焼き芋の甘みと干し芋の濃縮された旨み、その二つを掛け合わせた「焼き干し芋」は、一度食べたら忘れられない美味しさです。しかし、お店で買うと値段が高く手が出しにくいことも。そこで、「自宅で焼き干し芋を作れるのか?」と思い、焼き干し芋作りに挑戦し、作り方のコツやポイントを徹底的にまとめました。重要なのは、焼き芋の甘みを引き出しつつ、天日干しでしっかり乾燥させること。簡単そうで実は奥が深いのです。天候や品種選び、干し方のポイントを押さえれば、驚くほど濃厚な甘さと香ばしさが生まれます。この記事を読めば、自宅でも高級感のある焼き干し芋作りに成功するはずです。手間ひまをかけた先に待っている、その極上の味をぜひ体験してください!
焼き干し芋の味
干し芋は干し芋でも道の駅「常総」で食べた焼き干し芋の味はもう一度食べたくなる味でした。と言っても焼き干し芋は、簡単に買える金額では無く…要するに、まあまあお高いわけです。手間も時間もかかっているので仕方が無いのですが…。ということは、自分で作れる?もしかして作れるかも?今まで数回と干し芋を自宅で作ってきたので、変な自信が沸いてきまして、自宅で焼き干し芋を作ってみる!ということになりました。普通に販売されている干し芋でもあの美味しさを自宅で再現するのは、なかなか難しい。それが高級品とされている焼き干し芋となると…果たして焼き干し芋は出来上がる?のだろうか?因みに、このような思い付きで作った「目指せ!船和の芋ようかん。どのレシピより再現度が高い!芋ようかんを自宅で作ってみた!」は、なかなかの出来で、本家(舟和)の芋羊羹の再現度が高い!と思っているのですが…。さすがにこの芋羊羹を完成するまでは下調べやさつまいもの品種を調べたりと色々と行ったわけですので、むしろ、自分で作るよりも舟和の芋羊羹を買ったほうが、早い!安い!となった可能性も捨てきれず…。今回は、そのような事にならないように、特に完成までの時間に注意し、自宅で焼き干し芋作りをしてみました。
干し芋とは?
干し芋(ほしいも)は、さつまいもを蒸してから乾燥させた、日本の伝統的な保存食です。最近では芸能人やインフルエンサーがナチュラルなおやつとして持ち歩いたりしていますが、ある一定の年齢層以上の方は、昔、食べ過ぎたのであまり好きではない(戦時中の保存食)と言われる方もいらっしゃいますが、さつまいもの自然な甘みをそのまま味わえることから、健康志向のおやつとして令和の今、人気です。干し芋は、砂糖や添加物を一切使用せず、素材本来の風味と栄養を凝縮させているというのが一番、分かりやすい特徴かもしれません。因みに一般的な干し芋の製法は、まず、さつまいもを丁寧に蒸して甘みを引き出し、その後、天日干しや乾燥機を使って水分を飛ばします。この過程によって、甘みがさらに濃縮され、ねっとりとした食感や適度な弾力と言いますか?硬さと言いますか?その食感が生まれます。干し芋には主に2つの種類があり、スライスして乾燥させた「平干し」と、さつまいもを丸ごと乾燥させた「丸干し」があります。平干しは一般的によく流通しており、食べやすいのが特徴です。一方、丸干しはしっかりとした食べ応えがあり、濃厚な味わいが楽しめますが、少し高めの価格になっていることが多いです。
干し芋の名産地としては、茨城県が有名です。茨城県は日本一の干し芋の生産量を誇り、甘みの強い品種である「玉豊(たまゆたか)」や「紅はるか」などがよく使われています。干し芋の旬の時期と言えば冬から春の時期でさつまいもの収穫が終わった後から干し芋の生産がピークになってきます。今回は、焼き干し芋ですので少しだけ焼き芋にも触れておきたいと思います。
焼き芋とは?
皆さんもよくご存じ焼き芋。今季は、何回、焼いたかな?〇〇の焼き芋は美味しくて何回、買ったかな?という方も多いはず。焼き芋は、さつまいもを皮付きのままじっくりと加熱し、甘みを最大限に引き出した、日本ではおなじみの国民的スイーツです。特に秋から冬にかけての季節になると、そのホクホクとした食感やねっとりとした甘みが恋しくなり、子供から大人まで幅広く愛されているというのも事実です。焼き芋は、加熱することでさつまいもの中に含まれるデンプンが糖に変わる「糖化」という現象が起こり、甘さが際立ちます。さつまいもの品種によって甘みや食感に違いがあり、ホクホクとした食感が楽しめる昔ながらの品種から、近年人気の「紅はるか」や「安納芋」のようなねっとりと濃厚な甘みが特徴の品種まで、好みに合わせて焼き芋を楽しむことが出来るというのが最大のメリットであり、美味しさかと思います。
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焼き芋の作り方は至ってシンプルですよね。さつまいもを洗い、アルミホイルや新聞紙で包んでオーブンや炭火、石焼きの釜などでじっくり時間をかけて焼き上げます。ただこれだけですが、焼き芋は奥が深く、この五島商店佐藤の芋屋メディアでも色々な焼き方に挑戦して、更に美味しく焼ける方法や手法を探しています。最近では、「焼き芋鍋」という焼き芋専用調理器具がめちゃめちゃ売れていたりと焼き芋文化も手軽なものからこだわった焼き芋を自宅で作れるといったように少しづつ変わってきているのかもしれません。
皆さんが良くご存じの二つの「干し芋」と「焼き芋」を紹介したのは、この二つ、全く違う美味しさを持っているものを一つにすることで焼き干し芋の美味しさが出るのではないかと思ったからです。因みに焼き干し芋はこんな感じです。
焼き干し芋とは?
道の駅常総で売っていた焼き干し芋を食べただけなので「これが正解」というわけではないですが、焼き干し芋は、焼き芋を作ってから干し芋に仕上げているのではないかと思います。一般的な干し芋は、さつまいもを蒸してから乾燥させるのに対し、焼き干し芋は一度焼き芋にすることで甘みを最大限に引き出してから乾燥させるため、香ばしさと濃厚な甘さが際立つのが特徴なのかもしれません。先程も焼き芋で説明しましたが、焼き芋にすることで、さつまいもに含まれるデンプンが糖化し、蜜のような甘みが生まれます。この状態の焼き芋をさらに干すことで、余分な水分が抜けて甘さが凝縮され、ねっとりとした食感や噛むほどに広がる深い風味が加わると思います。更に、焼き芋特有の香ばしさが残るため、一般的な干し芋にはない豊かな風味が生まれるはずです。
因みに焼き干し芋に向いているさつまいもの品種は、「紅はるか」「安納芋」「シルクスイート」など、ねっとりと甘みの強い品種ではないかと思います。これらの品種は焼き芋にすると糖分がしっかり引き出され、干すことでさらに甘さが凝縮されるため、焼き干し芋ならではの濃厚な味わいになります。ということでこの焼き干し芋、実際に自宅で作ってみたいと思います。というか?どこまで出来るのか?不安と言えば不安なのですけど。
焼き干し芋を作ってみた
今回の焼き干し芋はこんな感じで考えています。まず、さつまいも…今回は安納芋を使います。安納芋はねっとり系を代表する品種ということとねっとり系さつまいもで蜜をたっぷり出す焼き方をこの五島商店佐藤の芋屋メディアでも紹介している通り、焼き方に自信があるからです。安納芋をじっくりと焼いて焼き芋にし、粗熱を取って、皮をむいて、安納芋が焼き芋向きの小さめサイズの2Sサイズなので半分にカット(厚めにカットしたほうが焼き芋の味、香りが分かりやすい)。その後、天日干しで数日かけて焼き芋の水分を飛ばして、干し芋に仕上げます。今回のポイントは二つ。一つは焼き芋をどれくらい美味しく作れるか?ということ。もう一つは、以前の干し芋を作った記事でも紹介した通り、晴れ間が続く日を選んで連続して天日に干す。この二つです。前回、雨や曇りが続いた時に天日に干せず、室内に干したらカビが出来てしまったという衝撃的な失敗作を経験しているので天候、出来れば湿度もカラカラくらいが丁度良いのではないかと思っています。冒頭で「今回は時間があまりかけないようにする」と書いてましたが結局、今回も手間と時間をかけて焼き芋を作り、天日に干して干し芋にするという最大3日くらいかかる方法にしました。その分、もう一度、食べたい!もうないの?と思わせる干し芋になるはずです。時間はかかりますが、満足度の高い焼き干し芋になる…と思います。では、行ってみましょう!
ここまで長々と書いてきましたので話、長くない?まだなの?と思われてしまいますので焼き芋の作り方はこちらを参考にしてみてください。今回の焼き芋で使用したアルミホイルは焼き芋専用アルミホイルです。
これがかなりの優れもの。普通のアルミホイルとその差は歴然です。一度、使ったら間違いなくリピートするくらい。焼き芋の完成度が大きく変わります。その黒いアルミホイルを使って仕上げた安納芋の焼き芋に最適なサイズ2Sサイズはこちらです。
どうですか?蜜が皮からあふれ出ている感じでこのまま焼き芋で食べたいと思うレベルの仕上がりでしょ?この安納芋の焼き芋を粗熱をとって、皮をむきます。
その後、安納芋の焼き芋を真ん中からカットをして二つにします。こんな感じになります。小さめサイズの安納芋なので半分にしていますが、大きめのさつまいもの焼き芋の場合は、スライスするくらいが良いかと思います。
半分にカットした安納芋を干し芋にする為に、干し網に並べていきます。勿論、天気は事前に調べており、曇りの日が無い日が続く日を選択して焼き芋を作っていますので以前のようにカビてしまうということは今回、無いと思います。
干し網の1段目、2段目、3段目となるべく太陽が当たりやすいよう陰にならないように並べていきます。1日目はこんな感じで自宅のバルコニーに干して終了です。
2日目の朝。1日目も朝から作業を行ったのでまる1日経った状態です。うっすらと表面が乾いてきており、干し芋ぽい感じになってきています。
2日目は、干し芋をひっくり返して1日目に太陽が当たらなかった部分を上にしてそのまま1日経過するのを待ちます。
天気も良いので空気が乾燥して乾燥注意報が出ているので丁度良いかもしれません。
3日目の朝。丸々2日間、天日に干した状態です。安納芋の焼き芋の黄金色がはっきりとしてきており、所々、透明になってきている感じです。
表面は、干し芋のように手で触ってもねっとりしている焼き芋の質感では無くなってきています。ちょっと乾燥しすぎかな?と思うくらいの状態です。
今日の午後には食べれるかもしれないので自宅で作った焼き干し芋を食べてみたいと思います。
焼き干し芋を食べてみた
見た目は、焼き芋。焼き芋の表面が乾燥している状態が今回、自宅で作った焼き干し芋です。手で持っても安納芋の焼き芋のようなねっとりした感じは全くなく、干し芋のような感じです。ここで既に今回のミスというか?反省すべき点が見つかりました。
焼き干し芋を作る時、もう一つ、重要なコツと言いますか?ポイントがありました。今回は安納芋でしたが、安納芋の焼き芋の皮は、少し厚めに剥くほうが良いという点です。出来れば、焼き芋にして粗熱をとると焼き芋の皮は手で簡単に剥けるのですが、包丁やナイフを使って皮は全て剥くというのがベストです。焼き芋の薄皮が残っていると見た目も少し悪くなり、少し勿体ない感じです。あ~これだけが残念な点。
焼き干し芋を食べてみるとその側は干し芋。中は焼き芋の半熟な感じ。香りや味は安納芋の焼き芋のまま。更に甘さは焼き芋で食べる安納芋よりも水分が程よく抜けているので甘さが増した感じです。濃厚な焼き芋の甘さという感じかもしれません。これは癖になる美味しさであっという間に数個をペロリ。
自分で作って自分で言うのもなんなのですが、干し芋は焼き芋にしてからのほうが断然、美味しく焼き芋の味がそのまま残ります。先程も書きましたが1点だけ残念だったのが焼き芋の皮の薄皮が残っている状態で干し芋にしたことだけです。味にはあまり関係ないかもしれませんが見た目が少し残念な状態でした。次はこの点だけを気を付けて焼き干し芋を作れば味も見た目も完璧になるはずです。でも冒頭で紹介した道の駅常総で買った焼き干し芋と比べるとねっとり感が少なかった点だけ。今度は紅はるかでも試してみたいと思います。
まとめ
焼き芋と干し芋の美味しさを掛け合わせた「焼き干し芋」は、その香ばしさと甘みの濃厚さがたまらない干し芋です。お店で買うと少しお高めな価格なため、「自宅で作れるのか?」と試行錯誤しながらたどり着いた作り方は、焼き芋の甘みを引き出してから天日干しするのがポイント。
品種選びや天候の管理が重要で、手間と時間はかかるものの、仕上がりは想像以上の美味しさです。今回、軽い失敗から学んだポイントとして、焼き芋の皮はしっかり剥くことも大切です。これをきちんと行わないと見た目はあまり美味しそうに見えません。焼き芋の薄皮は残してはダメです。それをしっかり行えば、焼き芋の香ばしさが凝縮された焼き干し芋は、甘さが増し、一度食べるとクセになる美味しさになります。手間を惜しまず時間をかけて作れば、市販品にも負けない味と満足感も味わえます。次回は品種を変えて再挑戦したくなるほど、焼き干し芋作りは奥が深いということも合わせて報告しておきます。