これから注目のさつまいもの品種ってどんなものがあるの?焼き芋、さつまいもブームが定着してきている中で今後、注目される可能性が高いさつまいもの品種を調べてみた!

甘くてホクホクした食感が魅力のさつまいもは、以前から根強い人気ですが、ここ数年で、焼き芋ブームやさつまいもスイーツのブームが定着しつつあります。また全国の生産者が集結して、「さつまいも博」が開かれたりするほどに注目を浴びています。

和名では「甘藷(かんしょ)」、英語では「sweet potato」と呼ばれ親しまれているさつまいもの主要品種は、紫芋やニンジン芋なども含め、なんと60種類以上もあると言われています。その上、今でも新品種が開発され、まだまだ種類も増えており、味も見た目も食感も様々です。用途としても青果用やいも焼酎の原料、でん粉の原料、加工食品用など様々です。安納芋、シルクスイート、紅はるかなどは例年大人気で、皆さんもスーパーなどでよく目にすると思いますが、ここでは、これから注目の品種について、どんなものがあるのかを紹介していきます。

ふくむさらき

まず紹介したい品種は「ふくむらさき」です。現在、紫さつまいもの品種で普及しているのは「パープルスイートロード」ですが、食味の評価があまり高くないため、より食味が優れ、紫色も濃い紫さつまいもの新品種として作られたのが「ふくむらさき」です。「ふくむらさき」は、食味が優れる「九系255」と、「パープルスイートロード」を交配させてできた品種で、総合評価が高くなっています。2018年に新品種として出願された、まだまだ新しい品種です。名前の由来は、その紫さつまいもを食べた人が幸福な気持ちになれるように、というところから付けられました。蒸しいもや焼きいもの糖度は「べにはるか」並みに高く、しっとりした食感が好評です。サイズがやや小さめで、収量が標準品種より少ないため、早掘りを避け、生育期間を十分確保する必要がありますが、青果用さつまいも産地において、紫さつまいもの食味の良い新品種として大変注目されています。今まで紫さつまいもに興味がなかった人も、一度焼きいもや蒸しいもにして、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。色鮮やかな紫色に驚き、程よい甘さできっと幸せな気持ちになれるでしょう。

あまはづき

引用:農研機構(研究成果)8月の収穫直後から甘いサツマイモ新品種「あまはずき」より

次に紹介したい品種は「あまはづき」です。「あまはづき」は貯蔵しなくても、収穫直後の段階から糖度が高く、また、低温糊化性でん粉という特殊なでん粉を含んでいるため、低い温度からでん粉が糖へ変化するのが特徴です。本来さつまいもの甘さ、食感には欠かすことのできない大切なポイントがあります。それは、貯蔵という過程です。収穫直後はでん粉質が多くパサパサで、糖度も低いため、寝かせてあげることでさつまいもの甘さが増し、食感も良くなるのです。ねっとり系が人気のさつまいもとして、紅はるかや安納芋、シルクスイートがありますが、これらは収穫後貯蔵し、早くても9月下旬以降の出荷、または農家さんによってはもっと貯蔵期間を長くしている場合もあります。そこで、8月の収穫後直後から甘い焼き芋が食べられるさつまいもとして開発されてできたのが、「あまはづき」なのです。「あまはづき」が開発された事で、甘くて美味しいさつまいもの供給期間が早まり、秋を待たずに皆さんの食卓に届ける事ができるようになりました。さつまいもは秋の味覚というイメージですが、夏にも甘くて美味しいさつまいもを試してみてはいかがでしょうか。

ひめあずま

引用:農研機構(研究成果) ホクホク食感のおいしいサツマイモ新品種「ひめあずま」より

もう一つ、最後に紹介したい品種は「ひめあずま」です。「ひめあずま」は、「紅あずま」の後継品種として開発された、ホクホク食感のさつまいもです。「紅あずま」は、青果用だけではなく、昔ながらのホクホク食感を活かし、菓子加工用として生産されていました。しかし、ねっとり系で人気の高い「紅はるか」の方が生産しやすいこともあり、作付面積が減少し、加工業界から原料確保が難しいという声があがるようになってしまいました。そこで、「紅あずま」の最大の欠点ともいえる、ゴツゴツとした外観や、貯蔵性があまり良くないため旬が短い、という点を改良した新しい品種が「ひめあずま」です。農研機構によると、病害虫に強く、貯蔵性がよい「作系25」と、形状や大きさの揃いが良い「すずほっくり」を掛け合わせてできた品種で、「紅あずま」の子孫にあたります。

ホクホクとした食感、肉質は、芋ようかんや大学芋といった菓子などに加工する際、とても重要な要素です。その重要な要素をそのまま活かし、貯蔵性にも優れた「ひめあずま」は、今後ますます加工業者からも期待されています。

おわりに

これから注目のさつまいもの品種を今回3つ紹介しましたが、まだまだ知られていない新品種はたくさんあります。地域によっては販売されていないこともありますが、もし新しい品種を見つけた時には、ぜひ手に取ってみましょう。家族や友達と色々な品種を食べ比べ、味や食感の違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。品種によって、焼き芋にしたり、スイーツにしたり、お料理にしたりと使い方も様々、自分好みの食べ方を見つけて、新しい品種にもどんどんチャレンジしてみて下さい。さつまいもの楽しみ方が広がるでしょう。