さつまいもの新品種で注目される可能性が高いさつまいも品種3選

焼き芋ブームの高まりとともに、さつまいもの品種も進化を続け、新しい品種が次々と登場しています。しかし、「どんな新品種があるのか?」「従来の品種とどう違うのか?」と気になる人も多いのではないでしょうか。今回は、今後注目されるさつまいもの新品種を3つ紹介。それぞれの特徴や味わい、適した食べ方を詳しく解説します。例えば、紫さつまいもならではの鮮やかな色合いと甘さが魅力の「ふくむらさき」、収穫直後から甘みを感じられる夏向きの「あまはづき」、ホクホク感と貯蔵性の高さを兼ね備えた「ひめあずま」など、どれも個性豊か。

この記事を読めば、新しい品種の魅力がわかるだけでなく、好みに合ったさつまいもを選ぶ楽しみも広がります。定番の紅はるかや安納芋とは違った味わいや食感を知ることで、さつまいもの可能性をさらに感じられるはずです。焼き芋やスイーツ、料理など、食べ方の幅も広がる新品種をぜひチェックしてみてください。

さつまいもの新品種と注目の品種とは?

今後話題になりそうなさつまいも品種をピックアップし、それぞれの特徴や魅力を詳しく紹介していきます。新しい品種に興味がある方や、さつまいも好きの方は、ぜひチェックしてみてください。

甘くてホクホクした食感が魅力のさつまいもは、昔から多くの人に親しまれている食材ですが、ここ数年でさらに注目を集めるようになり、焼き芋ブームやさつまいもを使ったスイーツの人気が定着しつつあります。特に焼き芋は専門店が増えたり、コンビニやスーパーでも手軽に購入できるようになったりと、身近な存在になりました。その人気はますます広がり、全国の生産者が集結する「さつまいも博」が開催されるほど、多くの人に愛される食材となっています。

和名では「甘藷(かんしょ)」と呼ばれ、英語では「sweet potato」として親しまれているさつまいもですが、その品種は非常に豊富。紫芋やニンジン芋なども含め、主要な品種だけでも60種類以上存在し、さらに現在も新品種の開発が続けられており、バリエーションはどんどん増えています。見た目の色や形、味、食感も多種多様で、それぞれの特性に合わせた使い方ができるのも魅力のひとつです。用途も幅広く、生で販売される青果用のほか、いも焼酎の原料やでん粉の原料、さらには加工食品用としても活用されています。焼き芋用のしっとり甘い品種、スイーツ向けのねっとり系品種、料理に向いたホクホク系品種など、それぞれに適した使い方があり、好みや用途に合わせて選ぶ楽しみも広がります。

安納芋やシルクスイート、紅はるかといった定番の人気品種は、スーパーでもよく見かけることが多く、すでに多くの人に親しまれていますが、それだけではありません。新品種の開発が進むなか、これから注目を集めそうな品種も次々と登場しており、今後のさつまいも市場はさらに盛り上がっていくことが予想されます。ここでは、今後話題になりそうな品種をピックアップし、それぞれの特徴や魅力を詳しく紹介していきます。新しい品種に興味がある方や、さつまいも好きの方は、ぜひチェックしてみてください。

ふくむさらき

ふくむらさきは、食味の良さに定評のある「九系255」と「パープルスイートロード」を交配させることで生まれ、従来の紫さつまいもよりも総合的な評価が高くなっています。特に、焼き芋や蒸しいもにしたときの甘みが際立ち、「紅はるか」と同等の糖度に達するため、しっとりとした食感とともに満足感のある味わいを楽しめます。

まず紹介したい品種は、「ふくむらさき」。現在、紫さつまいもの代表的な品種として広く普及しているのは「パープルスイートロード」ですが、食味の評価があまり高くないという課題がありました。そこで、より風味が良く、鮮やかな紫色が特徴的な新品種として誕生したのが「ふくむらさき」です。この品種は、食味の良さに定評のある「九系255」と「パープルスイートロード」を交配させることで生まれ、従来の紫さつまいもよりも総合的な評価が高くなっています。特に、焼き芋や蒸しいもにしたときの甘みが際立ち、「紅はるか」と同等の糖度に達するため、しっとりとした食感とともに満足感のある味わいを楽しめます。しっとり系の紫さつまいもは珍しく、ホクホク感が強い従来の品種とは異なる、新たな選択肢として注目されています。

「ふくむらさき」という名前には、この紫さつまいもを食べた人が幸福な気持ちになれるように、という願いが込められています。その名の通り、焼き芋にすると中まで鮮やかな紫色が広がり、見た目の美しさにも驚かされます。紫さつまいも特有のポリフェノール(アントシアニン)も豊富に含まれており、甘みだけでなく栄養価の高さも魅力のひとつです。

ただし、「ふくむらさき」はサイズがやや小ぶりで、収量が標準品種より少ないため、生育期間を十分に確保する必要があります。早掘りを避け、じっくりと成長させることで、甘さや食感がより引き出されるため、適切なタイミングでの収穫が重要になります。流通量はまだそれほど多くありませんが、青果用さつまいも産地では、紫さつまいもの中でも特に食味の良い新品種として注目され始めています。今まで紫さつまいもはホクホクしすぎていてあまり好みではなかったという人も、一度焼き芋や蒸しいもにして試してみると、そのしっとり感と甘さに驚かされるかもしれません。色鮮やかな紫色が美しく、程よい甘さが口の中に広がり、まさに名前の通り幸福な気持ちになれる一品。これからさらに市場での流通が増えることが期待される「ふくむらさき」、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

あまはづき

引用:農研機構(研究成果)8月の収穫直後から甘いサツマイモ新品種「あまはずき」より

次に紹介したい品種は、「あまはづき」。この品種の最大の特徴は、貯蔵せずとも収穫直後から糖度が高く、甘みを十分に感じられること。さつまいもは通常、収穫後に一定期間貯蔵することででんぷんが糖へと変化し、甘さが増していきます。しかし、「あまはづき」は特別な性質を持っており、低温でもでんぷんが糖に変わりやすい「低温糊化性でん粉」を含んでいるため、熟成を待たずともすぐに甘みが引き出されるのが特徴です。

さつまいものおいしさには、貯蔵という過程が欠かせません。一般的なさつまいもは収穫直後の状態ではでんぷん質が多く、パサパサとした食感で、甘みも十分に感じられません。そのため、一定期間寝かせることで糖度を高め、しっとりとした食感を引き出します。特に、紅はるかや安納芋、シルクスイートといった人気のねっとり系さつまいもは、収穫後すぐに出荷されることは少なく、9月下旬以降の出荷が一般的。農家によっては、さらに長く貯蔵し、甘みをしっかり引き出してから市場に出すこともあります。

そんな中、収穫直後から甘い焼き芋を楽しめる品種として開発されたのが「あまはづき」。通常なら熟成期間が必要なさつまいもですが、この品種なら8月の収穫直後から、焼き芋にしても十分に甘く、しっとりした食感が味わえます。さつまいもは秋の味覚というイメージが強いですが、「あまはづき」の登場により、夏の時期から焼き芋を楽しめるようになり、甘くておいしいさつまいもの供給期間が大幅に早まりました。秋の到来を待たずに、夏から味わえるさつまいもとして注目されている「あまはづき」。これまで焼き芋は秋や冬に楽しむものと考えていた人も、暑い季節にこそこの品種を試してみるのも面白いかもしれません。冷やし焼き芋やスイーツにアレンジしてもおいしく、夏ならではの新しい楽しみ方が広がります。さつまいもの季節を先取りしたい人は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

ひめあずま

引用:農研機構(研究成果) ホクホク食感のおいしいサツマイモ新品種「ひめあずま」より

最後に紹介したい品種は、「ひめあずま」。この品種は、「紅あずま」の後継品種として開発されたもので、ホクホクとした食感が特徴的なさつまいも。近年は「紅はるか」などのねっとり系品種の人気が高まっていますが、昔ながらのホクホク系さつまいもを好む人も多く、特に菓子加工用として「紅あずま」は広く使われていました。しかし、「紅はるか」のほうが生産しやすいこともあり、「紅あずま」の作付面積が減少。これにより、加工業界からは「原料確保が難しくなっている」という声が上がるようになりました。

そこで、「紅あずま」の良さを活かしながら、欠点とされていた点を改良して生まれたのが「ひめあずま」。従来の「紅あずま」は外皮がゴツゴツしており、見た目の統一感が出にくいことや、貯蔵性があまり良くないために旬の時期が短いことが課題でした。「ひめあずま」は、それらの弱点を克服するために開発された品種で、形状が整いやすく、病害虫にも強く、貯蔵性にも優れています。農研機構の発表によると、「ひめあずま」は、病害虫に耐性を持ち貯蔵性の良い「作系25」と、形や大きさの揃いが良い「すずほっくり」を掛け合わせて誕生した品種。つまり、「紅あずま」の特徴を受け継ぎつつ、より栽培しやすく、加工用途にも適した品種として改良が施されたものです。

ホクホク系のさつまいもは、芋ようかんや大学芋といった菓子類に加工する際に適しており、その肉質の特徴が重要視されます。「ひめあずま」は、そのホクホク食感をしっかりと活かしつつ、貯蔵性にも優れているため、加工業者からも高い評価を受けており、今後さらに需要が高まることが期待されています。

「紅あずま」になじみのある人や、ホクホク系のさつまいもが好きな人にとって、新たな選択肢となる「ひめあずま」。焼き芋にして楽しむのはもちろん、天ぷらやスイートポテトなど、幅広い料理やスイーツにも活用しやすく、これから注目される品種のひとつとなりそうです。従来のホクホク系さつまいもが少なくなってきている中で、「ひめあずま」の存在が貴重になっていくかもしれません。今後の流通が広がるのが楽しみな品種です。

まとめ

これから注目されるさつまいもの品種として、今回3つを紹介しましたが、まだまだ知られていない新品種は全国各地にたくさんあります。生産地や流通の関係で、地域によっては販売されていないこともありますが、もし市場やスーパーで珍しい品種を見つけたら、ぜひ手に取ってみるのがおすすめ。

これから注目されるさつまいもの品種として、今回3つを紹介しましたが、まだまだ知られていない新品種は全国各地にたくさんあります。生産地や流通の関係で、地域によっては販売されていないこともありますが、もし市場やスーパーで珍しい品種を見つけたら、ぜひ手に取ってみるのがおすすめ。品種ごとの違いを知ることで、さつまいもの奥深い魅力をさらに楽しめるはずです。家族や友達と一緒にさつまいもを食べ比べ、味や食感の違いを楽しむのも面白い方法のひとつ。ホクホク系のもの、ねっとり系のもの、甘さが強いものやあっさりしたものなど、それぞれに個性があり、調理法によっても印象が変わります。シンプルに焼き芋にするのはもちろん、スイーツにアレンジしたり、料理の食材として活用したりと、品種ごとに適した使い方を見つけるのも楽しいポイント。

また、同じ品種でも、収穫時期や熟成の度合いによって味わいや甘さが変わるため、時期を変えて試してみるのもおすすめ。例えば、ホクホクした食感の品種をスイートポテトや大学芋に使ったり、しっとり系のものをケーキやタルトにしたりすると、より素材の良さが引き立ちます。天ぷらやグラタンなど、料理に取り入れるのも新しい楽しみ方のひとつ。さつまいもは、焼くだけでおいしく食べられる手軽さが魅力ですが、品種ごとに異なる特徴を知ることで、さらに楽しみの幅が広がります。これからも新しい品種が続々と登場することが予想されるので、見かけたら積極的に試してみて、自分にぴったりの一品を見つけてみてはいかがでしょうか。新しい味に出会うたびに、さつまいもの魅力を再発見できるはずです。