焼き芋が余ってしまったとき、ただ温め直すだけではもったいないと思いませんか? 焼き芋はそのままでも十分に美味しいのですが、少しの工夫で新たなスイーツに生まれ変わります。そこで今回ご紹介するのは、江戸時代から親しまれてきた「きんつば」を焼き芋でアレンジしたレシピです。きんつばは、小豆餡を寒天で固めた和菓子ですが、焼き芋を使えば手間なく深い甘みが楽しめ、さらに栄養価もアップ! 食物繊維が豊富な焼き芋と寒天の組み合わせは、腸内環境を整えたり、満腹感を得られる健康的なおやつとしてもぴったりです。この記事では、裏ごし不要で簡単に作れる「焼き芋きんつば」の手順を、ポイントとともに詳しく解説しています。 焼きたての香ばしい香りと、焼き芋の甘みが詰まった絶品きんつばの魅力 をぜひご堪能ください!新たな焼き芋リメイクのアイデアのひとつにしてください!
きんつばとは?
きんつばとは、餡のまわりに薄く生地をつけて焼いた、四角い形が特徴の和菓子です。その歴史は江戸時代にまで遡り、大阪で生まれたとされています。当時は丸形に成型されており、その形が日本刀の鍔(つば)に似ていることから「銀鍔(ぎんつば)」と名付けられました。しかし、銀よりも金の方が縁起が良いという理由で、次第に「金鍔(きんつば)」と呼ばれるようになったと言われています。
現代では正方形のきんつばが一般的ですが、名前の由来を考えると丸形にも趣を感じます。また、餡の種類も多様化しており、さつまいもを使用した芋餡のきんつばも登場しました。こちらは「薩摩金鍔(さつまきんつば)」と呼ばれ、さつまいもの甘みが際立つ一品です。餡の優しい味わいと薄い生地のバランスが絶妙で、伝統と工夫が融合した和菓子の魅力を存分に楽しめます。
きんつばは、身体にも優しいおやつ
和菓子は洋菓子に比べてヘルシーな印象が強く、多くの人が健康的なおやつとして捉えています。その理由の一つは、生クリームやバターといった動物性の脂質をほとんど使わず、小豆から作られる餡が主役だからです。小豆には食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養が含まれており、身体に優しい成分が摂取できるため、健康的なお菓子として広く親しまれています。
餡を使った和菓子にはさまざまな種類がありますが、中でも「きんつば」はさらに健康的な要素が加わったお菓子です。その理由は、餡を固める際に使用する「寒天」にあります。寒天は海藻由来の凝固剤で、食物繊維が非常に豊富なことで知られています。洋菓子によく使われるゼラチンとは異なり、カロリーが極めて低く、ダイエット中の方にも嬉しい食材です。また、寒天に含まれる食物繊維は便秘解消や腸内環境の改善に役立ち、満腹感を得やすいため、食べ過ぎの防止にも効果的です。
ここに焼き芋を加えた「焼き芋きんつば」を作れば、さらに健康的なおやつへと進化します。焼き芋には豊富な食物繊維が含まれているため、寒天との組み合わせによって腸内環境を整える力が一層高まります。さらに、焼き芋の自然な甘さを活かすことで砂糖の量も抑えられ、低糖質・低カロリーに仕上がる点も大きな魅力です。健康と美味しさを両立させた「焼き芋きんつば」は、満足感もありつつ罪悪感なく楽しめる、理想的なおやつと言えるではないしょうか。
余った焼き芋を使って焼き芋きんつばを作ってみよう!
焼き芋きんつばの材料
- 焼き芋・・・200g
- 砂糖・・・20g
- 粉寒天・・・小さじ1
- 水・・150ml
- サラダ油・・・小さじ1
衣
- 小麦粉・・・30g
- 砂糖・・・小さじ1
- 水・・・50ml
焼き芋きんつばの作り方
1、焼き芋は皮をむき、ゴムベラなどでペースト状にする。
本来、この作業はさつまいもの皮を剥き、小さく切って、柔らかくなるまで煮て、そこから更に裏ごしをするという結構時間のかかる工程です。特に裏ごしは正直面倒な作業なのですが、焼き芋を使えばそんな手間はなく、ただゴムベラで滑らかにするだけで済みます。柔らかいので裏ごしも不要です。それでいて、味は煮るよりも深い甘みが出るのですから、焼き芋を使わない手はありません。
2、鍋に水、砂糖、粉寒天を入れて良く溶かし、混ぜながら火にかける。沸騰してから1分間ほど加熱する。
加熱前にしっかりと混ぜておくことがポイントです。そのまま加熱してしまうと、寒天が固まってしまったり、砂糖が焦げてしまうことがあります。砂糖の量は通常の芋きんつばのレシピのおよそ半量になっています。その理由はもうお分かりでしょう。焼き芋が甘いからです。焼き芋を使うことで砂糖の量も減らすことが出来るので、低糖質、低カロリーな仕上がりになります。
3、加熱した寒天液をペースト状にした焼き芋に少しずつ加えて、よく馴染ませる。角型容器に入れて固める。
一気に加えたくなるところですが、そうすると馴染みが悪いので、少しずつ加えて伸ばしていきましょう。お菓子作りはほんの少しの丁寧さが仕上がりを左右します。
一般的には正方形の形が主流ですが、無ければ長方形でも何でもご自宅にある容器で大丈夫です。何せ元々は丸型だったのですからね。ただし、ハート形や星形など複雑な形は焼く際に形崩れしやすいのでご注意下さい。寒天はゼラチンとは異なり、常温で固まりますので、冷蔵庫で冷やす必要はありません。逆に言うと後で型に入れようと思って、暫く放置していると、いつの間にかボウルの中で固まっていた!という事態になり兼ねません。型に入れたら放置で良いのですが、型に入れるのは忘れずに行うようにしましょう。
4、容器から固まった芋あんを取り出し、小分けに切る。
そのまま切っても良いのですが、周りを薄く切って形を整えてから小分けに切るとより美しく仕上がります。切れ端は焼き芋ようかんとして食べても美味しいですよ!
5、ボウルに小麦粉、砂糖、水を混ぜて衣を作る。
この作業も寒天液の時と同様に水は少しずつ加えるようにしましょう。本来、きんつばの衣は白玉粉と小麦粉を混ぜて作ることが多いのですが、小麦粉だけでも十分に作ることが可能です。少量のためにわざわざ白玉粉を揃えなくても作れますのでご安心下さい。白玉粉を使うとより皮が頑丈な印象に仕上がります。本格的に作ってみたい方は、小麦粉の半量から2/3の量を白玉粉に置き換えて作ってみましょう。その際の注意点として、白玉粉は元がゴツゴツしていますので、はじめに白玉粉を水でしっかり溶かしてから小麦粉を入れるようにするとダマがなく、均一に混ぜることが出来ます。
6、焼き芋あんに衣をくぐらせ、全体に薄くつける。フライパンにサラダ油を熱し、中火で軽く焼き色がつくまで焼く。前面に焼き色を付ける。
均一に衣をつけるのが意外と難しいのですが、そんな時は手で両端を持ち、衣にさっとくぐらせると綺麗に仕上がります。手で行う際は手指消毒やゴム手袋の着用をお忘れなく。いずれにしても衣は薄めを心がけましょう。そして、衣をつけたら、そのまま直ぐに焼きましょう。一旦どこかに置いてしまうと、衣が剝がれてしまいます。なので、衣を付ける前にフライパンに油を入れて温めておくのが大切です。火加減は中火がベスト。高温にしすぎると、焼き色を通り越して焦げてしまいます。かといって、弱火でじっくり焼いてしまうと、中の餡に含まれる寒天が溶けだして、だれてきてしまうことがあります。軽く焼き色が付いたら、すぐに裏返し、なるべく短時間で全体に焼き色をつけられるよう頑張って下さい。
焼けてくると、ほんのり焼き芋の黄金色が見えてきます。香りも焼き芋の香ばしい香りがしてきますよ。なかなか焼きたてのきんつばを食べるという機会はないものですが、やはり温かさが残る焼きたての美味しさは違います。焼き芋を使ったきんつばは絶品です!中にはきんつば自体が初めてという方もいるかと思いますが、焼き芋きんつばを食べるときっときんつばの虜になるでしょう。こんな焼き芋の食べ方もあるという新たな美味しさを是非体験してもらいたいなと思います。
まとめ
焼き芋はそのまま食べても美味しいですが、少しのアレンジで新しいスイーツに変身します。今回ご紹介した「焼き芋きんつば」は、江戸時代から続く和菓子「きんつば」を焼き芋でアレンジした一品です。焼き芋の深い甘みと寒天の組み合わせは、手間がかからず栄養価も高いため、腸内環境を整えたい方や健康的なおやつを探している方にもぴったりです。作り方も簡単で、焼き芋をペースト状にし、寒天液と合わせて固め、衣をつけて焼くだけ。裏ごしの手間もなく、焼き芋の自然な甘さが際立つため砂糖を控えめにできる点も魅力です。
香ばしく焼き上がった焼き芋きんつばは、ほっくりとした食感と優しい甘みが広がり、まさに絶品の味わいです。余った焼き芋の活用法としてはもちろん、新しい焼き芋の美味しさを発見する機会にもなるはずです。ぜひ一度、手軽に作れる「焼き芋きんつば」をご自宅でお試しください。早く焼き芋、余らないかなぁ~と必ず、思える味ですよ。