「今度、五島(ごとう)の会社と一緒に仕事をすることになったんだ」
東京のオフィスや、いつもの飲みの席で親しい友人たちにそう話したとき、目の前の相手が一瞬でピンときた表情を浮かべるケースは、正直に言ってほとんどありませんでした。
「五島って…あの長崎の五島列島のこと?」
そこまで一歩踏み込んで聞いてくる人すら、都会ではそれほど多くないのが現実です。それが、現代の東京に暮らす人々から見た、五島列島に対するリアルな印象であり、距離感なのだと思います。
もし、私の周りに「釣りが生涯の趣味です」という熱狂的な太公望や釣り人がいれば、反応は全く違ったはずです。五島列島といえば、釣り人なら誰もが「一生に一度は絶対に訪れたい」と口を揃える聖地中の聖地。「おーっ、五島列島!最高の場所じゃん、羨ましいなぁ!」という、羨望の眼差しを向けられたことでしょう。しかし、私の周囲には釣りを趣味にする人がほぼいなかったため、そのようなドラマチックなリアクションが返ってくることはありませんでした。
五島の会社と仕事をすると伝えた際、都会の人々から次に決まって聞かれるのは、具体的なアクセスについてでした。
「五島ってさ、そもそもどうやって行くの? 船を何時間も乗り継ぐの? それとも飛行機が飛んでるの?」
このように、東京にいるとどこか遠い異国のように感じられる五島列島、そしてその中心である「福江島(ふくえじま)」。
今回、仕事のご縁をきっかけに、私は生まれて初めて福江島の地に降り立つことになりました。それまで「島」といえば沖縄くらいしか訪れたことがなく、東京から近い伊豆諸島すら行ったことがなかった私。長崎県に対しても、長崎市内や佐世保といった本土側の観光地しか知らなかったため、周囲の友人たちと同様に、五島に対する知識はほぼゼロに等しい状態でした。なんとなく「九州の南の方だから、沖縄みたいな南国なのだろう」という、安易なイメージを抱いていたのです。
しかし、実際に福江島の土を踏み、島の人々と触れ合い、その空気を吸った瞬間、その先入観は心地よく裏切られることになりました。五島は、決してステレオタイプな「南国」などではなかったのです。
この記事では、東京で生まれ育ち、慌ただしい大都市のシステムの中で生きてきた筆者が、実際に出張で五島列島・福江島を訪れ、「見て、触れて、肌で感じた東京との決定的な違い」を、4つの視点から深くレポートします。この記事を通じて、五島列島・福江島の本当の良さが伝わり、「次の休みには、あの島へ旅に出てみたい!」と感じていただければ幸いです。
東京と五島列島・福江島(五島市)の決定的なコントラスト

日本国の首都であり、世界中からヒト・モノ・カネ・情報が目まぐるしく集散する巨大な大都市「東京」。
一方で、どこまでも広がる東シナ海に抱かれ、豊かな大自然と独自の歴史文化が色濃く残る「五島列島・福江島(五島市)」。
この2つの土地は、生きる環境としても、流れる時間のスピードとしても、文字通り180度異なる対極の場所です。
東京の街を歩けば、どこへ行っても超高層のビル群が壁のように列挙して立ち並び、視界を遮ります。そこで暮らし、そこで働く人々の生活のテンポは猛烈に速く、常に何かに追われているかのような慌ただしさを感じさせます。地方から東京へ出てきた人が一様に驚くのは、「駅のホームや横断歩道を歩く人々のスピードが異常に速い」という点です。あの、誰一人として立ち止まらない、前方だけを見据えて競うように早歩きする群衆の姿こそが、東京という街の忙しさを最も象徴しているのかもしれません。交通機関は秒単位で網の目のように発達し、電車、バス、タクシーが絶え間なく運行しています。
しかし、五島列島・福江島に一歩足を踏み入れれば、そこにはビル群の代わりに、息を呑むほど美しい自然の造形が際立ちます。
福江島を象徴するビーチへ向かえば、そこには都会のような肩がぶつかり合う混雑や騒音は一切ありません。静まり返った白い砂浜に腰掛け、透明度の高い見事なエメラルドグリーンの海をただ静かに眺めているだけで、日々の仕事でガチガチに凝り固まっていた脳の緊張がスーッと解け、心からのリラックスを体感することができます。
さらに、東京の生活では徐々に希薄になり、失われつつある「地域の密接なコミュニティ」が、五島では今なお血の通った形で機能しています。近所の人々や知人同士が、お互いの顔と名前をしっかりと認識し、助け合いながら生活している様子が、外から来た人間の目にもはっきりと映るのです。東京では、個々人がそれぞれのタイムスケジュールで忙しく動き回っているため、マンションの隣の部屋に誰が住んでいるかすら分からず、深い人間関係をゼロから築き上げることが少々難しい環境にあります。
現代的なテクノロジーに囲まれ、効率とスピードを最優先に生きる東京の生活。
それに対して、自然の大きなサイクルを第一に考え、太陽の昇り沈みや海の潮の満ち引きといった「自然の流れ」に逆らうことなく、豊かで穏やかな暮らしを営む五島の生活。
この2つの圧倒的な違いは、ただ観光地を記号的に見て回るだけでなく、現地に滞在し、島のものに触れることで、より一層大きく、深く実感できるようになります。五島・福江島が持つこの「対極の魅力」は、都会のスピード感に少しだけ疲れを感じている現代人に対して、自分の生き方を見つめ直すほどの新鮮な驚きを提供してくれるはずです。
初めての来島:情報番組やドラマの舞台としての五島、そして「南国ではない」という気付き
近年、テレビの情報番組や旅メディアを開くと、驚くほど「五島」の文字を目にする機会が増えました。まさに「今年は五島イヤーなのではないか」と感じるほどです。
記憶に新しいところでは、NHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』で主人公の祖母が暮らす、物語の重要な舞台として五島列島が描かれました。さらに、フジテレビ系列で放送された大人気ドラマ『ばらかもん』も、五島を舞台にした作品です。
『ばらかもん』はもともと原作のマンガが爆発的な人気を博していたため、マンガ好きの人であれば「あ、五島知ってるよ!書道家が島流し(?)みたいになって行く福江島でしょ!」と、具体的な島の名前にまで言及して話をしてくれるかもしれません。
しかし、これまた悲しい現実として、私の周りの東京のビジネスパーソンたちの中で、これらのドラマを熱心に見ていたり、マンガを全巻読破していたりする人は、私の知る限りほとんどいませんでした。かく言う私自身も、お恥ずかしながら仕事の予定が決まるまでは、五島へ一度も足を運んだことがなかったのです。
関東人が陥りがちな「九州の離島=沖縄のような南国」という誤解

先述の通り、東京や関東地方にずっと住んでいると、地図上で「九州のさらに先にある離島」と聞いただけで、頭の中で勝手に沖縄のような年中温暖でハイビスカスが咲き誇る「南国」のイメージと結びつけてしまいがちです。
しかし、五島は決して南国ではありません。ネットで事前に気象データや現地の暮らしを調べ、実際に出張してみてすぐに分かったのは、五島にはしっかりとした「四季の厳しさ」があるという事実でした。

冬の五島列島には、東シナ海を渡ってくる大陸からの非常に冷たい北風が容赦なく吹き付けます。時には島内に雪が舞い降り、うっすらと積雪することすらあるのです。決して年中半袖で過ごせるような生易しい気候ではありません。
一方で、夏になれば、ネットの検索画面で見た通りの、息を呑むようなエメラルドグリーンの美しい海と、眩しいほどに太陽が近くに感じられる白い砂浜が広がります。
このように、厳しい冬の寒さと、圧倒的に輝く夏の美しさが同居している五島列島。この土地のリアルを、東京との違いを交えながらさらに深く掘り下げていきましょう。
① 歴史の違い:表舞台の華やかさと、潜伏と祈りが交差する「奥行き」

東京と五島を比較したとき、まずその地層の深さに驚かされるのが「歴史」の違いです。
東京の歴史を振り返ると、それは学校の歴史の教科書で誰もが必ず習う、日本の「中央・表舞台」の歴史そのものです。古くは徳川家康が江戸幕府を開いたことから始まり、江戸城無血開城や明治維新といった幕末のドラマ、そして文明開化という華やかな西洋文化の流入を経て、明治、大正、昭和へと目まぐるしく進んできました。戦後の焼け跡から奇跡的な復興を遂げ、世界最先端のメトロポリスへと駆け上がった東京の歴史は、常に時代の勝者や、華やかな最先端のトレンドと共に歩んできました。
一方、五島列島の歴史の歩みは、それとは全く異なる独自の、そして深い精神性を伴ったものです。
史実を紐解くと、五島の歴史は天草四郎時貞の乱以降、激しい宗教弾圧から逃れるために、本土から命がけで海を渡ってきた「キリシタン(潜伏キリシタン)」の歴史と深く結びついています。
彼らは、五島列島の切り立った断崖絶壁の過酷なキレットや、誰も近づかないような人里離れた静かな入り江に密かに隠れ住み、表立って信仰を告白できない過酷な状況下で、何代にもわたって自らの祈りと信仰を密かに、そして命がけで守り続けました。島内のあちこちに今なおひっそりと、しかし堂々と建つ数多くの美しいカトリック教会は、明治の解禁以降に島民たちが自らの生活を切り詰め、力を合わせて建てた「祈りの結晶」なのです。

五島列島・福江島という場所には、現代の観光客を魅了する「眩しい太陽とエメラルドグリーンの美しい海」という最高のロケーションがある一方で、かつてこの島で虐げられながらも静かに祈りを捧げ続けた人々が遺した「深く静かな歴史」が、今もレイヤーのように交差しています。
歴史というものは、往々にして時代の勝者によって都合よく書き加えられるものだと言われますが、五島には、勝者の華やかさとは対極にある、敗者や逃亡者たちが紡いできた、尊くも切ない「もう一つの日本の歴史」が確かに存在しているのです。
私たちが五島列島を訪れる際、ついついインスタ映えする観光スポットの表面的な美しさだけに目を奪われがちですが、こうした島の背景にある史実やキリシタンの歴史を少しでも確認してから現地へ向かうと、見るもの、触れるもの、すべての景色の「奥行き」がガラリと変わって見えてくるはずです。ただの美しいビーチが、かつての人々の命がけの渡海の地に見えてくる。
そんなことを深く思うと、東京がまだ「江戸」と呼ばれ、移動手段が徒歩や馬しかなかった時代に、この最果ての離島である五島へ旅をすることが、一体どれほど命がけの決死の覚悟を要するものだったのか、その重みが痛いほど伝わってきます。
② 美味しさ(食)の違い:何でもあるが何もない街 vs 居酒屋で遭遇する「異次元のコスパ」
「東京は、何でもあるけれど、本当の意味では何にもない街だ」
かつて誰かがそんな風に都会を評していたことを、五島での食事の最中にふと思い出しました。
確かに東京には、日本全国、ひいては世界中の一流シェフが手掛けた「美味しい」と言われる最高級の食べ物や珍しい食材が、信じられないほどの規模で集まっています。しかし、トレンドの消費スピードが異常に速い東京では、飲食店の移り変わりも目まぐるしく、「あれ? このお洒落なカフェ、前は何の店だったっけ?」ということが頻繁に起こります。
特に渋谷や原宿といった若者の街は、ほんの2年も足を運ばないだけで、周囲の店舗の顔ぶれが完全に変わり、まるで別の街へ迷い込んでしまったかのような錯覚さえ覚えるほどです。
スイーツを例に挙げると、東京ほど世界中のあらゆる最先端の甘味が、リアルタイムでほぼすべて食べられる街は、世界広しと言えども非常に稀です。同じように、あらゆる国のスイーツが網羅されているのは、アメリカのニューヨークくらいではないでしょうか。しかし、それほど何でも集まる一方で、「東京でしか絶対に食べられない、東京発祥の伝統的な食文化」が非常に少ないのも、また冷厳な事実なのです。
お金を払えば値段相応の東京、普通の居酒屋で想像を絶する五島

東京では、高いお金を支払えば、それ相応の美味しいものを食べることができます。それは良くも悪くも「値段相応(等価交換)」の世界です。
しかし、五島列島・福江島にやってきて、地元の普通の居酒屋に入ったり、スーパーの惣菜コーナーを覗いたり、お昼にふらっとランチの定食を頼んだとき、私はその「コストパフォーマンスの凄まじさ」に言葉を失いました。
「え? この値段で、こんなに信じられないほど美味しいお肉や魚が出てくるの!?」
特に「魚(海鮮)」のクオリティに関しては、さすが全国のプロの釣り師たちが憧れる聖地だけあって、完全に異次元のレベルです。

私は別段、自慢ができるような舌の肥えたグルメ人間ではありませんし、高級店を何軒も食べ歩くようなタイプでもありません。そんな、食に対して至って凡凡な感性しか持っていない私であっても、ひと口食べれば「あ、東京の居酒屋で食べる刺身とは、鮮度も歯ごたえも根本的に違う」ということが、あまりにも簡単に理解できるレベルで美味しいのです。しかも、驚くほど安い(安価)。
五島には、昔からサツマイモを薄く切って天日干しにし、お餅と一緒に突き込んだ郷土菓子「かんころ餅」の文化があったりと、土地の自然と結びついた力強い食の歴史が今も息づいています。
福江島へ旅行や仕事で行かれる機会があれば、気取った高級店に行く必要はまったくありません。ぜひ、街の普通の居酒屋の暖簾をくぐり、地元の魚料理やお肉を注文してみてください。あなたのこれまでのグルメの常識と価格の概念を、良い意味で木端微塵に打ち砕く、圧倒的な味とコスパを堪能できるはずです。
③ 便利さの違い:24時間不夜城の利便性 vs 「不便さ」の裏にある極上の贅沢
東京という街では、「昼のような明るい夜」をいつでも、いくらでも体験することができます。深夜になっても街灯やネオンで街は眩しく輝き、多くの飲食店やアミューズメント施設が朝まで営業を続けています。道を100メートルも歩けば、必ずと言っていいほど数店舗のコンビニエンスストアが明かりを灯して待っています。
この、24時間いつでも何でも手に入る生活が、人間の心身にとって本当に「便利」で豊かなことなのかどうかは議論の分かれるところですが、この過剰なまでの利便性に身体がすっかり慣れ親しんでしまっていると、初めて五島を訪れた際には、最初は少しだけ「不便だな」と感じる瞬間があるかもしれません。夜の20時を過ぎれば多くの商店は閉まり、街は深い闇に包まれるからです。
ネット環境とeコマースが、離島の距離を消し去った
しかし、現代の五島列島において、実際の生活物資の調達に不自由があるかと言えば、答えは「ノー」です。
「インターネットの普及は、世界を小さくした」とよく言われますが、現代のネット通販(eコマース)の劇的な進化により、福江島であっても東京とまったく同じように、ボタン一つで日用品やお取り寄せ商品が自宅の玄関まで届きます。
離島であるため、配送に余分に1〜2日かかったり、送料が多少高くなったりするハンデはありますが、東京の異常に高い家賃や生活固定費と比較すれば、島全体の生活経費の中でその差額はさほど大きな問題にはならないのではないか、とすら思えてきます。インターネット環境さえ市全域にしっかりと整備されていれば、情報や買い物の利便性において、東京と五島の格差はほぼ消滅しつつあるのです。
網の目の交通網を持つ東京と、車が命綱の五島

東京と五島の生活において、最も決定的に異なる「便利さ」の正体。それは「交通アクセス(移動手段)」の違いです。
東京は、JR山手線をはじめとする各私鉄、地下鉄が分単位で走り、都営バスやタクシーが街を行き交い、最近ではスマホ一つで街中で借りられるレンタル自転車や電動キックボードなど、多種多様な移動手段が網の目のように都市を覆い尽くしています。昨今の社会情勢の変化によって最終電車の時刻が多少繰り上げられたとはいえ、深夜遅くまで公共交通機関を使ってどこへでも移動できる便利さは、間違いなく東京の最大の強みです。
一方、五島列島・福江島における移動手段の主役は、ほぼ100%「自動車(車)」です。
もちろん、公共交通機関として島内を走る路線バスは存在しますが、東京のバスのように1時間に十数便も頻繁に運行しているわけではありません。私が車で島内を移動している際、バス停で静かにバスを待っている地元の方の姿を見かけたことがありますが、バス停が大混雑している様子はありませんでした。このことからも、島内での移動の基本はやはり、自家用車や社用車といった、一人一台の車での移動がメインであることが分かります。当然ながら、島という環境ですので、私鉄や地下鉄といった鉄道網は一切存在しません。
車社会の五島において、昨今の世界的な原油高に伴う「ガソリン代の値上がり」は、島民の生活を直撃する深刻な問題です。本土から船で燃料を運んでこなければならない離島という環境上、五島のガソリンスタンドで給油する際の価格が、東京の平均価格よりもはるかに高く設定されているのは言うまでもありません。移動の自由を得るためには、それ相応のコストを支払う必要があるのです。
夜は夜らしく暗い、という「離島の贅沢」

夜でも昼間のような明るさと、いつでもどこへでも行ける便利さを求めるのであれば、東京での暮らしが一番です。
しかし、五島が教えてくれるのは、「夜は夜らしくしっかりと暗く、静かであること」の、贅沢な心地よさです。
日が沈めば、窓の外からは街の騒音の代わりに、心地よい潮騒の波の音や、季節の虫たちの声だけが静かに聞こえてきます。余計な光がないからこそ、空を見上げれば東京では絶対に見ることのできない、降るような満天の星空が広がっています。この静寂で穏やかな環境こそが、東京の便利さと引き換えに私たちが失ってしまった、本当の意味での「豊かな暮らし」のインフラなのだと気づかされます。
④ 温かさの違い:マンションの希薄な関係 vs 今なお息づく「お裾分け」の交流文化

最後に、東京と五島を巡る「温かさ」の違いについて触れたいと思います。ここで言う温かさとは、気象庁が発表する日々の最高気温の数値のことではなく、人々の生活の営みの根底にある「人間関係の温かさ、心地よさ」のことです。
私は五島に長期で移住して住んだ経験はありませんが、五島の情報に触れたり、島民の方が書いたリアルなコラム記事を読んでいると、高確率で頻繁に登場する象徴的な言葉があります。それが「お裾分け(おすそわけ)」という美しい日本語です。
振り返ってみれば、かつて昭和の時代の東京や、日本全国のどの地域であっても、こうした近所同士の「お裾分け」の文化はごく当たり前に、日常の風景として存在していたはずです。
現在の東京でも、昔から代々同じ家族が暮らし続けている下町の古いコミュニティエリアなどでは、まだ少しだけその名残が残っているのかもしれません。しかし、次々と高層マンションや新しい戸建て住宅が立ち並ぶような、都会の比較的新しい新興住宅エリアにおいては、お隣の部屋に一体どんな人が住んでいて、どんな生活を送り、どんな仕事をしているのかすら、まったく分からないというのが今の都会のリアルな現状ではないでしょうか。
引っ越しをしてきた当日に、両隣へ形ばかりの挨拶の品を持って行った程度で、その後の交流はマンションの管理組合や自治会の総会で年に数回、顔を合わせるだけ……という希薄な関係性になりがちです。
「頂いたから、差し上げる」双方向の温かい血の通った交流
このような個人主義の都会の状況下では、お裾分けという密接な文化はだんだんと下火になり、絶滅寸前、あるいは完全に消滅してしまっています。
五島列島・福江島には、「海で魚がたくさん釣れたから」「畑で野菜が大量に収穫できたから」「家でご飯を大量に作ったから、食べきれない分をどうぞ」という、お裾分けの文化が今なお現役の主役として、人々の暮らしの真ん中にしっかりと根付いています。
ここで重要なのは、お裾分けという文化は、決して片方の「余っているからあげる」という一方的な施しや憐れみの感情だけでは、絶対に長続きしないという点です。
お裾分けとは、「頂いたから、今度は我が家で採れたものを差し上げる」という、お互いへのリスペクトと感謝が循環する、双方向の豊かな交流の文化なのです。
このお裾分けの文化が、令和の現代でも当たり前のように息づいている五島は、東京と比べると、人間の……そこに住んでいる人々の心の温かさ、そして人と人が交わる温度が決定的に高いのだと思わざるを得ません。都会の人間からすれば、その光景はどこか「昔懐かしい、古き良き日本の美しい心の風景」そのもののように映り、激しい郷愁の念を抱かせます。
ただの「映えスポット」ではない。人生の奥行きを広げるために一度は訪れるべき島

東京の喧騒から遠く離れ、仕事の出張というご縁をきっかけに五島列島・福江島を訪れた今回の旅。
私はこの島を、「歴史の違い」「美味しさの違い」「便利さの違い」「温かさの違い」という、都会との4つの決定的なコントラストを通じて体験することになりました。
その結果分かったのは、五島という島は、単に観光メディアやSNSのタイムラインを華やかに彩る「エメラルドグリーンの美しい海と白い砂浜がある、ただの綺麗なリゾート地」という薄っぺらい言葉だけでは、到底語り尽くすことのできない、凄まじい奥行きを持った場所だということです。
旅の本当の価値とは、ただ有名な観光名所をスタンプラリーのように忙しく見て回ることだけではありません。
その土地が持つ独特の空気感に身を委ね、そこに暮らす地元の人々と拙くても言葉を交わし、温かい交流を重ねることで、自分自身の価値観や人生の「奥行き」を少しずつ、豊かに広げていくことにあるのではないでしょうか。
その視点からすると、五島列島・福江島は、大都市のスピード感の中で日々忙しく働き、何かを見失いそうになっている現代の旅人であれば、「人生の中で必ず一度は訪れるべき、奇跡の島」なのだと確信しています。
大人気作品『ばらかもん』の舞台となったあの優しくも逞しい島で、島の光と影の歴史に触れ、獲れたての魚の美味さに衝撃を受け、静かな夜の波音に耳を傾ける。そんな、今しかできない、ここでしか得られない五感の経験は、あなたのこれからの人生にとって、間違いなくかけがえのない大切な財産になるはずです。
都会の喧騒を少しだけ忘れて、あなたもぜひ、美しい福江島へ自分をリセットする旅に出かけてみませんか?
【福江島(五島市)へのアクセス・基本情報】
五島列島・福江島へのアクセスは、空路(飛行機)と海路(船)の2つのルートが整備されています。ご自身のスケジュールや旅のスタイルに合わせて最適な方法を選んでみてください。
空路(飛行機)を利用する場合
- 福岡空港から: 全日本空輸(ANA)またはオリエンタルエアブリッジ(ORC)の直行便で約40分。
- 長崎空港から: オリエンタルエアブリッジ(ORC)の直行便で約30分。
※東京(羽田・成田)や大阪(伊丹・関西)からは、福岡空港で1回乗り継ぎを行うのが最短ルートとなり、利便性が非常に高いです。
海路(船)を利用する場合
- 長崎港から: 九州商船の「高速船ジェットフォイル」を利用すれば、福江港まで約1時間25分(最短)。
- 九州商船の「九州商船フェリー」を利用すれば、のんびりとした船旅で約3時間10分〜4時間。
- 博多港(福岡)から: 野母商船の「フェリー太古」を利用すれば、夜間に出発して翌朝に五島各島を巡りながら福江港へ到着する、旅情あふれる船旅(約8時間半)が楽しめます。
編集部が実際に見て、食べて、飲んで!美味しかったものを厳選!ばらかもん、舞いあがれ!の聖地として有名になった五島市のふるさと納税返礼品のオススメはズバリこれ!
地元の人、旅行で福江島へ訪れる人、出張で福江島へ訪れる人、夕食と同じくらい昼食、ランチを食べるのに…福江島のランチ情報まとめがない。「五島商店 佐藤の芋屋」の「福江島のこと」の記事の中にも多数のランチ、ディナー情報の記事があります。この「福江島のこと」の「ランチ情報」だけ抜き出してスピンアウトしたのが、「福江島ランチーズ」なのです。
アグリ・コーポレーションでは、現在、事業拡大につき新しい仲間を探しています。地元(長崎県五島市)の方をはじめ、地元以外の移住者、移住を検討されてる方、未経験者、大歓迎です。募集職種、ご応募時の問い合わせFAQ等、詳しくは専用ページにて掲載しています。お問い合わせや質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。











