人気のさつまいも「紅はるか」が多く作付けされている地域とは?国内の作付けシェアはどれくらい?紅はるかの栽培のポイントとは?紅はるかの栽培に向いている地域とは?

糖度が高く、蜜が入ったようにねっとりとした甘さがあり、焼き芋や干し芋で人気の「紅はるか」は、食用のさつまいもとしては、最も作付けされている品種です。また、害虫のネコブセンチュウに対する抵抗性が強いことから、育てやすい品種でもあります。今回は、そんな紅はるかの栽培に関する話について、いろいろと紹介します。

紅はるかが多く作付けされている地域

全国で作付けされているさつまいもの主要な品種は、およそ60品種もあります。農林水産省が公表している「令和3年度いも・でん粉に関する資料」によると、「紅はるか」の作付けシェアは、芋焼酎の原料として利用されることが多い「コガネセンガン」の21.5%に次いで、2番目に多い18.2%でした。紅はるかが、品種登録されたのは2010(平成22)年で、まだ比較的新しい品種ですが、2016(平成28)年の全国での作付面積は3,737haから、2020(令和2)年には5,799haと急激に作付けが拡大しています。紅はるかの作付面積が多い都道府県は、次の通りです。

順位 都道府県 作付け面積(ha)
1位 茨城県 2,893.0
2位 千葉県 1,343.5
3位 鹿児島県 553.8
4位 熊本県 397.8
5位 大分県 335.0

他にも、秋田県、山形県、長野県、新潟県、富山県、石川県、愛知県、奈良県、高知県、福岡県、長崎県、宮崎県で作付けが報告されています。このうち富山県と大分県、鹿児島県では奨励品種に指定されています。

引用:農林水産省「令和3年度いも・でん粉に関する資料」より

紅はるかの栽培のポイント

千葉県のホームページでは、紅はるかの安定生産に向けた栽培のポイントが紹介されています。作付けする地域の気候や土壌によって、若干異なるかもしれませんが参考にしてください。

育苗

ウイルスフリー苗によるポット育苗では、「紅はるか」は「ベニアズマ」に比べて苗の伸張が遅いので、地温管理は「ベニアズマ」より5度高めにします。昼間は30〜35℃、夜間は20℃以上が目安です。床土が乾かないように、かん水はこまめに行います。

圃場準備

さつまいもは、水はけの良い土壌を好みます。紅はるかも同様に、水はけのよい圃場を選びましょう。紅はるかは、ネコブセンチュウの抵抗性は強いですが、連作すると圃場のネコブセンチュウの濃度が高まるため、長く連作するのは避けましょう。

植え付け

90センチのうね間、株間30〜45センチで植え付けます。株間が広い場合は、苗を浅く水平に植える「水平植え」や、苗の茎の中心をくぼませるように植える「船底植え」にすると、いもの形状や大きさの揃いが良くなります。

生育中の管理

葉を食害する害虫が発生した時には、適期に防除します。降水量が少なくて土壌が乾燥しすぎる場合には、水を与えて地上部の生育を確保します。

収穫

植え付けてから130日以上経ったら収穫します。収穫時に、切り口からヤラピン(白い乳液)が出て、いもが汚れるので、草勢の強い圃場では、草勢が弱まってから収穫しするといもの汚れを軽減できます。収穫は霜が降る前に終わらせましょう。

貯蔵

紅はるかは、貯蔵することでデンプンが糖に変化して甘みが増します。温度13〜16℃、湿度90〜95%の環境で貯蔵します。

参考:千葉県ホームページ「サツマイモべにはるか栽培のポイント」より

栽培上の注意点

  • 早掘り栽培では、低温期の挿苗になるため、いもの肥大が不足するので十分な栽培期間を確保する必要があります。
  • 黒斑病抵抗性が「中〜やや弱」なので、種いもや苗消毒を徹底して防除する。

紅はるかの栽培に向いている地域

紅はるかは、全国のさつまいもが作付けされている地域に適しています。一般的なさつまいもの栽培条件は、生育の適温は20〜35℃で年平均気温が10℃以上、 生育期間の積算温度3000℃以上必要といわれています。また、やや乾燥した土地や気候が栽培に最適とされています。さつまいもは寒さに弱い作物のため、福島県あたりが農業としての栽培の北限といわれていました。しかし、近年は地球温暖化によって夏場の気温が上昇傾向にあり、北海道など、これまで栽培に不向きといわれていた地域でも、さつまいもの栽培が行われるようになっています。

まとめ

今回は紅はるかの栽培に関しての情報をお伝えしました。食味、いもの形状、収量性のバランスがとれた「紅はるか」は、「コガネセンガン」に次いで2番目に多く作付けされている人気のさつまいもの品種です。しっとりとした食感と濃厚な甘さが特徴で、今後ますます栽培が拡大すると予想されます。