焼きいもブームは終わりなのか?調べてみた。2003年から始まった第4次焼き芋ブームは今がピーク?日本の焼き芋ブームの現在地と海外の焼き芋ブームをまとめてみた

ここ数年は「焼きいもブーム」と言われています。街中には焼きいも専門店が増え、2024年2月には、さいたまスーパーアリーナで開催された「さつまいも博」において、第4回目の「全国やきいもグランプリ」が催され、たくさんのさつまいも好き・焼きいも好きが集まるイベントとして盛り上がりを見せました。しかし、どのようなブームもいつかは終わりを迎えます。「焼きいもブーム」にも終わりは来るのでしょうか。調べてみました。

さつまいもと焼きいもの歴史

いも類振興会理事長の狩谷昭男氏が書いた「焼きいもブームの歴史とその背景」によると、現在は第4次の焼きいもブームだそうです。

さつまいもの歴史

さつまいもは、メキシコを中心とする熱帯アメリカが原産です。日本には1600年頃に中国から伝わりました。琉球(現在の沖縄県)から薩摩(現在の鹿児島県)に伝わったことから、さつまいもと呼ばれるようになりました。江戸時代の八代将軍徳川吉宗の頃、蘭学者の青木昆陽によって全国に広められたとされています。現在の埼玉県川越市辺りはさつまいもの一大産地で、江戸から13里(1里=約4㎞)離れていたことから、川越から来る焼きいも屋は「十三里」と呼ばれていました。

江戸時代から始まった焼きいもブーム

前述の「焼きいもブームの歴史とその背景」によると、第1次ブームは江戸時代の文化・文政期から明治維新まで(1804年~1868年)、第2次ブームは明治時代から関東大震災まで(1868年~1923年)、第3次ブームは1951年~1970年、そして第4次ブームが2003年から始まったとされています。

第3次ブームのきっかけは、1951年に東京向島の三野輪万蔵という人が「石焼きいも」を発明したことによります。江戸時代の焼きいもは、かまどに焙烙(ほうろく)を置いて焼くなどの調理方法が一般的でした。関東大震災の後には、インド料理で使うタンドールのような直火オーブンの「つぼ焼き」が流行しました。それらの方法に対して「石焼きいも」は、熱した小石でさつまいもを包むことによって、均等に熱を通しやすい特徴があります。さらに三野輪万蔵氏は、「石焼きいも」専用の調理機をリヤカーに乗せて移動販売を行いました。このスタイルによって「石焼きいも」は人気となりました。

2003年から始まった第4次焼きいもブーム

第4次焼きいもブームは、2003年に静岡県のスーパーが、オーブンを使って焼きいもの販売を行ったことに始まった、と言われています。この焼きいものオーブンは、改良を重ねながら、他のスーパーにも普及していきました。また、1999年に品種登録された安納芋も、第4次焼きいもブームが広まるきっかけのひとつと言えるでしょう。それまでの焼きいもに使われていたさつまいもは、ホクホクとした食感が特徴の「べにあずま」が主流でした。ねっとりした食感と蜜のような甘さが特徴の「安納芋」が話題となり、さらに2010年にはしっとり・ねっとり系の「紅はるか」が品種登録されたことで、第4次焼きいもブームが起こり、今も継続しているのです。

今が焼き芋ブームのピーク?

第3次焼きいもブーム(1951年〜1970年)は約20年で終わっています。この点から考えると、2003年から始まった第4次焼きいもブームもすでに20年が経過して、ピークを過ぎている可能性があります。しかし、現在も続いている第4次焼きいもブームは、ピークを過ぎても長期間にわたって今後も静かに続いていくとみられています。その理由としては次の3つがあげられます。

  • 焼きいもが、添加物などを使わない自然な健康食品の一つとして支持されている
  • しっとり、ねっとり系のおいしい品種が普及したことで、老若男女を問わず焼きいもの愛好者が増えた
  • 高品質のさつまいもを周年で供給する体制が確立されて、夏でも焼きいもが食べられる

海外で日本の焼きいもがブーム

さらに焼きいもは、日本だけではなくシンガポールなどの海外でも人気が高まっています。そのきっかけは、ドン・キホーテが、2017年にシンガポールの「DON DON DONKI」で日本の焼きいもの販売を始めたことです。できたての焼きいもが手軽に食べられると評判になって、およそ30分〜1時間は並ばないと手に入らないほどの人気となり、焼きいも専門店までオープンしています。シンガポールで日本の焼きいもが人気になっている理由には、次の2つがあります。

  • 日本産のさつまいもを使用している
  • 手ごろな価格で日本の食が楽しめる

シンガポールにおいて日本の食品は高級品であり、特に新鮮な野菜や果物は、高価な値段で取り引きされています。シンガポールで販売されている焼きいもは、比較的低価格で販売されているので、たくさんの人が焼きいもの美味しさを味わうことができます。コロナ禍で日本への旅行ができなかったこともあって、少しでも日本の文化を楽しみたいという人が多かったこともあるのでしょう。

まとめ

2003年から始まった第4次焼きいもブームは、今後も静かに続いていくとみられています。また、シンガポールなどの海外でも日本の焼きいもが人気となっています。日本産のさつまいもの海外輸出量は2013〜2022年の10年間で年平均20%上昇しています。焼きいもは、日本国内はもちろんのこと、シンガポールを中心に他の国でもブームになる可能性があります。