「さつまいもで作る焼き芋は甘いけれど、もっと甘くなる方法はないか??」と考えたことはありませんか?その答えは「保存・貯蔵」にあります。実はさつまいもは、適切に保存・貯蔵することでデンプンが糖へと変化し、驚くほど甘みが増します。特に紅はるかなどのねっとり系品種は、1~2ヶ月貯蔵するだけで、しっとり濃厚な甘さになります。重要なのは「土付きのさつまいも」を選び、自宅の冷暗所に置くだけという手軽さです。特別な道具や手間は必要なく、放置するだけでびっくりするくらい甘い焼き芋が楽しめます。本記事では、保存・貯蔵によってさつまいもがどう変わるのか、その根拠と具体的な方法を詳しく解説しています。と言いますか?実際にスーパーで買った土付きの紅はるかを自宅の冷暗所で2ヶ月保存・貯蔵している体験記事です。読み終わる頃には、すぐにでも自宅でさつまいもを保存・貯蔵を試してみたくなるはずです。
自宅で作る焼き芋。今まで焼き方を研究
五島商店佐藤の芋屋メディアでは焼き芋を過去…何十回と焼いてきました。新しい焼き方があればその手法を取り入れ、画像付き記事で紹介してきました。またSNSで人気の焼き芋の作り方があれば、その手法を取り入れ、オリジナル性を追加して焼き芋の焼き方としてこちらも画像付きで記事で紹介しています。焼き芋には色々な焼き方があります。例えば「石焼き芋」。石焼き芋を作るには、まず洗った小石をフライパンや鍋に敷き詰め、中火で加熱します。さつまいもはよく洗い、アルミホイルで包みます。温まった石の上にさつまいもを置き、蓋をして、今度は弱火でじっくり焼きます。途中でさつまいもを返しながら、1~2時間ほどかけて均等に火が通るようにします。石の遠赤外線効果で、さつまいもが甘くねっとりとした食感に仕上がります。香ばしい香りが漂い始めたら完成。後は、壺焼き…これはなかなか家庭では出来ないかもしれませんが、壺焼き芋を作るには、壺の中に炭火を起こし、底に金網や台を置いてさつまいもを立てかけるように並べます。壺内の炭火は弱火を保ち、遠赤外線効果でじっくりと焼き上げます。定期的に芋の向きを変え、全体に均等に火を通します。ここは石焼き芋と同じです。1~2時間ほどで完成。と色々な焼き方があります。因みに最近、人気の記事は
安納芋をアルミホイルで包みます。ポイントは、ぐるぐるに巻くのではなくアルミホイルは安納芋を一回りするくらいにしてください。安納芋を並べた鉄板の下にもう一枚鉄板を入れます。ご家庭だと耐熱皿の下に大きめの耐熱皿を敷くという感じになります。この下の皿には、水を入れます。量は皿から水が溢れない程度にしてください。この状態で160℃のオーブンへ。90分入れます。ご自宅のオーブンがスチームコンベクションオーブンの場合は、スチームを入れて160℃で90分、オーブンへ入れます。
ねっとり系さつまいもの代表格「安納芋」を湯煎焼き(スチームコンベクション)にすると蜜がたっぷりとアルミホイルから滲み出て来る焼き芋の焼き方です。今まで自宅で出来る焼き芋は、焼き方を徹底的に追いかけてきました。温度は何度が良いとか?時間はどれくらいが良いかとか…。焼き芋は奥が深いので「これが完成版の焼き方」というのはなかなか辿り着かないのですが、今回は、焼き芋を焼く前に焦点を少し動かしてみました。要するにスーパーで土付きさつまいもを買って、自宅で貯蔵をしてから焼き芋を焼いてみました。
スーパーで買ったさつまいもを保存・貯蔵してみた
10月22日に公開した「スーパーで買った紅はるかで蜜が溢れるねっとり焼き芋の作り方」で買った紅はるか。因みにその時の記事はこちらです。
紅はるかは、近所のスーパーでも手軽に入手ができるさつまいもです。その為、焼き芋を作るのに道の駅やお取り寄せ通販等を利用しないで良いのが気軽に、思い立ったが吉日ということですぐに焼き芋を作れるというのが最大のメリットかもしれません。今まで色々と焼き芋を作ってきたこともあり、泥付き、土付きのさつまいものほうが泥、土がさつまいもをコーティングして保存に向くということも学習済みですので泥、土付きの紅はるかを探してみました。(土や泥が付いていなくても長期間保存しないのであれば別段問題ありません)泥、土付き紅はるかを入手が簡単に出来たので…いよいよ、焼き芋作りをしてみます。
紅はるかは保存・貯蔵に向いている?
貯蔵するさつまいもの品種は、紅はるかです。紅はるかは貯蔵に非常に向いている品種で、収穫直後よりも貯蔵することで甘みが増し、しっとりとした食感が引き立つ特徴があります。適切な環境で1~2カ月(長い場合は3カ月以上)ほど貯蔵するとさつまいものでん粉が糖にかわり、ねっとりした食感が更に増し、甘さも濃厚になるとのことでした。適切な場所というのが気になりますが…家庭ではこれが限界の場所ではないかと思います。貯蔵に向いているねっとり系さつまいも品種なので貯蔵を開始した直後から焼き芋にした際、どこまで変わるのか?を物凄く楽しみにしていました。
さつまいもを保存・貯蔵するメリットとは?
さつまいもを貯蔵するメリットは、主に甘みが増すこととさつまいも自体の品質が安定することです。さつまいもは収穫直後ではデンプンが多く、甘みが控えめですが、貯蔵することでデンプンが分解されて糖分に変わり、甘さが引き立ちます。さつまいも品種によっては糖度が数倍に上がることもあります。紅はるかや安納芋、シルクスイートなど、甘みやしっとり、ねっとり感が特徴のさつまいも品種は貯蔵による味の向上が見込めます。また、貯蔵することで水分が適度に抜け、ねっとり感がより引き立つ食感になります。さつまいものポテンシャルを最大限引き出すには貯蔵なのかもしれません。因みにスーパー等の店頭に並ぶさつまいもは、最低でも1~2週間程度は貯蔵しているものがほとんどです。
実際に紅はるかを保存・貯蔵してみました
冒頭で説明をしました過去に公開した記事の時に購入した紅はるかを自宅で貯蔵してみました。以前、「農業法人直伝!さつまいもの保存方法は?長持ちさせるさつまいもの保存・保管方法」の記事でも紹介した通り、保存、保管、貯蔵で1番怖いのがさつまいもが腐ってしまうことです。そこは、この記事の通り、「土付きのさつまいもを選ぶ」、「10℃以下になるとさつまいもは腐る」、「光を浴びると芽がでてしまう」が重要ポイントとしてありました。そして「15℃前後で保管、保存、貯蔵するとベスト」とのことでした。しかし、貯蔵を始めたのは10月下旬。残暑も厳しく、11月になっても夏日があった今年。10℃以下になることは無いので、まずはここはクリアでした。
土付きさつまいもを選ぶというのも最初から土付きさつまいもを購入していたのでここも問題無くクリア。後は光を遮る為にしたことは、1本、1本新聞紙でさつまいもを巻いて、冷暗所に置くくらいです。冷暗所と言ってもさつまいも農家や焼き芋専門店ではなく、一般家庭ですので小さな荷物置き場くらいしかありません。比較的温度も一定で電気をつけないと真っ暗な場所ですので…。しかし、貯蔵を始めたのが10月下旬。そして11月、12月でしたので10月下旬は暗いけど涼しくはない場所になっていました。何か良い方法は無いかと思い、冷蔵庫の野菜室というのも思い浮かびましたが冷蔵庫の野菜室は絶対ダメ、10℃以下になるからと書いてありましたので、蒸し暑い暗い場所(小さな荷物置き場)で貯蔵をスタートさせました。湿度という点では合格に近い場所だったかもしれません。
保存・貯蔵した焼き芋を焼いてみた
10月下旬から12月10日まで自宅の冷暗所…小さな荷物置き場で貯蔵をしたさつまいも(紅はるか)を出してきて、焼き芋にしてみました。しかし、貯蔵をしたといっても何か特別なことを行ったか?と言われれば何も行っていません。貯蔵をスタートする時は、温度や湿度、日光が入るのか?入らないのか?を色々と調べたり、家の中で最適な場所を探したりしましたが、実際、貯蔵を開始するとさつまいもを貯蔵していることすら忘れるくらい…何もしていませんでした。貯蔵する時は、凄い焼き芋になったらどうなる?と期待たっぷりでしたが、実際に貯蔵すると何もしていなかった為、焼き芋にして大丈夫だろうか?という不安ばかりが先立つ感じになっています。
実際に紅はるかを焼き芋にした方法は、以前よりこの方法が1番と書いていた方法で行いました。紅はるかの両端を大きめにカットし、30分程度、水と少量の塩を入れたボウルの中に入れ、アク抜きをしてから焼き芋専用のアルミホイルを巻いてオーブンの鉄板の下にもう一枚、大きめの鉄板を入れ、その中に水を入れて160℃で90分、湯煎焼き状態で焼きます。
スチームオーブンがある場合は、スチームを入れながら160℃で90分焼きます。その後、オーブンの電源を落として、オーブンの予熱が残った状態で、60分放置します。安納芋のように小さいサイズの場合は30分で良いと思いますが、紅はるかの場合、少し大きめサイズでしたので時間を30分から60分に変更しました。予熱が残っているオーブンは、どんどん温度が下がっていき、60分経過するころには、熱はあまり感じられない状態になっていました。この方法で焼いた焼き芋はこんな状態です。
まずは、黒いアルミホイルを開封~。ん??これどこかで見たようなさつまいもの皮がしわしわになるくらい蜜が出ています。手で触ってみるとベトベトしていて、手で食べるよりスプーンで食べた方が良いのかもと思うレベルのねっとりしっとり感です。
もう一つの黒いアルミホイルを開けて…ん??こんなアルミホイルを巻いている最初の部分にも蜜がべっとりと付いています。
開けてみれば、こちらも蜜で皮がしなしなになっている状態で蜜に熱があるので熱くて持ち上げられないレベルでした。
手で触れるくらい少し焼き芋を冷ましてから手で持つと、さつまいも、焼き芋自体がかなり柔らかくなっているので指の後が残ってしまうくらいになってしまいます。めちゃめちゃ柔らかい!!!過去、色々な焼き方で焼き芋を作ってきましたが、ここまで柔らかい焼き芋は初めてかもしれません。さつまいもを保存・貯蔵したからなのか?ここまで蜜が出て柔らかくなっている事に驚きました!焼き芋を二つに割る…割ろうとしても柔ら過ぎて上手に二つに割れない…ぐしゃっとなってしまいます。そんな感じで二つに割ったのがこちら。
画像からもお分かりの通り、蜜が果肉にまわっているので、しっとりしているのが分かりますよね?口に入れると、甘~~~~い!今までの焼き芋とは全く別物の焼き芋になっています。正直、焼き芋ってここまで甘くなるの!?と思うレベルの甘さです。焼き芋の皮も蜜がまわっているので、皮!?という感じがまったくしなく、もはや焼き芋の果肉の一部?という感じで皮のまま、食べれてしまいます。
もう一度、書きますが、こんなに甘い焼き芋、自宅で2ヶ月保存、貯蔵しただけで出来るならやるべきではないかと思いますし、同じ値段で1ヶ月、2ヶ月保存・貯蔵するだけでここまで甘くなる!?これはオススメです。ここで保存・貯蔵と書いてますが、自宅で小さな荷物置き場(冷暗所)を探して最初だけ温度、湿度、日光があたる?あたらない?を入念に調べただけで後は、さつまいもを保存・貯蔵していたことを忘れてしまうくらい放置していただけなのですけどね…プロが温度、湿度を一定に保って保存・貯蔵したものは、更に味がよくなると思いますが、こんな冷暗所に放置していただけでここまで味が変わるという事が分かっただけでも良かったです。さつまいも、焼き芋の美味しさは保存・貯蔵により大きく変わります。奥が深い世界なのかもしれません。
結論!出来る事ならスーパーで買ったさつまいもは保存・貯蔵すべし
土付きのさつまいもなら自宅で保存・貯蔵をおすすめします。さつまいものねっとり系品種の代表格である紅はるかは、普通にスーパーや道の駅等で買ってそのまま焼き芋にしても抜群に甘く、ねっとりした食感が味わえます。しかし、土付きであれば、自宅の冷暗所を探して保存・貯蔵をすると今まで食べたことのある紅はるかと全く違う紅はるかの甘さやねっとりとした状態の紅はるかの焼き芋が食べられます。焼き芋としての焼き方もありますが、今回、焼いた方法では160℃で90分、鉄板を2枚入れ、下の鉄板には水を入れ、上の鉄板で焼き芋専用のアルミホイルを巻いて焼き(湯煎焼き)、その後、オーブンの電源を切って60分、オーブンの中に放置する焼き方でした。
焼き終わった状態で熱に注意しながら焼き芋を触ると、言葉は良くないですがぶよぶよとした今まで焼き芋で感じたことがない質感を感じることが出来ます。食べて見ても紅はるかの想像している甘さをはるかに越える甘さとねっとり、しっとりとした食感がより一層感じることができる焼き芋になっていました。さつまいもを保存・貯蔵と書いてますが。実際には自宅の冷暗所(小さな荷物置き場)を探して最初だけ温度、湿度、日光が当たるか?どうか?を注意しただけであとはこの記事で書いている通り、放置…忘れるくらいでした。そのような状況でもこのような焼き芋になるのであれば土付き(洗ってあるさつまいもは保存・貯蔵には向かない)のさつまいもであれば間違いなく自宅の冷暗所で保存・保管をおすすめします。10月下旬から保存・貯蔵をしたのでまだ夏日がある頃でしたが、保存・貯蔵のスタートを11月下旬や12月からスタートすれば室内の冷暗所であれば温度、湿度を気にすることなく2月には凄いさつまいもになっているはずです。その焼き芋は、格別な味になっているはずですよ。