焼き芋は海外でも人気?各国の食べ方・値段・日本産輸出の秘密を解説

焼き芋は日本だけでなく海外でも人気の食べ物です。アメリカや台湾では日常的に親しまれ、タイなど東南アジアでは日本産さつまいもを使った焼き芋が高級品として販売されています。各国ごとに好まれる品種や食べ方が異なり、オレンジ系の甘い芋や紫芋など多彩なバリエーションが存在します。さらに日本の焼き芋は輸出量が増加しており、現地でも専用の機械を使って再現されるようになりました。この記事では、海外での焼き芋人気の国や価格の違い、日本産焼き芋の輸出事情をわかりやすく解説します。

海外でも焼き芋は食べられているの?

海外でも焼き芋は食べられているの?

秋から冬にかけて特に美味しさが増す焼き芋。日本では昔から冬の定番のおやつとして親しまれてきましたが、「焼き芋は日本だけの食文化なのでは?」と思う方もいるかもしれません。けれども実際には、焼き芋は世界中で楽しまれている食べ物であり、寒い季節を中心に多くの国で人々の暮らしに溶け込んでいます。アメリカや台湾、韓国をはじめ、アフリカや東南アジアでもさつまいもは広く栽培され、焼き芋として食卓に並ぶことも珍しくありません。国ごとに選ばれる品種や調理方法には違いがあり、オレンジ色の果肉が人気の地域もあれば、紫芋を好む文化もあります。日本では石焼きやオーブンでじっくり加熱してねっとりとした甘さを楽しむスタイルが主流ですが、海外では炭火で香ばしく焼き上げたり、スパイスを加えて食べたりとバリエーションは実に豊かです。こうした違いを知ると、同じ焼き芋でも国や地域によってまるで別の料理のように感じられ、さつまいもの奥深さを改めて実感できるでしょう。

実はさつまいも生産量1位は中国!

実はさつまいも生産量1位は中国!

「さつまいも=日本」というイメージを持つ方は多いかもしれませんが、世界全体の生産量に目を向けると意外な事実が見えてきます。実はトップは中国で、全体の5割以上を占めており、圧倒的な規模で栽培されています。日本は17位と比較的低い位置にあり、国内での人気や馴染み深さに対して生産量は決して多いわけではありません。

また、マラウイやナイジェリアといったアフリカ諸国でもさつまいもは盛んに栽培されており、農作物として人々の暮らしを支えています。これは、さつまいもが20〜30℃前後の温暖な気候に適しているためで、アフリカや東南アジアの地域でも生産が広がっていることに繋がります。こうした背景があるからこそ、海外でも焼き芋が自然に文化として根付き、国ごとに独自の食べ方が発展してきたのです。

海外で人気の焼き芋はどの国?

海外で人気の焼き芋はどの国?

国によって好まれる焼き芋のスタイルや食べ方には、それぞれ個性があります。

アメリカでは、鮮やかなオレンジ色の果肉を持つ品種が主流で、水分が多く加熱すると外側はパリッと香ばしく、中はトロッとクリーミーな食感が楽しめます。特に感謝祭などの行事でもサツマイモ料理が定番であり、栽培面積の95%以上をオレンジ系の品種が占めていることからも、その人気の高さがうかがえます。

台湾では、日本と同じように焼き芋が日常的に親しまれています

台湾では、日本と同じように焼き芋が日常的に親しまれています。黄色やオレンジの果肉はもちろん、鮮やかな紫色のさつまいもも人気で、なかでもモッチリとした食感の黄色系は根強い支持を集めています。市場やコンビニ、屋台などでは一年を通して焼き芋や蒸し芋が並び、季節を問わず人々の食生活に溶け込んでいます。

アメリカでは、鮮やかなオレンジ色の果肉を持つ品種が主流

韓国でも焼き芋は冬の定番ですが、それだけにとどまりません。焼き芋として味わうほか、さつまいもの葉を使った料理や、キムチに加えて楽しむなど、多彩なアレンジが広がっています。栄養価の高さから健康食材としても注目され、食卓に取り入れられる機会が多いのも特徴です。このように、各国ごとに好まれる品種や食べ方に違いがあり、「焼き芋=日本独自の食文化」という印象を超えて、今では世界各地で愛される食べ物へと広がっています。

日本の焼き芋が人気の理由は?

海外で作られる焼き芋と、日本の焼き芋を比べると、その魅力には大きな違いがあります。海外ではオレンジ系や紫色のさつまいもがよく用いられ、香ばしく焼き上げてホクホク感を楽しむスタイルが一般的です。一方、日本の焼き芋は「紅はるか」や「安納芋」といった糖度の高い品種を中心に使い、ねっとり濃厚な甘さととろけるような食感を引き出しているのが特徴です。そのままスイーツ感覚で食べられるほどの甘さがあり、子どもから大人まで幅広い層に愛されています。

日本の焼き芋が人気の理由は?

また、日本では栽培から流通、販売に至るまで品質管理が徹底されているため、芋の状態が安定しており、焼き上げたときの味わいも均一で高品質。さらに農薬管理や衛生面でも信頼性が高く、「安心して食べられる」という点が海外市場でも高く評価されています。こうした背景から、アジアを中心に「日本産の焼き芋を食べたい」という声が年々増加し、輸出量の拡大にもつながっているのです。

焼き芋の海外輸出はどれくらい?

焼き芋の海外輸出はどれくらい?

JAの発表によれば、2020年度には日本からおよそ530トンものさつまいもが海外へ輸出されました。主な輸出先はシンガポールやタイ、香港などを中心とした東南アジアで、日本産の焼き芋に対するニーズは年々高まりを見せています。特に現地では「日本式焼き芋」と呼ばれる、ねっとり甘いスタイルが高級スイーツのように受け入れられ、健康志向や美容志向の層を中心に人気が拡大しています。

さらにユニークなのは、単にさつまいもを輸出するだけでなく、日本で食べられている味わいをそのまま再現できるよう「焼き芋マニュアル」の提供や、専用の焼き芋機械まで輸出している点です。現地での再現度が高まることで、日本産焼き芋の魅力がより広がり、リピーターも増えているのです。こうした取り組みが、日本式焼き芋を世界に広める大きな後押しとなり、今後も需要拡大が見込まれています。

海外の焼き芋の値段は日本とどう違う?

海外の焼き芋の値段は日本とどう違う?

日本ではスーパーやコンビニで1本150円前後と手軽に買える焼き芋も、海外に渡ると一転して高級品として扱われることがあります。たとえばタイの大手スーパーでは、日本産の焼き芋が2本で約1,000円、つまり1本あたり500円ほどで販売されていました。常夏の国で「熱い焼き芋に需要があるのか?」と思われがちですが、実際には日本産さつまいもの品質や濃厚な甘さは他国の品種と一線を画しており、高値でも次々と購入されているのです。

この価格差は、単なる物価の違いではなく、日本の焼き芋が「高級スイーツのような特別な存在」として受け止められている証拠ともいえます。現地の人々にとっては、日本式焼き芋を買うことがちょっとした贅沢体験となり、その特別感が需要をさらに押し上げています。

海外ブームの背景にはコロナ禍も

海外ブームの背景にはコロナ禍も

新型コロナウイルスの影響で海外から日本への旅行が制限されていた時期、多くの人が「日本の焼き芋を食べたい」という思いを募らせました。その結果、日本産さつまいもの輸入需要が急増し、各国で焼き芋を味わうブームが一気に広がったのです。これまでは旅行中にしか楽しめなかった特別な味が、自国で手に入るようになったことが大きな転換点となりました。

現地で日本式の焼き芋を体験できるようになったことで、これまで日本に訪れたことがなかった層にも人気が広がり、「本場の味を食べてみたい」という新たな需要が生まれています。日本旅行の代替体験としてスタートした流れが、いまや世界規模の焼き芋ブームへとつながっているのです。

海外で人気のさつまいも品種

海外で人気のさつまいも品種

アメリカではオレンジ色の果肉を持つさつまいもが主流で、βカロテンが豊富に含まれている点が特徴です。焼き上げると外側はパリッと、中はトロッと柔らかく、デザート感覚で親しまれています。一方、台湾では黄色系や紫系など多彩なラインナップが好まれており、モッチリとした食感の黄色系が特に人気。市場や屋台では一年を通して焼き芋が並び、日常的なおやつとして楽しまれています。そして輸出用として注目されている日本産のさつまいもは、「紅はるか」や「安納芋」といった糖度の高いねっとり系が中心。濃厚な甘みとスイーツのような食感が、海外でも高く評価されています。このように品種の違いが食感や甘さの個性を生み出し、国ごとに好みが分かれるのも焼き芋の奥深さといえるでしょう。

まとめ

焼き芋は日本の冬を象徴する身近なおやつであると同時に、世界各国でも親しまれているグローバルな食べ物

焼き芋は日本の冬を象徴する身近なおやつであると同時に、世界各国でも親しまれているグローバルな食べ物です。アメリカのオレンジ系さつまいも、台湾の黄色や紫系、そして日本産の紅はるかや安納芋など、国ごとに好まれる品種や食べ方が異なり、そこに焼き芋文化の奥深さがあります。特に日本のさつまいもは品質の高さとねっとりとした甘さで支持され、海外では高級品として扱われることも珍しくありません。実際に輸出量は年々増加傾向にあり、今後もアジアを中心に需要拡大が期待されています。

こうした背景から、焼き芋は単なる季節のおやつにとどまらず、国際的な食文化としての存在感を強めつつあります。寒い日にほっと一息つける定番の味わいであると同時に、世界をつなぐ食のトレンドとして、これからの展開にも注目していきたいですね。