもの美味しさを左右する重要な要素ですが、必ずしも甘ければ甘いほど美味しいとは限りません。好みは人それぞれで、甘さを控えめにしてさつまいも本来の素朴な風味を楽しみたい人もいれば、濃厚な甘さを求める人もいるでしょう。甘さの感じ方には個人差があるものの、食感の違いがさつまいもの好みをさらに分ける要因となります。
さつまいもの食感は、大きく分けて「ほくほく系」「しっとり系」「ねっとり系」の3つに分類されます。ほくほく系は、軽やかな口当たりで、食べるとほろほろと崩れるような食感が特徴です。水分が少ないため、一度にたくさん食べると口の中が乾きやすくなることもあります。昔ながらの焼き芋に使われることが多いのが、このほくほく系の品種です。
しっとり系は、ほくほく系に比べて水分が多く、舌触りがなめらかです。さらに水分を多く含むねっとり系は、とろけるような食感で、舌に絡みつくような濃厚な口当たりが特徴となります。食感の違いと甘さにはある程度の関係があり、水分を多く含むねっとり系の品種ほど糖度が高く、より甘みを強く感じやすい傾向にあります。そのため、焼き芋にした際には、ねっとり系の品種ほど蜜がたっぷりと染み出し、とろけるような甘さを楽しめるのが魅力です。このように、さつまいもは品種によって甘さや食感が大きく異なり、それぞれに異なる美味しさがあります。ほくほくと素朴な味わいを楽しむのか、しっとりとなめらかな舌触りを堪能するのか、それともねっとりと濃厚な甘みを味わうのか。さつまいもの奥深い魅力を知れば、より自分好みの一品を見つける楽しみが広がるでしょう。
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ねっとり系の代表格が安納芋
近年、焼き芋のトレンドとして特に人気を集めているのが、ねっとり系の品種です。昔ながらのほくほく系の焼き芋とは異なり、しっとりとした舌触りを通り越して、まるでスイーツのように口の中でとろけるような食感が楽しめるのが特徴です。さらに、糖度が高く濃厚な甘みを味わえることから、スイーツ感覚で楽しむ人が増えてきました。これまで焼き芋といえば、皮をむきながら手で持って食べるのが一般的でしたが、ねっとり系の品種はスプーンですくって食べるスタイルも定着しつつあります。
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その代表格ともいえるのが「安納芋」。糖度が高く、焼き上げると蜜があふれ出ることから「蜜イモ」とも呼ばれています。見た目にもツヤがあり、しっとりとした食感に加えて、濃厚な甘みが特徴的な品種です。特に焼き芋にすると、ねっとりとした粘度の高い食感になり、口に入れた瞬間に広がる濃密な甘みがやみつきになります。その粘度の高さゆえに、慌てて食べるとのどに詰まりそうになることもあるため、ゆっくり味わいながら食べるのがおすすめです。
安納芋の魅力を最大限に引き出す食べ方として、やはり基本となるのが焼き芋です。自宅で焼く場合は、オーブントースターを使うのが手軽で便利。片面ずつ15〜20分ずつじっくり焼き、焦げすぎないよう火加減を調整しながら焼き上げると、甘みが増して美味しくなります。さらに甘みをより引き出したいなら、蒸してみるのも良いでしょう。
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洗った安納芋を30分ほどじっくり蒸すことで、甘さが際立ち、しっとり感が増します。最近では炊飯器を使った調理法も人気で、炊飯器に入れて50分ほど蒸すと、ねっとりとした濃厚な甘さが引き立ち、よりスイーツのような仕上がりになります。
また、安納芋は焼き芋や蒸し芋だけでなく、ペースト状にしてスイーツにアレンジするのもおすすめです。プリンやスイートポテト、タルトのフィリングに使うと、砂糖を控えめにしても十分な甘みを感じられるため、素材の美味しさを活かしたスイーツ作りにもぴったりです。焼いてそのまま食べるのはもちろんのこと、いろいろな調理法を試して、自分好みの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
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しっとり系の代表格がシルクスイート
安納芋のようにとろけるほどねっとりした焼き芋は、濃厚な甘みと独特の食感が魅力ですが、中にはそこまでドロドロとした質感が苦手だと感じる人もいるかもしれません。ねっとり系ほど水分が多すぎず、かといってほくほく系のようにパサつきも感じない、ちょうど中間の食感を求めるなら、しっとり系のさつまいもがぴったりです。その代表的な品種として知られているのが、「シルクスイート」です。
シルクスイートは、比較的新しい品種で、2012年から苗が販売されるようになりました。「春こがね」と「紅まさり」という2つの品種を交配して生まれ、それぞれの長所を受け継いだバランスの良いさつまいもとして人気を集めています。しっとり系の焼き芋が好みの人はもちろん、ねっとり系の甘さとほくほく系の軽やかさの両方を楽しみたい人にとっても、ちょうど良い食感と味わいが魅力です。
名前からもわかるように、「シルク=絹」のような繊細でなめらかな食感が特徴です。しっとりしながらも適度な歯ごたえがあり、上品な舌触りが楽しめます。甘さもほどよく、さつまいも本来の風味をしっかり感じられるのもポイントです。焼き芋にすると、口当たりの滑らかさが際立ち、さつまいもらしい香ばしさと甘さが一層引き立ちます。
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シルクスイートの旬は11月から2月頃にかけて。寒くなる季節に店頭に並ぶことが多いため、この時期にスーパーや八百屋で見かけたら、ぜひ手に取ってみるのがおすすめです。安納芋のように蜜があふれ出すほどではありませんが、しっとりと上品な甘さがあり、焼き芋にするだけで十分にその魅力を味わえます。
また、シルクスイートは、そのなめらかさと程よい甘さを活かしてスイーツの材料としても重宝されます。プリンやスイートポテトに使うと、砂糖の量を控えてもさつまいも本来の自然な甘みを楽しめるため、手作りスイーツのレベルがぐっと上がります。焼き芋にしてそのまま食べるのはもちろん、ペースト状にしてタルトやケーキのフィリングにしたり、パンやクッキーに練り込んだりと、さまざまなアレンジが楽しめるのも魅力です。
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焼き芋好きの人にはもちろん、さつまいもスイーツ作りにこだわる人にもぴったりの品種。ねっとり系の濃厚さとも、ほくほく系の素朴さとも違う、シルクのように繊細な食感と絶妙な甘さを、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
お好み次第で品種を使い分けよう
ねっとりと濃厚な甘みが特徴の安納芋と、しっとりとなめらかな食感が魅力のシルクスイート。どちらも人気の高いさつまいもで、それぞれに異なる美味しさがあるため、味わいや口当たりの好みに合わせて選ぶとよいでしょう。焼き芋にすると、安納芋は蜜があふれるような濃厚な甘さが際立ち、シルクスイートは繊細で上品な味わいが引き立ちます。さらに、焼くだけでなく、蒸してほくほく感を楽しんだり、ペースト状にしてスイーツに活用するのもおすすめです。それぞれの品種の特徴を活かしながら、料理やお菓子作りに取り入れてみるのも良いですね。
安納芋もシルクスイートも、素材本来の甘みを存分に楽しめるさつまいもです。好みや用途に応じて使い分けながら、一番美味しい食べ方を見つけてみてください。
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