好きなお弁当のおかずは?何?
「好きなお弁当のおかずは何ですか?」とは昔からよくある定番の質問ですが、この回答も令和になっても昔からあまり変わらず「唐揚げ」「卵焼き」「ウインナー」といった定番の回答が並びます。不動の人気を誇るだけにどれも勿論美味しく、市販のお弁当にも必ずといっても良いほど入っているおかずなのですが、残念なことに現代の食生活で不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素はあまり含まれていないものばかりでもあります。それどころか、人気のおかずばかりのお弁当は糖質、脂質を取り過ぎてしまうことも少なくありません。振り返ってみると、ご自身のお弁当はどうでしょうか?体に必要な栄養素が補えるメニューは含まれていますか?
ビタミン、ミネラル、食物繊維は主に野菜や果物に多く含まれています。そもそもお弁当はこれらを摂取することが難しい傾向にあるものです。なぜなら、作ってからある程度の時間が経過してから食べること、持ち運びに適したおかずである必要があるからです。野菜の定番の調理法である炒め物のように出来立てが命のようなおかずは、時間と共に色や食感が劣ってしまいます。特に葉野菜は時間が経つと水っぽくなってしまう食材も多いので、加熱するものは食材が限られてきます。冷たいものも、サラダを筆頭に生野菜はシャキシャキ感が失われ、褐色化しがちです。また、野菜を沢山摂取しやすい汁物も通常の弁当箱では持ち運びが難しく、酢の物のような水気が多いものも液だれや他のおかずへの味移りの面からお弁当には不向きです。
こうなると先の回答のようなおかずはこういった懸念点も無いので、市販のお弁当がこのようなおかずで埋め尽くされることも頷けます。
しかし、昼食こそ1日の活動を支える源です。糖質や脂質からエネルギー源は摂取できていても、ビタミンが不足していると、眠気やだるさが生じやすくなり、午後の活動が鈍くなる恐れがあります。健康や美容の面からもビタミン、ミネラル、食物繊維の不足が続くと決して良いとは言えません。
さつまいもを有効活用
そこで大活躍する食材がさつまいもです。さつまいもは準完全栄養食品と言われるほど多くの栄養素を含んでいます。そして、さつまいもの性質はお弁当にもぴったりなのです。さつまいもは水分の含有量が低いので、先ほどお弁当では美味しく保つことが難しいとお話ししたような炒め物や和え物などにしても水気が滲む心配がありません。汁気を煮切った煮物にもよく合い、甘みのある煮物はお弁当のアクセントにもなります。お弁当では人気の揚げ物にしても風味が劣りにくく、水分が出にくいので食感も失われにくいです。お弁当にさつまいもを使うと聞けば、ふかし芋を添えるか大学芋ぐらいでは?と思う方、そんなことはありません。さつまいもはふかし芋や焼き芋のイメージから原型に近い食べ方を想定されやすいのですが、様々な料理に適しています。お弁当の中にさつまいもの優しい甘みがあると、ほっこりした気分になれますよ。
さつまいものカレーきんぴら
〈材料〉
- さつまいも・・・80g
- 長ねぎ・・・20g
- ごま油・・・小さじ1
- しょうゆ・・・小さじ2
- 砂糖・・・小さじ1
- みりん・・・小さじ1
- 酒・・・小さじ1
- カレー粉・・・小さじ1/4
〈作り方〉
- さつまいもは皮付きのまま太めの千切りにして5分程度水にさらす。
- 長ねぎは斜め薄切りにする。
- さつまいもの水気を切り、耐熱容器に入れて、上からふんわりとラップをかける。500Wの電子レンジに2分かける。
- フライパンにごま油を熱し、1、2を入れて炒める。しんなりとしてきたらカレー粉を加える。全体に行き渡ったら、しょうゆ、砂糖、みりん、酒を入れて汁気が無くなるまで炒める。
きんぴらといえばごぼうが定番ですが、さつまいもを使っても美味しいです。普通のきんぴらでも良いですが、アクセントにカレー粉を使いました。実はさつまいもはカレーや山椒といった辛みのある味付けもよく合います。じゃがいもではカレーライスは勿論のこと、ジャーマンポテトでもカレー風味のものがよくありますが、さつまいもは意外ですよね。しかし、さつまいもはじゃがいもに比べて血糖値も上がりにくく、栄養価にも優れています。カレーライスにも合うので、次に作る際にはさつまいもカレーにトライしてみていただきたいです。じゃがいもより煮崩れしにくい点も嬉しいところです。
じゃがいもの料理はお弁当にもよく見られますが、じゃがいもではなく、さつまいもに置き換えるだけで食物繊維もぐんとアップします。メニューいまよったらまずはじゃがいもからさつまいもへの置き換えメニューをお勧めします。
健康的なお弁当を作ろう
健康的なお弁当を作ろうと思うと難しそうに感じますが、いつものお弁当にさつまいものおかずをプラスするだけなら出来そうな気がしませんか?それだけでも毎日続けていればきっと体調に変化が見られるはず。「さつまいもを意識的に食べるようになってから便秘が解消しました」という声は実際によく聞きます。さつまいもは日持ちも良いので、毎日使うにしてもストックしておきやすいので安心です。
『毎日プラスoneさつまいも』を続けられるようにするには、先ずはお弁当作りの時間を楽にすることが肝心です。さつまいもの良い点は冷凍保存も出来るところ。実は生のままでも冷凍しておくことが出来ます。休日に角切り、スティック状、輪切りと用途に合わせてまとめて切っておくと大変便利です。ここで注意しておきていただきたい点はアク抜きは冷凍前に行うことです。アクが残っていると調理後に変色してしまうことがあります。水にさらして、しっかり水気を切ってから、密閉容器に入れて冷凍して下さい。
次に大切なのは味のバリエーションを増やすことです。以前、主食をさつまいもに置き換えるダイエットをしていた方が途中から毎日ふかし芋を食べることに飽きてしまい苦戦している話を聞きました。それもそのはず。どんなに美味しくても毎日食べていたら飽きてくることと思います。さつまいもは味付けも、調理法も様々な変化をつけられる食材なので色々なメニューを織り交ぜてみましょう。
さつまいもとりんごの煮物
〈材料〉
- さつまいも・・・80g
- りんご・・・1/4個
- 水・・・180ml
- 砂糖・・大さじ1
- 塩・・・少々
〈作り方〉
- さつまいもは皮付きのまま2cm角に切り、5分程度水にさらす。
- りんごは皮付きのまま一口大の大きさに切る。
- 鍋にさつまいも、りんご、水、砂糖、塩を入れて火にかける。煮立ってきたら弱火に落とし、途中で全体を混ぜながら汁気が無くなるまで煮る。
朝のお弁当作りはスピード勝負!簡単に出来るものが一番ですよね。煮物は材料を切って、煮込み始めたら、後は基本ほったらかしで大丈夫なので心強い存在です。この煮物は使う調味料も最低限で、工程も最小限ですが美味しい一品が作れます。お弁当のみならず、普段のご飯の箸休めにも丁度良く、作り置きしておくと便利です。お弁当の中にさつまいもの皮の鮮やかな紫色が除くと彩も美しく仕上がります。紫色の野菜は少ないので重宝しますよ。
さつまいもの揚げないコロッケ
〈材料〉
- さつまいも・・・200g
- 玉ねぎ・・・60g
- 合い挽き肉・・・80g
- 砂糖・・・小さじ1
- しょうゆ・・・小さじ1
- みりん・・・小さじ1
- 酒・・・小さじ1
- サラダ油〈炒め用〉・・・小さじ1
- サラダ油〈揚げ焼き用〉・・・大さじ1
- 溶き卵、薄力粉、パン粉・・・適量
- 塩・・・少々
〈作り方〉
- さつまいもは1cm角に切り、水にさらす。5分程度したら水気を切って鍋に入れ、竹串が抵抗なく刺さる程度まで茹でる。
- 茹で湯を大さじ1程度残して除き、ゆすりながら強火にかけて粉ふき芋状にする。
- 熱いうちに塩少々を加えて下味をつけながら潰す。
- 玉ねぎはみじん切りにする。フライパンにサラダ油を熱し、弱火で玉ねぎが透き通るまでじっくり炒める。合い挽き肉を加え、火を強めて肉の色が変わるまで炒める。砂糖、しょうゆ、みりん、酒を加えて汁気が無くなるまで炒める。
- 3と4を合わせ、粗熱を冷ます。4等分にし、小判型に成型する。薄力粉、溶き卵、パン粉の順に付ける。
- クッキングシートを敷いた鉄板に5を乗せ、上からサラダ油をかける。250℃に熱したオーブンで5分程度、表面がキツネ色になるまで焼く。
お弁当に入れると喜ばれる揚げ物ですが、正直言ってしまうと忙しい朝に揚げ物って大変ですよね。そんな時にオススメしたい方法が「揚げた風焼き」です。衣をつけるところまでは同じなのですが、揚げ油で揚げるのではなく、油をかけてオーブンで焼きます。これなら揚げ油の処理知らず。何よりとってもヘルシーに仕上がります。コロッケの中身にすると、さつまいもの皮の色は目立ちにくいのですが、是非そのまま使いましょう!さつまいもは皮こそ栄養の宝庫です。そのまま食べるのは抵抗があるという方やお子様でも混ぜ込まれていれば気付かずに美味しく召し上がることが出来ます。時間に余裕のある日に、衣までつけて冷凍しておくと、朝はオーブンで焼くだけで済みます。毎日さつまいもが柔らかくなるまで加熱するのは大変と思うかもしれませんが、工夫次第で朝のお弁当作りはぐっと楽になりますよ!