ねっとり系さつまいもの代表格「紅はるか」はどんなさつまいも?紅はるかの特徴や紅はるかの生産地、紅はるかの産地毎のブランドを調べてみた!紅はるかは作りやすい品種?

「紅はるか」は、しっとりとした食感と強い甘みが特徴のさつまいもの品種です。2010年に品種登録された比較的新しい品種ですが、その美味しさから、安納芋に並ぶ人気となっています。今回は、「紅はるか」の特徴や主な産地などについて紹介します。

紅はるかとは?

「紅はるか(農林64号)」は、九州沖縄農業研究センターが、外観が優れる「九州121号」と、皮色や食味が優れている「春こがね」を交配育成した品種で、2010(平成22)年に品種登録された、比較的新しいさつまいもの品種です。

「紅はるか」という名前は、既存の他の品種より食味や外観が「はるか」に優れていることからつけられました。正式な名称はひらがなで「べにはるか」ですが、スーパーや青果店の店頭では一般的に「紅はるか」と表記されています。

紅はるかの特徴

「紅はるか」は、食味・いもの形・収量性・病害虫抵抗性のバランスに優れた、食用のさつまいもです。

蒸しいもの糖度は、西の「高系14号」と言われるように西日本で多く栽培されている「高系14号」より高く、甘みが強く、食味が良いのが最大の特徴です。いもの皮色は赤紫色、肉色は黄白色で、外観は「高系14号」より優れていて、形状や大きさが揃っています。

収量性は「高系14号」と同じ程度か、やや多収です。サツマイモネコブセンチュウに対する抵抗性は強く、立枯病に対しても中程度の抵抗性があります。鹿児島県の青果用さつまいもの奨励品種に採用されていて、大分県や宮崎県、茨城県、千葉県などでも広く栽培されています。

紅はるかの主な生産地とブランド

「紅はるか」は、その食味の良さから安納芋と並ぶ人気となり、九州の鹿児島県や大分県、宮崎県、関東の茨城県や千葉県などさつまいもの産地を中心に栽培が拡大していて、各地でブランド化が進められています。各地の紅はるかのブランドを紹介します。

大分県の「甘太くん」

「甘太くん」は、大分県産の紅はるかを収穫後に温度や湿度が管理された貯蔵庫で、40日以上貯蔵することで、甘みを増した「JA全農おおいた」のブランドです。品質を均一化するため、育成するのは大分県が培養したウイルスフリー苗だけです。ウイルスフリー苗とは、生育に悪影響を与えるウイルスに感染していない苗のことで、成長が良く、均一な形状の紅はるかが育ちやすい特徴があります。

貯蔵が終わると糖度チェックを行い、品質チェックが行われた畑から収穫され、「JA全農おおいた」を通じて販売する紅はるかだけが、「甘太くん」を名乗ることができます。

宮崎県の「葵はるか」

「葵はるか」は、宮崎県串間市にある「くしまアオイファーム」が販売している紅はるかのブランド名です。慣行栽培の50%以下に農薬の使用を抑えた減農薬栽培で、自然なおいしさを追及しています。収穫後は、適切な温度や湿度の環境で数か月間貯蔵熟成することで、高い糖度と蜜のような味わいになります。

茨城県の「紅天使」

「紅天使」は、茨城県のさつまいも専門の加工会社「カルビーかいつかスイートポテト」が販売している紅はるかのブランドで、2011(平成23)年に商標登録されています。「カルビーかいつかスイートポテト」のホームページには、皮色は赤紫色で外観に優れ、掘り取り直後でも甘味があり、滑らかな舌触りと特徴が説明されています。

茨城県の「紅優甘」

「紅優甘」は、「JAなめがたしおさい」の甘藷(さつまいも)部会が生産した紅はるかで、独自に商標登録したブランドです。甘さが特に優れていることから「紅優甘」と名づけられました。しっとりとした食感と濃厚な甘さが特徴で、焼き芋にするとドリップが出るほど甘くなります。

新潟県の「いもジェンヌ」

「いもジェンヌ」は、「JA新潟かがやき」が商標登録した紅はるかのブランド名です。水はけのよい新潟市西区の砂丘地で収穫した「紅はるか」を、温度や湿度を一定に管理した貯蔵庫で、1ヶ月ほど貯蔵して追熟させます。追熟によって、糖化が進んで濃厚な甘味になります。女性を思わせるような上品で優雅な味わいから「いもジェンヌ」と名づけられました。

紅はるかの収穫時期

九州から関東と広い範囲で栽培される人気品種の「紅はるか」は、地域によって収穫時期が異なります。九州など南の地域では10月頃から収穫が始まり、関東では11月初旬あたりに収穫されます。糖度が増して美味しくなるのは、収穫後2〜3週間経ってからなので、食べ頃は11月から翌年1月になってからです。それ以降も、温度管理されたものが市場に出荷されます。

まとめ

「紅はるか」は、九州沖縄農業研究センターが交配育成したさつまいもで、2010年に品種登録された比較的新しい品種です。しっとりとした食感と強い甘みが特徴で、その美味しさから、鹿児島県、大分県、宮崎県、茨城県や千葉県などでも栽培が拡大しています。特に焼き芋で食べると、蜜が入ったような甘さが味わえます。