安納芋とさつまいもは別物?違いや特徴、食べ方を解説

安納芋と普通のさつまいも、どちらが美味しいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?特に安納芋の魅力を知れば、その違いが明確になります。安納芋は濃厚な甘みとねっとりとした食感が特長で、「畑のスイーツ」とも呼ばれるほど。その甘さは普通のさつまいもよりも高く、口に含むとクリーミーな舌触りが楽しめます。さらに、安納芋は秋から冬にかけてが旬で、貯蔵し、追熟させることで糖度が増し、おいしさがさらに引き立ちます。果肉も普通のさつまいもとは異なり、オレンジがかった色と大きさも小ぶりなサイズも特徴的です。この記事を最後まで読めば、安納芋の魅力とその最適な食べ方、さらには他のさつまいもとの違いを理解でき、ブランドさつまいものひとつ安納芋に詳しくなるはずです。スーパーで販売しているさつまいもの中で、自分に最適、料理に最適なさつまいも選びの参考にしてみてください。

安納芋とは

安納芋とは?

そもそも、安納芋とはどんなさつまいもなのでしょうか?安納芋の最大の特長は、『畑のスイーツ』や『蜜いも』と称されるほどの濃厚な甘みと、水分が多くねっとりとした粘質性のある口当たりです。そのおいしさから、今やねっとり系さつまいもの代名詞と言われるほどの人気を誇る品種となっています。安納芋の旬の時期は10月~1月頃の秋から冬にかけてです。収穫時期は9~12月頃ですが、安納芋は、貯蔵し、追熟させることによってさらに糖度が増しておいしくなります。一般的にスーパーに並んでいる安納芋は、貯蔵し、追熟したものです。安納芋は、さつまいもスイーツとしても活躍するくらいオレンジ色が強く、加工すると糖度、食感に優れており、ロールケーキやチーズケーキ、シュークリームのクリームといった幅広い洋菓子の原材料としても使用されることが多いのも特徴のひとつです。

安納芋の歴史と産地

安納芋の歴史と産地

安納芋は、もともとさつまいもの生産地として300年以上の歴史を持つ種子島で栽培が始まりました。大戦後、戦地からの帰還兵が持ち帰った芋苗を種子島の安納地区で栽培したのが安納芋の始まりとされています。従来のさつまいもよりも遥かに甘い安納芋は、たちまちその人気に火がつき、平成10年度には「安納紅」や「安納こがね」が品種登録されました。現在は種子島やその周辺の島々で栽培が盛んに行われています。種子島やその周辺の島々は、ミネラル豊富な土壌を持ち、冬でも暖かい気候のため、秋から冬に旬を迎える安納芋の栽培に最適だと言われています。最近では、安納芋は種子島だけではなく、鹿児島県、宮崎県、長崎県をはじめ、千葉県、茨城県といったさつまいもの名産地でも栽培や収穫が行われています。また、長崎県五島列島では、有機栽培をした安納芋の産地としても知られています。

一般的なさつまいもとの違い

では、いわゆる普通のさつまいもと安納芋では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?最大の違いは、その甘みと食感です。安納芋は一般のさつまいもよりも2倍近く糖度が高く、濃厚な甘さが際立つ品種です。そして、一般的なさつまいもはホクホクとした食感が多いですが、安納芋はねっとりとして水分が多く、繊維質を感じにくいなめらかな食感となっています。

一般的なさつまいもと安納芋

安納芋と比較される品種としては、ねっとり系では「紅はるか」、しっとり系では「シルクスイート」が挙げられます。一般的なさつまいもと異なる点として、栽培方法が挙げられ、安納芋は経験の少ない農家には難しい品種かもしれません。また、安納芋は一般的なさつまいもよりも丸くて小ぶりな大きさのものが多く、果肉の色はオレンジがかった濃い色であることも特徴です。栄養面に関しては、さつまいもにはカリウムやビタミンA、食物繊維など健康に欠かせない成分が豊富に含まれており、それは普通のさつまいもも安納芋も同じですが、アンチエイジングに欠かせない抗酸化物質であるβカロテンは、安納芋の方が多く含んでいます。

安納芋の断面

時期や地域によって異なりますが、価格は安納芋の方が高価であることが多く、普通のさつまいもの1.5~2.5倍ほど高いと言われています。素朴な食味で、安価にさつまいもを楽しみたい方は普通のさつまいもを、追加でお金を払ってでもブランドさつまいものひとつでねっとりとした濃厚な甘みを楽しみたいという方は安納芋を選ぶと良いかもしれませんね。

安納芋のおすすめの食べ方

非の打ち所がない、さつまいもの王様である安納芋ですが、どのような食べ方がその魅力を最大限に引き出すことができるのでしょうか。

安納芋のおすすめの食べ方

一番のおすすめは、やはり「焼きいも」です。安納芋は生の状態でも糖度が16度程度と高く、時間をかけて焼くことで糖度が40度近くにもなるものもあります。さつまいもなどに含まれるでんぷんは、約60℃〜70℃の温度帯で最も糖(甘み)へ変化しやすくなるため、この温度帯を長時間保てるようじっくりと低温で焼き上げることが、焼きいもをおいしく焼き上げるポイントです。さらに、アルミホイルで包めば、よりしっとりとした口当たりに仕上げることができます。凝縮された甘みと皮のパリッと感を楽しみたい方は、よく洗ってからそのまま焼いてみてください。じっくりと時間をかけて焼き上げた安納芋の焼きいもは、蜜が滴るほどの糖度と、クリームのようになめらかな食感が相まって、まるで高級スイーツを食べているかのような感動の味わいです。安納芋を手に取った際は、まずは焼きいもをお試しいただくことを強くおすすめします。

安納芋の焼き芋

きっと今までの『焼きいも観』が180度、変わってしまうことでしょう。

安納芋の料理は炊き込みご飯と天ぷらがおすすめ

安納芋の炊き込みご飯

また、安納芋そのもののおいしさを活かした炊き込みごはんや、天ぷらなどもおすすめです。天ぷらは甘みを引き出すために、一度ゆっくりと蒸しあげたものを揚げると格別においしいですよ。これは、アグリ・コーポレーションの佐藤社長が、カタールへ行った際に現地の料理長にもオススメされた調理法です。

安納芋の天ぷら

さらに、なめらかな食感と上品な風味を活かして、ポタージュスープやスイートポテトなどにするのもおすすめです。安納芋そのもののおいしさはもちろん、他の食材とのマリアージュもぜひ楽しんでくださいね。

安納芋とさつまいもの違いまとめ

安納芋とさつまいもの違いまとめ

安納芋は、その濃厚な甘みとねっとりとした食感から「畑のスイーツ」とも称される特別なさつまいもです。秋から冬にかけて旬を迎え、貯蔵・追熟により糖度が増すため、一層の美味しさが楽しめます。オレンジ色の果肉と小ぶりな大きさも特徴であり、ロールケーキやチーズケーキなどの洋菓子にも広く使用されています。普通のさつまいもと比較すると、安納芋は約2倍の糖度を誇り、クリーミーな舌触りが魅力です。種子島をはじめとする九州各地で栽培され、特にミネラル豊富な土壌と温暖な気候が安納芋の栽培に適しています。普通のさつまいもと異なる栽培方法や、初心者には少し難しいとされる育て方も、安納芋の特別さを示しているのかもしれません。

安納芋のポテトサラダ

栄養価にも優れ、特に抗酸化物質であるβカロテンが豊富に含まれている点は健康面でも注目です。価格は通常のさつまいもよりも少々高価ですが、その価値は十分にあります。焼き芋としてじっくり低温で焼き上げると、蜜が滴るほどの甘さとクリームのような食感が楽しめ、蜜芋と呼ばれている理由もわかるはずです。安納芋は、炊き込みご飯や天ぷらとしても美味しく、天ぷらは、一度、蒸し上げてから揚げることで甘みが一層引き立ちます。安納芋の多彩な料理法や他のさつまいもとの違いを理解することで、より一層、安納芋の魅力を堪能できると思います。もう既にスーパーへ行ったらさつまいもコーナーを覗いてみようと思っていませんか?ぜひ、この記事を参考に、安納芋の美味しさを最大限に引き出す方法(焼き芋)や安納芋を使用した料理を試してみてください。