ふくむらさきで作る干し芋は、宝石のような美しく美味しい仕上がりになる。ねっとり食感を出すならふくむらさきを厚めにカット。更に晴天と風が必要ということが分かったのだ。

干し芋文化を変えたさつまいも「ねっとり系」

引用:長砂農園ほしいも直売所

随分、昔の話になるのだが…子供の頃、食べた干し芋は、今の干し芋とは全く異なるように思える。そんな記憶を頼りに、ゆっくり、ゆっくりと思い出すと今のような色の干し芋では無かったように感じる。今の干し芋は黄金色。私が子供の頃に食べた干し芋は黒ぽい色。色で例えるならこんな感じかなと思い出す。食感も今の干し芋は、甘く柔らかく…まるでさつまいもを食べているような錯覚さえある。昔の干し芋は、ガチガチに固く、噛んで柔らかくするような感じだったと思う。祖母には「ゆっくり噛むとさつまいもの味がしてくるから」と言われたような…。それと干し芋を好んで食べていた層もまるで違うように思えて来る。今の干し芋は、若い女性から年配の女性までと様々な年齢層で食べられている感じのイメージで、ダイエット中でも食べれるおやつや腸活の為のおやつ等、色々なことで広がっているように思える。昔の干し芋と言えば、年配の女性。祖母くらいの方がお茶請けで食べていたように思えるのは私だけだろうか?なぜ?今のように「ねっとり、やわらかい」干し芋が増えてきたのだろうか?この記事でも紹介しているように「干す時間」「保管方法」「品種」が変わったからとのこと。

干す時間や保管方法は、技術の進歩により変わっていったと思う。でも1番、大きな影響を与えたのは「品種」ではないかと思うのだ。昔のさつまいもの品種には、今のような「ねっとり系」と言われる安納芋や紅はるかは存在してなく、ほとんどが「ホクホク系」と言われるさつまいも品種が主流だったことからだと思われる。

この「ねっとり系」さつまいもが干し芋文化を現在の干し芋文化に変えたと言っても過言ではないのではないだろうか?そうなると…もしかするとこのさつまいもも…

干し芋文化に「映え」を提供できるはず

Instagramの干し芋のハッシュタグで投稿されている数は干し芋13.4万件、ほしいも2.2万件。黄金色の干し芋が中心に…これまた美味しそうな投稿が目白押しだったりする。その中でぽつ…ぽつと紫芋の干し芋があるくらい。「ねっとり系」と言われる安納芋、紅はるかが干し芋文化を変えた可能性があるならば、「ふくむらさき」は、見た目のイメージを含んだ…そして美味しさで新しい干し芋文化のひとつになる可能性があるのではないだろうか?

紫芋の新品種「ふくむらさき」は甘さ強めのねっとり系

紫はロックの匂いがする。これ、有名アーティストの言葉。そんな紫芋。今までの紫芋は「ホクホク系」が多く、どちらかというとスイーツや料理向きのさつまいもというイメージが強かったのだが、この「ふくむらさき」という品種を聞いて、食べてからは、今までの紫芋のイメージが大きく変わってしまった。紫芋はアントシアニンが豊富だから…とか?スイーツにすると色が美しいから…とか?そういう言い訳無しで、焼き芋にすると「蜜」が滴り落ち、手で持って食べると、手がベトベトになってしまうくらい蜜が付く。そんな「ねっとり系」で「強い甘さ」を持つ紫芋の「ふくむらさき」が干し芋にすると間違いなく美味しいはず。これ、間違いなのか?どうか?実際に紫芋「ふくむらさき」を干し芋にして食べてみた。とその前に「ふくむらさき」で干し芋を作ってみた。

紫芋「ふくむらさき」で干し芋を作ってみた

今回は、「ふくむらさき」の品種特性を活かして「ねっとり」とした半熟系?を目指して色々と試行錯誤。簡単に干し芋と言っても、実は、奥が深く、干し芋沼にはまってしまったら足が抜けず…そのままズルズルと引きずられて、間違った方向へどんどん進んでしまう恐れもあるから厄介といば厄介なのだ。今回、色々と調べている中で、分かったことは、日光は当たり前の話(過去に日陰で干してカビが生えてしまうということを経験)なのだが、時間を短く、ねっとりとした食感を出すには、あまり日光に当ててしまうのはダメみたいなのだ。要するに、今の季節(12月)は、ある程度、空気が乾燥しているので、日光と空気の乾燥でカラカラな干し芋になってしまう恐れあり。といって、日陰や室内で干すと日光が当たらず、家の照明になってしまうので、これまた上手くいかない。そこで辿り着いたのがこの方法なのだ。

短時間で作る方法

まず、「ふくむらさき」でふかし芋を作る(茹でるのも可)。熱々のうちに皮を剥いて準備をする。こんな感じで、紫芋ならではの色で美しい。

その後、「ふくむらさき」をカットしていくのだが、今回は、少し厚めにカット。まずは、半分にカットして、端から少し厚めに切っていき、最後は、どちらかというと干し芋で言う丸干しぽくなってしまう。これを並べてみるとこんな感じ。

ラボ長から聞いた「ふくむらさき」の栽培の話で、「濃い紫」が焼き芋にすると抜群に美味しいとあったのだが…。個体差があるので「濃い紫」と「普通の紫」の「ふくむらさき」。

以前、購入した「干し網」に、先程、カットした「ふくむらさき」の干し芋を並べて行く。

大量に作るなら

使い道が沢山あるので色々と重宝しそうなのは

濃い「ふくむらさき」は、アントシアニンが豊富な黒に近い紫芋。ここまで薄くカットしてもこの黒い紫色は変わらず。

普通の「ふくむらさき」は、見た目はなんとなく、中トロとか大トロとか?そんな感じ。ここまでは、今までの干し芋作りと変わらず。今回、短時間で「ねっとり」とした食感に仕上げる為に、一番、重要視したのは、「風」。といっても大型扇風機を使用したりするのは出来ないので、天候を調べて、

  1. 晴天が続く日
  2. 乾燥している日
  3. 風が強く吹く日

この3点を重要視して、干し芋作りを行ったのだ。干し始めた日の夜から風が強く吹いたので、2日目の朝には既にこんな感じに。

この日も風が強く、2日目の午後にはこんな感じに。

過去、最大に厚くカットして、最短で出来上がったのはこちら

濃い「ふくむらさき」は、炭?というくらい黒が強い紫色。ここまで紫色が濃いとアントシアニンもかなり豊富ではないだろうか?表面は、風の影響もあり、少し乾き気味だが、手でちぎってみると中は、ねっとりとした鮮やかな紫色の「ふくむらさき」が見えて来る。そして…もうひとつの普通の「ふくむらさき」はというと

う、美しい~。薄い紫を部分と濃い紫色部分のグラデーションというのか?コントラストというのか?見た目にも華やかなのだ。濃い「ふくむらさき」と同じように、手でちぎってみると、こちらも変わらず、中は鮮やかな紫色でねっとりとしているのだ。濃い「ふくむらさき」と普通の「ふくむらさき」を並べてみると分かりやすので、並べてみた。

見た目は、好みがあるのでなんとも言えないが、どちらも表面は風の影響で乾いているのだが、中はねっとりとした食感で、紅はるかや安納芋のような糖度を持つ「ふくむらさき」なので、甘い。半熟といっても良いくらいの干し芋に仕上がっているのだ。

ねっとり食感の干し芋を作るには?

「ふくむらさき」の甘さ、そして、ねっとりとした食感は、干し芋にしても変わらず…見た目も美しいパープル。見た感じすぐにわかるように、アントシアニンが豊富で、パソコンで仕事を毎日している私には最高の目のご馳走になるはず。ふかし芋を作って翌日には、完成と最短で作るには「晴天が続くこと」そして「風」が必要なこと。もうひとつ、分かったのは、この「晴天が続き、風がある日」では、少し厚めにカットすると、ねっとりとした食感をダイレクトに感じることができる事。これが、仮に薄くカットしていると晴天と風の影響でカラカラな干し芋になってしまっていたかもしれない。自然の力で、作る干し芋は、奥が深い。

宝石のような美味しい、ねっとりとした食感の干し芋を作るなら「ふくむらさき」が断然、オススメなのだ。ここまで美しく、美味しくなるとは思ってもいなく…晴天×風で少々、どうなのかな?どうなるのかな?と思っていたが、成功して良かった~というのが、実は一番の本音なのかもしれない。冬はまだまだ長い。また、面白い作り方を発見したら紹介できるように精進したいと思っています。