家庭のオーブンを使って蜜たっぷりのねっとり焼き芋を作ってみた!実際に焼いてみた画像付きで解説!焼いてみて分かったことは低温加熱と品種選びが重要だったこと

「ねっとり系のさつまいもを買ったのに、家で焼くと蜜が出せないし、あまりねっとりしない」と思ったことはありませんか?実はちょっとしたコツを抑えるだけで、家でもスイートポテトのようなねっとり食感の焼き芋が作れるのです。こちらの記事では、蜜たっぷりの焼き芋作りのコツや、家庭のオーブンでも簡単に蜜を引き出す方法を検証した結果を解説しています。焼き方による違いを写真付きで紹介しているので、ねっとり系焼き芋を家でも作りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね!

蜜たっぷりの焼き芋を作るポイント

蜜がじゅわっと溢れる焼き芋を作るには、焼き方のコツを知ること、蜜が出やすいさつまいもを選ぶことが重要です。以下でそれぞれのポイントを解説します。

1. 蜜を引き出す焼き方を知る

蜜を引き出す焼き方のコツは以下の2つです。

  1. 低温からじっくりと加熱する
  2. 適度に水分を飛ばす

焼き芋の甘さには、βアミラーゼという酵素の働きが関係しています。βアミラーゼがさつまいものでん粉を麦芽糖に変えることで、焼き芋の甘さが引き出されるのです。麦芽糖を作り出すには、でん粉が糊化(こか)していることも重要です。糊化とは、でん粉がのり状にねばねばした状態になることを言い、βアミラーゼが麦芽糖を作り出すには、まず、でん粉を糊化させることが欠かせません。

でん粉を糊化させ、βアミラーゼの働きを促進するには、温度管理が大切です。さつまいものでん粉は60~80℃で糊化します。また、βアミラーゼが活性化するにはおよそ60~65℃の温度が適しています。そのため、焼き芋をねっとりと仕上げるには、低温からじっくりと加熱することが必要です。さらに、さつまいもに火が通った後も加熱し続けることで、適度に水分が抜けて麦芽糖の濃度が上がり、ねっとりとした食感の焼き芋になります。

オーブンは予熱せず、常温からゆっくりとさつまいもを加熱することが、蜜たっぷりの焼き芋を作るポイントです。

2. 蜜が出やすい品種を選ぶ

焼き芋をねっとりとした食感に仕上げるには、品種選びも重要です。ねっとり系と呼ばれるさつまいもは、ホクホク系のさつまいもよりも糖類を多く含み、反対にでんぷんの量は少ないため、やわらかくしっとりとした食感に焼きあがります。以下の品種であれば、焼き方を工夫することで家でも蜜たっぷりの焼き芋が作れます。

さつまいもの例

  • 安納芋
  • 紅はるか
  • 紅まさり
  • シルクスイート

蜜たっぷりの焼き芋を作る上で大切な2つのポイントがわかりました。次に、どのような焼き方なら蜜を引き出せるのかを検証していきます。

【検証】蜜が出やすい焼き芋の作り方とは?

「おいしい焼き芋の焼き方」としてさまざまなレシピが公開されていますが、オーブンを使用する場合はアルミホイルで包んで焼くものが多くなっています。ただ、ねっとりとした焼き芋にするには、適度に水分を飛ばすことも必要なため、焼き上がりまでアルミホイルで包んだままで良いのかは疑問が残るところ。そこで今回は、最後までアルミホイルに包んだまま焼く方法と、途中で剥がしてから焼く方法の2つを検証しました。

比較するため、アルミホイルを剥がす以外の条件は以下で統一しています。

  1. 濡らした新聞紙で巻いてからアルミホイルで包む
  2. 160℃に設定したオーブンで予熱せずに焼く
  3. 焼き時間は合計90分にする

使用したさつまいもの品種は以下の3つです。

  • ミエルスイート(安納芋を原種とした高知県南国市のオリジナルブランドのさつまいも)
  • 紅はるか
  • シルクスイート

1. アルミホイルで包んだまま焼く

まずアルミホイルで包んだまま、160℃で90分焼く方法です。濡らした新聞紙を巻いてからアルミホイルで全体を包み、オーブンに入れて焼きます。

90分後、竹串を刺して抵抗なく下までスッと通ったらオーブンから取り出します。焼きあがったさつまいものアルミホイルを剥くと、蜜がついた部分が少し焦げて、いい匂いがします!

焼きたてを割って比較したところです。安納芋系のミエルスイートは、一番ツヤがありしっとりとしています。

蜜がたっぷり、というほどではないですが、3種類ともしっとり焼きあがっていて甘さもあり、おいしく食べられました。

次に、アルミホイルで包んで焼いた後、裸にして焼く方法を試してみます。

2. アルミホイルで包んで焼いた後、裸にして焼く

濡らした新聞紙で包んでからアルミホイルで全体を覆うところまでは同じです。オーブンの設定温度は160℃、予熱なしで、まず60分焼きます。

60分経ったところで取り出します。このまま食べられそうなくらい、3種類とも柔らかくなっていますが、追加で30分焼きます。

30分経って焼きあがったところです。アルミホイルで包んだまま90分焼いたものに比べると、皮に焼き色がつき、水分も抜けてパリッとしています。ところどころ蜜もでていました。

焼きたてのミエルスイートを割ってみると、蜜がじゅわっと溢れてきました!ポタポタと数滴、滴り落ちてしまいました。思わず「もったいない」と声が漏れます。

焼きたてを割った瞬間の比較です。アルミホイルで包んだまま90分焼いたものより、途中でアルミホイルを剥いて30分焼いたさつまいもは、蜜の量が多いことがわかります。

紅はるかも、皮と果肉の間がツヤツヤと蜜で光っています。

シルクスイートは蜜が全体に行きわたっていて、透明感がありますね。

見た目だけでも違いがわかりますが、食感もかなり差があります。アルミホイルを剥いてから30分焼いたさつまいもは、あまり繊維を感じず、裏ごししたようななめらかさでスイートポテトを食べている気分でした。甘さの面で言えば大きな違いはありませんでしたが、食感が良くなったことで「アルミホイルを剥いてからさらに焼いた方が、焼き芋は断然おいしい!」と感じました。

皮を触ってみると、アルミホイルで包んだまま焼いたさつまいもの方が厚みがあるように感じました。途中でアルミホイルを剥いた方は、水分が抜けたことで薄くなっています。

今回はアルミホイルのある、なしでの仕上がりを比較したかったため、温度や焼き時間は同じ条件にしましたが、焼き方を変えてみるともっと違った焼き上がりになるかもしれません。
アルミホイルを剥いた後に追加で焼くときは、180~200℃ほどまで温度を上げると、皮がパリッとしておいしくなりそうです。「つぼ焼き芋」のつぼの中はおおむね170~200℃なので、さつまいもの水分を飛ばし過ぎないためにも200℃以内の温度で焼くのがおすすめですよ。

まとめ

さつまいもを蜜たっぷりのねっとり食感に焼くコツと、焼き方を検証した結果を紹介しました。加熱時間が同じでも、焼き方を少し変えるだけで食感は大きく変わります。いろいろと試してみるのも楽しいですよ。みなさんもぜひ、自分の好みに合った焼き加減を見つけてくださいね。